旅限無(りょげむ)

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籠の中の小・鳩 其の参

2010-05-11 15:47:13 | 政治
■谷亮子女史の擁立会見で、クラッシャー小沢は「100万、1000万の味方を得た思い」を語ったそうですが、それは「100万票は固い!」という本音が抑え切れずに数字が口を衝いて出てしまったのを、内心冷やりとしながら誤魔化したのではないか?などと邪推してしまいます。 
 
柔道女子の五輪金メダリストの谷亮子氏を10日、民主党が擁立……。「小沢先生(一郎民主党幹事長)の強いリーダーシップの下、頑張りたいと決意した。小沢先生には長い間、田村亮子時代から応援していただいていた。本当に、地球を覆うほどの愛で」この日、民主党本部で出馬会見した谷亮子氏はにこやかに語り、早くも「小沢ガールズ」の仲間入りを宣言。民主党が「政治とカネ」で批判にさらされていることを問われても、谷氏は「より良い方向にこれから向くと信じている」と述べるだけだった。

■「地球を覆うほどの愛」とは、一体、どんな応援をして貰ったのだろう?と下世話な詮索をしてしまいたくなるような言い回しでもありますし、今の総理が好みそうなフレーズのようにも思えます。既に「起訴相当」の判断が下されて検察にボールが投げ返されている現状を考えれば、「より良い方向」とは再び検察が起訴を断念することを意味していることになりそうです。


小沢氏は会見で谷氏の隣に陣取り、満面の笑みで「全国民、谷さんのことはご存じではありますが、ご支援いただきますようお願いいたします」と述べるなど終始機嫌が良かった。民主党は大阪選挙区にタレントの岡部まり氏、比例代表に女優の岡崎友紀氏らを相次いで擁立してきたが、これらも小沢氏主導で人選が進んできた。自身の「政治とカネ」の問題などで民主党に逆風が吹く中で、著名人擁立は小沢氏にとって数少ない反撃の手段なのだ。

■クラッシャー小沢が日本各地で宗教関係者と精力的に会っているという噂があったようですが、それぞれ厚い信仰心を持っている女性候補を擁立して組織団体票を基礎にして、テレビ人気分を上乗せすればぐんと票数が伸びるという露骨な皮算用のようです。それにしても「谷さんのことはご存知」と言われても、彼女の政治理念も知りませんし、憲法・財政・安全保障などに関する見識も分かりませんぞ。「ご存知」なのは柔道が強くてプロ野球選手と結婚して2人のお子さんを育てていることくらいですが……。


……ある自民党幹部は「谷氏を無条件に支持する国民は多いはずだ。それにしても、現役続行にはびっくり。国会議員はそんなに簡単な仕事なのかね」と、いらだちをあらわにした。
2010年5月10日 産経ニュース

■少なくとも今の日本の参議院議員は「そんなに簡単な仕事」なのだと思います。桝添さんみたいに強烈な権力志向を持ち合せていないタレント候補にとって、誰かさんの指示通りに動いていれば大過なく過ごせるはずですからなあ。
  
民主党は10日の常任幹事会で、夏の参院選比例代表にシンガーソングライター、庄野真代氏(55)の公認を決めた。庄野氏は昭和53年にリリースした「飛んでイスタンブール」がヒットした。
2010年5月10日 産経ニュース

■選挙運動中には何度も『飛んで……』を歌うのでしょうか?『モンテカルロで乾杯』というヒット曲もあったはずですが、NPO法人「国境なき楽団」の代表を務めているそうですから、多少は候補者らしい演説が出来るのかも?何やら民主党は無理に浮かれた気分になりたがっているようにも見えますが……。


……小沢一郎幹事長は10日夜、都内で開かれた参院選に向けた党秘書会の総決起大会であいさつし、「参院選まであとわずかだ。ぶつぶついったところで選挙は勝たなきゃいけない。私も来週あたりから全国あちこち飛び歩きたい」と述べ、全国遊説に乗り出す考えを表明した。輿石東参院議員会長は内閣や政党の支持率が下がり続けていることを念頭に、「参院選では民主党の真価が問われる。逆風といわれるが、タコは逆風の時の方が高く揚がる」と強調した
5月11日0時15分配信 産経新聞

