旅限無(りょげむ)

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鳩山首相の独り言 其の参拾弐

2010-05-21 09:45:14 | 政治
■鳩山由紀夫首相は20日の夜、韓国政府が哨戒艦沈没を北朝鮮の魚雷攻撃によるものと断定したことを受けて、妙に興奮した口調でまたまた「独り言」を今回は随分と長く披露したのでした。

--韓国の哨戒艦沈没事件に関し、北朝鮮の攻撃が原因だと断定したことを受けて、韓国は国連安全保障理事会で制裁決議案を提起する方針だ。その場合は日本も協調する考えか。また、6カ国協議の見通しについてはどのように考えるか

「はい。……大変これは遺憾なことで強く北朝鮮に対して非難をいたします。当然のことだと思います。……韓国の立場を支持をする。すなわち、もし韓国が安保理に決議を求めるということであれば、ある意味で日本として、先頭を切って走るべきだと、そのように考えておりまして、強くその方向で努力をしたいと思います」

■「先頭を切って走る」のは結構ですが、日本の後に米国が付いて来てくれるかどうか?少なくとも鳩山サセテイタダク内閣と歩調を合わせて「走って」くれるとは思えないのですが、首相は自分が付けた傷など無かったかのように、日米同盟は前政権の時代と何も変わっていないと思い込んでいるのではないでしょうかな?大昔の鎌倉武士でもあるまいし、単騎先駆けは非常に危険な行動だとよくよく落ち着いて考えるべきでしょうなあ。


--中国は冷静な対応を求めているが、中国政府に何らかの対応をする考えはあるか

「……私は、事実は事実としてこれは認めるべきでありますので、その中で、やはりこういった信じられないような行為というものが2度と起きないようにしていくために、私は国際的な場裏の中で、しっかりと訴えていく必要があると。中国に対してもそのように臨みます」

■北朝鮮は韓国に対してはラングーン爆破テロや大韓航空機爆破などの「信じられない行為」を仕掛け、日本には拉致工作を仕掛けて来た前科があります。韓国は10年間の「太陽政策」に失敗して条件闘争を始めておりますが、日本は鳩山サセテイタダク内閣になってから拉致犯罪被害者家族の皆さんが心を痛めるほど何もしない姿勢が目立っております。拉致・核・ミサイルの三点セットを放り出しておいて、魚雷攻撃に対しては国際的な場にしゃしゃり出て何をしようと言うのでしょうなあ?


--……移設問題に関して、関係閣僚会議を行ったが、どういった話し合いが行われたか

「うん。これは中身は私がどのようなコメントを出すかということの議論。それからやはり日本としてしっかりこういった状況であるので、政府としても覚悟を持って臨もうではないかという意思統一はしました」

■「こういった状況」を作ったのは誰だったのか?他に共犯者や責任者が居たのか?いつの間にやら個人的な「思い」が消えて連帯責任みたいな「覚悟」「意思統一」を前面に出されても、閣僚は鼻白むでしょうし国民は耳を貸さないでしょう。


--普天間問題に関して、首相は政府の方針を5月28日か31日に国民に発信したいと民主党の石井一選対委員長に伝えたということだが……

「これは5月の末に向けて、私は今、最終的な努力を政府の中で行っています。当然言うまでもありませんが、それは日本国民のみなさんに対して、申し上げるべきことでございます。したがいまして、すべてをトータルしながら、私の考え方を国民のみなさんに申し上げるということでございます」

■「最終的な努力」というのは、自民党時代に決まった「現行案」をどんなに僅かであろうとも「変更」したと言い張れる仕掛けを模索しているということかも知れません。それが鳩山流の「5月末決着」の正体なのでしょうが、「お騒がせしましたが、元の木阿弥となりました」と頭を下げるしか説明のし様は無いと思うのですが……。

