ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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フジロック・ベストアクト第1位!

2012-11-14 17:09:34 | フジロック
「ルーツな日記」的フジロック・ベストアクト、栄えある第1位は、

上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト feat.アンソニー・ ジャクソン&サイモン・フィリップス!!!

まあ、上原ひろみの大ファンである私としては、この1位はしょうがないと思いつつ、実は案外予想外の結果だったりするんです。って言うのも、このトリオがここまで凄まじいライヴをやってくれるとは思っていなかったんですよね~。ファンなのに…。

このトリオを観るのはこれが3回目でした。1度目はこのトリオでの日本初見参となった昨年のスウィート・ラヴ・シャワー、そして2度目が同年のツアー・ファイナルとなった東京国際フォーラム公演。もちろんどちらも素晴らしいライヴでしたよ。ですが果たしてサイモン・フィリップスは上原ひろみにとってどうなんだろう?という疑問も持ったりしていたんです。あくまでも個人的なものですが。私は上原ひろみのスウィング感や躍動感が大好きなのですが、サイモン・フィリップスのドラムはあまりにもロック的な安定感が強く、必ずしも私が望む上原ひろみの魅力を引き出すタイプのドラマーではないのではないか?と思ったり。もちろんそういう面を差し引いても上原ひろみとサイモン・フィリップスの共演というのはスリリングでしたけどね。

さて、フジロックの上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクトです。初日のオレンジ・コートのトリ。過去に2度オレンジに出演している上原ひろみですが、メインを張るのは今回が初めて。私としてはこのトリオの魅力を良くも悪くも重々承知のつもりで臨んだこのステージ。アンコールも含めて全7曲。一言でいえば、「怪物」でした。予想を遥かに超えた「怪物」です。ピアノに立ち向かう上原ひろみの気迫が怪物的だったというのではなく、このトリオの演奏を聴いていると、そのステージ上にまるで得体のしれない怪物の姿が浮かび上がるような、そんな錯覚を覚える凄まじさだったのです。

そしてある意味、その怪物を生み出していたのはサイモン・フィリップスだったかもしれません。上原ひろみとアンソニー・ジャクソンがワン・フレーズのリフを弾き続け、その上でサイモンが縦横無尽に叩きまくるという型が何度か登場したのですが、そのサイモンのドラミングはまるで型におさまらない凄まじさで、手数の多さもさることながら、リフへ挑みかかるかの如くなポリリズミックな絡み方が驚異的。そんな音像がライヴ空間に怪物を立ち上らせるのです。

そしてその怪物に命を吹き込むのが上原ひろみです。彼女のピアノから溢れんばかりのエネルギーが放出され、その濃密さはまるでステージ上に立ち込める怪物が暴れ出したかのよう。そしてそれらをぶっとい芯のように支えるのがアンソニー・ジャクソンのベースです。彼の地を這うグルーヴがしっかりと根を張るかの如く上原ひろみとサイモン・フィリップスを繋ぎあわせる。いや~、このトリオ凄い!! 昨年はまだお互い様子見程度だったんじゃないの?と思いたいぐらい。

もう私の望む上原ひろみの魅力とかどうでも良くなっちゃいましたね。まだ発表前だった新曲も素晴らしかったですし、もちろんロックフェスで観る上原ひろみのはじけっぷりも最高でした!ジャズ・ステージと言われるオレンジコートのトリに相応しい、グレイトなライヴでした!!


この日のセットリストはこんな感じだったようです↓

01. Voice
02. Endeavor
03. Flashback
04. Desire
05. Temptation
06. Move
07. 11:49PM


さて、11月14日から、このトリオのジャパン・ツアーが始まります。そうです、今日からです!という訳で、私もこれから赤坂ブリッツへ行ってまいります。もしかしてオレンジでの上原ひろみトリオの怪演はフジロック・マジックだったのか?それともいまだ成長を続けているのか?この目と耳で確かめてまいります。




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フジロック・ベストアクト第2位!