■ほんの5日前に山岡賢次国対委員長が党本部で開かれた「女性議員ネットワーク会議」の総会で「雲の上」失言をしたばかりだと言うのに、「雲」の次は「凧」ですかな?輿石会長は御存知ないのかも知れませんが……もしも逆風が凧を揚げている本人にとってのものなら、どんなに頑張っても凧は絶対に揚がりませんぞ。意地を張って横車を押さずに、自分が凧を揚げようとしている方向が間違っているのだと反省して、ちゃんと風下に向かって凧を放たねばなりません。あまり無茶な揚げ方をしていると、糸が切れて凧が流され、イスタンブールを飛び越えて国家財政が破綻したギリシア辺りに不時着かも?そして余った選挙資金を流用してモンテカルロで自棄酒の乾杯をしなければならなくなるかも知れませんぞ。
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籠の中の小・鳩 其の弐

2010-05-11 15:46:47 | 政治
■スポーツ新聞が一面に政治・経済ネタを掲載するのは珍しい事ではありませんが、読者好みの生々しい話が出て来るのは政権が末期症状を呈し始めているからなのでありましょう。

鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長の辞任、執行部刷新要求を表明した民主党新人の横粂勝仁衆院議員(28)に対し、バッシングの声が殺到している……。6日に行った地元・横須賀での街頭演説で、小沢チルドレンと呼ばれる1年生議員では初めて執行部刷新の必要性を訴えた横粂氏。だが、翌日からの2日間で事務所へ届いた500件以上の電話やメールのうち、80%以上が「執行部ありきの民主党だ。新人議員が何を言うんだ」「おまえが議員を辞めろ」と厳しい声だった。

■たったの500件か?と言ってしまったら新聞記事になりませんが、「新人議員」だから黙っていろ!などという、凡そ民主的とは言えない抗議が来るところは、民主党の実態を表わしているような気がします。昔懐かしい自民党型のバラマキ利権誘導選挙を長崎県知事選挙で展開して惨敗した時、袈裟の下から鎧が見えたと思ったものですが、この種の抗議を送り付けるのは政権交代を実現させた無党派層では決してありますまい。民主党のコアな支持者の中には非民主的な政治感覚を持っている人が多いらしい、という事だけは覚えておきましょうぞ。


しかし、この日も街頭に立った横粂氏は、「小沢幹事長を怖いと思ったことは一度もない。ほかの人がやらないなら自分がやる、という使命感が強い」と胸を張った。週明けには、同党の代議士会で執行部刷新を訴える予定。賛同する議員はまだ2人だが、「同調してくれる議員を1人でも多く集めたい」と意気盛んだった。
5月9日 スポーツ報知

■党内で政策論議を封じ込め、地方からの陳情も幹事長室だけが受け付ける。閣議や政府を見下したように法案や予算案に露骨に介入していれば、それだけで支持者は徐々に減って行ったでしょう。そこに「政治とカネ」の問題で総理と幹事長が仲良く名前が出て来ているのですから、党内から辞任を要求する選良が一人も出て来ない方が変でしょう。こうして党内が親小沢VS反小沢に割れて対立するようなら、いよいよ政界再編の歯車が動き出すのですが……。
 
 
夏の参院選に向け、各党のスポーツ選手やOBの擁立ラッシュが続いている。……民主党は五輪メダリストを3人そろえた。10日に発表された柔道の谷亮子氏(34)と、元体操選手の池谷幸雄氏(39)を比例選に、競輪選手の長塚智広氏(31)を茨城選挙区から、擁立する。

■競輪とは違いますが政界一の自転車野郎で、国会期間中に転倒事故を起こして顔面を負傷したこともあるのが自民党の谷垣総裁です。それを意識して競輪選手の擁立を画策したのは誰でしょう?出ては消える「参議院不要論」が再燃して日本の政治システムが大きく変わる切っ掛けになるのなら、腰掛け議員や陣笠議員が増えるのは大歓迎であります。よほど本職が暇になっていない限り、政治家として大きな仕事をする可能性は無いはずですから、有権者側もそれを承知の上で投票すべきでしょうなあ。


……自民党は、比例選で読売巨人軍前監督の堀内恒夫氏(62)、秋田選挙区には近鉄、巨人などで活躍した石井浩郎氏(45)を立てた。たちあがれ日本も、元巨人の中畑清氏(56)を比例選で擁立する方針だ。国民新党はプロレスラーの西村修氏(38)を比例選候補として公認した。スポーツ選手などの候補者がいないみんなの党の渡辺代表は10日、「アジェンダ(政策課題)のもとに集まった覚悟の集団というのが最低条件だ」と語り、けん制した。
5月11日 読売新聞

