旅限無(りょげむ)

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目くじらを立てる時? 其の壱

2010-05-12 22:58:19 | 日記・雑学
■些事に過剰な反応をすることを「目くじらを立てる」と言いまして、野暮・大人気ない・しつこい・むかつく……等々の非難の対象にされておりますが、世間の難しいところは「蟻の一穴」に相当する小さな現象が後々大きな社会変動を起こす切っ掛けになることを忘れていると大変なことになってしまう点にあります。情報化時代の中で日々刻々と怒涛のように押し寄せる玉石混淆の文字・映像・映像の中から、現在を知り未来を予想するのはますます難しくなっております。

鳩山由紀夫首相は12日夜、記者団の「ぶら下がり取材」への応対時間が短くなったとの指摘に対し、「一番、ぶら下がりの時間が短かったのは、小泉純一郎元首相だ。私はできる限り、丁寧にお答え申し上げているつもりだ」と反論した。……
2010年5月12日 産経ニュース

■バカが付くくらい「丁寧に」応答していることは、国民の誰もが存じ上げております。問題なのは言葉の選び方が余りにも乱暴で稚拙、度重なると無責任・不遜とも思える言い逃れと強弁が目立って来たからこそ、絶対に政局や国政に影響を与えないと身に滲みて分かっている記者諸君だからこそ、質は最悪でもせめて記事にする量だけは確保したい!という追い詰められた職業人の叫びが上がるのは当然でありましょう。

■俗な比喩を考えれば、人当たりは好いけれど腕の悪い御主人が経営する定食屋さんに足繁く通う常連客のようなものでしょう。多少不味くても便利な場所で「量」が多くて良心的な値段で商品を提供されていたのに、突然、「量」まで減らされたら客は怒るか素通りすることになるでしょう。「ワンフレーズ・ポリティクス」などという米国でも政治学の専門家しか使わない用語をカタカナで日本中に広めて定着させてしまったほどの小泉プレスリー元首相を引き合いに出すのは最悪の選択でありましょうなあ。

■でも、誰も本気で「量が少ないぞ!」と怒らなくなっている現実があります。
19:50

千葉県の森田健作知事は12日、夏の参院選で相次いでいるスポーツ関係者の出馬表明について「いろんな職業の方が挑戦するのは全然悪いことではない」……森田知事は「参院は(任期が)6年間あるので、これだと思ったことをやり通すことが大事だ」と国会議員経験者としてアドバイス。……民主党から参院選比例代表に立候補を表明した柔道女子の五輪金メダリスト谷亮子氏が「ロンドン五輪でも金メダルを目指す」と述べたことでは「金メダルは取れたらすごいと思うけど、ハードな議員活動をやりながら実際できるのか」と疑問も投げ掛けた。
2010年5月12日 産経ニュース

■同じ事を別の「経験者」が語れば、受け取る印象も随分と違ったのでしょうが……。危機的状況の県政を託す知事に「青春の巨匠」を選出した千葉県民の皆さんには失礼ながら、御尤もな御指摘ではあっても「貴方には言われたくなかった!」とヤワラちゃんが激怒しそうな発言になってしまいましたなあ。森田知事が国会議員として最も熱心に取り組んだのは「ゆとり教育」だったはずですからなあ。敢えて俳優としての代表作は大飯喰らっただけの『砂の器』ではなくて、未だにソフト販売されていない『徳川一族の崩壊』ではないのか?あるいは歌手としても御活躍だったのは有名な話ですから、あの微妙に声ではなく音程が震える『若者たち』を選挙運動中は封印してしまったのは勿体無かったですなあ、などと「目くじらを立てて」嫌味を言っても詮無いことです。

■任期中に、是非とも公約通りに千葉県を「格好よく」して頂かねばなりませんからなあ。それでも、一般の有権者のために、どこかの雑誌やテレビがヤワラちゃんとの「対談」を仕掛けたら、是非とも受けて立って頂、互いに「タレント議員」の真骨頂を遺憾なく発揮して少しでも選挙のレベルが上がり捨石になって欲しいものであります。


北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は12日、北朝鮮の科学者らが核融合技術を独自に開発したと報じた。……「科学者らは多くの科学技術の問題を100%自力で解決することでついに核融合反応に成功した」とし、「独自の熱核反応装置が設計、製作され、核融合反応とかかわった基礎研究は終わった」と伝えた。さらに「核融合に成功することで新しいエネルギー開発のための突破口が確実に開かれた」と論評した。韓国統一省報道官はこの報道について「確認中」としている。
2010年5月12日 産経ニュース

■世の中には「虚言症」という実に付き合い難い病(やまい)を抱えている人がおります。個人と同様に虚言をアイデンティティの基礎にしなければ生きて行けない国家というものも存在するから、国連などの国際組織も一筋縄では行かないことになります。特に無謬性の結晶体みたいな地に足が付いていないような「地上の楽園」を自称してしまうような国から飛び出して来る話に、いちいち「目くじら」を立てていたら、政治も経済も滅茶苦茶になってしまいますぞ。

■とは言っても、縁者や家族に虚言症患者を持ってしまったら、早く付き合い方に熟達して波風立たないように工夫するのが個人レベルの対処法であり、世間知というものでありましょうし、虚言症の国の隣国として生存しなければならない国家となりますと、時と場合に依っては頑張って「目くじら」を立てねばならない事情があるのでしょうなあ。


韓国政府高官は12日、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が核融合反応に成功したと報じたことについて「秘密裏に(核融合実験)施設をつくるのは容易なことではなく、(報道は)根拠がないと思われる」と述べた。……同高官は、フランスに建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)でさえ「実験が50年後に成功するかどうかも不確実な状況だ」とした上で、北朝鮮内で核融合技術開発に必要とみられる施設が探知されたことはないと指摘。仮に報道が事実であれば、国連安全保障理事会の制裁決議に「違反する」と語った。(共同)
2010年5月12日 産経ニュース

■ご苦労様なことに、韓国政府の反論は御丁寧にも二段構えの虚言症対策になっております。簡単に「ウソだ」と気って捨ててしまうには惜しいと思ったのかも知れませんが、国連安保理の決議という北朝鮮が最も気にしているツボにお灸を据えたのは見事だったと申せましょう。でも、深刻な食料難の噂が絶えない国のことですから、研究者や報道官が空腹の余りに幻覚・幻聴を素にして、国際的にまったく認められていない原爆地下実験の成功をしつこく「事実だ!」と言うために、将軍様から厳しい指令が下って命がけの発表をさせられた可能性が高いでしょうなあ。先日処刑されたというデノミ政策の責任者と同じ運命を誰かさんが押し付けられそうであります。

籠の中の小・鳩 其の参

2010-05-11 15:47:13 | 政治
■谷亮子女史の擁立会見で、クラッシャー小沢は「100万、1000万の味方を得た思い」を語ったそうですが、それは「100万票は固い!」という本音が抑え切れずに数字が口を衝いて出てしまったのを、内心冷やりとしながら誤魔化したのではないか?などと邪推してしまいます。 
 
柔道女子の五輪金メダリストの谷亮子氏を10日、民主党が擁立……。「小沢先生(一郎民主党幹事長)の強いリーダーシップの下、頑張りたいと決意した。小沢先生には長い間、田村亮子時代から応援していただいていた。本当に、地球を覆うほどの愛で」この日、民主党本部で出馬会見した谷亮子氏はにこやかに語り、早くも「小沢ガールズ」の仲間入りを宣言。民主党が「政治とカネ」で批判にさらされていることを問われても、谷氏は「より良い方向にこれから向くと信じている」と述べるだけだった。

