ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ジョニー・ウィンター@ZEPP東京

2011-04-17 13:20:32 | ブルース
JOHNNY WINTER / CAPTURED LIVE!

4月13日、ジョニー・ウィンターの初来日公演初日に行ってまいりました! 場所はお台場のZEPP東京。ジョニー・ウィンターですよ!100万ドルのギタリストですよ! 何てったって1990年に中止になった幻の来日公演から20年越し、いや69年のデビューから数えればおよそ40年越しに実現した奇跡の初来日ですからね。

私が現地に着いたのは、ちょうど整理番号順の入場が始まった頃で、既に大勢のファン達がZEPP東京前に集まってました。私の番号は200番台だったので、まあまあ早い方だったのかな? 入場後、速攻で荷物をロッカーに入れ、フロアへ急ぐ。そしてステージに向かって右側の前から2列目をゲット。ステージ中央にはジョニーが座ると思われる椅子と、その真後ろに大きなアンプが置かれている。さらに後方には「JOHNNY WINTER」と大書された文字に赤いライトが照らされている。

初めのうちは余裕があったものの、徐々に人が入り始め、気がつけば前の方はかなりの密度に。さすがに年齢層はやや高め。私は20年前のチケットは買っていませんが、あの時涙を飲んだという方も近くに沢山いらしたのかもしれません。ジョニーの登場を今か今かと待ちわびる独特の緊張した雰囲気。待つことおよそ1時間。南部の荒くれもの的雰囲気の男がステージ中央に現れ、おもむろにマイクを持ち開演を告げる。大声援が巻き起こる中、まずはバンド・メンバーが登場。ドラムス、ベース、ギターというシンプルな編成。挨拶代わりにインストを一曲。ちなみに私の位置はベーシストの真正面でした。そしてこのインスト演奏中にいよいよジョニー・ウィンターが姿を見せる!!

ジョニー・ウィンターは1944年生まれですからね。もう67歳だそうです。流石に腰も曲がり、よたよたしてる雰囲気ですが、椅子に座り、ギターを弾き始めれば、一瞬にして本物のオーラを発散し始める。黒いヘッドレス・ギターにコーラス系のエフェクトがかかった歪んだ音色。親指にはめられたサムピック。うわ~、本物だー!って感じですよね。Tシャツから覗く腕の入れ墨、帽子を被った頭から垂れる白いさらさらのロング・ヘアー。まさしく本物だー! あのジョニー・ウィンターが初めて日本のステージに降臨した、歴史的瞬間です。周りは「ジョニー!」「ジョニー!!!」という声援で大騒ぎ。

場内騒然とする中、ジョニーを向かえて改めての1曲目はフレディ・キングの「Hideaway」。フレディ・キングと言えば、言わずとして知れたブルース三大キングの一人で、テキサス系を代表するギタリストですよね。実はジョニー・ウィンターもテキサス出身。1曲目にこれをやるあたり、まず“俺はテキサス流のブルース・ギタリストだ!"という意思表示による軽い挨拶みたいな。そしてこの曲で早くもドラム・ソロとベース・ソロが披露され完全に暖まった感じ。ちなみに私の位置ではやはりベースの音が一番大きく聴こえました。でもジョニーのギターも声もバッチリ聴こえる。しかし逆側にいるサイド・ギターの音がほとんど聞こえない。ほとんどトリオ編成のような状態。でもそれで充分だったりもする。なにせジョニーはバッキングからギター・ソロまで一人でガンガンに弾きまくってくれるから。もちろんサイド・ギターの音が聞こえればそれはそれで厚みがまして印象も違ったんだとは思いますけどね…。

さて、前半は「Good Morning Little School Girl」と「Got My Mojo Working」というブルースの名曲を続けてやったあたりが圧巻でしたね。前者はイントロを聴いただけで、あ!この曲!と分かるサニー・ボーイ・ウィリアムソン1世の名曲で、ジョニーがデビュー・アルバムで取り上げていた曲でもあります。このギター・リフを弾くジョニー・ウィンターを生で観れる幸せ。感無量でした。声も思ったよりよく出ていて、迫力ありましたね。そしてマディー・ウォーターズで知られる後者。マディと言えば70年代後半から80年代に掛けてジョニーのプロデュースで傑作を続けてリリースしたブルース界の巨人。そんな縁に思いを馳せながら堪能。そしてサビのコーラスでは観客とのコール&レスポンスで盛り上がる。2曲ともアップテンポの曲ですから、会場の反応も熱かったですね! そしてアップテンポと言えば「Johnny B. Goode」ですよ! これはデビュー当時からライヴのハイライトとなっていた十八番。ジョニーと言えば、そのルーツはブルースな訳ですけど、以外とロックンロールが凄かったりするんです。流石にこの曲は観客も期待していたようで、イントロが鳴り響くと同時に私の後方からももの凄い圧力がかかりおしくらまんじゅう状態に。しかしぎゅうぎゅうに鳴りながらも“GO! GO!”と声を上げる観客達。まさかジョニー・ウィンターでこんな感じになるとは!

