4月12日、日本橋三井ホールにて、ジム・クエスキン・ジャグ・バンドの50周年リユニオン・コンサートを観てまいりました!!
これは本当に楽しみにしていたライヴ。60年代に巻き起こったリヴァイヴァル・ジャグ・バンド・ブームの中心的グループ。しかも黄金メンバーが揃って来日するというほとんど奇跡と言っても良いステージでした。なんてったって、ジム・クエスキン、ジェフ・マルダー、マリア・マルダー、リチャード・グリーン、ビル・キースの5人ですからね。ほとんど伝説的と言っても良いスター揃い踏みです。このジム・クエスキン・ジャグ・バンドが60年代に残した足跡の偉大さはもちろんですが、解散後の各々の活躍ぶりもこのバンドの凄さを物語ってますよね。ジャフ&マリアは言うに及ばず、リチャードとビルはミュールスキナーなどでブルーグラスに革新をもたらすなど幅広い活躍をしてきた天才プレイヤー。って言うかこの二人については元々ブルーグラスの元祖ビル・モンローのバンド出身という経歴からして凄いですよね。そんな彼らがまた一同に会するという奇跡!
開演時間を少し過ぎた頃、ジム・クエスキンを先頭にメンバー達が登場。リーダーのジムがセンター。彼を挟んで向かって左にマリア・マルダー、右側にジェフ・マルダー。この3人が並んだだけでプレミア感が半端無い。さらにマリアの左にフィドルのリチャード・グリーン。その斜め後ろ辺りにバンジョーのビル・キース。いや~、ホント夢のようです!そしてステージの右端にはジャグ(大きめの瓶)が置かれ、スポットを浴びている。ジャグ・バンドというのは、身近にあるものを楽器代わりに使った素朴なバンド形態であり、ジャグと呼ばれる瓶をベース代わりにブウォ!ブウォ!と吹くのがその語源。実はジム・クエスキン・ジャグ・バンドにはフリッツ・リッチモンドという結成時から解散まで在籍した伝説的なジャグ奏者がいたんですが、残念ながら2005年に亡くなられてるんですよね。ステージ横でまるでメンバーの一人のように佇むジャグは、そのフリッツ・リッチモンドの魂。こういう演出、良いですね。
1曲目はジム・クエスキン・ジャグ・バンドの記念すべきデビュー・アルバムから「Boodle Am Shake」。リード・ヴォーカルはアコースティック・ギターを持ったジム・クエスキン。ジェフ・マルダーがウォッシュボードを擦り、マリア・マルダーはカズーを吹く。まさにジャグ・バンドならではのチープさなれど、その奥から芳醇なルーツ・ミュージックの旨味が染み出してくる。2曲目は「I Ain't Gonna Marry」。紅一点マリア・マルダーが歌い、リチャード・グリーンのフィドルが鄙びた香りを醸す。サポートで入っているベース奏者のBrent Nusseyがウッドベースを弓弾きしてジャグっぽい音を出してたのも印象的。素朴な中にもどこか酩酊感のあるグルーヴが良い感じでした。
そして今度はジェフ・マルダーが歌う「Jug Band Music」。ジェフ独特の艶っぽくブルージーな歌声がいなたいリズムに絡み付く。それにしても曲ごとにジム、マリア、ジェフとヴォーカリストが変わっていくなんて、贅沢ですよね~。自分がこの場に居る幸せをひしひしと感じてしまいました。
その後も「Papa's On the Housetop」、「Morning Blues」、「Garden Of Joy」など、ジム・クエスキン・ジャグ・バンドが60年代に発表したアルバムからの収録曲を惜しみなく披露していく。それはジャグ・バンド結成から、それぞれの道を歩んだ50年間に培われた彼らならではの円熟した味わいであると同時に、まるで60年代にタイムスリップしたようでもあり、さらにそれら楽曲のルーツを紐解けば、そこには更に先人達の濃密な世界が横たわっている訳です。いや~、深い! 深いけど楽しい!
