ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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アーマ・トーマス@ビルボードライヴ東京

2013-05-31 14:26:55 | ニューオーリンズ
IRMA THOMAS / MY HEART'S IN MEMPHIS

5月30日、ビルボードライヴ東京にて、SOUL QUEEN of NEW ORLEANSこと、アーマ・トーマスを観てまいりました! およそ1年半振りの来日。私が観たのはこの日の2ndショー。今回の来日公演最終ステージです。私はカジュアル席という3階席に陣取り、上から眺める感じで堪能してまいりました。

まずはバンドが登場し、サックス奏者を中心に挨拶代わりにインスト曲を披露。バック・バンドはドラムス、ベース、ギター、キーボード、オルガン、トランペット、サックスの7人編成。ホーンの2人はパーカッション兼任でしたね。そしてステージも暖まったところでいよいよアーマ・トーマスが紹介される。サックス奏者さんが高らかにアーマ・トーマスの名を告げる。薄い黄色?クリーム色?の可愛らしいドレスを身に纏ったアーマ・トーマスがステージに上がる。前方のお客さん達は既に立ち上がって興奮気味。曲は「I'm Gonna Hold You To Your Promise」。88年作「THE WAY I FEEL」から。これは意外な曲から始まった印象ですが、アーマの歌声は素晴らしいの一言! 黒く艶光りしたようなその歌声はふっくらとした深みに溢れ、サラッと歌っているように見えてねっとりとしたフィーリングが濃厚。特に低音から中音域にかけての響きが素晴らしい!

2曲目は「For the Rest of My Life」。私は耳馴染みのない曲でしたが、現在ネットでシングル販売もされている新曲だそうで、今年のジャズフェスでも歌っていて、日本でもマニアの方々の間では話題になっていたようです。柔らかくもソウルフルなスローナンバー。良い曲ですね。そしてホーン隊が格好良かった「Got to Bring It with Yo」から、「In the Middle of It All」、「Let It Be Me」、「Break-A-Way」と、2年前の来日公演でも印象的だった曲が続きます。

「In the Middle of It All」や「Let It Be Me」のようなスローな曲では椅子に腰掛けて歌っていましたが、アーマももう72歳になるそうですからね。ですが歌声そのものは元気、元気!そんな歳を感じさせないふくよかで瑞々しい歌声に驚かされます。もちろん若い頃のようにシャウトしたりはしませんが、たっぷりとした声量と伸びやかな歌声は、まったく衰えを感じさせません。
「Let It Be Me」なんて最高でしたね。あの声の深みは年齢を重ねたアーマならではの境地でしょうね。そして「Break-A-Way」ですよ!まるで60年代へタイムスリップ。インペリアル時代の名曲ですが、ガールズポップのようなアップ・ナンバー。これを現在のアーマが抜群のスピード感で歌う。一気に観客達もヒートアップ!!

そして「Time Is On My Side」!! もちろんローリング・ストーンズがカヴァーしたあの曲。アーマ・トーマスのオリジナルとして知られる超有名曲ですが、アーマにとっては数有る持ち曲の1つに過ぎないのか、必ずしもライヴの定番曲ではないそうなんですよね。実際、前回の来日公演でも、私が観た回では演らなかったんです。なので今回、初めてアーマが生で歌う「Time Is On My Side」を聴けて感無量でしたね。アーマが「タ~~イム♪」と歌い出した時の感激たるや!観客席の空気も異様な興奮に満たされました。そしてアーマの歌がその興奮をグイグイと引っ張っていく。スロー・ナンバーなのに妙なキレがあるんです。中間の語り部分がまた堪りませんでしたね。 今回のライヴで一番ゾクゾクした瞬間。

さらにデビュー曲「Don't Mess with My Man (You Can Have My Husband)」と畳み掛ける。スウィンギーなジャンプ・ナンバー。後半に入ってさらに声のキレも艶も増してきてるんじゃないかと思う程の勢い溢れる歌声。アーマ・トーマス恐るべし。ホーン隊に始まりメンバーそれぞれのソロ回しがあったりとライヴならではのノリも楽しい。最後にはアーマが息切れも無しにハリのある高音域を煽るように連発し拍手喝采!いや~、お見事!

