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風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

戦費

2009-11-22 01:17:31 | 時事放談
 昨日のブログに登場した人から聞いた話で、もう一つ、印象に残ったのは、戦費についてでした。2001年9月以降、イラクやアフガニスタンで展開した対テロ戦争の軍事作戦費用は、この9月までに8950億ドルに達することが、米国議会調査局から公表されていました。公開されていない戦費も含めると約3兆ドルという試算もあります(ジョゼフ・スティグリッツ氏の著作)。この3兆ドルのインパクトは、過去の戦費と比較すると分かります。2008年の物価水準で換算すると、泥沼化したベトナム戦争ですら6860億ドル(当時1110億ドル)で一桁違います。史上最高は第二次世界大戦の4兆1140億ドル(当時2960億ドル)で、それに迫る勢いです。その人が言うには、第二次世界大戦当時と違って、今の対テロ戦争にはほとんど見返りがありませんし、リーマンショックによる金融危機に見舞われているアメリカのベースには、こうした出費による財政の疲弊があるのだと言うわけです。
 もっとも、戦士派遣業も含めて戦争で潤う産業もあるわけで、戦費がそのままアメリカ経済にマイナスになるわけではないでしょうし、第二次世界大戦との比較と言っても、当時の国家経済の規模と今とでは比べるべくもありません。実際にインターネットで調べてみると、国内総生産(GDP)比で、第二次世界大戦の戦費は36%、朝鮮戦争では14%、ベトナム戦争に至っては2.3%に過ぎず、イラク戦費はせいぜい1%なのだそうです。アメリカの軍事総支出はGDP比4%ですから、その中の1%は大きいと言えば大きいには違いありませんが。
 アメリカがこうした負担を強いられているのを、アメリカの自由と民主主義についての普遍主義、つまり勝手だと批判するのはたやすいことです。そして日本は、インド洋での給油活動を止め、民生支援に切り替えます。アメリカ人の目にどう映っていることでしょうか。
(参考)歴代戦費(2008年の物価換算)
1位 第二次世界大戦  4兆1140億ドル(当時の金額で2960億ドル)
2位 イラク・アフガニスタン  8590億ドル
3位 ベトナム戦争  6860億ドル(当時の金額で1110億ドル)
4位 朝鮮戦争  3200億ドル(当時の金額で300億ドル)
5位 第一次世界大戦  2530億ドル(当時の金額で200億ドル)
 上の写真は、第二次世界大戦末期に開発され、1951年オーストラリア陸軍に引き渡され、ベトナム戦争で活躍したCenturion Tank。キャンベラの戦争記念館で。
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