■「地球を覆うほどの愛」とは、一体、どんな応援をして貰ったのだろう?と下世話な詮索をしてしまいたくなるような言い回しでもありますし、今の総理が好みそうなフレーズのようにも思えます。既に「起訴相当」の判断が下されて検察にボールが投げ返されている現状を考えれば、「より良い方向」とは再び検察が起訴を断念することを意味していることになりそうです。


小沢氏は会見で谷氏の隣に陣取り、満面の笑みで「全国民、谷さんのことはご存じではありますが、ご支援いただきますようお願いいたします」と述べるなど終始機嫌が良かった。民主党は大阪選挙区にタレントの岡部まり氏、比例代表に女優の岡崎友紀氏らを相次いで擁立してきたが、これらも小沢氏主導で人選が進んできた。自身の「政治とカネ」の問題などで民主党に逆風が吹く中で、著名人擁立は小沢氏にとって数少ない反撃の手段なのだ。

■クラッシャー小沢が日本各地で宗教関係者と精力的に会っているという噂があったようですが、それぞれ厚い信仰心を持っている女性候補を擁立して組織団体票を基礎にして、テレビ人気分を上乗せすればぐんと票数が伸びるという露骨な皮算用のようです。それにしても「谷さんのことはご存知」と言われても、彼女の政治理念も知りませんし、憲法・財政・安全保障などに関する見識も分かりませんぞ。「ご存知」なのは柔道が強くてプロ野球選手と結婚して2人のお子さんを育てていることくらいですが……。


……ある自民党幹部は「谷氏を無条件に支持する国民は多いはずだ。それにしても、現役続行にはびっくり。国会議員はそんなに簡単な仕事なのかね」と、いらだちをあらわにした。
2010年5月10日 産経ニュース

■少なくとも今の日本の参議院議員は「そんなに簡単な仕事」なのだと思います。桝添さんみたいに強烈な権力志向を持ち合せていないタレント候補にとって、誰かさんの指示通りに動いていれば大過なく過ごせるはずですからなあ。
  
民主党は10日の常任幹事会で、夏の参院選比例代表にシンガーソングライター、庄野真代氏(55)の公認を決めた。庄野氏は昭和53年にリリースした「飛んでイスタンブール」がヒットした。
2010年5月10日 産経ニュース

■選挙運動中には何度も『飛んで……』を歌うのでしょうか?『モンテカルロで乾杯』というヒット曲もあったはずですが、NPO法人「国境なき楽団」の代表を務めているそうですから、多少は候補者らしい演説が出来るのかも?何やら民主党は無理に浮かれた気分になりたがっているようにも見えますが……。


……小沢一郎幹事長は10日夜、都内で開かれた参院選に向けた党秘書会の総決起大会であいさつし、「参院選まであとわずかだ。ぶつぶついったところで選挙は勝たなきゃいけない。私も来週あたりから全国あちこち飛び歩きたい」と述べ、全国遊説に乗り出す考えを表明した。輿石東参院議員会長は内閣や政党の支持率が下がり続けていることを念頭に、「参院選では民主党の真価が問われる。逆風といわれるが、タコは逆風の時の方が高く揚がる」と強調した
5月11日0時15分配信 産経新聞

■ほんの5日前に山岡賢次国対委員長が党本部で開かれた「女性議員ネットワーク会議」の総会で「雲の上」失言をしたばかりだと言うのに、「雲」の次は「凧」ですかな?輿石会長は御存知ないのかも知れませんが……もしも逆風が凧を揚げている本人にとってのものなら、どんなに頑張っても凧は絶対に揚がりませんぞ。意地を張って横車を押さずに、自分が凧を揚げようとしている方向が間違っているのだと反省して、ちゃんと風下に向かって凧を放たねばなりません。あまり無茶な揚げ方をしていると、糸が切れて凧が流され、イスタンブールを飛び越えて国家財政が破綻したギリシア辺りに不時着かも?そして余った選挙資金を流用してモンテカルロで自棄酒の乾杯をしなければならなくなるかも知れませんぞ。
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籠の中の小・鳩 其の弐

2010-05-11 15:46:47 | 政治
■スポーツ新聞が一面に政治・経済ネタを掲載するのは珍しい事ではありませんが、読者好みの生々しい話が出て来るのは政権が末期症状を呈し始めているからなのでありましょう。

鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長の辞任、執行部刷新要求を表明した民主党新人の横粂勝仁衆院議員(28)に対し、バッシングの声が殺到している……。6日に行った地元・横須賀での街頭演説で、小沢チルドレンと呼ばれる1年生議員では初めて執行部刷新の必要性を訴えた横粂氏。だが、翌日からの2日間で事務所へ届いた500件以上の電話やメールのうち、80%以上が「執行部ありきの民主党だ。新人議員が何を言うんだ」「おまえが議員を辞めろ」と厳しい声だった。

■たったの500件か?と言ってしまったら新聞記事になりませんが、「新人議員」だから黙っていろ!などという、凡そ民主的とは言えない抗議が来るところは、民主党の実態を表わしているような気がします。昔懐かしい自民党型のバラマキ利権誘導選挙を長崎県知事選挙で展開して惨敗した時、袈裟の下から鎧が見えたと思ったものですが、この種の抗議を送り付けるのは政権交代を実現させた無党派層では決してありますまい。民主党のコアな支持者の中には非民主的な政治感覚を持っている人が多いらしい、という事だけは覚えておきましょうぞ。


しかし、この日も街頭に立った横粂氏は、「小沢幹事長を怖いと思ったことは一度もない。ほかの人がやらないなら自分がやる、という使命感が強い」と胸を張った。週明けには、同党の代議士会で執行部刷新を訴える予定。賛同する議員はまだ2人だが、「同調してくれる議員を1人でも多く集めたい」と意気盛んだった。
5月9日 スポーツ報知

■党内で政策論議を封じ込め、地方からの陳情も幹事長室だけが受け付ける。閣議や政府を見下したように法案や予算案に露骨に介入していれば、それだけで支持者は徐々に減って行ったでしょう。そこに「政治とカネ」の問題で総理と幹事長が仲良く名前が出て来ているのですから、党内から辞任を要求する選良が一人も出て来ない方が変でしょう。こうして党内が親小沢VS反小沢に割れて対立するようなら、いよいよ政界再編の歯車が動き出すのですが……。
 
 
夏の参院選に向け、各党のスポーツ選手やOBの擁立ラッシュが続いている。……民主党は五輪メダリストを3人そろえた。10日に発表された柔道の谷亮子氏(34)と、元体操選手の池谷幸雄氏(39)を比例選に、競輪選手の長塚智広氏(31)を茨城選挙区から、擁立する。

■競輪とは違いますが政界一の自転車野郎で、国会期間中に転倒事故を起こして顔面を負傷したこともあるのが自民党の谷垣総裁です。それを意識して競輪選手の擁立を画策したのは誰でしょう?出ては消える「参議院不要論」が再燃して日本の政治システムが大きく変わる切っ掛けになるのなら、腰掛け議員や陣笠議員が増えるのは大歓迎であります。よほど本職が暇になっていない限り、政治家として大きな仕事をする可能性は無いはずですから、有権者側もそれを承知の上で投票すべきでしょうなあ。


……自民党は、比例選で読売巨人軍前監督の堀内恒夫氏(62)、秋田選挙区には近鉄、巨人などで活躍した石井浩郎氏(45)を立てた。たちあがれ日本も、元巨人の中畑清氏(56)を比例選で擁立する方針だ。国民新党はプロレスラーの西村修氏(38)を比例選候補として公認した。スポーツ選手などの候補者がいないみんなの党の渡辺代表は10日、「アジェンダ(政策課題)のもとに集まった覚悟の集団というのが最低条件だ」と語り、けん制した。
5月11日 読売新聞

