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熊野川河口に鎮座する熊野速玉大社は、本宮・那智とともに熊野三山の一つに数えられています。
この社は神倉山の巨石ゴトビキ岩をご神体とする自然崇拝を源とし、この岩に降臨した
熊野神を現在地に遷したことから、神倉山の元宮に対して新宮ともよばれるようになりました。
創建は景行天皇の時といわれますが、明らかではありません。
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新宮駅から商店街を通り抜けるとやがて熊野速玉大社の鳥居が見えてきます。
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朱塗も鮮やかな大鳥居をくぐるとすぐ右手に八咫烏(やたがらす)神社と手力男神社、
さらに参道を進むと神宝館があります。
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鳥居の神額には「熊野権現」の文字が見えます。
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八咫烏は『古事記』や『日本書紀』に登場し、神武東征の際に活躍した烏です。
九州から東をめざした神武天皇は、大軍とともに大阪湾に上陸し大和に
向かおうとしましたが、生駒越えで失敗し、紀伊半島を南に迂回して
那智海岸に上陸、熊野神を従えて大和を目指します。
この時、天照大神が八咫烏を派遣し、神武天皇はこの烏の案内で吉野川を下り、
宇陀から大和へ入り、やがて日本初代の天皇として即位しました。
熊野三山には、それぞれに意匠の異なる八咫烏の故事に由来する
「熊野牛王符(くまのごおうふ)」があります。烏文字と宝珠をデザインし、
そこに「日本一」の文字を入れたお守り札です。
国宝300余点を含む1千点あまりの文化財を保管管理している熊野神宝館。
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熊野神宝殿の前にたつ武蔵坊弁慶の像。
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参道左手には、高さ20mを超えるナギの大樹(国天然記念物)があります。
樹齢八百年のこの巨木は、社殿落成記念の際、平重盛手植えと伝えられています。
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神門神額には「全国熊野神社総本宮」の文字。
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社務所と鈴門
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杉と楠の緑を背にした社殿。
神門を入ると12柱の神々を祀る丹塗りの豪華な社殿が並んでいます。
向かって左に拝殿がありその後方に那智の主神「夫須美大神」を祀る第一殿、
新宮の主神「速玉大神」を祀る第二殿、
正面には本宮の「家津御子大神(けつみこのおおかみ)」を祀る第三殿、
「天照皇大神」を祀る第四殿があります。以上を「上四社」といいます。
第四殿の右側には「中四社」(5殿から8殿までの相殿)
「下四社」(9殿から12殿までの相殿)が並んでいます。
自然崇拝の上に神々が祀られた熊野が神仏習合にともなって
仏や菩薩が衆生を救うために、仮(権)に神として姿を現したという権現信仰が展開し、
熊野三山では、それぞれの主祭神三所に九所の祭神が合祀され
熊野十二所権現として信仰されました。
ちなみに、三山ではほぼ共通する12の祭神を合祀する独特の祭祀形態をとっています。
当時の人々は、夫須美大神、速玉大神、家津御子大神としてよりも、親しみやすい本地仏の
千手観音(那智)、薬師如来(新宮)、阿弥陀如来(本宮)として拝んだと思われます。
大しめ縄のかかる拝殿。
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拝殿内部。神額には「日本第一大霊験所根本熊野権現拝殿」の文字。
この他境内に祀られている摂社末社。
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社殿右手に熊野恵比寿神社
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恵比寿神社の横には新宮神社。
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神門の外の参道右手に祀られている熊野稲荷神社
熊野御幸(熊野速玉大社)
『アクセス』
「熊野速玉大社」和歌山県新宮市新宮
JRきのくに線「新宮」駅より 熊野交通バス「権現前」下車すぐ、又は徒歩約20分
『参考資料』
「和歌山県の地名」平凡社 「和歌山県の歴史散歩」山川出版社
別冊太陽「熊野異界への旅」平凡社 五来重「熊野詣」講談社学術文庫
佐藤高「古事記を歩く」知恵の森文庫 加藤隆久「熊野大神」戒光祥出版