かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

韓国ミネサクラブ、来訪の記(1)--「人の本性に適した社会」出版を通して

2012-08-29 17:45:58 | アズワンコミュニテイ暮らし

 津の海は、真夏の太陽のもと、蒼い海原がうねり、白波が岸に打ち寄せていた。

 津なぎさ港に白亜のフェりーが着岸。

 デッキが下される、迎えにきたとき、一番ドキドキする瞬間・・・

 今回は、兄弟(?)の船田さんと迎えに来た。

 

 はじめに、ユ・サンヨンさんと目が合う。これで、落ち着く。 

 ユ・サンヨンさんとは、20余年のつきあい。

 通訳で、付き添ってくれている。

 今回の来訪は、8月22日~24日まで、韓国ミネサクラブのメンバー5名。

 一人ひとりと、あいさつ。

 

 もう、正午を過ぎている。。

 なには、ともあれ腹ごしらえ。港のターミナルで、おふくろさん弁当の

スペシャルをいただく。


 

 ユ・サンヨンさんは、この7月、「人の本性に適した社会」という本を韓国で

出版した。

 今年のはじめから、原稿をもって、いくつかの出版社を回り、さいごに

ミネサクラブの出版部に出会った。

  原稿の内容を理解してもらって、出版にいたった。

 

 ユ・サンヨンさんは、3年前、それまで暮らしていた共同体を離れた。

 鈴鹿にあるサイエンズ研究所の活動に共鳴して、韓国でもサイエンズに

基づく人間や社会の究明、その実践活動を始めた。

 今は、仁川(インチョン)に近い、江華島に家族とともにペンションを開き、

人との出会い、サイエンズによる社会づくりを実在させてきた。

 

 そのなかで、出会ったのが、出版元のミネサクラブの人たち。

 まことに、不思議といえば、不思議。

 ユ・サンヨンの本のなかにあるアズワンコミュニテイを是非、訪ねてみたい、

と今回の来訪になった。


 

  津なぎさ港から、40分。鈴鹿サーキット近くにあるサイエンズスクール

研修所に落ち着く。ここに、4日間滞在する。

 

 夕食の前、自己紹介やら、ミネサクラブのこととか、アズワンコミュニテイー

の概要を出し合った。

 

 韓国ミネサクラブの人たちの自己紹介。

 

イ・ワンキョさん 51歳

 韓国ミネサクラブの代表。

 「ミネサクラブというのは、どういう意味ですか?」

 「”未来にむけて前へ進む”というハングルを略した造語です」とイ、さん。

ーーミネサクラブは、1996年に設立しました。物質と精神の両立を

   究明してきた。

    人の内面の意識やその根源を観てきた。その内容を月刊誌で

   会員に公開し、講座を開設して、それを体験する機会もつくって

   きた。専門会員500人、一般会員1000人。いま、個の内面世界

   の解決にとどまらず、内面を探求し合う、”教育”(?)共同体づくり

   に着手しはじめている。鈴鹿での経験を学びたい。

 

カン・ホギさん 57歳


 ーー25年、事業を手掛けてきた。実は、若いときから共同体を妻とやって

    きたんです。キリスト教をベースにしていた。あるとき、じぶんのなかに

    宗教性を超えた本質的な問いが芽生えた。共同体に尽くすことが、

    じぶんや家族の満足につながっているのだろうか?

     それで、共同体を離れた。失敗の体験だった。ミネサクラブで、その

    原因をさぐっている。「人の本性に適した社会」を読んで、親しい間柄と

    というところに関心がある。コミュニテイーにも、希望があるんじゃないか?