鳩山首相の独り言 其の参拾壱

2010-05-21 09:43:38 | 政治
■夏の参議院選挙までにどこまで内閣支持率下がるのか分からないのに、民主党内は春の海の如く終日(ひねもす)のたりのたりの雰囲気が漂っているようです。選挙の鬼になって全国を行脚して獅子奮迅の活躍をしていたはずのクラッシャー小沢も、ずらりとタレント・有名人候補を並べた後は「参議院単独過半数!」の大風呂敷は畳んで何処かに仕舞い込んでしまったようですし、自分の裏金疑惑がくすぶり続けている最中に北海道で日教組からの闇献金を受けて当選していた女性議員がとうとう辞職を決意する話が決まったそうです。この議員はミニスカート姿をトレードマークにしているわけではないので、わざと転倒して車椅子やら松葉杖やらで同情を買うパフォーマンスも出来ないし、党代表を見習って「私はまったく知らなかった」と駄々っ子みたいな開き直りを見せる無神経さも持ち合せていなかったようですなあ。

鳩山由紀夫首相は20日、国際宇宙ステーション(ISS)から帰還した宇宙飛行士の山崎直子さんの表敬を受けた。山崎さんが「応援いただき、無事に任務を終えることができた」と報告すると、首相は「ミッション(任務)の達成おめでとう」とねぎらった。有人宇宙船を飛ばしたのは米国、ロシア、中国だけであることに話題が及ぶと、「日本は(有人宇宙船の開発を)やらないのか?」と人ごとのように質問し、自分が宇宙開発戦略本部本部長を務めていることをすっかりお忘れのようだった。
2010年5月20日 産経ニュース

■一国の首相というものを「ある意味で」まったく理解していない鳩山サセテイタダク首相は、自分が責任者になっている事の意味も分かっていないのであります。おそらく党の代表という自分の立場も分かっていないのでは?「宇宙開発戦略本部本部長」という肩書きも、この人にくっ付くと軽々しい物に変じて無重力状態になるのですから、宮崎県で発生した口蹄疫の対策本部長にもなってしまいましたから、さぞや現地の皆さんは落胆していることでありましょう。


鳩山由紀夫首相は18日朝、宮崎県で過去最悪の被害が拡大している口蹄疫について、「一番大事なことは政府として(対策に)万全を期し、これ以上、感染を広げず、農家に『大丈夫だ。経済、経営のことはしっかり政府がやるから』という思いを理解をしていただくことだ」と述べた。また、「感染経路を十分に把握することが難しい。生き物を扱う対策だから、非常に難しい」と対策の難しさを強調。記者団からの「政府や県の対応に問題点はなかったか」との問いには、「すでにこれまでも、政府で対応はしてきた」と反論した。
2010年5月18日 産経ニュース

■発言の順番を入れ替えますと、「これまでの政府の対応は大丈夫」だけど「対策は難しい」、でも「しっかり政府がやるから大丈夫」という御馴染みの支離滅裂な妄想「思い」を吐き散らしていることが分かります。大規模な殺処分とワクチン投与が決定されたものの、現場では埋める場所も作業に熟達した人材もまったく足りなくて、地元の農家は不安ばかり募らせている現実を、対策本部長を兼務する首相はまったく分かっていないようです。きっと間もなく「どうして(殺処分を)やらないのでしょうねえ?」などと他人事みたいなコメントが出て来るのでしょうなあ。

■魚雷攻撃を仕掛けておいてシラを切り続ける北朝鮮という困った隣人からも、鳩山サセテイタダク首相の政治手腕に関してほぼ正確な分析が発表されております。同情されているのか?バカにされているのか?


 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は(4月)28日、米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、鳩山政権が関係自治体の反対を無視して「力で押し切る方法を選択すれば、政権の運命が危うくなる可能性もある」とする論評を掲載した。北朝鮮メディアは、普天間問題をめぐる日米の摩擦をこれまでも取り上げてきたが、政権の行方に懐疑的な見方を示したのは初めて。……「米国は日本を信じておらず(普天間問題で)日米関係の亀裂はさらに深まるだろう」と指摘した。
2010年4月28日 産経ニュース

■この論評が発表されたのは黄海で魚雷攻撃を仕掛けた後なのですが、首相の「国外、最低でも県外」という発言が日米同盟の弱体化を予感させ、同時に日本の外交力が著しく低下して軍事バランスの空白が生じていると北朝鮮側に思わせてしまった可能性も否めますまい。ちょっと勉強してやっと「抑止力」という概念を少しばかり理解した鳩山サセテイタダク首相は、にわかに沖縄の軍事的重要性を初めて知った!感動と興奮が隠せないようです。こういう軽率なお調子者が大きな戦争の引き金を引いたりすることが歴史には数多く記録されているのですが……。