風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

タイガーマスク

2011-01-16 13:23:40 | 時事放談
 昨年のクリスマス以来、伊達直人などのヒーローの名で児童養護施設などに届けられる贈り物が後を絶たず、タイガーマスク現象と呼ばれて一種の社会現象になりつつあります。尖閣映像を流したのがsengokuで、ランドセルを贈ったのは直人と、時の内閣要人と一致するのは偶然だと思いますが、今では矢吹丈やルパン三世やアンパンマンやドラえもんといったアニメ・ヒーローから肝っ玉かあさんまで現れ、先ずは日本人の善意を再確認できて嬉しく思います。匿名性を帯びるのも、日本人らしい照れの表れと言えますし、ある動きをきっかけにして雪崩を打って(善意の)輪が広がるといった受身の姿勢もまた、阪神・淡路大震災のボランティアを引き合いに出すまでもなく、なんとも日本人らしい気がします。
 中には、児童養護施設について知る機会になれば良い、とか、ブームで終わらせたくないという声もあり、その通りだと思いました。
 新聞報道によると、児童養護施設や里親家庭で暮らす子供は全国で約4万人(厚労省の2009年データでは、前者が3万1千人、後者が3千人)、かつては孤児院と呼ばれましたが、実際には親がいる子供が8割以上を占め、その内の三分の二は虐待のため実の親から離れて生活をせざるを得なくなった児童で、その割合は年々増加しているそうです。児童虐待のニュースを見る限り、潜在的な数は底知れません。
 施設の子供たちは原則18歳になると退所して自立しなくてはならないそうですが、自由を得て希望を胸に社会に出て行っても、現実には身近に頼るべき人がおらず、施設出身ということで周囲から「かわいそう」という目で見られること自体も辛いだけでなく、一般の過程で育っていれば自然に身についているはずの金銭感覚や人との付き合い方に疎く、トラブルに巻き込まれて「道」を外す人も多いという、施設出身の人の声もありました。もっといろいろな苦労があるでしょうが、知ったところで、何が出来るのか。厚労大臣が「国としても懸命に取り組み、子供たちへの施策を充実させていく」と述べたのは良いとして、総理大臣が「本当に心温まる活動だな、と思って見ている。共助の精神を大切にしたいなと改めて思った」などと語ったのは、私並みにご隠居さんのようにのんびりしていて、とても一国の総理大臣のコメントとは思えません。
 国の根幹である税金の取り立てと使い道に、これほど関心が薄い国民も珍しい。アメリカのように、寄付金を税額控除するというように、税金の使い道を政治家に任せるのではなく、一定限度は私たち自身が決める仕組みがあっても良いのではないかと思います。
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