
元・徴用工や元・挺身隊を巡る訴訟で、韓国の最高裁が10月30日に新日鉄住金に、11月29日に三菱重工に、それぞれ賠償を命じる確定判決を言い渡して、日韓関係はもはや風前の灯のような心許ない状況に陥ってしまった。
神戸大学の木村幹教授によると、徴用工問題は、慰安婦問題と違って、必ずしも左派的な組織(慰安婦問題で言うところの挺対協のような)の動きというわけではなく、むしろ当事者の力が大きいらしい。しかも元・徴用工は、元・慰安婦と違って、自ら進んで日本統治に協力した者として親日派に分類されがちで、時に補償を受ける権利をも否定された歴史があるため、韓国政府が右派にせよ左派にせよ、その不誠実な姿勢に対して根強い不満を抱いているという。そのため、韓国政府は、徴用工問題で日本に挑戦しようとする状態にはなく、むしろ元・徴用工の反発をなんとか抑え込み、落としどころをどこに見出すべきか苦慮しているのではないかと、専門家らしい冷静な分析をされていた。
この徴用工問題に関して、文在寅大統領は反日というわけではなく、単に関心が低いだけだと解説する専門家もいる。まあ、そうかも知れない。そうすると問題は、文在寅大統領の八方美人的な姿勢にあるように思われる。あの微笑を(と言うより、ニヤついた顔を、私自身はどうしても好きになれないのだが)思い出せば分かるように、誰にも良い顔を見せようとして、余り上手く行っているようには思えない。国内にあっては国民生活第一を公約に掲げ、雇用拡大や賃上げや格差解消など(バラマキだの大衆迎合だのと非難されつつ)約束したのはいいが、実際の最低賃金引上げは中小企業や個人経営者を圧迫するため中途半端に終わり、雇用や投資は一向に改善しないから国民の失望を招いて政権支持率は下がるばかりだ。北朝鮮に対しては、そんな国内のテイタラクから目を逸らせようと(あるいは北朝鮮を経済活性化の起爆剤にしようと)、朝鮮戦争の終戦宣言と南北融和と経済協力を呼びかけるなどして前のめりで、欧米主要国にも北朝鮮・制裁緩和の口添えをして、依然、非核化の兆しは見えないものだから、欧州諸国からは相手にされず、米国からは(北朝鮮のスポークスマン、日本流に言うと使いっ走りかと)却って不信感を招く始末だ。逆に、米国からは、非核化こそ朝鮮半島の経済的繁栄と永続的平和の実現に向けた唯一の道であることを北朝鮮に確実に理解させるべく、北朝鮮制裁を厳格に履行していくことが重要であるとクギを刺されてしまった。そして日本には未来志向を唱えながら、徴用工問題や慰安婦不問題で過去に拘わり続け、日本国政府だけでなく日本国民からも不信感を招いている。
更に徴用工問題は、北朝鮮問題と連動している疑いもあるから、ややこしくなる。最近、北朝鮮は、慰安婦20万人、強制連行数十万人などと言いがかりを始めた。1965年の日韓基本条約の日朝版成立を睨み、日朝間の問題を大きくしようとしているやに見える。韓国の政界にスパイが入り込み策動しているのではないかと、日韓の外交筋は警戒しているらしいし、結果として、北朝鮮を最重視する民族派の文在寅大統領にとってプライオリティが低い日本に、様々な問題のシワ寄せが来る算段となる。
安全保障関連のあるシンポジウムで、仮に米国経済が好調を持続し、金利が上がり続けると、いずれ韓国などの新興国から資金が引き揚げられ、韓国は深刻な金融危機に陥り、それでも日本国政府は心情的(国民感情的)には助けたくないだろうが、日本が助けなければ韓国は中国に近づくことになりかねず、安全保障上、厄介なことになる・・・といった議論があった。
かつて吉田茂・元首相は「一国の政治形態は、その民族の性格およびその歴史の産物である」と喝破されていた。ブログで韓国を取り上げると、決まって結論は、韓国は困った国である、というところに落ち着いてしまうのは、何も今に始まった話ではなく、福沢諭吉さん(あるいは陸奥宗光さん)以来の課題なのだ。何しろ日本は地理的に見ると朝鮮半島という「渡り廊下」の先にある「奥座敷」であって、大陸情勢に無関心ではいられず、とりわけ「渡り廊下」がグラついていては困るのだ。
上の写真は最近の東京タワー。お色直し中のよう。スカイツリーと違って、武骨でレトロな佇まいは、いつ見ても飽きない。