2012-11-14 13:53:29 | フジロック
DIRTY DOZEN BRASS BAND / TWENTY DOZEN

フジロック、個人的ベストアクト企画第2位は、ダーティ・ダズン・ブラス・バンド!!

これはね、第3位からの続きです。つまりニューオーリンズ・デイの締めであり、ヘヴンで繰り広げられたダンプスタファンク~ダーティ・ダズンという至福のニューオーリンズ・リレー。もう最高でしたね。ダンプスタファンクが終わってセット・チェンジの間はず~っとギャラクティックがかかってましたし。その間、私は最前列をキープしつつ、ダンプスタの余韻とそれに続くダーティ・ダズンへの期待という贅沢な待ち時間を過ごしていました。

そしていよいよ始まったダーティ・ダズン・ブラス・バンドのステージ。蓋を開けてみるまで誰が来てくれるのかいまいちよく分からなかったダーティ・ダズンのメンバーでしたが、見事に最強メンバーがやって来てくれました。トランぺットのグレゴリー・デイヴィスとエフレム・タウンズ、バリトン・サックスのロジャー・ルイス、テナー・サックスのケヴィン・ハリス、そしてスーザフォンのカーク・ジョセフ!! もう伝説と言っても良いオリジナル・メンバー5人衆です。特に出たり入ったりなカーク・ジョセフがまた日本に来てくれるのか不安だったのですが、来てくれましたね~。やっぱり彼のファンキー重低音が無いとね! そしてドラムスはジャマール・ワトソン。そして昨年ビルボードライヴで来日した時はもう一人ギタリストさんがいましたが、今回は彼がいない代わりに、若いキーボード奏者さんがいらっしゃいました。

「Charlie Dozen」から始まった彼らのステージ。ジャマール・ワトソンのニューオーリンズらしいハネたビートに乗ってギラついたホーン・アンサンブルが苗場の森に響き渡る。カーク・ジョセフの低音ラインがファンキーにウネリまくる。やはりオリジナル・メンバーによるホーン隊の迫力は半端無い。これぞダーティ・ダズン・ブラス・バンドですよ! この最強メンバーを苗場で見れること自体が既に感無量ですが、音を聴けば尚更ですよね!(前回、03年にフジに来た時のメンバーはちょっとショボかった印象だったんで…。)

2曲目「Tomorrow」からはリリースされたばかりの最新作「TWENTY DOZEN」の世界へ。メンバーそれぞれのソロ回しも流石に豪華。ジャムバンド的な長尺化も当たり前。キーボード奏者もなかなかやりますしね! もうどんどん彼らの世界へ引きずり込まれていく。そして妙にエフレム・タウンズが楽しそう! 終始笑顔で踊りながら楽しくてしょうがない雰囲気。ステージ袖からその様子を伺っているダンプスタファンクのメンバー達を見つけては愛嬌振りまいたり。別に昨年のビルボード公演がつまらなそうだった訳ではないんですよ、ですが明らかにこの夜の彼はノリノリ。何だかんだで彼はフロントマンですからね。彼がノリノリならステージ全体も観客達も自然にノリノリになっちゃう訳ですよ。そう言えばカーク・ジョセフもビルボードの時は座って吹いてましたが、今回はずーっと立ちっぱなしで頑張ってましたからね~。その辺り、やはりフェス・モードだったのかもしれませんね。

圧巻だったのは最新作でもハイライト的な「Paul Barbarin's Second Line」、「E-Flat Blues」、「When The Saints Go Marching In」ですよ。もちろんメドレーで演奏される。メドレーって言ったて、3曲合わせて30分ぐらいはやってたんじゃないでしょうか? これはまさにニューオーリンズ・パーティでした! ポール・バーバリンとは、1920年代~30年代にキング・オリバーやルイ・アームストロングのバンドでドラマーを務めていたというニューオーリンズ・ジャズ界の巨人。もちろんOnward Brass Bandを率いる等ブラスバンドでも活躍。あの名曲「Bourbon Street Parade」の作者としても知られますね。

