■「内弁慶」という慣用句はありますが、これまで日本語には「外弁慶」という表現はありませんでした。政権交代が起こると日本語もいろいろと変化するらしく、民主党政権になってたったの3年で既に3人目となった歴代総理大臣はうち揃って外国に行くと嬉しさの余りなのか、すっかり舞い上がって子供染みた万能感覚が爆発したかのように大風呂敷を広げて大見得を切って悦に入るという実に困った悪い癖を継承しているようです。初代の鳩山サセテイタダク元首相は政権交代直後の興奮状態だったこともあり、特殊な思考回路をフル稼動させて一足飛びに外交政策を大転換できると勘違いし続けて自滅。次の菅アルイミ前首相は自らの舌禍で参議院選挙に大敗してネジレ国会という重荷を背負い込んでしまったので、国内では野党と世論調査の結果に怯えて猫を被っている苦しさの反動でもありましょうが、国際会議に出席すると生涯の夢だった総理大臣になった事を実感したいばかりに、先代に負けず劣らず次々に大風呂敷を広げて見せては飽きると放り出し、また次の風呂敷を取り出して子供のように遊んでいるようでした。
■そして三代目の野田ドジョウ首相も、海外に出向くと同じ病を発してわざとらしい低姿勢をかなぐり捨てて主要議題とはまったく関係の無い「消費税引き上げ」を宣言してしまったのでした。民主党政権はその名前に似ず、非民主的で独断専行を好む気味の悪い正当なのだと、多くの国民が知ってしまったからには、いよいよ解散総選挙などして議席を失って路頭に迷うのはイヤだ!という内向き下向きの虚仮の一念だけを求心力として生き延びるための協同組合になっているのかも知れません。そんな政党に政治が出来るのかいなあ? ■
野田佳彦首相は7日の衆院本会議で、フランス・カンヌでの20カ国・地域(G20)首脳会議で消費税率の10%への引き上げを表明したことについて「国内で方針として示したことを国際社会で説明し、アクションプラン(カンヌ行動計画)に入れた。できなかったら責任を取るという話はしていない」と述べ、「国際公約」ではないと強調した。首相は国際公約を「説明」に格下げしようと必死だが、野党側は首相の“逃げ口上”だと反発している。……
■政権交代マニフェストを紙くずにして平気な政党の代表ですから空手形を濫発しても政治家として良心が痛むなどということもないのでしょうが、さすがに「国際公約」と報道されるとちょっと気になるようです。カンヌの議場では誰も注目しない場違いな発言でしたが、遠く離れて唐突に「公約」を聞かされた日本国民にとっては大問題でありました。増税・TPP参加・年金制度改悪などなど矢継ぎ早にマニフェストには何も書かれていない大きな政策変更が発表され、党内では愚にも付かない「議論」で時間を浪費し、国会では総選挙の緊張感が無い噛み合わない質疑がだらだらと続くばかりで国民は何が何だかさっぱり分からず、ただ不安になって日に日に嫌な予感が膨らむばかりであります。
首相は、年末にかけて「社会保障と税の一体改革」に伴う消費税率引き上げ時期を具体化させ、来年3月までに関連法案を提出、次期通常国会で成立させたいとしている。会期内の法案成立を目指すには自民、公明両党の協力が欠かせない。しかし、両党は関連法案提出前の衆院解散・総選挙を求めている。その上、「2010年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げる」というスケジュールを既定路線と思っていた首相にとって、カンヌでの発言を両党が「国際公約をした」と責任追及に出てきたことは想定外だったようだ。こうなると、与野党合意の障害となるような要因を摘んでおく必要がある、と首相は判断した。カンヌでも同行記者団に対し「国際公約というと飛躍のある言葉だ。法的拘束力があるわけではない」と予防線を張っていた。……
■「法的拘束力」が無いのは解散総選挙を限界まで先送りしているからではないのか?国際信義の上からもこの発言は問題でありましょう。「法的拘束力」が無いからG20の場で何を言っても構わないと考えているのなら、一体、誰が日本の言葉に耳を貸すのでしょう?本来は「2010年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げる」の後に、「でも前の総理大臣が選挙で大負けして国会がネジレてしまった上に大震災と原発事故も起こってその対応にも失敗しているから、本当に消費税の引き上げが出来るかどうか分からないのが実情で……」と付け加えるべきだったのでしょうが、それでは単なる独り言になってしまって格好が付かないから断定口調で発表してしまっただけのことなのかも?
