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JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

テロリストのパラソル 藤原伊織 著

2025-07-29 09:01:25 | 


新聞を見ていたら、この本のことが書いてあった。
書いた人は作家の塩田武士氏、『罪の声』で山田文学賞『存在の全てを』で渡辺淳一賞を受賞している作家だ。
そしてこの本の作者、藤原伊織氏は先日読んだ「遺すことば」に登場する2008年食道がんでなくなった人だった。縁が出来ていた。

塩田氏の題材が”人生を変えた格好良い一文”というもので、19歳の夏に自動車教習所の授業待ちでこの本を読み始めて、気が付けば授業はとっくに終わっていたけれど、まるで後悔はなかったと言い切る。
19歳の青年を作家にしようと思わせた一文がこの小説の最初の一文。
〈十月のその土曜日、長く続いた雨があがった〉。というものだった。
紹介を書いている塩田氏の文もとても心にひびくし、藤原氏の最初の一文も良い。
と思って1995年に刊行され98年に文庫された本を図書館でかりた。
有名作家さんをしらないのは大変申し訳ないけれど、これが読み始めるととても読みやすい文章。
お話は、過去のあるアル中のバーテンダーが新宿中央公園で酒を飲んでいると、爆発事件が起こる。それが7ページ目。それからどんどん展開は進み、それも順序だってわかりやすい。主人公のバーテンだーは昔大学紛争の闘士でその仲間や彼女、そして得体のしれないやくざなどが絡んで展開していく。
かなり一気読み本で最近では「エージェント17」以来だ。
かなり一気に最後まできたけれど、話の締めはちょっと思わぬ方向にいった感はある。こちらとしては最後までハードボイルドが良いように感じたけれど、それにしてもおもしろい小説だった。
あらためて藤原伊織氏に合掌。
コメント
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