ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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09年ベスト・アルバム 第1位!!

2010-01-20 18:24:56 | 2009年総括
第1位 : LEVON HELM BAND / @MERLEFEST

このライヴ盤は最高です!! 08年4月26日のマールフェストでのレヴォン・ヘルム・バンドのステージを収録したもので、元々は FESTIVALINK NET というライヴ音源のダウンロードを中心に販売しているレーベルから出されたもののようですが、これがめでたく日本盤として09年に発売になりました。

96年に咽頭癌を発症し、それから数年は声の衰えが激しかったそうですが、07年の「DIRT FARMER」、そして09年の「ELECTRIC DIRT」という2枚のスタジオ作で、完全復帰と断言出来るような元気な歌声を披露してくれたレヴォン・ヘルム。ですが果たしてライヴではどうなのだろう?という心配もありました。で、このライヴ盤なのです! 元気でした!もちろん若い頃と比べれば衰えていますよ。もうすぐ70歳ですからね。しかも咽頭癌を乗り越えてということを考えれば、奇跡的とも言える程元気な歌声を聞かせてくれているのではないでしょうか? それに年齢を重ねた味わいと渋みもまた格別。その声はしゃがれているけどハリがあり、独特のファンキーさと土っぽさに溢れています。そして何より愛嬌がある。この声が好きというか、なんか愛おしいんです。最高です!

ただ残念なことに、レヴォンの喉や体力を慮ってのことかは分かりませんが、全曲をレヴォンが歌っている訳ではありません。数曲はバック・メンバー達が入れ替わり立ち代わりでリード・ヴォーカルを務めていきます。しかしこのヴォーカリスト達が個性派揃いで、まるで南部のソウル・レビューやカントリー・レビューのような雰囲気を感じさせてくれて格好良いんですよ! バック・メンバーは、エイミー・ヘルム、ラリー・キャンベル、テレサ・ウィリアムス、ブライアン・ミッチェルといった、お馴染みのメンバーを核に、スティーヴン・バーンスタインを中心にしたホーン・セクションが入るという、ほぼ「ELECTRIC DIRT」と同じようなメンバー。さらにゲストにサム・ブッシュとブルース・ホーンズビー。もちろんレヴォンはドラムも叩いているようです。結局、最新作「ELECTRIC DIRT」が持つ芳醇な躍動感は、日頃のライヴで培われたもの、そのものだったという訳ですね。なんか納得です。そして前後しますがこの「@MERLEFEST」が曲目こそ違えど、そのライヴ版と言っても良いのかもしれません。

レヴォン・ヘルムが歌うザ・バンド時代の名曲「Ophelia」と「Rag Mama Rag」。感無量です。特にリズムが良いですね~。堪らないものがあります。そしてホーン隊が素晴らしい!泣きたくなりますね。もちろんレヴォンの声も最高です。この曲にこの声あり!!って感じです。そして前作「DIRT FARMER」収録の「Got Me A Woman」や「Anna Lee」。さらにボブ・ディランの「It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry」やレイ・チャールズの「I Want To Know」、ブルース・スプリングスティーンの「Atlantic City」などのカヴァー。どれもこれも熟成されたバンドの演奏とレヴォンの歌心とが溶け合った、ライヴならではの躍動感に満ち溢れています。

06年にレヴォンのライヴ・セッションを収めた作品「MIDNIGHT RAMBLE MUSIC SESSIONS」でフューチャーされたデルタ・ブルースマン、リトル・サミー・デイヴスが歌う「Everything’s Gonna Be Alright」と「Baby Scratch My Back」。それぞれリトル・ウォルターとスリム・ハーポのカヴァー。この人ももう相当のお歳だと思うのですが元気ですね~。 さらに、おそらくラリー・キャンベルが歌っていると思われる「Deep Elem Blues」、誰だか分かりませんがもの凄いしゃがれ声で歌う「The Shape I’m In」。これ誰ですかね? ブライアン・ミッチェルかな~。もちろんレヴォンの愛娘エイミー・ヘルムとラリー・キャンベルの奥方テレサ・ウィリアムスも素晴らしい美声とハーモニーを聴かせてくれます。この二人がまたカントリーな良い声なんですよ。

で、そんなヴォーカル陣以上に素晴らしいのがバンドの演奏。フォーク、カントリー、ブルース、ゴスペル、ニューオーリンズと、ありとあらゆるルーツ系ミュージックをごった煮にしたような演奏はまさにザ・バンド直系といった感じ。やはりギターからマンドリン、フィドルまで弾きこなすラリー・キャンベルの存在は大きいですね。それとピアノやアコーディオンでガンボなノリを演出するブライアン・ミッチェル。さらにスティーヴン・バーンスタインが率いるホーン隊。格好良いです!

最後を締める大名曲「The Weight」。レヴォンの絞り上げるような歌声が妙に染みます。女性陣のコーラスがまた良いですね。それにしても名曲ですよね~、この曲は。終わった後も極上の余韻を残す。そしてその余韻に浸りながらしばらく鳴り止まない拍手と歓声がこの日のコンサートの素晴らしさを物語っていますね。

これはまさにルーツ・ミュージックの桃源郷。来日してくれないですかね~。このメンバーで! 無理でしょうね…。