(1)21年度の国民医療費が45兆359億円(報道)と過去最多となった。こちらも過去最高を更新し続ける政府の年間予算の半分近くを占める。高令化社会が進行して病気、ケガをする人も多くなり必然的に医療費負担が増えるスパイラル(spiral)化だ。
(2)しかし病院にかかってみて支払いの高さは実感させられる。国民保険料を使っての支払いでも負担の多さだから、実質医療費は宇宙次元的な高さとでもいえるものだ。
病院では先端的高度医療機器の導入が進み、遠く離れた地域(国外からの治療もある)の遠隔操作診療、治療などの医療技術革新も進みそれはそれで病気の早期発見、治療技術の高度化、医師不足といわれる解消につながるもので意味はあるが、高額医療費につながるものだ。
(3)医薬品は研究開発、製品化に時間と費用がかさみ、それらを回収するためにこちらも必然的に高額となり、政府は費用の安い効果は変わらないジェネリック(後発医薬品)の利用促進を進めているが病院では多種類の継続的使用の医薬品が指定されるので、医薬品の支払いは高い。
(4)こうして国民医療費は政府年間予算の半数近くを占めて財政を圧迫する。医師不足については専門家からは毎年医学系大学から卒業生が出てインターンになり、医師不足ではなく都市部、大学病院など高度医療技術を持つ病院に医師が集中して偏向格差を生んでいるだけとの指摘はある。
(5)先端的高度医療(機器)に研究開発で高い医薬品が国民医療費を過去最大にしている中で、どこかでデータはあるのだろうがその結果、効果として回復率、治癒率、社会復帰率がどうなのか、高い医療費の「費用対効果」はどうなっているのか知りたいところだ。
(6)人生100年時代、長寿社会を迎えて国民の健康、活動、気力、活力への関心も高く、必要であり、当然病院診断、治療も多くなり、国民医療費の高額負担増につながるものだが、日本は研究開発、教育への投資が国際的に低いと評価されており、国のこの分野への投資を増やすことによって国民への比較医療費の負担を減らす、分配の好循環につなげたいところだ。