そんなフロアの阿鼻叫喚とは裏腹に、ジョニー・ウィンターは終始椅子に座ったままギターを弾き、歌います。その間ほとんど動かない。表情も変えない。たまにネックを見たり、上を仰いだりする程度。基本的にどんなに盛り上がっても悟りの境地のような冷静さ。しかし出てくる音は熱い熱い! これぞ一つの道を極めし者の凄みですよ! もちろん全盛期のようには弾けない部分もあります。しかしそのプレイの押しの強さと言うか、音そのもののオーラが半端無い。そしてそこからは昔と変わらぬスピリッツをビンビンに感じましたね。枯れとは無縁のギター魂。流石は100万ドルのギタリストですよ! こういう人を“生涯ギタリスト”って言うんだな、と深く思いました。

中盤で印象的だったのはスロー・ブルース「Black Jack」ですね。初期の頃はB.B.キングのスローを得意としていた印象のジョニーですが、今回はレイ・チャールズです!97年のライヴ盤でも演奏されているので、近年はこれがお気に入りなのかもしれませんね。どっぷりとしたフィーリングを醸すギターのコード感が、存在感抜群でした。格好良かった! そしてドラムスのヴィト・リウッツィが歌った「Tore Down」。さらに「Don't Take Advantage on Me」では後半ローリング・ストーンズの「Gimme Shelter」になると言う粋な展開。ジョニーと言えばこれまでに多くのストーンズ・ナンバーを取り上げてきてことでも知られてますから、ちゃんとその辺も押さえてくれてるあたり嬉しいですよね。

終盤は「Johnny B. Goode」と並ぶジョニーのロックン・ロール定番「Bony Moronie」。これは個人的にめちゃくちゃ聴きたかった曲なので上がりましたね~。そして本編ラストは76年の名ライヴ盤「CAPTURED LIVE!」での名演で知られる「It's All Over Now」。これも良かった! スウィンギーなバックの演奏も最高でした! そして拍手喝采のなか終了。演奏の迫力が嘘のように腰を曲げてよたよたとステージを後にするジョニー・ウィンター。もちろんまさかこれで終わりではありません。鳴り止まない拍手にジョニーが再登場。今度はまってましたのファイアーバードを手にして座る。ここでまた私のいた位置では横からの圧力が激しくなり、期せずして2~3歩中央寄りへ流される。一段とジョニーが近くなる。そしてアンコールが始まる。ジョニーはここで初めて伝家の宝刀スライド・バーを滑らせる。エルモア・ジェイムス的な3連フレーズをギュンギュン鳴らす。しかし私の立ち位置が少し動いただけで音のバランスは激変し、歌声がほとんど聴こえない…。反響音ばかりがもやもや響いてる感じ。しかしジョニーのアンプに近づいたおかげでギターの音はより爆音に。直接ジョニーのアンプからスライド・ギター音がギンギンに響いてくる!感無量!

しかし歌が聞き取れないと、何の曲なのか意外と分からない。フレーズ的には「Black Cat Bone」あたりやってるのかな?なんて思いながら、ただただスライドの迫力にやられてました。あとでセット・リストを調べてびっくり、ストレートにエルモアの「Dust My Broom」だったんですね。そう来たか!そしてもう1曲スライドで披露してくれましたが、これも歌が聴こえない。でも目の前にジョニーが居る。そしてビュンビュン走る爆音スライドにただただ身を任せる。それだけで充分。そんな至福の一時。そして後からそれがボブ・ディランの「Highway 61 Revisited」だったと知ってびっくり!みたいな。

なにはともあれ、初来日を実現してくれたことに感謝。そしてジョニーの未だ衰えぬパッションに感動。来てくれてありがとうございました!!!



今回はメモをとらずに観たので、個人的にはセットリスト等、既に記憶の彼方なのですが、ネットで調べた結果こんな感じだったようです。間違ってましたらごめんなさいね。


01. (opening)
02. Hideaway
03. Sugar Coated Love
04. She Likes To Boogie Real Low
05. Good Morning Little School Girl
06. Got My Mojo Working
07. Johnny B. Goode
08. Black Jack
09. Tore Down
10. Lone Wolf
11. Don't Take Advantage on Me
12. Bony Moronie
13. It's All Over Now
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14. Dust My Broom
15. Highway 61 Revisited



*写真は76年の名ライヴ盤にして代表作「CAPTURED LIVE!」。この日のライヴでハイライトとなった「Bony Moronie」「It's All Over Now」「Highway 61 Revisited」を収録。音に込められたジョニーならではの熱と気迫は、今も昔も変わらなかった!!