つまり、ここからは古き良きニューオーリンズ・ジャズな世界へご招待な訳です。と言っても牧歌的な感じではなく、あの時代の持っていたであろう底抜けに明るい熱気を、ダーティ・ダズンならではのエッジの効いた演奏で再現してくれる。もうニューオーリンズ最高!!!!って感じですよ! 「Second Line」ももちろんポール・バーバリンの代表曲。「E-Flat Blues」は要は「I Got A Big Fat Woman」な訳ですが、これはグレゴリー・デイヴィスの独壇場。独特の茶目っ気のある歌声が何とも素敵でしたね。ステージ前方を闊歩しながら観客を煽りつつ、コール&レスポンズも織り交ぜながら盛り上げる、盛り上げる。そして「When The Saints Go Marching In」に。気持ち良かったですね~。この夜のメインステージはレディオヘッドだったので、恐らくここヘヴンはがらがらだったと思いますが、少なくとも私の周りでは大勢の人達が笑顔で踊りまくってました。まさに天国。エフレム・タウンズが歌う「聖者の行進」はライヴならではの「Who Dat? 」ヴァージョン。もう言うこと無し!

しかもこれで終わりじゃないですからね。JBファンクな導入部からの「Use Your Brain」をファンキーに決め、最後はロジャー・ルイス大爆発の「Dirty Old Man」。本来なら観客の中から女の子達を次々にステージへ連れてきたかったんでしょうけど、ヘヴンの距離感ではそれも出来ずその点はちょっと不完全燃焼だったのかな?それでもスタッフの中からノリの良い女の子をなんとか一人ゲットしてきて盛り上がってましたからね、天晴ですよ!

いや~、ダンプスタファンクから続いたヘヴンでのニューオーリンズ祭。最高でしたね。こんな風にヘヴンでニューオーリンズを満喫する日が来ようとは!いやグリーンのギャラクティックから考えれば、このフジロック最終日は一日中ニューオーリンズ祭でしたね。どうせならバンド同士の共演とかも観たかった~、なんて言ったら贅沢ですかね?


この日のセットリストは多分こんな感じだったかな?↓

01.Charlie Dozen
02.Tomorrow
03.Jook
04.Paul Barbarin's Second Line
05.E-Flat Blues
06.When The Saints Go Marching In
07.Best Of All
08.Use Your Brain
09.Dirty Old Man



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 11.11.01 ダーティ・ダズン・ブラス・バンド@ビルボード東京

フジロック・ベストアクト第3位!

2012-11-14 01:08:00 | フジロック
DUMPSTAPHUNK / EVERYBODY WANT SUM

フジロック・ベストアクト第3位、ダンプスタファンク!!!

忘れた頃に突然再開されたフジロック・ベストアクト企画です。そうです、まだ終わってなかったのです。という訳で、第3位から仕切り直し。今年のフジロック最終日に登場した現行ニューオ-リンズファンクの旗手ダンプスタファンクです。この日のフジロックは私にとってまさにニューオーリンズ・デイでした。やはりダンプスタファンクの濃密ファンクを語るには、この日の苗場を浸食したニューオーリンズの空気感から始めなくてはなりません。

何せこの日、メインステージであるグリーンステージのトップに登場したのはギャラクティックですからね。最新作「CARNIVALE ELECTRICOS」からの曲を中心にニューオーリンズ・ミクスチャーな強力ファンク・グルーヴで盛り上がりました。そしてオアシスのインターFMブースで始まったラジオの生放送。ゲストはダンプスタファンクからアイヴァン・ネヴィル、イアン・ネヴィル、ニッキー・グラスピーの3人。インタビュアーはピーター・バラカンさん(ピーター・バラカンさんだけ“さん”付けするのはおかしいんですけど、なんかこの方がしっくり来るんですいません。他意はございません)。

