レフ・トルストイ 著
文庫で全4巻の長編だ。
しかしさすがに名作。読ませる。
1870年代のロシアを舞台に描かれる結婚・恋愛、そして幸福や神への想い。
ペテルブルグに住む政府高官の妻・アンナは、兄夫婦のトラブルを解決するために
夫と息子を置いてモスクワに赴いた。そこで出会った将校・ヴロンスキーに魅かれ、
禁断の恋に落ちる。
兄嫁の妹・キチイはヴロンスキーに心を寄せており、かなわぬことから病に倒れる。
一度は想いを断ち切り、夫のもとに戻ったアンナだが、ヴロンスキーはあとを追う。
夫が世間体を気にして離婚を承諾しない中、アンナはヴロンスキーの子を出産し、
瀕死の状態となる。何もできない事実に絶望するヴロンスキーだったが、やがて
手に手を取って外国へと逃れる。
キチイの病は癒え、以前から想いを寄せていた純朴な地主・リョーヴィンと結婚する。
人生について深く考えるリョービンは、時間と愛情と誠実さでよき家庭を築く。
帰国したアンナとヴロンスキーは偏見の目にさらされる。離婚も遅々として進まず、
絶望のあまり、アンナは列車に身を投げる。
そして残されたヴロンスキーは義勇軍を編成し、トルコとの戦争に向かう。
って書くと、不倫は罪、神は真実という勧善懲悪的な物語に思えるけれど、
そうでもない。根底に走るものがそうであっても、絡み合う複雑な人間関係と
お互いに与え合う影響、そしてそれがもたらす結果はさまざまで、しかも
それぞれが成長をしていく。
仕事一筋のアンナの夫だが、妻の事件で嘲笑を浴びてもくじけず、息子の将来のために、
いずれ捨てられるであろう妻のために耐えることを選ぶ。
母に捨てられた息子は、不安定な心を抑えつつ、父の理想の子であろうとする。
そしてアンナは自分の心に正直に生きようと願う。
アンナの物語は華やかだが、実はメインの座はリョービンにある。
彼が死について考え、神との関係をつきつめていく場面は本当に深い。
夫婦愛・親子愛をじっくり育てる人柄は実に魅力的。
そして、都会的な物語に農村という視点が加わって面白さが増す。
気合を入れないとなかなか読めないけれど、
当時の風俗・歴史・文化を理解するのにも役立つ。
文庫で全4巻の長編だ。
しかしさすがに名作。読ませる。
1870年代のロシアを舞台に描かれる結婚・恋愛、そして幸福や神への想い。
ペテルブルグに住む政府高官の妻・アンナは、兄夫婦のトラブルを解決するために
夫と息子を置いてモスクワに赴いた。そこで出会った将校・ヴロンスキーに魅かれ、
禁断の恋に落ちる。
兄嫁の妹・キチイはヴロンスキーに心を寄せており、かなわぬことから病に倒れる。
一度は想いを断ち切り、夫のもとに戻ったアンナだが、ヴロンスキーはあとを追う。
夫が世間体を気にして離婚を承諾しない中、アンナはヴロンスキーの子を出産し、
瀕死の状態となる。何もできない事実に絶望するヴロンスキーだったが、やがて
手に手を取って外国へと逃れる。
キチイの病は癒え、以前から想いを寄せていた純朴な地主・リョーヴィンと結婚する。
人生について深く考えるリョービンは、時間と愛情と誠実さでよき家庭を築く。
帰国したアンナとヴロンスキーは偏見の目にさらされる。離婚も遅々として進まず、
絶望のあまり、アンナは列車に身を投げる。
そして残されたヴロンスキーは義勇軍を編成し、トルコとの戦争に向かう。
って書くと、不倫は罪、神は真実という勧善懲悪的な物語に思えるけれど、
そうでもない。根底に走るものがそうであっても、絡み合う複雑な人間関係と
お互いに与え合う影響、そしてそれがもたらす結果はさまざまで、しかも
それぞれが成長をしていく。
仕事一筋のアンナの夫だが、妻の事件で嘲笑を浴びてもくじけず、息子の将来のために、
いずれ捨てられるであろう妻のために耐えることを選ぶ。
母に捨てられた息子は、不安定な心を抑えつつ、父の理想の子であろうとする。
そしてアンナは自分の心に正直に生きようと願う。
アンナの物語は華やかだが、実はメインの座はリョービンにある。
彼が死について考え、神との関係をつきつめていく場面は本当に深い。
夫婦愛・親子愛をじっくり育てる人柄は実に魅力的。
そして、都会的な物語に農村という視点が加わって面白さが増す。
気合を入れないとなかなか読めないけれど、
当時の風俗・歴史・文化を理解するのにも役立つ。
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