そしてビル・キースをフィーチャーしての「Caravan」。ジャグ・バンドの流れでは意表をついた選曲でしたが、彼のソロ・アルバムにも収録されてる曲のようなのできっと十八番なのでしょう。ジャズとブルーグラスを混ぜ合わせ、ジャグ・バンド独特のスウィング感で纏め上げたようなスリリングな演奏でした。今回のステージではベーシストのBrent Nusseyの他にも日本からマンドリンの井上太郎や、バンジョーやリゾネーター・ギターを弾いた有田純弘の二人がサポートで加わっていまして、この曲では彼らもフィーチャーされました。
さらに「Blues In the Bottle」、「Minglewood」とジム・クエスキン・ジャグ・バンドのレパートリーが続いて第1部が終了。「Minglewood」でのリチャード・グリーンのフィドルが素晴らしかったですね。ちなみに私の席は前から4列目のかなり右寄り。ジェフ・マルダーは近かったですが、リチャード・グリーンは遠目。ビル・キースにいたってはちょうどジム・クエスキンの陰に隠れてほとんど見えませんでした…。
さて、しばし休憩を挟んで第2部のステージです。まずはジム・クエスキンが歌う「Rag Mama」からスタート。そしてマリア・マルダーの「Richland Woman Blues」とか、選曲センスとそのスウィング感に思わずにやけた「The Sheik Of Araby」とか、ジム・クエスキンのソロ作からトロピカルな「Guabi Guabi」(ジェフはこの曲でカリンバを弾いてました。)など、名演、名場面の連続でしたが、なかでも印象的だったのがリチャード・グリーンがソロで披露した「Amazing Grace」。鄙びた感じに始まりどんどん独創的なっていく展開には唸らされましたね。まさに匠の演奏でした!
さらにマリア・マルダーの代名詞「I'm a Woman」。マリア・マルダーはジム・クエスキン・ジャグ・バンドのオリジナル・メンバーではなく、当初はそのライバル・バンドでもあったイーヴン・ダズン・ジャグ・バンドのメンバーだったというのは有名な話。レコードコレクターズ誌01年3月号のジェフ・マルダー特集によれば、イーヴン・ダズン・ジャグ・バンドのメンバーだったジョン・セバスチャンがマリアの歓心を買おうと彼女をジム・クエスキン・ジャグ・バンドのライヴに誘ったところ、彼女はジェフ・マルダーに一目惚れしてしまったとか。しかもそれを見たジム・クエスキンがしめしめと思ったとか、思わなかったとか…。まあそんなこんなでマリアがジム・クエスキン・ジャグ・バンドのメンバーになって初めて録音されたのが彼らの2nd作「JUG BAND MUSIC」であり、そこに収録されたのが「I'm a Woman」なのです。この「JUG BAND MUSIC」でのマリアのクレジットはまだマリア・ダマートでしたが、このリリースに前後してジェフとマリアは結婚し、マリアはマリア・マルダーとなる訳です。若い頃のマリアの歌声っていうのは瑞々しくキュートなオールド・タイム感に溢れていましたが、現在のマリアに長きに渡りルーツ系女性シンガーの草分けとして最前線を走って来た彼女こその迫力を感じさせてくれます。ブルージーなドスを効かせたようなその歌声は、ふくよかな深みと辛みを纏い、豊かな感情表現が聴衆を魅了します。やっぱりマリア・マルダーは素敵ですね~。
さて、ジャグ・バンド解散後の70年代、ジェフ&マリアはウッドストックに移り住み夫婦名義で素晴らしい作品をリリースしますが、程なくして離婚してしまいます。ですが、マリアはその後もマリア・マルダーと名乗り続けていることもあり、我々ファンにとっては、マリア・マルダーと聞くとジェフを思い出し、ジェフ・マルダーと聞くとマリアを思い出してしまうような、切っても切れないお二人なんですよね。なので今回2人揃って来日し、同じステージに立つというのは、それだけでちょっとドキドキする程嬉しいことでした。そんなお二人が仲良く阿吽の呼吸を見せてくれたのが「I'm a Woman」に続いて披露された「Sweet Sue」でした。
この曲でジェフはヘリウム・ガスを吸うんですが、そのヘリウム・ガスを提供する役をマリアが務めたんです。それまでジム・クエスキンを挟んだ立ち位置だったお二人でしたが、ここで初めてマリアがジェフの隣へと歩を進める。それだけで観客達も何となくどよめいた感じ。マリアがヘリウムのスプレー缶をジェフの口元へ差し出すとジェフが勢い良くそれを吸う。そして歌い出す。ヘリウムですから当然、子供のような高い声になる。観客も爆笑! 一節歌い終わるタイミングですかさずマリアがすっとスプレー缶をジェフに向ける、またジェフが一吸いして歌い続ける。これの繰り返しなんですが、このやり取りが二人とも楽しそうで。まるでじゃれ合うような感じ。観客達も大喜びでしたね。スプレー缶をジェフへ向けるタイミングを伺うようなマリアも可愛かったです。このちょっとしたくだらなさもジャグ・バンドっぽいですよね。
そして「Blues My Naughty Sweetie Gives To Me」で本編は終了。アンコールはグランパ・ジョーンズのカントリー名曲「Eight More Miles To Louisville」。そしてジャグ・バンドと言えばこの曲、メンフィス・ジャグ・バンドの「Stealin' Stealin'」。サビを観客が合唱するなど、アットホームな盛り上がりで終了。素晴らしいライヴでした!!