■これは渡辺代表の言っている事が正論でありましょう。「○○党は嫌いだけどジャイアンツは好き!」「政治には興味が無いけれど競輪は三度のメシより好き!」「テレビに出ている人が好き!」そういう理由で投票行動を起こす国民が大勢いるに違いない!と思われている事に腹が立つ人が多いのではないか?とは考えられないほど各政党は切羽詰っているようです。必殺!仕分け人が「どうして世界一でなければ行けないのか?!」と名言を吐いた民主党が、世界一になった金メダリストに執着しているところは大いに笑えますなあ。まあ、科学・技術の分野で世界一になれなくても、日本の国会内では何が何でも日本一にならねばならないのが民主党なのでありましょう。

籠の中の小・鳩 其の壱

2010-05-11 14:35:02 | 政治
■鳩山サセテイタダク首相の「腹案」はこれだ!と週刊ポスト最新号が「全文」をすっぱ抜き、昨日はTBSテレビの昼のワイドショーに橋本晃和(桜美林大学客員教授)が登場して「九州ローテーション案」を大真面目に解説していたようですが、同じ日に関係閣僚協議が開かれて、キャンプ・シュワブ沿岸部の沖合に杭打ち桟橋(QIP)方式で滑走路を建設する浅瀬案と、徳之島など県外への訓練移転を柱とすることを最終的な政府案としたとか……。鳩山サセテイタダク首相は5月23日に性懲りも無くまた沖縄に行き、12日にはワシントンで実務者協議を開く予定だと報道されております。

■乱暴極まりない見切り発車!としか言いようがない2正面作戦どころか3正面。4正面作戦になりそうな「選挙が第一」モードで暴走しているようですなあ。沖縄県と鹿児島県徳之島に加えて「ローテーション」を押し付けられる九州某県を説得しながら、米政府と具体的な交渉を進めることなど、現政権の外交力では荷が重過ぎましょう。関係閣僚協議では、普天間・嘉手納の飛行訓練を全国の自衛隊基地で実施すること、鳥島・久米島の射爆撃場と沖縄本島東側の米軍訓練水域の一部を返還してもらうこと、日米地位協定の見直し交渉も同時に進めることを決めたそうです。

■TBSテレビに出た橋本晃和氏は、沖縄に駐留している米軍にとって主要な警戒対象は台湾周辺ではなくて朝鮮半島だから、沖縄よりも更に半島に近い九州各地の自衛隊基地で訓練することを米軍は喜ぶというような話をしていたようですが、太平洋に西半分とインド洋の東半分を担当している沖縄の米軍が、半島有事を最優先に考えてくれるかどうか?5月9日にテレビ東京が放送した『日高義樹ワシントンリポート』で日高氏が海兵隊に同行取材してその実態を報告していましたが、その翌日に橋本氏の話を聞いた人は強い違和感を持ったのではないでしょうか?

■もしも、橋本氏の読みが正しいのなら、射爆撃場にしている鳥島・久米島を変換してもらう変わりに日本の領土である竹島を訓練用に提供して、米軍の威を借りて乏しい日本の外交力を補うという悪い冗談も俎上に載せられるかも?閑話休題。何はともあれ沖縄基地移設問題の先行きが不明でも、民主党はこのまま鳩山・小沢体制のまま夏の参議院選挙に突進して行くことだけは間違いなさそうです。何だか「一蓮托生」「暴走」「自爆」などの言葉が浮かぶ寒々とした選挙戦になりそうですなあ。


……「私のことを含めて最近の状況などを考えた時、頑張らなくてはいけない…」。小沢氏は7日、参院選候補擁立のため訪れた宮崎市内で連合幹部と面会し、珍しく弱音を漏らした。記者会見でも「内外に多難な課題を抱えている。党のトップや役員のリーダーシップに問題もあるが、要は候補者が県民にどれだけ理解されるかだ」と危機感をあらわにしたが、自らの進退を問われると即座に「ありません」と断じ、記者団をにらみつけた。続く「普天間問題だが…」「3日に首相と会談したのか」などの質問には「それはダメだ! 定例会見で聞きなさい。ダメだよ。ルール破りをしちゃ…。民主主義は…」と口をつぐんだ。

■クラッシャー小沢の「民主主義」は、鳩山サセテイタダク首相の「思い」に負けず劣らず実に分かり難い言葉です。首相の「思い」は友愛精神が鍵になっているようなのですが、個人的な信念(妄信)を誰彼なく押し付けるのが欠点。小沢流の「民主主義」は民主的な選挙で圧勝して議会の過半数を占領した政党は無限の権力を使って独裁政治を行うことらしいのですが……。だから選挙に勝つためには愚かな有権者が喜ぶ?バラマキ政策を財源の保証などまったく考えずに並べて、国家予算が破綻しようと構わないし、政策・理念などは風に合わせてコロコロ変わるのは当たり前、選挙に勝つためなら何をしても良く、法律を破っても逮捕されて有罪にならなければ問題は無い。

■支持率の低下が続いている最中に、いよいよクラッシャー小沢の豪腕「選挙」が牙を剥き、自民党が手をこまねいている間に大量に逃げた浮動票を掻き集める荒業が飛び出し始めた模様です。


……小沢氏は3日夜、沖縄訪問を翌日に控えた鳩山首相と都内のホテルでひそかに会ったという。小沢氏は最近普天間問題をめぐる首相の言動に「マスコミにしゃべりすぎだ」と周囲に漏らし、政権運営に不満を抱いていたというが、難局を乗り切るための結束を確認したとされる。……首相をすげ替えて小沢氏が幹事長を続投することは難しい。加えて自らも資金管理団体の政治資金規正法違反事件で検察審査会が「起訴相当」議決を下し、世論の辞任圧力にさらされており、新首相の下でポストを失えば、院政を敷くことも容易ではない。つまり首相と小沢氏はもはや一蓮托生……。

■最終的には小沢一郎という一人の政治家の延命だけのために選挙も政局も利用されるという、いつか見たどたばた劇が再び幕を開けているのかも知れません。自民党を飛び出した時に政治資金を管理していた担当者ごと6億~8億円を持ち逃げして以来、自分が作った政党助成金制度を自在に悪用して政党を作っては壊しながら元々は税金である助成金を自分の政治資金にしてしまう手法を磨いているとか……。これまでの小政党ではなく、今のクラッシャー小沢が財布を握っている民主党は衆議院だけでも310議席、参議院には60議席を有している巨大政党でありまして、平成22年度に約173億円もの助成金が配分されているそうですから、「壊し甲斐」はあるでしょうなあ。


……小沢氏側近の党幹部は6日夜、鳩山首相が退陣した場合は、正式な代表選ではなく党両院議員総会での簡易版代表選になるとの見通しを披露し、「そうなれば『小鳩連合』が担ぐ候補と、前原氏や岡田克也外相との権力闘争になる」と言い切った。党員投票がない両院議員総会ならば、首相と小沢氏を支持する勢力が党内を圧倒しており、小沢氏の権力基盤はほぼ確実に維持できるからだ。だが、そんな思惑が透けてみえる代表選で世論の支持が回復する見込みは薄い。親小沢、反小沢の対立が深まれば、参院選後の本格的な政界再編の布石になるとの見方もある。
5月8日 産経新聞

■鳩山代表を選出した前回の代表選挙は既に小沢院政が始まっていることをまざまざと見せ付けたような、到底民主的とは言えない強引なものだったと記憶しておりますが、次の代表選挙はもっと非民主的なものになりそうですなあ。もしも、それが鳩山首相の退陣によって行われるのなら、次に誰が「軽いシャッポ」に選ばれるのでしょうなあ?

