息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

心臓と左手 座間味くんの推理

2013-04-05 10:24:43 | 石持浅海
石持浅海 著

警視庁の大迫警視が仕事でかかわった事件について語り、
かつて“あのハイジャック事件”で活躍した“座間味くん”が
そこに思いもかけない解説を加える短編集。

大迫は現職なので、いま動いている事件ではなく、同僚から聞いた話や
過去に起こった事件がテーマになる。
だから、座間味くんの推理が直接犯人逮捕につながるわけではないが、
そこに新たな視点が加わり、思いもかけない解決の糸口が見える。

しかしあくまでも世間話テイスト。わかっていてもそのままにすることもあり、
そこは関係者の感情や周囲の状況に応じて、という感じだ。

男ふたり書店で待ち合わせし、美味しい肴を食べ酒を飲む。
これがとてつもなく楽しそうでうらやましい。
頻繁に会うわけでも、年齢が近いわけでもなく、仕事上の関係もない。
しかし頭の回転の速さや正義感は共通するものが多く、絶妙な組み合わせ。
切れるってこんなことなんだなあと思う。

最終話の「再会」は、大迫と座間味くんの出会いのきっかけとなった
“あのハイジャック事件”の続編となる。
人質だった幼児が11年後に抱える問題の重さ、事件の影の暗さはつらい。
しかし、それを乗り越えて自らの将来を切り開こうとする姿は頼もしい。
人間の弱さや強さってなんだろうということを改めて考えた。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