■これは渡辺代表の言っている事が正論でありましょう。「○○党は嫌いだけどジャイアンツは好き!」「政治には興味が無いけれど競輪は三度のメシより好き!」「テレビに出ている人が好き!」そういう理由で投票行動を起こす国民が大勢いるに違いない!と思われている事に腹が立つ人が多いのではないか?とは考えられないほど各政党は切羽詰っているようです。必殺!仕分け人が「どうして世界一でなければ行けないのか?!」と名言を吐いた民主党が、世界一になった金メダリストに執着しているところは大いに笑えますなあ。まあ、科学・技術の分野で世界一になれなくても、日本の国会内では何が何でも日本一にならねばならないのが民主党なのでありましょう。

籠の中の小・鳩 其の壱

2010-05-11 14:35:02 | 政治
■鳩山サセテイタダク首相の「腹案」はこれだ!と週刊ポスト最新号が「全文」をすっぱ抜き、昨日はTBSテレビの昼のワイドショーに橋本晃和(桜美林大学客員教授)が登場して「九州ローテーション案」を大真面目に解説していたようですが、同じ日に関係閣僚協議が開かれて、キャンプ・シュワブ沿岸部の沖合に杭打ち桟橋(QIP)方式で滑走路を建設する浅瀬案と、徳之島など県外への訓練移転を柱とすることを最終的な政府案としたとか……。鳩山サセテイタダク首相は5月23日に性懲りも無くまた沖縄に行き、12日にはワシントンで実務者協議を開く予定だと報道されております。

■乱暴極まりない見切り発車!としか言いようがない2正面作戦どころか3正面。4正面作戦になりそうな「選挙が第一」モードで暴走しているようですなあ。沖縄県と鹿児島県徳之島に加えて「ローテーション」を押し付けられる九州某県を説得しながら、米政府と具体的な交渉を進めることなど、現政権の外交力では荷が重過ぎましょう。関係閣僚協議では、普天間・嘉手納の飛行訓練を全国の自衛隊基地で実施すること、鳥島・久米島の射爆撃場と沖縄本島東側の米軍訓練水域の一部を返還してもらうこと、日米地位協定の見直し交渉も同時に進めることを決めたそうです。

■TBSテレビに出た橋本晃和氏は、沖縄に駐留している米軍にとって主要な警戒対象は台湾周辺ではなくて朝鮮半島だから、沖縄よりも更に半島に近い九州各地の自衛隊基地で訓練することを米軍は喜ぶというような話をしていたようですが、太平洋に西半分とインド洋の東半分を担当している沖縄の米軍が、半島有事を最優先に考えてくれるかどうか?5月9日にテレビ東京が放送した『日高義樹ワシントンリポート』で日高氏が海兵隊に同行取材してその実態を報告していましたが、その翌日に橋本氏の話を聞いた人は強い違和感を持ったのではないでしょうか?

■もしも、橋本氏の読みが正しいのなら、射爆撃場にしている鳥島・久米島を変換してもらう変わりに日本の領土である竹島を訓練用に提供して、米軍の威を借りて乏しい日本の外交力を補うという悪い冗談も俎上に載せられるかも?閑話休題。何はともあれ沖縄基地移設問題の先行きが不明でも、民主党はこのまま鳩山・小沢体制のまま夏の参議院選挙に突進して行くことだけは間違いなさそうです。何だか「一蓮托生」「暴走」「自爆」などの言葉が浮かぶ寒々とした選挙戦になりそうですなあ。


……「私のことを含めて最近の状況などを考えた時、頑張らなくてはいけない…」。小沢氏は7日、参院選候補擁立のため訪れた宮崎市内で連合幹部と面会し、珍しく弱音を漏らした。記者会見でも「内外に多難な課題を抱えている。党のトップや役員のリーダーシップに問題もあるが、要は候補者が県民にどれだけ理解されるかだ」と危機感をあらわにしたが、自らの進退を問われると即座に「ありません」と断じ、記者団をにらみつけた。続く「普天間問題だが…」「3日に首相と会談したのか」などの質問には「それはダメだ! 定例会見で聞きなさい。ダメだよ。ルール破りをしちゃ…。民主主義は…」と口をつぐんだ。