■参議院選挙に向けて支持率がどんどん下がり続け、当面は起死回生の希望など何処を探しても見つかりそうもないのですから、さぞや首相官邸や民主党幹事長室は重苦しい空気で満たされていることでありましょう。鳥籠の方が風通しがよいくらいかも知れませんなあ。国会内に流布した落首みたいな戯れ歌があったのを思い出しますなあ。

■中国から見れば「カモ」……米国から見れば「チキン」……欧州から見れば「アホウドリ」……日本の有権者には「サギ」だと思われ……オザワから見れば「オウム」のような存在。でも、鳥自身は「ハト」だと言い張っているようだ。とか言う内容でした。作者が不明だからか?まだ曲を付けた人はいないようですが、選挙が近づいたら苦し紛れに自民党の誰かさんが自作自演で歌い出すかも知れませんぞ。

鳩山首相の独り言 其の参拾

2010-05-10 09:49:33 | 政治
■鳩山サセテイタダク首相が沖縄にのこのこと出掛けて行ったのは5月4日でしたが、

北朝鮮の金正日総書記は1日早い5月3日に万博が開幕したばかりで、否が応でも世界の注目を集めているチャイナを電撃訪問!という大ニュースが飛び込んで来たのでした。外からは経済制裁を受け、内では愚かなデノミ断行で国内経済はギリシアどころの騒ぎではない破綻状態、韓国の艦船に魚雷攻撃したこともバレるという踏んだり蹴ったり、自業自得の絶体絶命をものともせず?脳出血の後遺症で動かぬ足を引きずってのタカリ物乞い旅行。まあ、自業自得で窮地に追い込まれたのは将軍様も鳩山サセテイタダク首相も似たようなものかも知れないのですが……。

■4年ぶりのチャイナ訪問は旧満州の大連港を皮切りに、5日には北京の人民大会堂で胡錦濤国家主席と握手・写真撮影会だけでなくちゃんと首脳会談。6カ国協議を主要議題に国際情勢やら中朝関係発展策などについてじっくり協議したとか……。迎えた胡錦濤国家主席の側は迷惑顔も見せずに用意していた「5大提案」を披露して経済協力の相談をし、6日には温家宝首相との会談で具体的な協力プロジェクトやら国境地域のインフラ建設などについての生臭い話を詰めたようです。

■北朝鮮の将軍様は何事も極秘裏に行うのが大好きなので、お召し列車が国境を越えるまで揣摩臆測を呼んでいましたが、日本の鳩山サセテイタダク首相の方も、連休に入っていた4月30日に平野博文官房長官が午前の記者会見で発表したのですから、これもちょっとした電撃訪問の形になりました。一説には支持率を一挙に反転上昇させた「小泉訪朝」の再現を狙った猿真似だったとの話もありますが……。北の将軍様が北京入り直前に雲隠れしていた5月4日の午前に鳩山首相は沖縄県庁内で仲井真知事と会い、同日午後には名護市の稲嶺市長と会談……とは言っても毎度御馴染みの「独り言」なので対話はまったく成立せずに終わったようです。今回、少し趣が変わっていたのは「独り言」が謝罪パフォーマンスの「一人芝居」の台詞になっていたからでありました。これは相手をさせられる方としましては、単なる空疎な「独り言」を聞かされるよりも辛くて腹立たしい所業でしょうなあ。

■金総書記は3~5日の3日間で大連や天津の港湾施設を視察しつつ2400キロも移動したのだそうですが、我が国の首相は沖縄県庁と宜野湾市のホテル、そして、最も絵になるアリバイ作りの場となるはずだったのが普天間飛行場に隣接する普天間第二小学校の体育館をぺこぺこ頭を下げながらたらたらと歩き回っていたのでした。本当なら国会が閉じる連休期間に、関係閣僚を引き連れて米国に乗り込んで米国の世界戦略と日本の「防衛戦略」をごしごしと徹底的にすり合わせて、これまで自民党政権が「場当たり」的にカネで誤魔化し続けた日米安保の諸問題をすっきりさせるような重量級の外交交渉を展開していれば、沖縄の基地問題をもっと広い視野の中で取り扱えるようになったかも知れません。

■しかし、選挙前に個人的な立場で連呼した「国外、最低でも県外」という一言に拘泥する余り、東アジア・極東の鍵を握る日本の首相としての重大な責務をすっかり忘れてしまった鳩山サセテイタダク首相は、軍事を含めた国家戦略を作り上げて国民に提示する材料とするべき大きな問題を、「辺野古の海」の問題に圧縮して自ら手足を縛って転げ回っているのは国家としては悲劇でありましょう。

鳩山首相の独り言 其の弐拾九

2010-05-10 01:10:29 | 政治
■首相がコロコロ言うことを変えるので閣内は常に四分五裂、自分自身をコンダクター(指揮者)に見立てたこともありましたが、雑音ばかりで一向に主旋律が聴こえて来ないのでホールは空席が目立って来たようであります。テンポがコロコロ変わり、下手をすれば楽譜や曲目も変わっているような「思い」が強過ぎる指揮に従って演奏している閣僚も大変でありましょうなあ。閣議の内容は盗聴する必要も無いほど全容が即座に漏れ出し、閣議後の会見では閣内不一致の実態が余すところ無く披露されるのが鳩山内閣の特徴であります。

北沢俊美防衛相は7日の閣議後会見で……「首相の大きな沖縄に対する思いが決断を少し遅らせたかなということは、なきにしもあらずだ」と述べ、県内移設表明の時期が遅かったとの見方を示した。鳩山首相は県外への全面移設が不可能な理由に在沖米海兵隊の「抑止力」を挙げたが、北沢防衛相は「防衛省として特段その問題(抑止力)で(首相に)申し上げたということはありません」と説明。「いろいろな協議の中で、首相自身が自ら、抑止力に対する考え方は固められたのだと思う」と述べた。また、北沢防衛相は、在沖米海兵隊を沖縄以外の地域に移転することによる抑止力の変化について「数値的に申し上げることは不可能だ」と述べ、具体的な説明を避けた。
2010年5月7日 琉球新報

■北沢大臣も今年が改選に当たっている参議院議員です。長野県選挙区は定数は4で改選数は2、先の総選挙後には政界引退を考えていたそうですが、支持者の声に応じて立候補するようです。連休中にインドを訪問してアントニー国防相から北朝鮮による日本人拉致問題の解決に協力するとの言質を取ったり、チャイナの軍備増強に対抗して、これまで丸裸同然だった南西諸島へ陸上自衛隊の部隊を配備する調査費を計上したり、なかなか堅実な仕事ぶりを示しておりますが、これも参議院選挙が迫っているからだという穿った見方があるようです。

■長年、地元選出の元総理大臣(だったことを誰も覚えていない)羽田孜さんと常に行動を共にしていた関係で、クラッシャー小沢とは微妙な仲だとも言われているようですが、こんなに苦労する防衛大臣も珍しいと思われるくらいに、ころころ変わる鳩山サセテイタダク首相の下で何度も防衛省との板挟み状態になりながらも、したたかに面従腹背の作戦を取っていたようであります。まあ、生え抜きの官僚や自衛官から熱心に「ご説明」を受けていただけの事かも知れませんが……。不思議に地味な印象の北沢防衛相と無能な感じの平野官房長官が、最初からずっと現行案以外に解決策はないという冷徹な読みをしていたのは、クラッシャー小沢風に言うと「役人に取り込まれているから」なのかも知れません。

