林田正光『リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大切なこと』(あさひ出版、2004年)を読みました。
「リッツ・カールトン・ミスティーク(神秘)」という言葉があります。
ホテル「リッツ・カールトン」に行くと、何年か前に一度泊まっただけなのに、ホテルに入った瞬間に「○○様、いらっしゃいませ」と名前で呼ばれ、ゴルフで行って、コーラが好きだったこと、枕はそばがらで、浴衣を好むことまで覚えていてサービスされるということです。
林田さんは、大阪の「太閤園」という大阪の迎賓館と言われる老舗ガーデンレストランを50歳で退職し、1996年に「ザ・リッツ・カールトン大阪」に入社して準備段階から関わり、営業支配人、営業統括支配人を7年間務められました。
この日本の接客のプロの目から見た「リッツ・カールトン」の方針のユニークさを紹介されています。
リッツ・カールトン・カンパニーは、創業の際、社会の頂点の5パーセントの層を対象としてマーケティング戦略を立てました。
そうすることで、「競合他社との差別化を図り」、「値下げ競争に巻き込まれることなく」、「商品やサービスを高い値段でも売ることができる」のです。
そのためには、その層の人たちから支持を得なければなりません。
その秘訣は、
1.「クレド」(credo)
ホテルの信条、哲学といったものです。
林田さんは入社と同時にゼネラルマネジャーから小さなラミネートカードをもらいます。「クレドカード」と呼ばれるもので、リッツ・カールトンの理念と行動指針が書かれています。三折りにすると名刺大になり、常に携帯できるようになっています。
「リッツ・カールトン・ホテルはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえております」と書いてあります。
これはお題目ではなく、月に2、3度の面談研修の際に、どのように部下に具体的に指導しているか聞かれます。
「クレドカード」には、クレドを具体化する「サービスの3ステップ」「従業員の約束」「モットー」「ザ・リッツ・カールトン・ベーシック」も書かれていて、総称して「ゴールドスタンダード」と呼ばれています。
2.顧客満足度と従業員満足度
リッツ・カールトンは、顧客満足度とともに従業員満足度にも、非常に重きを置いています。
年に数度、全世界のリッツ・カールトンで一斉に「従業員満足度調査」をし、従業員は匿名で約80~90項目のアンケートに答えます。項目は毎回変わり、結果はアメリカ本部に送られて、ホテルごと、セクションごとの満足度が出ます。
3.「ノー」と言わない対応
リッツ・カールトンのサービスの特徴は、「ノーと言わない」です。
予約の電話の際に満室だったら、「私どものホテルはいっぱいですが、差し支えなければ近くのホテルの空き状況と料金を聞いてご連絡差し上げます。いかがでございましょうか」と答えます。
レストランのオーダーストップが2時半のところに、お客様が3時に来られたら「せっかく来てくださったのだから」と食事をしていただく。
4.「パーソナル」なサービス
何年か前に一度泊まっただけなのに、ホテルに入った瞬間に「○○様、いらっしゃいませ」と名前で呼ばれるのは、実はドアマンが小さなイヤホンとレシーバーを着けていて、荷物についたタグ等でお名前を把握し、レセプションにも連絡することで、キーが用意され、荷物が部屋へ届けられるのです。
好みの情報は、ルームメイドやサービススタッフがメモに書き、それを顧客管理部門がデータ化し蓄積します。
それを基に、例えば、「日経新聞」を用意し、バスタオルは2本多め、お酒は召し上がらない等が用意されるのです。
5.「最高のサービス」というブランドが利益を生む
リッツ・カールトンのサービス料金は13パーセントです。
他のホテルが10パーセントなので、その差は年間数億円の純利益になります。
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成功した社長さんの本を読んでいるときに、「リッツで誕生会をした」とか、「リッツに泊まったとき」と書かれていて、いちホテルをそんなに名前を出して書かれるほど気に入っていらっしゃるのだなと思いながら読んだ記憶があります。
世の中には、確かに物の値段を見ないで買うような人々がいます。
そういう人たちに気に入られる秘訣が、心配りだったというのがおもしろいと思いました。