私はこんな公開放送があることを知らなかったのですが、たまたまオアシスをぶらぶらしつつインターFMの前を通りかかったら、この放送が始まるところだったという運の良さ。こういうフジロックならではのサプライズは嬉しいですよね。もちろん観覧自由ですから、ちゃっかりかぶりつきな感じで拝見させて頂きました。アイヴァン・ネヴィルはご存知アーロン・ネヴィルの息子、そしてイアン・ネヴィルはアート・ネヴィルの息子という、まさに血統書付きの従兄弟同士。そしてニッキー・グラスピーは新加入の女性ドラマーながら、なんとビヨンセのバック・ドラマーとして活躍していたという逸材。あのビヨンセが結成した女性だけのバック・バンドとして話題になったあのバンドのドラマーですよ! 残念ながらインタビューの内容は覚えていないのですが、というより私は次の予定があり、せっかくの観覧も途中で切り上げなくてはならなかったんですけどね。で、次の予定と言うのが、ギャラクティックのサイン会。

場所を変えて場外岩盤ブースで行なわれたギャラクティックのサイン会。スタントン・ムーアをはじめメンバー全員とゲスト・シンガーのコーリー・グローヴァーが参加。残念ながらもう一人のゲスト、コーリー・ヘンリーは来ていませんでしたけどね。ま、贅沢は言えません。メンバーとの写真撮影もOKの和気あいあいとした和やかなサイン会でした。メンバーもみんな上機嫌で、英語が喋れない私も雰囲気だけでとても楽しい一時を過ごせました。もちろんサインも頂きましたし、写真も撮ってもらいました! やっぱフジロックに来たら一度はサイン会に参加しないとね!(すいませんミーハーで。)

そしてそんなニューオーリンズ気分満載な中、夕方5時40分、いよいよフィールド・オブ・ヘヴンにてダンプスタファンクのライヴが始まります。初来日ですからね。私も待ちに待った初めての生ダンプスタ。ステージ向かって左側、最前列かぶりつきをキープ。メンバーは前列左からニック・ダニエルズ(b)、イアン・ネヴィル(g)、トニー・ホール(b)、アイヴァン・ネヴィル(organ)、そして後列にニッキー・グラスピー(ds)という布陣。ニッキーとアイヴァンはインターFMの手ぬぐいを頭に巻いている。なんか嬉しい!

ニッキーがふてぶてしく叩き出すビートに導かれるように始まったヘヴィー・ファンク・ジャム。ニック・ダニエルズのチョッパー・フレーズとトニー・ホールのエフェクトを効かした重低音の絡みがいきなり格好良い!! これが噂のツイン・ベースですか! ちなみにこのニック・ダニエルズとトニー・ホールはそれぞれネヴィル・ブラザーズのベーシストを務めてきたニューオーリンズ・グルーヴ・マスター。特にトニー・ホールはあの名作「YELLOW MOON」時代のベーシストですからね~。そのヘヴィ・グルーヴの間を纏わりつくように埋めていくイアンのギター・カッティングとアイヴァンのオルガン。これがダンプスタファンクですよ!そしてそのファンクネスはまさしくニューオーリンズ! そのリズムの濃密度に浸っているうちに「Deeper」に雪崩れ込む。って言うか、このファンク・ジャムは長いイントロだったんですね。こんなジャム・バンド気質も嬉しい。そしてトニー・ホールはいつの間にかギターに持ち替えてる。この人、なかなかのやり手です。

ファンキーに喉を鳴らすニック・ダニエルズ、ソウルフルな渋みを感じさせるアイヴァン・ネヴィルという、二人の歌声の対比も見事。トニー・ホールもディープな歌声を聴かせてくれるし、ホント何から何まで真っ黒なヘヴィー・ファンク。2曲目「Everybody Want Sum」と最新作「EVERYBODY WANT SUM」からの曲が続く。とにかく5人の織りなすグルーヴの絡み方がハンパ無く濃密で、もう腰にきまくりというか、腰までどっぷりスワンプにハマった感じ。さらにその沼から抜け出せない感覚がことのほか気持ち良い!! 堪りませんね~。