それにしても、ジム・クエスキン・ジャグ・バンドを生で観れる日が来るとは思いませんでしたね。ジェフ&マリアを左右に従えてリーダーとしての貫禄充分なジム・クエスキンの姿が特に印象的でした。もう70歳を超えてるんですけど、そんな風には見えない元気さでした。また曲ごとにウォッシュボード、アコギ、マンドリン、カリンバ、そしてカズーを紙コップに入れて音を変化させながら吹いたりと、多彩な技を見せてくれたジェフ・マルダーも相変わらず見事でしたね。もちろんマリア・マルダーも、リチャード・グリーンも、ビル・キースも、みなさん素晴らしかった! またサポートに加わった3人も見事でした。日本人のお二方も随所でフィーチャーされ、華麗なソロを披露して盛り上げていました。
コンサートの後はお楽しみのサイン会もあったのですが、グッズを7000円以上買わなければダメだったので、私はパスしました…。
上の写真はこの日買ったパンフレット。メンバーの詳細なディスコグラフィーなど内容充実なパンフです。
この日のセット・リスト↓
第1部
01. Boodle Am Shake
02. I Ain't Gonna Marry
03. Jug Band Music
04. Papa's On the Housetop
05. Morning Blues
06. Wild About My Loving
07. Garden Of Joy
08. Caravan
09. Blues In the Bottle
10. Minglewood
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
第2部
11. Rag Mama
12. Richland Woman
13. Fishing Blues
14. The Sheik Of Araby
15. Guabi Guabi
16. Amazing Grace
17. Boll Weavil
18. I'm a Woman
19. Sweet Sue
20. Blues My Naughty Sweetie Gives To Me
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アンコール
21. Eight More Miles To Louisville
22. Stealin'
*既に記憶が曖昧です。曲目等、間違いがあったらごめんなさいね。
これは本当に楽しみにしていたライヴ。60年代に巻き起こったリヴァイヴァル・ジャグ・バンド・ブームの中心的グループ。しかも黄金メンバーが揃って来日するというほとんど奇跡と言っても良いステージでした。なんてったって、ジム・クエスキン、ジェフ・マルダー、マリア・マルダー、リチャード・グリーン、ビル・キースの5人ですからね。ほとんど伝説的と言っても良いスター揃い踏みです。このジム・クエスキン・ジャグ・バンドが60年代に残した足跡の偉大さはもちろんですが、解散後の各々の活躍ぶりもこのバンドの凄さを物語ってますよね。ジャフ&マリアは言うに及ばず、リチャードとビルはミュールスキナーなどでブルーグラスに革新をもたらすなど幅広い活躍をしてきた天才プレイヤー。って言うかこの二人については元々ブルーグラスの元祖ビル・モンローのバンド出身という経歴からして凄いですよね。そんな彼らがまた一同に会するという奇跡!