■クラッシャー小沢の「民主主義」は、鳩山サセテイタダク首相の「思い」に負けず劣らず実に分かり難い言葉です。首相の「思い」は友愛精神が鍵になっているようなのですが、個人的な信念(妄信)を誰彼なく押し付けるのが欠点。小沢流の「民主主義」は民主的な選挙で圧勝して議会の過半数を占領した政党は無限の権力を使って独裁政治を行うことらしいのですが……。だから選挙に勝つためには愚かな有権者が喜ぶ?バラマキ政策を財源の保証などまったく考えずに並べて、国家予算が破綻しようと構わないし、政策・理念などは風に合わせてコロコロ変わるのは当たり前、選挙に勝つためなら何をしても良く、法律を破っても逮捕されて有罪にならなければ問題は無い。

■支持率の低下が続いている最中に、いよいよクラッシャー小沢の豪腕「選挙」が牙を剥き、自民党が手をこまねいている間に大量に逃げた浮動票を掻き集める荒業が飛び出し始めた模様です。


……小沢氏は3日夜、沖縄訪問を翌日に控えた鳩山首相と都内のホテルでひそかに会ったという。小沢氏は最近普天間問題をめぐる首相の言動に「マスコミにしゃべりすぎだ」と周囲に漏らし、政権運営に不満を抱いていたというが、難局を乗り切るための結束を確認したとされる。……首相をすげ替えて小沢氏が幹事長を続投することは難しい。加えて自らも資金管理団体の政治資金規正法違反事件で検察審査会が「起訴相当」議決を下し、世論の辞任圧力にさらされており、新首相の下でポストを失えば、院政を敷くことも容易ではない。つまり首相と小沢氏はもはや一蓮托生……。

■最終的には小沢一郎という一人の政治家の延命だけのために選挙も政局も利用されるという、いつか見たどたばた劇が再び幕を開けているのかも知れません。自民党を飛び出した時に政治資金を管理していた担当者ごと6億~8億円を持ち逃げして以来、自分が作った政党助成金制度を自在に悪用して政党を作っては壊しながら元々は税金である助成金を自分の政治資金にしてしまう手法を磨いているとか……。これまでの小政党ではなく、今のクラッシャー小沢が財布を握っている民主党は衆議院だけでも310議席、参議院には60議席を有している巨大政党でありまして、平成22年度に約173億円もの助成金が配分されているそうですから、「壊し甲斐」はあるでしょうなあ。


……小沢氏側近の党幹部は6日夜、鳩山首相が退陣した場合は、正式な代表選ではなく党両院議員総会での簡易版代表選になるとの見通しを披露し、「そうなれば『小鳩連合』が担ぐ候補と、前原氏や岡田克也外相との権力闘争になる」と言い切った。党員投票がない両院議員総会ならば、首相と小沢氏を支持する勢力が党内を圧倒しており、小沢氏の権力基盤はほぼ確実に維持できるからだ。だが、そんな思惑が透けてみえる代表選で世論の支持が回復する見込みは薄い。親小沢、反小沢の対立が深まれば、参院選後の本格的な政界再編の布石になるとの見方もある。
5月8日 産経新聞

■鳩山代表を選出した前回の代表選挙は既に小沢院政が始まっていることをまざまざと見せ付けたような、到底民主的とは言えない強引なものだったと記憶しておりますが、次の代表選挙はもっと非民主的なものになりそうですなあ。もしも、それが鳩山首相の退陣によって行われるのなら、次に誰が「軽いシャッポ」に選ばれるのでしょうなあ?

■参議院選挙に向けて支持率がどんどん下がり続け、当面は起死回生の希望など何処を探しても見つかりそうもないのですから、さぞや首相官邸や民主党幹事長室は重苦しい空気で満たされていることでありましょう。鳥籠の方が風通しがよいくらいかも知れませんなあ。国会内に流布した落首みたいな戯れ歌があったのを思い出しますなあ。

■中国から見れば「カモ」……米国から見れば「チキン」……欧州から見れば「アホウドリ」……日本の有権者には「サギ」だと思われ……オザワから見れば「オウム」のような存在。でも、鳥自身は「ハト」だと言い張っているようだ。とか言う内容でした。作者が不明だからか?まだ曲を付けた人はいないようですが、選挙が近づいたら苦し紛れに自民党の誰かさんが自作自演で歌い出すかも知れませんぞ。