■「自然への冒涜だ!」との首相の「思い」を汲んで米軍が拒否するのを承知の上で杭打ち方式を提案するピエロの役も平気で演じる人でもあります。


国民新党代表の亀井静香金融・郵政改革担当相は7日の閣議後会見で……「辺野古から逃げて辺野古の海に帰ってくるということは、首相が言っているわけではないが、あり得ない。県民にもくい打ち受け入れはなかなか難しい」と述べ、政府検討の名護市辺野古へのくい打ち桟橋(QIP)方式を含め、辺野古海域への建設に反対の意向を示した。その上で同党が提案していたキャンプ・シュワブ陸上案の検討をあらためて求めた。

■悪評高くなってしまった「陸上案」ですが、小川和久さんの『日本の戦争力』という本に書かれている壮大な構想に含まれているので、亀井大臣や同じ党の下地議員は小川氏のレクチャーを受けている可能性がありそうです。6万部以上も売れた本ですから、壮大な構想の内容を御存知の方も多いかも知れませんが、日本に駐留している米軍に関する是非とも知っておくべき情報が満載の本なので、後々、少し引用してみたいと思っております。


与党幹部によると亀井大臣は6日、鳩山由紀夫首相に電話し、QIP方式に反対する意向を伝え、シュワブ陸上案の検討を求めた。首相は早急に3党を呼んで方向性を話すと述べた。亀井大臣は会見で、海域の代替施設建設について「マリコン(海洋土木業者)の鉄鋼業者が潤うだけという話」と支持しない理由の一端を述べた。一方で、新たな米軍基地建設について「日本列島、好き勝手に米国が基地を持つことはできない。米国の純軍事的な要請を百パーセント満足させる形で基地を提供できるわけがない」と述べ、政府が米側に強く要求する姿勢を示すよう求めた。
5月8日 琉球新報

■常に自信たっぷりの亀井大臣の発言を聞く度に、一体、誰が総理大臣の仕事をしているのか分からなくなってしまうのですが、郵政やJAL再建などでは時代に逆行する政策をクラッシャー小沢の隠然たる影の力を利用して強引に進めてしまったのは感心しませんが、不思議に国内問題よりも外交に関して頼りない首相の発言よりも遥かに真っ当なことを言っているような気がします。
日本の「戦争力」
小川 和久
アスコム

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鳩山首相の独り言 其の弐拾八

2010-05-09 14:06:37 | 政治
■この週末もテレビのニュース・ショーやラジオの討論番組は普天間問題一色になってしまったようです。「抑止力」を勉強して変心した鳩山サセテイタダク首相の発言が波紋を広げて、議論は収拾が付かない大混乱であります。ご本人は奇怪な精神論にすがり付いているようなのですが……。 
 
鳩山由紀夫首相は6日、米軍普天間飛行場の移設先について「最低でも県外」としていた自身の発言について「努力をしたいという思いで今日まで行動してきた。場当たりな発言は一切していない」と述べ、公約ではなく努力目標であるとの認識を示した。「約束とかそういうことよりも、言葉の重さは認識している。責任を果たそうと行動している」とも語った。……首相は「5月までに決めますと申し上げているから、それを変えるつもりは全くない」と述べ、改めて期限通りの決着に意欲を示した。また、首相は6日、沖縄を再訪問する考えを固めた。沖縄が本土復帰した日にあたる15日の訪問が念頭にあるとみられる。
2010年5月7日 産経新聞

■個人的な「努力目標」なら手帳にでも書いておくか、執務室の壁にでも貼っておけばよさそうなものですが、選挙戦の最中に党代表として政権交代を叫ぶ時に党のマニフェストに混入させては行けませんし、党首討論の場などでしれっと口にしても行けません。ご本人は自分の努力目標を忘れないために公衆の面前で大きな声にして「独り言」を言っただけなのでしょうが、更に拙いのは自分の発言を一種の「約束」だと、これまた個人的に思い込んでしまったことでした。

■以前に首相が大見得を切った「腹案」というのは、首相を膝に乗せて操っている無口な腹話術師の囁きではないのか?と書きましたが、政権交代という目的のために沖縄選挙区の票をごっそり奪って総選挙に勝つためには「国外、最低でも県外」と空手形を切り、政権を磐石にするために過半数を制して参議院選挙に勝つためには「5月末決着」という機械的な計算だけで口走る。そして腹話術師が画策した連立相手を喜ばせるためにグアムやらテニアンやらの「国外」の地名を意味ありげに垂れ流す。かつて「第七艦隊だけで抑止力は十分だ」と断言した人が腹話術師の正体なら、今の大混乱の原因は実に単純明快なものになりそうです。でも、選挙活動に専念している幹事長の口から日米関係の危機を脱する妙案などは出て来そうにありません。

■あれは公約ではなく「努力目標」だったと首相が告白した日に、閣内からは問答無用で「公約」扱いし続けようとする声が出ていたようです。


社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は7日の閣僚懇談会で、米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、「多くの沖縄県民が県内移設に反対している。県民の思いを切り捨てる政治はやってはならない」と発言した。政府が検討中の名護市辺野古の浅瀬への杭打ち方式による代替施設建設ではなく、県外・国外移設を目指すよう改めて求めたものだ。これに対し、平野博文官房長官は「5月末の決着に向けて今、最終調整をしているところだ。閣内が一致協力してこの問題に対応したい」と協力を要請した。
2010年5月7日 産経新聞

■移設問題に関して鳩山内閣が「一致協力」したことは一度もありません。民主党の閣僚だけに限っても意見は別れ、首相と官房長官との間にも大きな隔たりがあり、連立政党からも異説が出ているのですからなあ。こうした混乱を米国側は不気味に静観しているのですが……。閣議できゃんきゃん吠えている福島大臣は消費者問題と少子化問題という専権事項に関しては何の発言も聞かれず、鳩山首相の「努力目標」「思い」「妄想」を現実化させようと閣内を撹乱するのに熱心なのは困ります。

■社民党は現在、参議院に5議席を持っているのですが、夏の選挙で3議席は改選になります。昨年9月の段階で、比例代表で3議席、選挙区でも3議席以上の獲得という恐れを知らぬ皮算用・目標を発表しているそうですが、このまま普天間基地の移設が凍結されるようなことになったら、改選議員の再当選は難しくなるでしょうし、最悪の場合は議席数2の参議院で最小の政党になってしまうかも?そうなれば「重大な決意」をする前に、クラッシャー小沢から(もしも選挙時に在任していたら)冷たい三行半が送られて来るのでしょうなあ。

鳩山首相の独り言 其の弐拾七

2010-05-09 09:00:29 | 政治
■何も好い事が無かった鳩山サセテイタダク首相の沖縄訪問でしたが、御本人にはそれなりの「計算」があったのではないか?という憶測が流れているようです。勿論、その計算が正しかったかどうかは別問題でしょうが……。

4日午後、米軍普天間飛行場に隣接する宜野湾市の普天間第二小学校で開かれた鳩山首相と沖縄県民の対話集会。……約1時間10分に及ぶ集会が終わりに近づき、首相が締めくくりのあいさつを始めると、それまで静かだった会場からヤジが飛んだ。「公約を守ってください。これ以上、我慢できません」。これをきっかけに会場はざわつき、首相はヤジにさらされた。首相は「これが第1回目の対話。もう来るな、と言われるかもしれませんが、皆さんの気持ちをさらに学ぶ機会をいただきたい」と低姿勢を貫いた。首相が去る際、参加者からは拍手一つ起きず、冷ややかなムードで終わった。

■再訪問の計画はは早々にずるずると延期され始めているそうですが、もしかすると第2回目はヤジも飛ばなければ反対派の集会も開かれず、歓迎する人の姿も見えないという徹底的に首相の存在を否定する恐ろしい無視を決め込んだ異様な光景になってしまうかも?何処に行っても前もって蜘蛛の子を散らすように人々が何処かに身を潜め、報道陣のカメラには無人状態の町を歩く首相の姿だけが映り、現地到着後に予定されていた公式会見などはすべてドタキャンで、行く場を失った首相が寂しく辺野古の海を眺めている……。嗚呼、これほど「独り言」を呟くのに打って付けの場面設定が他にあるのでしょうか?!


