息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

金色の獣、彼方に向かう

2015-02-05 20:51:42 | 恒川光太郎
恒川光太郎 著

鼬に似た不思議な生き物をめぐる4つの物語。
それは時空を超えて心に響いてくる。

他にない世界観は期待通り。
そして、どの時代を描いても、どんな土地を語っても、
まったく違和感がなく、すっと入り込めるのはさすがだ。

著者によるとこの獣は鎌鼬だという。
人につき、心をあやつり、知恵を授ける生き物。
それがよいものであるか、悪いものであるか、
ひとことでいうことはできない。
ただ、それは人の心の弱さを知り、いつの間にか大きな
影響を与えていく。

特に好きなのは「風天孔参り」。
樹海に現れる穴のようなものに飛び込むと、自身を
終えることができる。
それが何とも美しくそしてあっけない。
そしてそれを探しながらあてどもなく歩く一行は
巡礼のような雰囲気があるのだ。
昔からの歴史があって、代々の案内人がいて──
何とも奇妙でありながら、ごく普通に受け入れられている感じ。
自分の暮らしのすぐ隣にある感じがとてもいい。

登場する男たちがとても普通で、それでいて魅力的だ。

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