豪華な施設は思いつきやすいですが、本当のポイントは人の心にあったのかと感心しました。
「リッツ・カールトン・ミスティーク(神秘)」という言葉があります。
ホテル「リッツ・カールトン」に行くと、何年か前に一度泊まっただけなのに、ホテルに入った瞬間に「○○様、いらっしゃいませ」と名前で呼ばれ、ゴルフで行って、コーラが好きだったこと、枕はそばがらで、浴衣を好むことまで覚えていてサービスされるということです。
林田さんは、大阪の「太閤園」という大阪の迎賓館と言われる老舗ガーデンレストランを50歳で退職し、1996年に「ザ・リッツ・カールトン大阪」に入社して準備段階から関わり、営業支配人、営業統括支配人を7年間務められました。
この日本の接客のプロの目から見た「リッツ・カールトン」の方針のユニークさを紹介されています。
リッツ・カールトン・カンパニーは、創業の際、社会の頂点の5パーセントの層を対象としてマーケティング戦略を立てました。
そうすることで、「競合他社との差別化を図り」、「値下げ競争に巻き込まれることなく」、「商品やサービスを高い値段でも売ることができる」のです。
そのためには、その層の人たちから支持を得なければなりません。
その秘訣は、
1.「クレド」(credo)
ホテルの信条、哲学といったものです。
林田さんは入社と同時にゼネラルマネジャーから小さなラミネートカードをもらいます。「クレドカード」と呼ばれるもので、リッツ・カールトンの理念と行動指針が書かれています。三折りにすると名刺大になり、常に携帯できるようになっています。
「リッツ・カールトン・ホテルはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえております」と書いてあります。
これはお題目ではなく、月に2、3度の面談研修の際に、どのように部下に具体的に指導しているか聞かれます。
「クレドカード」には、クレドを具体化する「サービスの3ステップ」「従業員の約束」「モットー」「ザ・リッツ・カールトン・ベーシック」も書かれていて、総称して「ゴールドスタンダード」と呼ばれています。
2.顧客満足度と従業員満足度
リッツ・カールトンは、顧客満足度とともに従業員満足度にも、非常に重きを置いています。
年に数度、全世界のリッツ・カールトンで一斉に「従業員満足度調査」をし、従業員は匿名で約80~90項目のアンケートに答えます。項目は毎回変わり、結果はアメリカ本部に送られて、ホテルごと、セクションごとの満足度が出ます。
3.「ノー」と言わない対応
リッツ・カールトンのサービスの特徴は、「ノーと言わない」です。
予約の電話の際に満室だったら、「私どものホテルはいっぱいですが、差し支えなければ近くのホテルの空き状況と料金を聞いてご連絡差し上げます。いかがでございましょうか」と答えます。
レストランのオーダーストップが2時半のところに、お客様が3時に来られたら「せっかく来てくださったのだから」と食事をしていただく。
4.「パーソナル」なサービス
何年か前に一度泊まっただけなのに、ホテルに入った瞬間に「○○様、いらっしゃいませ」と名前で呼ばれるのは、実はドアマンが小さなイヤホンとレシーバーを着けていて、荷物についたタグ等でお名前を把握し、レセプションにも連絡することで、キーが用意され、荷物が部屋へ届けられるのです。
好みの情報は、ルームメイドやサービススタッフがメモに書き、それを顧客管理部門がデータ化し蓄積します。
それを基に、例えば、「日経新聞」を用意し、バスタオルは2本多め、お酒は召し上がらない等が用意されるのです。
5.「最高のサービス」というブランドが利益を生む
リッツ・カールトンのサービス料金は13パーセントです。
他のホテルが10パーセントなので、その差は年間数億円の純利益になります。
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成功した社長さんの本を読んでいるときに、「リッツで誕生会をした」とか、「リッツに泊まったとき」と書かれていて、いちホテルをそんなに名前を出して書かれるほど気に入っていらっしゃるのだなと思いながら読んだ記憶があります。
世の中には、確かに物の値段を見ないで買うような人々がいます。
そういう人たちに気に入られる秘訣が、心配りだったというのがおもしろいと思いました。
豪華な施設は思いつきやすいですが、本当のポイントは人の心にあったのかと感心しました。