沖縄では、4月25日に仲井真弘多知事ら全自治体の首長らが出席し、大規模な「県内移設反対」の県民大会が開かれたばかりだった。直後に首相が正反対の案を携えて乗り込めば、火に油を注ぐのは明白だった。首相周辺は「体を張って止めようとしたが、どうしようもなかった」と打ち明ける。それでも首相があえて沖縄入りに踏み切ったのは、自らが期限を切った「5月末決着」に向け、「成算があるわけではないが、とにかく乗り込んで謝罪し、局面を打開しようという気持ち」(周辺)からだった。

■「局面を打開」できるほどの存在感があったらよかったのですが……。選挙前の言動からすれば4月25日の県民大会の主賓席に鳩山サセテイタダク首相が座っていなければならない訳で、すっかり悪者扱いされるようになってしまった仲井真知事も、政権交代の風にのって辛勝した稲嶺市長も、鳩山サセテイタダク首相に振り回されて心身ともにくたくたでしょうから、裏切り者として首相は「謝罪」するしかありませんでしたが、「独り言」だけが続くお詫び行脚で局面が打開されることなど有ろうはずもなく……。


昨年9月の首相就任後、一度も沖縄を訪問していないという野党の批判をかわすと同時に、「地元の合意」を重視する米側にも努力の跡を示す必要があった。……「首相の考えていることはだいたいわかる。対話集会を『沖縄と話をした』というアリバイづくりに使われたらたまらない」。対話集会に出席した男性は記者団に怒りをあらわにした。今回の訪問では、仲井真知事との会談をはじめ宜野湾市での対話集会までほぼすべて報道陣に公開した。このため、「小泉首相の再訪朝の時の対応をまねたのだろう」(政府関係者)との見方が出ている。2004年5月、北朝鮮による拉致問題解決のために再訪朝した小泉首相(当時)が帰国後、報道陣に見せる形で拉致被害者や家族らへの説明会を開催。安否不明の家族らから批判を一身に受けても耐えた姿勢が評価されたことを参考にしたという見方だ。

■アリバイ作り、小泉劇場の二番煎じが本当なら、反対派住民は「好い面の皮」にされてしまったことになりますから、先に書いた第2回の訪問の妄想が現実味を帯びて来るかも知れませんぞ。選挙前に「国外、最低でも県外」と大声で叫んだ「独り言」を真に受けてパンドラの箱から飛び出してみたものの、蓋を開けた張本人は知らん振りしていたかと思ったら、今度は蓋を開けたことを「謝罪」して回る芝居のエキストラ扱いされたら堪ったものではありません。何だか『ヘーメルンの笛吹き男』の怖い童話を思い出してしまいますなあ。


また、この時期の首相訪問について、夏の参院選対策だとの指摘も出ている。「参院選まで持ち越すと、責任を持った政治にならない。その後に県知事選も控えている」宜野湾市内のホテルで基地所在市町村長と会談した首相は「5月末決着」の理由について、こう説明したという。出席した島袋俊夫うるま市長は「(選挙日程を優先させた日程だったことに)あぜんとした。『本当に総理か』とショックを受けた」と批判した。
2010年5月5日 読売新聞

■唐突に「5月末決着」が公言された時から、選挙日程から単純に逆算した幼稚で乱暴な空手形だとの指摘はありました。大金持ちのお母ちゃんと忠実な番頭さん達の助けで、何でも自分の願いが適う人生を送って来た人間が一国に首相になるというのは巨大な悲喜劇なのかも知れません。内政と外交は密接に絡み合っているものですが、それを恣意的に混同させてしまうのは非常に危険で、世界最大の軍事大国の大統領に対してまでも「トラスト・ミー」などと無責任な安請け合いをして同盟関係に傷をつけてしまったりもしますからなあ。

■「生活が第一」というのも大嘘で「選挙が第一」「過半数が第一」というのが民主党の本音だと分かってしまえば、党代表の顔が何度変わろうとも再び追い風が吹くことはないでしょう。まさか惨敗が予想される厳しい夏の選挙を鳩山サセテイタダク首相の「独り言」演説で乗り切れると思っている議員は居ないでしょうし、クラッシャー小沢の選挙魔術もタネがバレてしまえば浮動票は他党に流れ、何より大事な組織票も取りこぼしが増えることでしょう。

鳩山首相の独り言 其の弐拾六

2010-05-08 15:13:50 | 政治
「……すでに市長さんからは海も、さらに陸の部分も不可能だという話もいただいておりますので、そのお気持ちのお話をいただくことになるだろうと思っておりますが、改めて市長さんに私からも今の政府の立場というものをどうしてもまだ不十分ではございますが、ご説明を申し上げたいという思いで、きょうは名護市におじゃまをいたしたこと、どうかご容赦を願えればと思っております。いろいろときょうも反対の、反対というか、市民のみなさん方の気持ちが外で伝わっています。そのことも私としてもしっかりと胸に受け止めていかなければならないことだという理解はいたしておりますことも付言させていただきとうございます」

■この文脈だと「理解」という言葉は最終段階では「無視」と同意語になりそうですが、首相は何を「ご容赦願」っているのでしょう?「お邪魔した」ことを謝っているのか?「不十分な説明」を謝っているのか?「政府の立場」を謝っているのか?その場で聞いていた人達は分かっていたのでしょうか?東京に戻ってすぐに再訪問を発表した首相に対して即答で拒否したのですから、やはり訪問したことを謝っていたと受け取られていたのでしょうなあ。来ることを謝るくらいなら最初から来なければよいでしょうし、ましてや迷惑を承知で「また来る」というのは筋が通らないですからなあ。鳩山サセテイタダク首相は軽々しく謝る悪い癖がありますが、それも独り言の流儀なので相手に謝罪の「思い」はまったく伝わらず、謝っている本人も謝ったはずの言動を性懲りもなく繰り返してしまいます。

■難渋を極める「独り言」を黙って聞いていた稲嶺市長は、蛇足そのものの「付言」まで聞き終えてから、首相の後だから尚更のこと、適切な言葉を選んで実に明瞭なメッセージを返したのでした。曰く「抑止力は日本全体の問題だ!」「公約を守れ!」「決断、英断を下せ!」という誰にでも分かる発言でありましたが、それを引き取った首相の方は……。


「確かに抑止力の話は、日本の国民すべてにとってのメリットの話であります。日本の平和を守るためでありますから、当然のことながら、沖縄のみなさん方ばかりにご負担をお願いするというのは筋違いであるというのは、よく理解をしております。その通りだと思っております。まして、極力沖縄のみなさん方のご負担を、前政権の時の環境よりもかなり負担を軽減させていくことは、これは当然物事を進めていく上で不可欠な要員だと思っておりまして、その思いは何としても実現をしたいと思っておりまして、トータルの中でのご負担の軽減というものは、何としても果たしてまいりたいと思っております。

■あっさり「筋違い」だと認めた上で「理解」「極力」「不可欠」「実現」と単語を並べて「軽減」を2回も使っているのに、まったく見通しが立っていないのだなあ、と相手をどんどん不安にするだけの「独り言」になっております。