開演時間を少し過ぎた頃、ジム・クエスキンを先頭にメンバー達が登場。リーダーのジムがセンター。彼を挟んで向かって左にマリア・マルダー、右側にジェフ・マルダー。この3人が並んだだけでプレミア感が半端無い。さらにマリアの左にフィドルのリチャード・グリーン。その斜め後ろ辺りにバンジョーのビル・キース。いや~、ホント夢のようです!そしてステージの右端にはジャグ(大きめの瓶)が置かれ、スポットを浴びている。ジャグ・バンドというのは、身近にあるものを楽器代わりに使った素朴なバンド形態であり、ジャグと呼ばれる瓶をベース代わりにブウォ!ブウォ!と吹くのがその語源。実はジム・クエスキン・ジャグ・バンドにはフリッツ・リッチモンドという結成時から解散まで在籍した伝説的なジャグ奏者がいたんですが、残念ながら2005年に亡くなられてるんですよね。ステージ横でまるでメンバーの一人のように佇むジャグは、そのフリッツ・リッチモンドの魂。こういう演出、良いですね。
1曲目はジム・クエスキン・ジャグ・バンドの記念すべきデビュー・アルバムから「Boodle Am Shake」。リード・ヴォーカルはアコースティック・ギターを持ったジム・クエスキン。ジェフ・マルダーがウォッシュボードを擦り、マリア・マルダーはカズーを吹く。まさにジャグ・バンドならではのチープさなれど、その奥から芳醇なルーツ・ミュージックの旨味が染み出してくる。2曲目は「I Ain't Gonna Marry」。紅一点マリア・マルダーが歌い、リチャード・グリーンのフィドルが鄙びた香りを醸す。サポートで入っているベース奏者のBrent Nusseyがウッドベースを弓弾きしてジャグっぽい音を出してたのも印象的。素朴な中にもどこか酩酊感のあるグルーヴが良い感じでした。
そして今度はジェフ・マルダーが歌う「Jug Band Music」。ジェフ独特の艶っぽくブルージーな歌声がいなたいリズムに絡み付く。それにしても曲ごとにジム、マリア、ジェフとヴォーカリストが変わっていくなんて、贅沢ですよね~。自分がこの場に居る幸せをひしひしと感じてしまいました。
その後も「Papa's On the Housetop」、「Morning Blues」、「Garden Of Joy」など、ジム・クエスキン・ジャグ・バンドが60年代に発表したアルバムからの収録曲を惜しみなく披露していく。それはジャグ・バンド結成から、それぞれの道を歩んだ50年間に培われた彼らならではの円熟した味わいであると同時に、まるで60年代にタイムスリップしたようでもあり、さらにそれら楽曲のルーツを紐解けば、そこには更に先人達の濃密な世界が横たわっている訳です。いや~、深い! 深いけど楽しい!
そしてビル・キースをフィーチャーしての「Caravan」。ジャグ・バンドの流れでは意表をついた選曲でしたが、彼のソロ・アルバムにも収録されてる曲のようなのできっと十八番なのでしょう。ジャズとブルーグラスを混ぜ合わせ、ジャグ・バンド独特のスウィング感で纏め上げたようなスリリングな演奏でした。今回のステージではベーシストのBrent Nusseyの他にも日本からマンドリンの井上太郎や、バンジョーやリゾネーター・ギターを弾いた有田純弘の二人がサポートで加わっていまして、この曲では彼らもフィーチャーされました。
さらに「Blues In the Bottle」、「Minglewood」とジム・クエスキン・ジャグ・バンドのレパートリーが続いて第1部が終了。「Minglewood」でのリチャード・グリーンのフィドルが素晴らしかったですね。ちなみに私の席は前から4列目のかなり右寄り。ジェフ・マルダーは近かったですが、リチャード・グリーンは遠目。ビル・キースにいたってはちょうどジム・クエスキンの陰に隠れてほとんど見えませんでした…。
さて、しばし休憩を挟んで第2部のステージです。まずはジム・クエスキンが歌う「Rag Mama」からスタート。そしてマリア・マルダーの「Richland Woman Blues」とか、選曲センスとそのスウィング感に思わずにやけた「The Sheik Of Araby」とか、ジム・クエスキンのソロ作からトロピカルな「Guabi Guabi」(ジェフはこの曲でカリンバを弾いてました。)など、名演、名場面の連続でしたが、なかでも印象的だったのがリチャード・グリーンがソロで披露した「Amazing Grace」。鄙びた感じに始まりどんどん独創的なっていく展開には唸らされましたね。まさに匠の演奏でした!
