いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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六ヶ所村の選択。 selection of rokkasho mura

2014-06-24 19:56:31 | 日記
 (1)日本原燃の使用済み核燃料再処理(核燃料サイクル事業)工場がある青森県六ケ所村長選の投開票が22日実施されて、推進派の候補者が得票率95%のほとんどの票を得て圧勝した。

 他に有力な産業もなく、核燃料再処理による雇用安定と政府からの多額の交付金で村の財政基盤が維持されているという特殊性(distinctiveness)に加えて、日本原燃、関連会社の従業員が多く村民(有権者)として生活する特殊事情の村長選では当然の帰結だった。

 (2)一方では青森県下北半島への原発建設計画に対して、対岸の函館市長が原発事故対応、環境影響、被害を考慮して自治体として初めて原発建設中止の訴えを裁判所に起こして話題となっている。

 原発事業に頼らざるを得ない自治体とその原発事故によりモロに環境影響、被害を受ける危険回避の自治体が共存する現実だ。
 当該自治体の将来エネルギー基本計画の問題でもなければ(間接的には関連しているが)、産業育成のためでもない、自治体の経営基盤、財源保障、雇用安定のための苦渋の選択であり、それに対するアンチテーゼ(anti these)としての被害想定の自治体からの訴訟対象だ。

 (3)六ヶ所村長選では核燃料サイクル事業に対して、出口調査で推進派当選者に投票したうちの過半数が「安全だとは思わない」(報道)と答えており、雇用、自治体財政(交付金)優先での危険やむにやまれぬ選択であることがわかる。

 ところが少子高年令化時代の行き着く先が人口8千万人時代と想定されて、このままいけば2040年までには日本の市区町村の半数が消滅(extinction)するというショッキングなデータ(有識者による日本創成会議)も公表された。

 (4)原発事業に雇用と財政を頼る自治体にとっては、まさに消滅の危機が現実の課題となる可能性が大きい。
 原発事業というのは雇用と自治体財政基盤を一定確保するものではあるが、環境影響、被害想定からは成長戦略とはいえずに、人口減少の歯止めにはならない社会構造だ。

 日本の市区町村の半数が消滅するというデータに、しかし日本の豊かな「自然」は残りその「再配分」、活用こそは成長戦略と書いたが、そういう視点での自治体、生活基盤の将来展望、設計、構想が早くから求められている。

 (5)六ヶ所村の選択(selection of rokkasho mura)は現実問題に重きを置いたものではあったが、成長する将来構想、設計を考えれば原発事業(核燃料サイクル事業)との決別は重要なテーマであり、検討に値したものだった。

 豊かな山、川、平野、海とどう付き合い、生活していくのか、歴史の中で連綿としてそうしてきた教訓を学び、今また情報化時代のツールをとり入れた近代的な「自然再配分」、活用を構想、設計すべき時だ。

 (6)自然から生まれてまた自然に帰る輪廻(りんね)こそが人間のサイクル事業と理解すべきことだ。
 将来のエネルギー問題、原発再稼働問題は、想定される人口8千万人時代、市区町村の半数消滅時代をも考慮に入れての政策構想、設計でなければならない。

 外国人労働力の活用はグローバル化時代には有効な方法論ではあるが経済領域の中のことであり、地方機構改革にはならずにエネルギー基本計画、原発再稼働政策の見直しが必要だ。

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