まだ政府として最終的な考え方をまとめているという状況ではございませんので、これ以上のことを申し上げる術がないことを申し訳なく思っておりますが、したがいまして、きょうは今、外で活動しておられる方々の思いというものも勉強させて、拝見させていただきながら、また政府がアメリカともしっかり交渉できる態勢を作る一助にしてまいりたいとも考えております」

■政府案を「取りまとめている」段階になったから沖縄に来たかと思ったら、そういう「状況ではございません」と正直に滅茶苦茶なことを言い放った首相に「申し訳ない」と言われても、稲嶺市長は返答に困りましょうなあ。現地に乗り込んで来たのは「勉強」「拝見」が目的だというのも遅すぎる話ですし、これから態勢作りをする対米交渉の「一助」にしますと暢気なことを言われたら、怒る気にもなれないでしょうなあ。それでも席を立たずに応対していた稲嶺市長は予定時間に合わせて最も重要な「思い」を首相に伝えたのでした。


市長「……いかなる施設であっても、これ以上の基地負担は受け入れられないというのが名護市民の切実なる思いでございます。また辺野古に戻ってくるというようなことが絶対にあってはならないというふうに、強い思いでございます。首相におかれましては最後まで県外、国外を模索する、あるいはそのことを導き出すようにご努力をしっかりお願いしたいと思っております」

首相「稲嶺市長のお気持ちはよく学ばせていただきました。ありがとうございます」

市長「最後にもう一度。辺野古に戻ってくるようなことが絶対あってはならない。このことだけはしっかりとお聞き取り願いたいと思います」

首相「きょうはありがとうございました」
2010年5月4日 産経ニュース

■この2回も繰り返された「ありがとうございました」はどんな意味があったのでしょうなあ?他に言うべきことがなかったから、埋草として適当に言っただけのような印象がありますし、「よく学ばせて頂いた」と調子のよいことを言いながら、相手の話はまったく聞かずに一方的に「独り言」を披露して終わってしまった証拠のようにも思えます。一体、何に感謝したと言うのでしょう?

鳩山首相の独り言 其の弐拾伍

2010-05-08 15:12:16 | 政治
■支持率が一本調子でぐんぐん下がり続けても「鳩山辞めろ!」の声が湧き上がらないのはクラッシャー小沢の巨大な黒い影に隠れているからだという解釈もあるようですが、どうやら日本人は無能で無責任な首相でも、カネに無頓着で馬鹿正直な人物の場合は本気で腹を立てられない性向を持っているような気がします。それは政治資金の問題で首相を起訴しなかった検察にも共通しているのでしょう。仄聞するところでは、お母ちゃんと大番頭が裏で大金を動かしていることを本人は本当に「まったく知らなかった」というのは真実で、その異常なナイーブさに検察側も開いた口が塞がらず、起訴に持ち込む気力を喪失したとか……。

■さてさて、辞めさせる気にもならない、育ちの良過ぎる無能な正直者が自分の「思い」を語る「独り言」をいつまで聞かされるのやら……。


「ただ、私ども、将来的に、それこそいつになるかということ、分かりませんが、将来的にはグアム、テニアンへの完全な移設ということもあり得る話かとは思っておりますが、現在の北朝鮮をはじめとする、いわゆる北東アジア情勢、あるいはアジアの情勢を鑑みたときに、やはり日米同盟を維持していく中での抑止力の観点から、沖縄のみなさん、あるいは沖縄の周辺のみなさま方に引き続いてご負担をやはり、お願いをせざるを得ないという状況になってきていることも、これは政府としても考え方として申し上げなければなりません。その意味で、私どもとして県外をさまざま模索をしてまいってきたところでございますが……

■米軍が進めている世界規模の再編成の中で、1898年2月15日に戦艦を自爆自沈させる謀略の「メイン号事件」を起こしてスペインに仕掛けた戦争で奪い取ったグアム島が戦略上の重要性を高めているのは確かなようですが、それが直接沖縄に集中している機能を丸ごと移転する場所になるという話にはなっていないようです。でも、誰かさんが鳩山サセテイタダク首相に先走って歪んだレクチャーでもしたのか、米国の世界戦略の中で沖縄が急速に価値を減じて行くかの如き幻想を、「抑止力の観点」を学んだ後の今となっても後生大事に持ち続けているとしたら、ホラ話を吹き込んだ人物の罪は重いと申せましょうなあ。

■自民党が取りまとめた移設案をクソミソに批判しておいて、自分には「腹案」が有るぞ!と大見得を切っていた首相ですから、若干の国民は奇跡のような鬼神も驚く妙案が飛び出すのではないか?とちょっと期待していたようでありますが、丸くて三角で白くて赤いつなぎ目のない単一の物体を想像するのは不可能であのと同じように、鳩山「腹案」は嘘か幻か夢物語でしかなかったのであります。


……「きょうは名護市長、稲嶺市長さんが選挙の時に公約とされたことをお守りなさるということは政治的に正しいご主張だということも十分存じております。その思いも十分に学ばせていただく中で、できる限り、トータルとしての沖縄の県民のみなさん方のご負担が軽減される道はないものかということを交渉の中で求めてまいりたいと思っておりまして、きょうは基本的には市長さんのお気持ちを学ばせていただく場という形でおじゃまを申し上げた次第でございます。……」

■選挙公約を「お守りなさる」のは稲嶺市長だと思われますが、「主張」するのが誰なのかはまったく分かりませんが……。今回の沖縄訪問はどうやら「思い」に並んで「学び」の旅となったようです。「抑止力」の意味も沖縄訪問直前に学んで初めて知った首相ですから、これから稲嶺市長の「思い」をじっくりと学ぶのでしょう。でも、わずか1600余票という僅差で当選した稲嶺市長としては、世論を煽って風を吹かせてくれた鳩山サセテイタダク首相本人からこんな事を言われてしまって、本当に困ってしまったでしょうなあ。「国外、最低でも県外」と連呼していた首相自身が現地に入ってウソをついていましたと「謝罪」して歩いているのですから、理屈から言ったら稲嶺市長はウソに騙されたか、一緒にウソをついていたか、どちらにしても納得が行かないでしょう。

鳩山首相の独り言 其の弐拾四

2010-05-07 15:44:52 | 政治
■誰も自分の「思い」を理解してくれず、話も聞いて貰えなくなった首相が、刻々と近づく参議院選挙根の甚大なる影響を心配する周囲からの猛反発を受けながらも、連休中に沖縄に裸同然で乗り込んで行った鳩山サセテイタダク首相は、文字通りの飛んで火に入る夏の虫になりたくて、或いは火に油を注ぐことになるのも承知で、こんな時だけの「決断」をしたようです。しかし、今、沖縄や徳之島で燃え盛っている炎は、元々、選挙中にせっせと鳩山サセテイタダク首相の口から撒き散らされた火種から生まれたものであります。

■「自分で播いた種は自分で刈り取る」とでも考えたのか?自分が点けてしまった炎で焼かれて灰になれれば、その灰の中から再び不死鳥のように鳩が飛び立つビジョンでも夢想したものか……。稲峰市長を前にした総理は、相変わらずで、さっぱり相手に「思い」が伝わらない鳩山節の「独り言」をぶつぶつと呟いていたようであります。要するに「できれば国外、最低でも県外」と言い続けたけれど、結果的に嘘を付いていたことになりました。御免なさい。と言いたかったらしいのですが……。


……「私の方からお礼かたがた稲嶺市長さんはじめ、みなさん方にこのような場をお作りいただいたことにまず心より、感謝を申し上げたいと存じます。先ほど私も辺野古の海を改めて拝見をしてまいりました。……この辺野古の海を汚してはならないという一念でがんばっておらられるおじいちゃん、おばあちゃんに、激励におじゃまをしたこともございました。今、改めて稲嶺市長からその話を伺いながら思いだしておったところでございます」

