いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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地震動計算論争。 dipute of calculation of earthquake activity

2016-08-30 19:53:41 | 日記
 (1)かっての原子力行政は推進側と規制監督側が同じ経産省内にあって、公正性を著しく欠いていたとして12年に規制監督する原子力規制委員会を経産省から分離させて独立した機関とした。

 政府は原発再稼働の許認可権限、権能をすべて原規委に押し付けて原発再稼働推進政策の責任転嫁をはかろうとし、原規委は原発再稼働の評価、許可、点検は行うが基準合格したものを実際に再稼働させるかどうかは国の権限だとして、相互に原発再稼働の決定責任を押し付け合っていた。

 (2)現在も原発再稼働の決定権限、権能は一体どちらにあるのか不透明なままだが、現実は原発電力事業者は国が原発を将来のベースロード電源とする方針を受けて、原規委の原発再稼働基準合格により立地自治体と直接交渉して原発再稼働に踏み切っている。

 折角、原子力行政の公正、公平性を担保するために独立した原規委だが、そのうちに政府の方針に沿って審査基準を緩和して基準合格に満たない項目も再稼働までにクリアーすることを条件にしてまで審査合格を与え、余程のことがない限り稼働40年原発廃炉方針も原発電力事業者の都合に合わせて同稼働延長をたやすく認めるなど、すっかり政府の原子力行政を強力に後押しする機関の役割を鮮明にしている。これでは、かっこつけだけのもとのもくあみだ。

 (3)いまさらに問題化しているのは、原発施設の基準地震動(想定する最大の揺れー報道)の計算方式(basis of calculation of earthquake activity)だ。
 政府の地震調査委員会が「地震の規模や揺れを小さく見積もる恐れがある」(同)として使用を避けた06年計算方式を原規委、原発電力事業者がそのまま使用していることだ。

 そもそも06年計算方式を設定した同調査委員会が問題があるとして見直して09年に新方式を公表しているのに、原規委は「原発審査では適切」(同)として06年計算方式を採用している。

 (4)原発電力事業者に有利な条件を優先して再稼働を後押ししようという原規委の思惑がみえる。原規委の独立性を尊重してか政府も口を差しはさまないようだが、地震災害国日本での原発再稼働判定の「想定する最大の揺れ」計算方式は原発立地自治体、住民の安全、生命、生活確保には重大懸案事項であるだけに、政府の同調査委員会が疑問を呈しているのに政府がこれに言及、指針を示さないのは原子力行政の責任放棄としかいいようがない。

 (5)原子力行政に責任を持つ政府とそれから独立した原発再稼働審査機関の原規委の相互の責任体制、所在もあいまいのままに原発再稼働をどんどん進めることに重大な問題がある。

 さらに地震災害国日本での基準地震動計算方式の論争あれこればかりが問題化しているが、福島第一原発事故災害を受けて狭い地震災害国日本をぐるりと取り囲むように54基もの原発を建設して国民の安全、生命、生活、財産を守れるのかの本質論がなおざりにされているのは、本末転倒でしかない無責任な地震動計算方式の論争(dipute)だ。

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