神戸大学の木村幹教授によると、徴用工問題は、慰安婦問題と違って、必ずしも左派的な組織(慰安婦問題で言うところの挺対協のような)の動きというわけではなく、むしろ当事者の力が大きいらしい。しかも元・徴用工は、元・慰安婦と違って、自ら進んで日本統治に協力した者として親日派に分類されがちで、時に補償を受ける権利をも否定された歴史があるため、韓国政府が右派にせよ左派にせよ、その不誠実な姿勢に対して根強い不満を抱いているという。そのため、韓国政府は、徴用工問題で日本に挑戦しようとする状態にはなく、むしろ元・徴用工の反発をなんとか抑え込み、落としどころをどこに見出すべきか苦慮しているのではないかと、専門家らしい冷静な分析をされていた。
この徴用工問題に関して、文在寅大統領は反日というわけではなく、単に関心が低いだけだと解説する専門家もいる。まあ、そうかも知れない。そうすると問題は、文在寅大統領の八方美人的な姿勢にあるように思われる。あの微笑を(と言うより、ニヤついた顔を、私自身はどうしても好きになれないのだが)思い出せば分かるように、誰にも良い顔を見せようとして、余り上手く行っているようには思えない。国内にあっては国民生活第一を公約に掲げ、雇用拡大や賃上げや格差解消など(バラマキだの大衆迎合だのと非難されつつ)約束したのはいいが、実際の最低賃金引上げは中小企業や個人経営者を圧迫するため中途半端に終わり、雇用や投資は一向に改善しないから国民の失望を招いて政権支持率は下がるばかりだ。北朝鮮に対しては、そんな国内のテイタラクから目を逸らせようと(あるいは北朝鮮を経済活性化の起爆剤にしようと)、朝鮮戦争の終戦宣言と南北融和と経済協力を呼びかけるなどして前のめりで、欧米主要国にも北朝鮮・制裁緩和の口添えをして、依然、非核化の兆しは見えないものだから、欧州諸国からは相手にされず、米国からは(北朝鮮のスポークスマン、日本流に言うと使いっ走りかと)却って不信感を招く始末だ。逆に、米国からは、非核化こそ朝鮮半島の経済的繁栄と永続的平和の実現に向けた唯一の道であることを北朝鮮に確実に理解させるべく、北朝鮮制裁を厳格に履行していくことが重要であるとクギを刺されてしまった。そして日本には未来志向を唱えながら、徴用工問題や慰安婦不問題で過去に拘わり続け、日本国政府だけでなく日本国民からも不信感を招いている。
更に徴用工問題は、北朝鮮問題と連動している疑いもあるから、ややこしくなる。最近、北朝鮮は、慰安婦20万人、強制連行数十万人などと言いがかりを始めた。1965年の日韓基本条約の日朝版成立を睨み、日朝間の問題を大きくしようとしているやに見える。韓国の政界にスパイが入り込み策動しているのではないかと、日韓の外交筋は警戒しているらしいし、結果として、北朝鮮を最重視する民族派の文在寅大統領にとってプライオリティが低い日本に、様々な問題のシワ寄せが来る算段となる。
安全保障関連のあるシンポジウムで、仮に米国経済が好調を持続し、金利が上がり続けると、いずれ韓国などの新興国から資金が引き揚げられ、韓国は深刻な金融危機に陥り、それでも日本国政府は心情的(国民感情的)には助けたくないだろうが、日本が助けなければ韓国は中国に近づくことになりかねず、安全保障上、厄介なことになる・・・といった議論があった。
かつて吉田茂・元首相は「一国の政治形態は、その民族の性格およびその歴史の産物である」と喝破されていた。ブログで韓国を取り上げると、決まって結論は、韓国は困った国である、というところに落ち着いてしまうのは、何も今に始まった話ではなく、福沢諭吉さん(あるいは陸奥宗光さん)以来の課題なのだ。何しろ日本は地理的に見ると朝鮮半島という「渡り廊下」の先にある「奥座敷」であって、大陸情勢に無関心ではいられず、とりわけ「渡り廊下」がグラついていては困るのだ。
上の写真は最近の東京タワー。お色直し中のよう。スカイツリーと違って、武骨でレトロな佇まいは、いつ見ても飽きない。
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