■「御礼かたがた」が変です。辞書の説明によりますとこの場合の「かたがた」は接尾語で、「二つの動作を兼ねて行う意を表す。…のついでに。…がてら。…を兼ねて。「食後の運動―散歩する」「墓参―帰省する」というのが正しい使い方。「礼を言う」のが第一の動作でしょうが、第二の動作を表す語句が行方不明!これでは「御礼のついでに感謝申し上げる」ことになってしまいます。もしも、第二の動作が沖縄訪問だったのなら、「御礼かたがた」の語感では今回の訪問が物見遊山のような軽々しい印象になってしまいます。

■変な切り出し方をした総理は、すぐにわざとらしく強引に「思い出話」を取っ掛かりにしようとしたものですから、話の要点がますます分かり辛くなってしまったのでした。


「きょうも美しい海を長めながら、この海を汚したくないという思いは当然のことながら、人間ですから私の心の中にも大変強く存在しております。そのことも正直に申し上げたいと思います。そして、選挙の時に申し上げた言葉の重みも理解をしているつもりでもございます。……」

■「思い」「当然」「正直」「重み」と御馴染みの空疎な単語を羅列しておいて、「つもりでもございます」の一言で「独り言」モードに突入してしまいますなあ。


「先ほど普天間の第二小学校のところで、住民のみなさま方との対話集会を行ってまいりました。……危険の除去に関しては一刻も早く行わなければならない。これを13年も14年も延び延びにしてしまっている政治の、政府の責任というものを痛感をいたしたところでございます」

■思い出話の次には自民党批判になりますが、鳩山サセテイタダク首相は、一体、何に対して「責任を痛感」しているのでしょう?13年以上も時を要した自民党政権は無責任だ!と言いたいのなら、素直にそう言えば分かり易いのですが、一般論みたいな話し方をするから何を言いたいのか、さっぱり分からなくなってしまいます。早いか遅いかではなく移転の話そのものが御破算になって危険な普天間基地がそのまま残ってしまい兼ねないところまで交渉を混乱させてしまった張本人には、別の「責任」をみっちりしみじみと感じて頂けねばなりますまい。


「ただ同時に、その方々の要望の中には必ずやはり、県外、最低でも県外を実現してほしいという話も聞かせて頂いたところでございます。それが両立でき得れば、当然の事ながら鳩山自身としてもその道を模索してまいりたいと思いますし、そのことを実現してまいりたいと今でもっております。……」

■すべてをひっくり返す「ただ」と「同時に」が連続しておりますから、御用心、御用心。ここで総理は「両立」という不思議な言い方をしております。項目立てて要領よくまとまった話し方ではないので、突然、「それが」と言われても聞いている方はまごついてしまいますが、どうやら、普天間の危険を急いで除去する事と移転先を県外・国外にする事の二つを「両立」する方法を模索しているということのようです。でも、「二兎を追う者は一兎をも得ず」の諺通りに、県外・国外と新しい条件を立てたばかりに、両立どころか危険除去という最も重要な目的が達せられない可能性が出て来たのは、首相個人の責任であります。

鳩山首相の独り言 其の弐拾参

2010-05-07 14:13:46 | 政治
■このシリーズに名前を付ける時には、それほど深い意味は無かったのですが……今にしてそう思うのは、鳩山サセテイタダク首相の「独り言」現象が拙ブログの追跡を嘲笑っているのかのように、日々刻々と大変な勢いで悪い意味でレベルをぐんぐん上げて行きまして、こちらの想像力を軽々と越えて常識的な予想を「まさか、まさか」と次々と覆(くつがえ)し続けたからであります。とうとう「独り言」の背中まで見失うほど暴走してしまったのでした。どこまで行くのやら……と呆れて見ていましたら、とうとう行く所まで行ってしまったなあ、という悲しくも恐ろしい光景を見なければならない五月晴れが続く連休となりました。

■鳩山サセテイタダク首相が沖縄訪問を強行した様子を見ていましたら、唐突ですが、梶原一騎原作・ちばてつや作画の劇画『あしたのジョー』を思い出しました。性懲りも無く?実写化されるそうであります。石橋正次主演で乱暴に映画化して大恥を掻いたことを映画界が忘れたはずはないのですが……。それはともかく、原作に従いますれば、少年院で出遭った「(梶原作品には欠かせない)宿命のライバル」となった力石徹が、意識朦朧状態で放った自分の右フックがコメカミに当たり、それが致命傷となって試合直後に急死したことから、我らの矢吹丈は首から上を避けてボディしか打てない実に戦い易いボクサーとなって自滅。

■無理して相手の頭部にパンチを浴びせると精神的な反作用でリング上で反吐を撒き散らし、怒号の中で実質的な引退と相成るのでございましたなあ。将来を悲観する親方の丹下段平を更に絶望させるように我らがジョーは「ドサ」回りになって力石徹の亡霊ととことんまで付き合うと宣言するのでした。眩しいスポットライトが集まる「中央」から弾き出された芸人やスポーツ選手に残された最も苦しい後悔と恩讐と煩悩との戦い……という愛読者にとっては最も辛い場面がありましたなあ。丹下段平さんの悲哀やら、元ネリカンのボスで鳴らした同僚のマンモス西も、読者も一緒になってジョーの「明日」が見えなくなったと心配したものです。

■何事によらず人気とカネが桁外れに集まる「中央」で、話を聞いてくれる人もパフォーマンスを観てくれる人もいなくなったその種の広い意味での芸人の中には、その道を諦め切れずに地方のドサ回りに出て糊口を凌ぎつつ、「捲土重来」の夢に賭けて意地を通そうとすることもあるようです。万が一、御本人に本当の才能があって時代の好みがそれと合致するという奇跡が起こると、「あの頃は」の思い出話がまた一つのネタになったりするのでしょうが、それと同じことを日本国の首相がやるなどと、誰が想像・予想したでしょう?!と書きたいところですが、案外、多くの国民は「やっぱりなあ」と溜息をついているのかも知れませんなあ。

■政治家であろうとなかろうと、大金持ちであろうと貧乏人であろうと、その他諸々の違いが有ろうとも、人と人との「対話」ができない人間にはどんなに小さな夢(大きいともっと大変!)さえも適えられないのだという極、極、当たり前の「教訓」を我が身を以って天下に示した鳩山サセテイタダク首相は、道徳教育の負の副読本に格好の材料を提供して歴史に名を残すことになりそうですなあ。

■北朝鮮の将軍様が脳内出血の後遺症が残る左足を引きずる姿を晒して上海万博開催中のチャイナに騒々しいお忍び訪問旅行を敢行したこと以上に、鳩山サセテイタダク首相の沖縄訪問は「ある意味で」「当然」衝撃的な事件の「一つとして」国民の皆様の一人として、その「思い」がさっぱり分からなかったのでありました。


……4日夕、沖縄県名護市 稲嶺進・名護市長「こんにちは。鳩山総理大臣……さる1月14日の市長選挙において、辺野古の海は元より、陸上にも新たな基地は作らせないと訴え、当選することができ、その信念を貫き通して行きたいと考えております。名護市長選挙の結果や、4・25県民大会の成功は、県内移設NOの意思をはっきり示したものであると認識しております」

■このように稲峰市長は切り出したそうでありますが、「信念」だの「意思」だの、空疎で不気味な「思い」で独り言を続ける鳩山サセテイタダク首相に対して使っても、通じないのではないか?と心配になります。稲峰市長と会ったのは事実ですが、「対話」は成立していなかったようです。