さらにグラハム・セントラル・ステーションのカヴァー「Water」。こういうカヴァーでくるか!って感じ。さらにカヴァーと言えばニッキー・グラスピーがリード・ヴォーカルをとった「If I'm In Luck, I Just Might Get Picked Up」。ベティ・デイヴィスですよ!元マイルス・デイヴィスの奥方としても知られるファンキー烈女のカヴァー。ニッキーの地を這うかの如くなド迫力な歌声には痺れましたね~。もちろんドラミングも! この曲に限らず全編において、もう何年も前からこのバンドにいたかの様にグルーヴの要として強力なビートを提供していました。今回の来日でニッキーの虜になった人も案外多いのでは? さらに意外だったカヴァーはデヴィッド・ボウイの「Fame」。案外ストレートにミーターズ曲とかやってくれないんだな~、なんて思いながら、見事にダンプスタ色に染まった「Fame」、格好良かったです!

あと耳馴染みのない曲では「Blueswave」という曲。ブギっぽいハネたノリが印象的なアップ・テンポ曲で、今回のセットリストの中では異彩を放っていました。新曲ですかね? 「Put It In The Dumpsta」は彼らが昔からライヴでやっている定番曲。これも超ファンキーで格好良かった! ニッキー・グラスピーのドラムソロが圧巻だったのは「Lt. Dan」という曲。フェスという短いセットリストの中でニッキーのソロまで見せてくれたのは嬉しかったですね~。ビヨンセ・ファンの私としては、ここが今回のハイライトだったり。

ラストは07年リリースのデビューEPから「Meanwhile...」。ニューオーリンズらしい“間”が感じられるファンク曲ですが、中盤ではテンポを上げて8ビートに疾走する展開に。終始オルガンを弾いていたアイヴァンもここぞとばかりギターを持って中央に踊り出る。二人のベーシストと二人のギタリストが横一列に並んで繰り広げるロック・バトルに感客達も大盛り上がり。まさにバンド一丸!

いや~、それにしても凄まじいグルーヴでしたね。これぞまさに現在進行形ニューオーリンズ・ファンクですよ。ミーターズ的な濃密ファンク空間を受け継ぎながらも、よりファットに、よりタイトに弾けるグルーヴは、彼の地の瑞々しいパワーを感じさせられずにはいられませんでした。にしてもアイヴァン・ネヴィル、良いバンド作りましたね~。とにかく強烈なライヴ・バンドでした。個人的にはカッティングで終始アメーバ的な粘着グルーヴを醸していたイアンに1票入れたいです。

ちなみに私の見ていた位置からはステージ右奥の楽屋口がよく見えたのですが、そこには、ステージの様子を伺うダーティ・ダズン・ブラス・バンドのメンバー達がちらちら姿を現していました。そうです、この日のニューオーリンズ・パーティはまだ終わりません。次は真打ち、ダーティ・ダズン・ブラス・バンドの登場です!


この日のセット・リスト↓

01. Deeper
02. Everybody Want Sum
03. Water
04. Blueswave
05. If I'm In Luck, I Just Might Get Picked Up
06. Fame
07. Put It In The Dumpsta
08. Lt. Dan
09. Meanwhile...



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ノラ・ジョーンズ探検隊 その7

2012-11-14 01:00:13 | SSW
JIM CAMPILLONGO / AMERICAN HIPS

06年にリトル・ウィリーズがデビューした時は驚きました。それ以前にもドリー・パートンと共演する等、ノラ・ジョーンズのカントリー趣味は公になっていましたが、まさかカントリー・バンドを結成して丸々一枚カントリーの作品をリリースするとは思いませんでした。そこで聴けるノラ・ジョーンズのそれまでとはまた違う溌剌とした歌唱にも驚かされましたが、それ以上に衝撃的だったのはギタリスト、ジム・カンピロンゴの弾くカントリー・ギター! ギラッとした音色でユニークなフレージングを連発するそのリズミカルな切れ味は、これがカントリーか!という目から鱗の格好良さでした。って言うかカンピロンゴって誰?みたいな。