 

オ・テホさん  57歳

 ーー”テホ”という名前は、”大きな虎”という意味です。”おおいに、吠える”ので

    許してください。食べ物のフランチャイズ会社のオーナーをしています。

     事業面の満足だけでは、何か足りないものがあります。ミネサのホルロス

    研究所のプログラムコースにも参加しました。

     いまは、資本主義的な面と社会主義的な面の両立は可能か、そこに

    関心がある。

 

 「ホルロス研究所のプログラムコースというのは、どのように行われて

いるのかな?」

 イ・ワンキョさん「二泊三日のコースを、二か月かけて、二回受講します。

そのあとは、一週間ごとに、インターネットなどで、連絡をとりあいます。

コースの会場は、ソウルから離れた田舎にあります」

 

チェ・スンヒ  41歳

 彼は、ホルロス研究所で、コース開設の実務的な仕事をしている。

 ーー日本が大好きなんです。子どものときから、日本の漫画の

    ファンです。

    人って、お金や欲望から、なかなか離れられないんじゃない

    ですか?アズワンコミュニテイーが、科学的に、固定がなく、

    そのことを実際の暮らしのなかで、どう解決しているのか?

    知りたい。

 

キム・ミヨンさん  65歳


 今回、来訪のなかの紅一点。

 --心理相談の仕事をしている。瞑想もやっています。ミネサのプログラム

    コースにも参加しています。出版された本を読んで、内容がお釈迦さま

    の言われていることに通じていると感じました。実際が、どうなっている

    か、ぜひ観させてほしい。

 

 5名の一人ひとりから、静かだけど、アズワンコミュニテイーの実際へ

の関心の高さが伝わってきた。

 

 小野雅司さんが、「アズワンコミュニテイ鈴鹿」というリーフレットのうち、

”アズワンコミュニテー鈴鹿 ストーリー”のページを読んで、すこし解説

しはじめた。

 ストーリーでは、「2001年、有志が集い、新しい社会の試みがスタート

した」とある。

 いつもの探訪DAYだと、この辺は割合、説明すると、だいたい次に

行ける。

 

 ミネサクラブの人たちはそうはいかなかった。

 「小野さんは2001年、なぜそれまで活動していた共同体から

離れたのか?」

 「離れるときの、もっとも本質的なテーマはなんだったか?」

 「小野さんが新しくはじめるというとき、新しいの核心はどこか?」

 

 ほんというと、そのやり取りは、いまとなっては、よく覚えていない。

 小野さんに向けられて問いかけというのにとどまらない。

 残っているのは、そのように考えるもとはどんなものか?と

どこまでも問いかけてくる”熱いもの”だ。

 まあ、だんだんお互いが分かり合えてきてから、おもむろに本題に

入りましょう、といったスタイルではない。

 どんどん、内面の深みに下りて、どうなっているのか、自身をみつめる

事態になっていた。

 

 

 その夜は、歓迎の夕食会。

 お寿司や手作りの料理など。

 ことの流れで、新しい人も参加しているので、ちょっと詳しい自己紹介を

もう一度・・・

 

 とはいっても、一人ひとりの話から、話題がどんどん内面の出来事を

各自が振り返る流れになっていく。

 型にはまっていない、というか、これほど、近しい間がらが、この食事会で

どうして出来たのか、あとでおもうと、不思議。

 

 「夫婦のことでは、ずいぶんしらべてきています」とぼく。

 「冷蔵庫を開けると、いつもいっぱいで、ごちゃごちゃ。妻には、なんとか

ならんのか、と責めていた。検討する機会のとき、そのじぶんの実例を

出してじぶんの中を観察した。観ていくと、じぶんの感覚に過ぎないものを、

”こうだ”と決めつけている自分に気づいた。みんなから、おおいに笑われた」

 たまたま、同席していた妻への問いかけ。

 「奥さんは、どうおもったのか?」

 「責められたというのが、なくなったというけど、なにがかわったのか?」

 「その変わったというところは、なにか悟りというようなことがあったのか?」

 

 けっこう、鋭い問いかけが、和やかなうちにも、ちょっぴり耳を澄ますような

空気のもとで繰り返された。

 妻は「悟りといことはわからないけど、そんなところを探っています」と

応えていた。


 いちばん若いチェさんが「ぼくんところの夫婦も、同じことしてます」と

親しそうに握手をしてきた。大笑い。

 

 さあて、明日からどんな感じになるだろう。

 歓迎夕食会は、和気藹々、しかも究明を楽しむ空気のなかでお開きに

なった。


                              (つづく)

 

 

 

 

 

 

 


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