衆院本会議では、消費税率引き上げ時期の具体化にあたり「政府・与党の議論や、与野党協議を踏まえて決定したい」と低姿勢を見せながらも、衆院解散の時期に関しては「関連法案提出後は成立に全力を尽くし、(増税)実施前に総選挙で民意を問うのが筋だ」と突っぱねた。これに対し、自民党の西村康稔氏はアドリブで再質問に立ち、「首相は国際的に公約された。実現しなかった場合には当然、責任を取る。内閣総辞職か衆院解散と考えるが、いかがか」と追及した。首相は、唐突の質問に目を泳がせ、再び演壇に立つと「実現に全力を尽くすのが責任だ」と答弁した。語気を強めた割に、内容は曖昧だった。騒然となった本会議場で、続く公明党の竹内譲氏も「海外で表明するとは何ごとか」と批判した。野党が質問に立つ8日以降の衆院予算委員会で集中砲火を浴びることは必至だ。……
2011年11月8日(火) 産経新聞
■政権交代マニフェストには「4年間は引き上げない」と書いておいて5年後に引き上げる準備をするという奇怪な「国際公約」をして帰国する野田ドジョウ首相が政府専用機でニース市のニース・コート・ダジュール空港から日本に向けて出発したのは日本時間5日の未明でしたが、民主党では貴重な本格的な政治家だった西岡武夫参議院議長が5日午前2時24分、肺炎のため都内の病院で死去したのでした。野田ドジョウ政権が発足した後の10月27日に「首相の指導力」を切望する所見を発表していた西岡議長は、翌28日からは口内にできた帯状疱疹の影響で参院本会議を欠席して入院していたようですから、野田ドジョウ首相の「国際公約」に関して何を思ったかは遂に聞くことはできなくなってしまいました。
■6日夜、出身地の長崎市の葬儀場「法倫会館」で営まれた通夜には与野党の関係者ら約1100人が参列したそうで、その中には帰国早々にとんぼ返りで参列した野田ドジョウ首相の姿もあったそうですが、政治的な悪口雑言の限りを尽くして「退陣しろ!」と言われ続けた菅アルイミ前首相の姿は無く花輪だけが飾られていた由。どこまでも度量の狭さと陰湿な執念深さは治らない人のようでありますなあ。そんな人物が452日間も総理大臣の席に座り続けていたと思うと、今更ながらゾッとします。
■野田ドジョウ首相が誕生した民主党代表選の直前、8月26日の午後のこと、クラッシャー小沢と鳩山サセテイタダク前首相は「第3の候補」を模索していたのでした。なかなか一本化できない海江田経産相と小沢鋭仁元環境相の両候補に不満足だったクラッシャー小沢は長年の盟友だった西岡武夫参院議長を考え、鳩山サセテイタダク元首相は原口一博前総務相を推して話がまとまらず、鳩山サセテイタダク元首相が「三権の長が(別の)長になるのはどうでしょうねえ」と文句を言えば、クラッシャー小沢も「原口は若い。雑巾がけもなあ…」と不満げで、まあショウガネエナアと決まったのが海江田候補だったとか……。
■そして三代目の野田ドジョウ首相も、海外に出向くと同じ病を発してわざとらしい低姿勢をかなぐり捨てて主要議題とはまったく関係の無い「消費税引き上げ」を宣言してしまったのでした。民主党政権はその名前に似ず、非民主的で独断専行を好む気味の悪い正当なのだと、多くの国民が知ってしまったからには、いよいよ解散総選挙などして議席を失って路頭に迷うのはイヤだ!という内向き下向きの虚仮の一念だけを求心力として生き延びるための協同組合になっているのかも知れません。そんな政党に政治が出来るのかいなあ? ■
野田佳彦首相は7日の衆院本会議で、フランス・カンヌでの20カ国・地域(G20)首脳会議で消費税率の10%への引き上げを表明したことについて「国内で方針として示したことを国際社会で説明し、アクションプラン(カンヌ行動計画)に入れた。できなかったら責任を取るという話はしていない」と述べ、「国際公約」ではないと強調した。首相は国際公約を「説明」に格下げしようと必死だが、野党側は首相の“逃げ口上”だと反発している。……
■政権交代マニフェストを紙くずにして平気な政党の代表ですから空手形を濫発しても政治家として良心が痛むなどということもないのでしょうが、さすがに「国際公約」と報道されるとちょっと気になるようです。カンヌの議場では誰も注目しない場違いな発言でしたが、遠く離れて唐突に「公約」を聞かされた日本国民にとっては大問題でありました。増税・TPP参加・年金制度改悪などなど矢継ぎ早にマニフェストには何も書かれていない大きな政策変更が発表され、党内では愚にも付かない「議論」で時間を浪費し、国会では総選挙の緊張感が無い噛み合わない質疑がだらだらと続くばかりで国民は何が何だかさっぱり分からず、ただ不安になって日に日に嫌な予感が膨らむばかりであります。