この人、サンフランシスコ出身でニューヨークに出て来たギタリストらしいんですけど、私はいまだにどういう人なのかよく分かりません。サンフランシスコ時代からセッション活動以外にも数枚のリーダー作をリリースしているようですから、現地では有名なギタリストだったことでしょうけどね。何せあのテクニックと個性ですからね~。ですがその名声もなかなか日本までは届いてこない訳で、まさにリトル・ウィリーズで突然降って沸いたかのようなインパクトだった訳です。

さて、そのカンピロンゴが03年にリリースした自己のトリオ名義による作品「AMERICAN HIPS」(写真上)。こちらにノラ・ジョーンズが2曲で参加しています。03年ですからリトル・ウィリーズのデビュー作より3年も前の話。ノラにとってもデビュー間もない頃でしょうね。注目は、ノラ参加の「Sweet Dreams」「Stella」の2曲のみトニー・シェアーの自宅でミキシングが行なわれていること。彼はノラやジェシー・ハリスのバックでも知られる人ですが、当時ローパドープに所属していたセックス・モブのベーシストでもありました。そうなんです、こんなところにもローパドープの影が…。ま、何でもかんでもローパドープにこじつけるのもいかがなものかと思いますけどね。ですがこの辺りのニューヨーク人脈はやはり気になるところ。

この「AMERICAN HIPS」、ジム・カンピロンゴのカントリーという枠には到底納まり切らない自由奔放な超絶ギターをたっぷり味わえます。その独特の音色、変幻自在のフレージング、揺れるように広がるコード感、まさにテレキャスの魔術師。そんな中、ノラ・ジョーンズの歌声が甘い清涼感を伴って優しく響きます。まず「Sweet Dreams」は、ドン・ギブソンのカヴァー。ドン・ギブソンと言えば「Oh Lonesome Me」など数々のヒット曲を持ち、レイ・チャールズで有名な「I Can't Stop Loving You」の作者としても知られますね。もちろんこの「Sweet Dreams」も凄く良い曲。ノラの歌声に寄り添うようなカンピロンゴのギターがまた良いですね。そしてもう1曲、「Stella」はカンピロンゴのオリジナル曲。歌詞は違う人が書いているようですけど。素朴なメロディーの良い曲ですね。そっと歌うようなノラの歌声のゆったりとしたナチュラル感に癒されます。間奏でのカンピロンゴのコード主体のプレイも素敵です。




JIM CAMPILLONGO / HEAVEN IS CREEPY

そしてこちらはリトル・ウィリーズのデビューと同年、06年リリースの「HEAVEN IS CREEPY」。こちらでも1曲、「Cry Me a River」をノラが歌っています。こちらはスタンダード・ナンバーなので、かなりジャジーな仕上がり。とは言え歌詞が歌詞ですからね、ノラの歌唱も思いのほかブルージーと言いうか、女の艶っぽさと冷たい虚しさを感じさせるような、なかなかの名演ですよ。この歌は来日公演で聴きたかったですね~。と言うのも、オープニング・アクトを務めたカンピロンゴはこの曲を演奏したんですよ!

正式公演としては7年振りとなったノラ・ジョーンズの来日ツアー。私は11月8日、武道館公演を観に行きました。オープニング・アクトとして登場したジム・カンピロンゴのトリオがまず演奏したのが「Cry Me a River」だったんです。先程、思わずノラの歌が聴きたかった的なことを書いてしまいましたが、いやはや、カンピロンゴのギターが奏でる叙情性も素晴らしかったです。とにかく音色の揺らし方が堪らない。あれはどうなってるんでしょうね?ナットの後ろをベンドしているようにも見えましたけど。とにかくその音程コントロールが絶妙。そしてその響きの幽玄な広がり方。まさに絶品!! そんな「Cry Me a River」で始まった彼のステージ、全部で6曲だったでしょうか? ペグを回してリフを弾いたりなんていう荒技も印象的でした。最後はジョニー・キャッシュの「Folsom Prison Blues」だったのかな? これぞカンピロンゴな切れ味で疾走するロッキン・カントリーで締めました。残念ながらノラとの共演はありませんでしたけどね…。

ジム・カンピロンゴ、また来日して欲しいですね。



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