さらにマリア・マルダーの代名詞「I'm a Woman」。マリア・マルダーはジム・クエスキン・ジャグ・バンドのオリジナル・メンバーではなく、当初はそのライバル・バンドでもあったイーヴン・ダズン・ジャグ・バンドのメンバーだったというのは有名な話。レコードコレクターズ誌01年3月号のジェフ・マルダー特集によれば、イーヴン・ダズン・ジャグ・バンドのメンバーだったジョン・セバスチャンがマリアの歓心を買おうと彼女をジム・クエスキン・ジャグ・バンドのライヴに誘ったところ、彼女はジェフ・マルダーに一目惚れしてしまったとか。しかもそれを見たジム・クエスキンがしめしめと思ったとか、思わなかったとか…。まあそんなこんなでマリアがジム・クエスキン・ジャグ・バンドのメンバーになって初めて録音されたのが彼らの2nd作「JUG BAND MUSIC」であり、そこに収録されたのが「I'm a Woman」なのです。この「JUG BAND MUSIC」でのマリアのクレジットはまだマリア・ダマートでしたが、このリリースに前後してジェフとマリアは結婚し、マリアはマリア・マルダーとなる訳です。若い頃のマリアの歌声っていうのは瑞々しくキュートなオールド・タイム感に溢れていましたが、現在のマリアに長きに渡りルーツ系女性シンガーの草分けとして最前線を走って来た彼女こその迫力を感じさせてくれます。ブルージーなドスを効かせたようなその歌声は、ふくよかな深みと辛みを纏い、豊かな感情表現が聴衆を魅了します。やっぱりマリア・マルダーは素敵ですね~。
さて、ジャグ・バンド解散後の70年代、ジェフ&マリアはウッドストックに移り住み夫婦名義で素晴らしい作品をリリースしますが、程なくして離婚してしまいます。ですが、マリアはその後もマリア・マルダーと名乗り続けていることもあり、我々ファンにとっては、マリア・マルダーと聞くとジェフを思い出し、ジェフ・マルダーと聞くとマリアを思い出してしまうような、切っても切れないお二人なんですよね。なので今回2人揃って来日し、同じステージに立つというのは、それだけでちょっとドキドキする程嬉しいことでした。そんなお二人が仲良く阿吽の呼吸を見せてくれたのが「I'm a Woman」に続いて披露された「Sweet Sue」でした。
この曲でジェフはヘリウム・ガスを吸うんですが、そのヘリウム・ガスを提供する役をマリアが務めたんです。それまでジム・クエスキンを挟んだ立ち位置だったお二人でしたが、ここで初めてマリアがジェフの隣へと歩を進める。それだけで観客達も何となくどよめいた感じ。マリアがヘリウムのスプレー缶をジェフの口元へ差し出すとジェフが勢い良くそれを吸う。そして歌い出す。ヘリウムですから当然、子供のような高い声になる。観客も爆笑! 一節歌い終わるタイミングですかさずマリアがすっとスプレー缶をジェフに向ける、またジェフが一吸いして歌い続ける。これの繰り返しなんですが、このやり取りが二人とも楽しそうで。まるでじゃれ合うような感じ。観客達も大喜びでしたね。スプレー缶をジェフへ向けるタイミングを伺うようなマリアも可愛かったです。このちょっとしたくだらなさもジャグ・バンドっぽいですよね。
そして「Blues My Naughty Sweetie Gives To Me」で本編は終了。アンコールはグランパ・ジョーンズのカントリー名曲「Eight More Miles To Louisville」。そしてジャグ・バンドと言えばこの曲、メンフィス・ジャグ・バンドの「Stealin' Stealin'」。サビを観客が合唱するなど、アットホームな盛り上がりで終了。素晴らしいライヴでした!!
それにしても、ジム・クエスキン・ジャグ・バンドを生で観れる日が来るとは思いませんでしたね。ジェフ&マリアを左右に従えてリーダーとしての貫禄充分なジム・クエスキンの姿が特に印象的でした。もう70歳を超えてるんですけど、そんな風には見えない元気さでした。また曲ごとにウォッシュボード、アコギ、マンドリン、カリンバ、そしてカズーを紙コップに入れて音を変化させながら吹いたりと、多彩な技を見せてくれたジェフ・マルダーも相変わらず見事でしたね。もちろんマリア・マルダーも、リチャード・グリーンも、ビル・キースも、みなさん素晴らしかった! またサポートに加わった3人も見事でした。日本人のお二方も随所でフィーチャーされ、華麗なソロを披露して盛り上げていました。
コンサートの後はお楽しみのサイン会もあったのですが、グッズを7000円以上買わなければダメだったので、私はパスしました…。
上の写真はこの日買ったパンフレット。メンバーの詳細なディスコグラフィーなど内容充実なパンフです。
この日のセット・リスト↓
第1部
01. Boodle Am Shake
02. I Ain't Gonna Marry
03. Jug Band Music
04. Papa's On the Housetop
05. Morning Blues
06. Wild About My Loving
07. Garden Of Joy
08. Caravan
09. Blues In the Bottle
10. Minglewood
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第2部
11. Rag Mama
12. Richland Woman
13. Fishing Blues
14. The Sheik Of Araby
15. Guabi Guabi
16. Amazing Grace
17. Boll Weavil
18. I'm a Woman
19. Sweet Sue
20. Blues My Naughty Sweetie Gives To Me
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アンコール
21. Eight More Miles To Louisville
22. Stealin'
*既に記憶が曖昧です。曲目等、間違いがあったらごめんなさいね。