台風21号が日本列島に近づいてきている。
雨がシトシト降っている。
鈴鹿の街になるのか、津の街にあるのか、その境目に鈴鹿大学がある。
その近くに、ミモーザという喫茶店がある。
週のうち、水、木、金の3日だけ営業している。のんびりしている。
娘とその喫茶店でデートした。
カーナビ見ながら、娘が運転した。
ふと、子どものころ、娘を乗せて、運転していたこと思いだした。
だから、どうということはない。
娘と二人きりでお出かけは何年ぶりだろう。
「デートしないか」ラインでぼくが誘った。
「いいよ」と娘。「金曜がいいな」
ぼく「何時?」娘「13時30分」
思いつきのデートが、何となく、ごく当たり前に決まった。
喫茶店は、木のあしらえの家屋で、店内の机やカウンターは
むくの板材を使っている。椅子、洒落た木の椅子。
坐ったカウンターの外は、樹木が植えられていて、重なった
葉が、外からの淡い光で陰影をつけて、眺められる。
「うん、落ち着くね」と二人。
このお店、ずいぶん前に、木工所をやっている油田洋一郎さん
から聞いていた。行ってみたいと思いながら果たせなかった。
油田さんの妹奈々子さんは、いまブラジル暮らしをしている。
「5年ぐらい前から来て見たいと思っていたんです」
メニューを聞きに来たママさんに声をかけた」
「そうですか、ここははじめて15年になりますよ」とママさん。
ママさんといっても、もう68歳だと聞いた。
「ここは、建築家の須賀幹夫さんのはじめての作品で、そのとき
家具は油田さんにつくってもらったのよ」
そうか、そういう話、油田さんから聞いていた。
とすると、それから、15年も経つんだ。
娘はコーヒーとチョコレートケーキ。
ぼくは、安曇野リンゴジュースとシフォンケーキ。
デートってたって、何か特別に用件があるわけではない。
ポツン、ポツンと思いついたことをしゃべっていた。
こんな時間いいもんだなあ、と思った。
娘はどうだったかな?
「いまは、ずいぶん楽に暮らせているなあ、って思う。
お弁当屋さんの配達は楽しい。無理せんときと声かけて
もらってる。気持ちにゆとりが出来て、子どもたちが学校
に行っている間、自分の心がいろいろ動いているの、そのまま
見る(?)のって、面白い」と娘。
「心の動きをそのまま見るって、てかあ」
「サイエンズゼミ、出てるでしょ。面白い。少し前に、子どもの
家の集中検討会があって、そのとき、心の状態が”理に適った
姿”と入ってくる瞬間があって、それから、それってどういうことか、
見ていくのが面白くなって」
「うーん、そうかあ」
「いろいろな気持ちが出てくるけど、それをダメだとしないで
みていきたいなあ」
「うーん・・・」
喫茶店の外は、雨が垣根の葉に当たって、滴となって光っている。
何かしら、ほのぼのとした気持ちに満たされていた。
帰路は、「カーナビなしでも行けるだろう」と娘。
「あれ、こっちじゃないか」
「あれ、行き過ぎた」
「ここ戻ったら、行けるはず」
4,5回車の向きを変えたりしながら、なんとか自宅に戻ることが
できた。
「デート、またしたいね」
「うん」と娘は言った。
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