哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

独裁の橋下氏

2011-12-12 01:55:55 | 時事
大阪のW選挙で、独裁でよいとまで自ら発言する橋下氏が圧勝したという。この話題は、池田晶子さんならきっと触れたであろう。いろいろメディアで評されるように、どこか小泉純一郎氏のやり方と似ている。小泉氏は自民党をぶっ壊すと言い、郵政民営化のワンテーマで解散総選挙を行った。橋下氏は、大阪市役所をぶっ壊して、大阪都を作るといい、その構想のワンテーマでW選挙を仕掛けたというわけだ。

小泉氏についてなら、池田さんも何度か書いているので、代表的なものを引用してみよう。


「命をかけていると絶叫する政治家に、人々はコロリと参ってしまう。私は改革に命を賭けている。改革を止めるな!
こう叫びあげられると、人々は、その「改革」の内容が何なのであれ、あるいはその改革はじつは改悪かもしれないのであれ、自らの判断を停止して、ついて行ってしまうのである。
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私は、政治家がスローガンを絶叫する時代は、よくない時代だと思う。政治家の本来は、複雑な利害関係の調整以外ではないのだから、スローガンの絶叫により切り捨てられるものが、多々あるに違いない。そのことに思いを到さず、当面のわかりやすいスローガンについて行くなら、遠からず破綻するのではなかろうか。」(『知ることより考えること』「絶叫首相とその時代」より)



橋下氏の選挙での主張も、行政システムの改革によって財政の無駄を省くというのだから、スローガンはわかりやすい。しかし、報道では多くの人が大阪都構想自体はよくわからないという。要するに、中身はよくわからないが、何かやってくれそうだという期待感による橋下氏への投票が大勢なのだろう。

わかりやすいスローガンで選挙を勝ったのは、今の民主党も同じだったかもしれない。配布したマニュフェストは結局実現不可能だったのに、政治主導というスローガンを掲げて圧勝した。そしてそれがその後破綻したのは、見ての通りだ。

わかりやすいスローガンで誤った選択をしないためには、どうすればいいか。スローガン以外の政治家の言葉に注目する他はないと思うが、いっそ選挙ではスローガンを禁止するということも考えられる。スローガンがなければ、選挙公約をもう少しよく考えて投票するかもしれない。