哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

選挙の不毛

2012-12-03 01:44:44 | 時事
いよいよ衆議院選挙だそうだが、多くの新設政党が乱立して、一つの政党が大勝ちする前提にないので、ますます選挙後の混乱が予想されている。前回は民主党が大勝ちしたが、マニュフェストがほとんど実施できず、増税なき財政再建は全くの気泡となった。今回の選挙で自民党の与党返り咲きが予想されているが、民主党以前の政治体制にもどることは期待されているわけではなく、自民党でさえ消去法の末の選択にすぎないし、過半数にはなりそうもない予想だ。

選挙民からすればもっとも不満なのは、報道で見ている限り、国のリーダーとしてふさわしい政治家が見当たらないことであろう。リーダーとしての資格は、かつて塩野七生さん文藝春秋誌で列挙していた(説得力や自己制御力など)が、日本の政治家は全ての条件を満たす人はいなさそうだ。しかし、ふさわしい政治家がいないと嘆くばかりでは、全く進歩というのはないのだろう。

民主主義は自分のことは自分で決めることが本質だ。代表者を選ぶということは、結局選ぶ側の見識も反映する。池田晶子さんもさんざん書いているが、国民が自らと同類の政治家しか輩出できないのは当然の道理だし、それで国家が破綻するのなら自業自得と言えよう。つまり、他国と比較してリーダーにふさわしい政治家がいないとすれば、それが国民自身を鏡のように反映しているだけだ。

では、改善策は何かあるか。それはきっと単純なことであるが、一朝一夕にはいかない。というのは、それは国民が自ら精神的に向上することしかないからだ。国民総体だと想像しづらいだろうが、要は一人一人が精神的に向上すべく努力をする他ないということだろう。国民の精神力の向上というとすぐ教育の話になるが、しかし教育制度に依存しているだけでは、すぐに他人事のようになってしまう。そうではなくて、自らや家庭内で、そして地域社会の中で、精神的に向上して行く努力をする他ないのではないか。草の根運動とか言われたりするが、決してイデオロギー的にもならず、もちろん宗教的にもならず、かつての寺子屋のようなイメージでもいいが、とにかく足元から改善する努力を一人一人がしていく必要がある。

そういう点に関連して、古典を読むことを勧める本が少ないながらも本屋に並んでいるのはいいことだろう。あともう一つ早く実現してほしいのは、テレビの低俗な番組をやめさせることだ。これは国民がその番組を見なければ済む話だが。