ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ダイアン・バーチ@ビルボードライヴ東京

2014-04-08 16:12:13 | SSW
DIANE BIRCH / SPEAK A LITTLE LOUDER

先日、ビルボードライヴ東京にてダイアン・バーチのライヴを観てまいりました。私が観たのは2days初日3月26日の2ndショー。

最新作「SPEAK A LITTLE LOUDER」収録の「Love And War」から始まったそのステージ。黒い衣装に身を包んだダイアン・バーチは、ゴシックとまではいかないものの、憂いを含んだ独特の美しさを放ちつつ、しなやかな身のこなしで美声を響かせる。デビュー作「BIBLE BELT」では、キャロル・キングなど70年代SSW的な雰囲気で話題となりながら、続くネット・オンリーでリリースされたEP「THE VELVETEEN AGE」や雑誌のグラビアなどではゴスな趣味を垣間見せ、最新作となる2nd作「SPEAK A LITTLE LOUDE」ではより現代的、オルタナ的な楽曲およびサウンドに進化したきた彼女だけに、ライヴではどういった表現になるのかと私も興味津々だったのですが、「Adelaide」、「Pretty In Pain」、「All The Love You Got」と新作(およびそのボーナス・トラック)からの曲が続くと、その楽曲の良さにあらためて心を奪われました。CDとはまた違う、ライヴならではの生命力に溢れるそのサウンドと歌声は、今の時代に生きるシンガー・ソング・ライターとしての魅力に溢れていました。

バック・バンドは、ギター、ベース、キーボード、ドラムスというシンプルな編成。注目すべきはギタリスト。既にSSWとしてソロ作も数枚リリースし、そのポップ職人的アレンジ・センスとスウィート且つメロウなソウル・フィーリングでマニアックな人気を博す、あのビン・ジ・リンです。彼が放つツボを得たギター・フレーズはもちろん、中肉中背な体つきながら、赤か紫?のパンツを履いて、カーリーなロングヘアーを揺らすその憎めない姿も存在感抜群でした。そしてもう一人、ステージで絶大な存在感を放っていたのが、女性ベーシストのジェニファー・P・フレイザー。彼女が醸す妖艶な色気は、ある意味、ダイアンの持つある種グロテスクな深層風景を一手に担っていたといえるかもしれません。

さて、続けざまの最新作からの楽曲で、現在のダイアンが持つ色彩に会場が染め上げられた頃、彼女が歌い始めたのはデビュー作から「Nothing But A Miracle」。歌い出すと同時に客席から拍手歓声が沸き上がる。やっぱりなんだかんだでデビュー作からの曲を楽しみにしていた人も多かったのではないでしょうか? かく言う私もその一人。特にこの曲は良いですよね。途中少し語りっぽくなるところがまた良いんですよ。オーガニックなダイアンの歌声も、ソウルフルで良かったですし、ビン・ジ・リンの爽やかなギターがまた良い塩梅でした。そして最新作からのタイトル曲「Speak A Little Louder」で前半を締めた感じ。エッジの立ったダイアンの歌声に痺れましたね。前作からの名曲も良いですが、新作からの曲の瑞々しさもまた格別。

ダイアンは曲によってキーボードを弾きながら歌ったり、キーボードから離れステージを左右に動きながら歌ったりもしていましたが、ここで観客達に「楽しんでますか?」と問いかけつつ、いよいよグランド・ピアノの前に座ります。そしてデビュー作からもう1曲のキラー・ソング「Fools」。観客からは手拍子が巻き起こり、しっとりとしたグルーヴと、何処かノスタルジックなメロディーに酔いしれる。そしてバンドのメンバーが一旦ステージを後にして、ピアノの前のダイアンが一人残される。そしてジャジーなピアノ・イントロから語るように歌い始めた「Fire Escape」。こちらはデビュー作の1曲目を飾った曲で、そこではカントリー・テイストからニューソウル的に以降するアレンジが秀逸でしたが、ピアノ弾き語りで聴かせるこの曲はゴスペル・フレーヴァーに溢れ、これがまた素晴らしかった!これには引き込まれましたね。こういうソウル・フィーリングなダイアン・バーチ、大好きです!! いや~ホント、この「Fire Escape」には参りました!

ピアノ弾き語りのまま始まった「Walk The Rainbow To The End」。途中からバンド・メンバーが戻り重厚なサウンドを展開するというCD通りの演出も粋でしたね。さらに開放感溢れるアップナンバー「Tell Me Tomorrow」、ファルセットが美しかったスロー、「Superstars」と最新作からの曲が続き、本編ラストも最新作からの「Lighthouse」。ダンス・ナンバー的な力強いビートと、ダイアンのエモーショナルな歌声が魅せるメロディーが、最後に相応しい昂揚感に会場を包み込みました。

間に旧作からの名曲を挟みながら、前半と後半の要所には最新作からの楽曲がしっかりとその世界観を見せつける、まさに現在進行形のダイアン・バーチを見せつけてくれたステージでした。そして意外にといっては失礼ですが(私は正直、デビュー作に惚れ込んだ人間ですので…)、その新作からの曲が凄く良かった!! ライヴで聴いて初めてそのオルタナ感に隠された、楽曲本来の魅力に気付かされた気分でした。それと生で聴くダイアンの歌声って言うのはまた格別ですしね。

さて、ライヴはもちろんこれで終わりではありません。アンコールはダイアンが「ニューオーリンズ!」と声を上げて始まった「Valentino」。もうこれはアンコールならではのお祭り感。セカンドラインなノリもさることながら、ビン・ジ・リンのミーターズを意識しつつも彼らしいポップなファンク感が最高で、要所要所でスウィートなフレーズを連発する彼の姿になんか嬉しくなりましたね。最後はダイアンがドスの利いたシャウトを上げて拍手喝采のうちに幕を閉じました。


ライヴ終了後はお楽しみのサイン会。私もサインを頂きました。緊張して、「サンキュー」ぐらいしか言葉は交わせませんでしたが、そんな私にも柔らかい笑顔で応えてくれたダイアン・バーチ、可愛かったです!!



01. Love And War
02. Adelaide
03. Pretty In Pain
04. All The Love You Got
05. Nothing But A Miracle
06. Speak A Little Louder
07. Fools
08. Fire Escape
09. Walk The Rainbow To The End
10. Tell Me Tomorrow
11. Superstars
12. Lighthouse
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13. Valentino