そして今回最も意外だった曲が「This Bitter Earth」。ダイナ・ワシントンですよ!! アーマが08年作「SIMPLY GRAND」でカヴァーしてる曲ですが、生で聴けるとは思いませんでした。これにはうっとりでしたね。やっぱりライヴって良いですね。定番と言われる誰もが聴きたい有名曲で盛り上がる一方で、意外な選曲に驚かされ、新しい味わいに酔いしれる。しかも大好きなアーマ・トーマスですからね! ま、結局何を歌ってもらっても最高なんですけど~。

さて、ステージも終盤。ここからはまさに定番です。まずは「Ruler of My Heart」。これは傑作ですよね~。さすがアラン・トゥーサンですよ!60年代らしいラヴリーな大名曲。アーマのフェミニンな低音がまた最高でした。そして「I Done Got Over It」から始まり、「Iko Iko」、「Hey Pocky Way」と続くセカンドライン・タイムではお約束の白いハンカチを振り回す。観客達も分ってらっしゃるようで、自前のハンカチを皆さんグルグル振り回してました。楽しい!! やっぱりニューオーリンズは最高ですね! さらにトドメは「It's Raining」。これもトゥーサン作の大名曲。ギターの間奏中にアーマとベーシスト、ホーン隊の2人が同じステップで踊ってました。

本編ラストは「The Same Love that Made Me Laugh」。そしてアンコールに「Forever Young」。それぞれビル・ウィザース、ボブ・ディランのカヴァーですが、この終盤の流れは前回の来日公演と同じなことも有り、もうほとんどアーマの代表曲と言った風情の、力強くディープな歌いっぷりでした。特に「Forever Young」は感動的でしたね。あの深いエモーション、そしてどこまでも伸びるかのような声量たっぷりの歌声に身も心も包み込まれるようでした。まるで悠久のような大きな歌。こういう歌はなかなか聴けませんよ!


ニューオリンズR&Bの王道を感じさせる素晴らしいステージでした。さすがはクイーンですよ! しかもそんな貫禄を感じさせる一方で、最前列のお客様が机の上に並べていたCDを何やら楽し気に手に取って、収録曲の一節を口ずさんだりなんていう朗らかな場面もあったり。それと前回の来日時にアーマが分厚い“歌本”を曲ごとにペラペラ捲っていたのが印象的でしたが、今回はそれがタブレットに変わっていたのも驚きました。ここにもデジタル化の波が…。アーマが指先でページをビュンビュン送り、お目当ての歌詞を表示させる姿に時代の流れを感じたり。あとブルース銀座さんの29日のライヴ・レポによりますと、その日はライヴ中に座ることもなかったそうなのですが、私が観た回では前半の何曲かは座って歌っていました。疲れがあったのか、足腰に不安があるのか、ちょっと心配になったり。でも歌唱自体は超元気でしたし、後半は立ちっぱなしで、歌えば歌う程エネルギーが満ちあふれてくるかのような溌剌とした印象でした。いつまでもお元気で、そしてまた来日して頂きたいものです。

終演後はお楽しみのサイン会。私ももちろんサインを頂きました。上の写真がサインを頂いた「MY HEART'S IN MEMPHIS」。





この日のセットリスト↓

01. インスト
02. I'm Gonna Hold You To Your Promise
03. For the Rest of My Life
04. Got to Bring It with You
05. In the Middle of It All
06. Let It Be Me
07. Break-A-Way
08. Time Is On My Side
09. Don't Mess with My Man (You Can Have My Husband)
10. This Bitter Earth
11. Ruler of My Heart
12. I Done Got Over It ~ Iko Iko ~ Hey Pocky Way
13. It's Raining
14. The Same Love that Made Me Laugh
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15. Forever Young





ビルボードライヴからアナウンスされている来日メンバー

アーマ・トーマス/Irma Thomas(Vocals)
キム・フィリップス/Kim Phillips(Keyboards)
ワーナー・ジョセフ・ウィリアムズ/Warner Joseph Williams(Keyboards)
アーサー・'V'・ベル/Arthur V. Bell(Guitar)
エドワード・ロング/Edward Long(Bass)
エミール・ホール/Emile Hall(Saxophone)
パーシー・・ウィリアムス/Percy Williams(Trumpet)
ラリー・"チュー"・キャンベル /Larry "Choo" Campbell(Drums)