(1)日米関税協議の行き詰まりでトランプ大統領が多分米国貿易赤字の大きい15か国に文書で新関税率を通知して、日本も含まれている。トランプ大統領が米国の意向どおりにならない協議に、協議より文書で通知する方が楽だというような発言があり、貿易赤字の解消が直地点だ。
(2)ここまできたら輸出産業、企業に対応、対策をまかせたらどうかと書いたが、赤沢担当大臣はUSスチール買収計画で難航の中直接米国に乗り込んで交渉をまとめた日鉄会長らが政府に報告に訪れた際に「交渉担当者としてはどうやったら交渉がうまくいったのか、ちょっと教えてもらいたい」(報道)と持ち上げてみせたといわれる。
(3)持ち上げたというよりは本音がでたものだろう。聞くまでもなく赤沢代表は7度目の訪米で米国代表のベッセント財務長官との会談予定もないまま、会談が実現しなかったなどとは政府機関も含めて国際協議の原則、方法アクセス不足で理解できない無能ぶりだ。
日米同盟関係がどうしてこんなことになったのか、民主党バイデン前政権ではアジアよりは欧州、EUとの関係改善に動いて日米韓同盟関係は有効に機能していなかったといわれるが、共和党トランプ大統領はNATO拠出金に不満を示しEUとの関係も良好とはいえない中で中国との対立が念頭にあり、米国第一のトランプ大統領としては日本にはさほど興味を示さなかったことはある。
(4)あるいは米国貿易赤字額の大きい日本に協力を求めることなどできない事情でもあったのかだ。これに石破首相は参院選応援演説で関税協議を巡り「なめられてたまるか」と発言したといわれて、選挙演説とはいえ上述のように国際協議、交渉の日本側の不備、準備不足、原則無視では米国に「なめられて」も致し方ないところだ。
(5)さらに日鉄会長にUSスチール買収計画の交渉の仕方を聞くなどとは、お世辞とはいえみっともない話で政府としては頼りない。日本に新関税通知をして余裕の米国は来週ベッセント財務長官が日本に万博米国デー行事で来日するという余裕だ。
日本が米国に「なめられている」のは間違いない。しかし石破首相の「なめられてたまるか」では問題は解決しない。