首相は、年末にかけて「社会保障と税の一体改革」に伴う消費税率引き上げ時期を具体化させ、来年3月までに関連法案を提出、次期通常国会で成立させたいとしている。会期内の法案成立を目指すには自民、公明両党の協力が欠かせない。しかし、両党は関連法案提出前の衆院解散・総選挙を求めている。その上、「2010年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げる」というスケジュールを既定路線と思っていた首相にとって、カンヌでの発言を両党が「国際公約をした」と責任追及に出てきたことは想定外だったようだ。こうなると、与野党合意の障害となるような要因を摘んでおく必要がある、と首相は判断した。カンヌでも同行記者団に対し「国際公約というと飛躍のある言葉だ。法的拘束力があるわけではない」と予防線を張っていた。……
■「法的拘束力」が無いのは解散総選挙を限界まで先送りしているからではないのか?国際信義の上からもこの発言は問題でありましょう。「法的拘束力」が無いからG20の場で何を言っても構わないと考えているのなら、一体、誰が日本の言葉に耳を貸すのでしょう?本来は「2010年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げる」の後に、「でも前の総理大臣が選挙で大負けして国会がネジレてしまった上に大震災と原発事故も起こってその対応にも失敗しているから、本当に消費税の引き上げが出来るかどうか分からないのが実情で……」と付け加えるべきだったのでしょうが、それでは単なる独り言になってしまって格好が付かないから断定口調で発表してしまっただけのことなのかも?
衆院本会議では、消費税率引き上げ時期の具体化にあたり「政府・与党の議論や、与野党協議を踏まえて決定したい」と低姿勢を見せながらも、衆院解散の時期に関しては「関連法案提出後は成立に全力を尽くし、(増税)実施前に総選挙で民意を問うのが筋だ」と突っぱねた。これに対し、自民党の西村康稔氏はアドリブで再質問に立ち、「首相は国際的に公約された。実現しなかった場合には当然、責任を取る。内閣総辞職か衆院解散と考えるが、いかがか」と追及した。首相は、唐突の質問に目を泳がせ、再び演壇に立つと「実現に全力を尽くすのが責任だ」と答弁した。語気を強めた割に、内容は曖昧だった。騒然となった本会議場で、続く公明党の竹内譲氏も「海外で表明するとは何ごとか」と批判した。野党が質問に立つ8日以降の衆院予算委員会で集中砲火を浴びることは必至だ。……
2011年11月8日(火) 産経新聞
■政権交代マニフェストには「4年間は引き上げない」と書いておいて5年後に引き上げる準備をするという奇怪な「国際公約」をして帰国する野田ドジョウ首相が政府専用機でニース市のニース・コート・ダジュール空港から日本に向けて出発したのは日本時間5日の未明でしたが、民主党では貴重な本格的な政治家だった西岡武夫参議院議長が5日午前2時24分、肺炎のため都内の病院で死去したのでした。野田ドジョウ政権が発足した後の10月27日に「首相の指導力」を切望する所見を発表していた西岡議長は、翌28日からは口内にできた帯状疱疹の影響で参院本会議を欠席して入院していたようですから、野田ドジョウ首相の「国際公約」に関して何を思ったかは遂に聞くことはできなくなってしまいました。
■6日夜、出身地の長崎市の葬儀場「法倫会館」で営まれた通夜には与野党の関係者ら約1100人が参列したそうで、その中には帰国早々にとんぼ返りで参列した野田ドジョウ首相の姿もあったそうですが、政治的な悪口雑言の限りを尽くして「退陣しろ!」と言われ続けた菅アルイミ前首相の姿は無く花輪だけが飾られていた由。どこまでも度量の狭さと陰湿な執念深さは治らない人のようでありますなあ。そんな人物が452日間も総理大臣の席に座り続けていたと思うと、今更ながらゾッとします。
■野田ドジョウ首相が誕生した民主党代表選の直前、8月26日の午後のこと、クラッシャー小沢と鳩山サセテイタダク前首相は「第3の候補」を模索していたのでした。なかなか一本化できない海江田経産相と小沢鋭仁元環境相の両候補に不満足だったクラッシャー小沢は長年の盟友だった西岡武夫参院議長を考え、鳩山サセテイタダク元首相は原口一博前総務相を推して話がまとまらず、鳩山サセテイタダク元首相が「三権の長が(別の)長になるのはどうでしょうねえ」と文句を言えば、クラッシャー小沢も「原口は若い。雑巾がけもなあ…」と不満げで、まあショウガネエナアと決まったのが海江田候補だったとか……。