風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

北朝鮮という難題(下)

2017-06-08 00:00:21 | 時事放談
 巨人が球団ワースト記録の12連敗を喫したとか、一橋大学の学園祭で予定されていた百田尚樹氏の講演会が左翼と思しき団体の圧力で中止になったとか、他にもロンドン橋テロやカタール断交など、気になることはいろいろあるが、とりあえず今日まで北朝鮮ネタを続ける。
 北朝鮮を牽制するために日本海に展開していた原子力空母カール・ビンソンとロナルド・レーガンの二隻は、三日間の共同訓練を終えて日本海を離れてしまったらしい。ロナルド・レーガンは横須賀が母港なので、引き続き沖縄東方海域で海自と訓練を続けるというが、カール・ビンソンは米国(母港サンディエゴ)に帰還したという。なんと拍子抜けな・・・と思うのは私だけだろうか。
 3日の日経電子版は、5月にノルウェーのオスロで北朝鮮高官と非公式に接触した米外交専門家スザンヌ・ディマジオ氏(米シンクタンク「ニューアメリカ」で北朝鮮やイランを担当)の話として、北朝鮮は対話を模索していると報じた。同氏はワシントンで2日に開かれた討論会で、北朝鮮に対し制裁や軍事力の誇示など「圧力一辺倒のアプローチは危険」と指摘し、北朝鮮高官が「正しい状況下ならば米国との対話に応じる」と語ったと紹介し、「対話による解決を探る積極外交が必要だ」と強調したという。まあ正論だろう。
 今日の産経電子版は、5月31日~6月1日にスウェーデンのストックホルムで開かれた国際会議で、北朝鮮の政府当局者が米国の朝鮮半島情勢の専門家に「非核化を前提とした対話には応じられない」との考えを伝えていたことを報じている。会議に出席したテリー博士(米シンクタンク「バウアーグループ・アジア」の専門家)によると、北朝鮮当局者は、平和条約の締結や和平の枠組みに関する対話であれば応じる姿勢を示したものの、「米国が軍事行動を取れば、北朝鮮は戦争をする用意がある」と米側を牽制し「核放棄は交渉のテーブルに載っていない」と強調したという。
 さすがの北朝鮮も、まさか米国を相手に戦争するほど愚かではないから、何等かの対話を望んでいることは間違いなく、同時に、飽くまで米国に届く核弾頭と弾道ミサイルの開発にしがみつき、これを交渉カードとしないことには、まともに米国に相手にされないであろうことも承知している、ということだろう。
 今朝の日経は、「中ロ、北朝鮮支援を継続」と題して、中国税関総署の統計をもとに経済調査会社CEICが纏めたデータによると、中国が北朝鮮から4月に輸入した鉄鉱石は前年同月比4.4倍、1月以降4ヶ月連続で4倍を超えていること、しかし鉄鉱石の輸入額は石炭の1割前後と規模が小さいので、4月の全体の輸入額は前年同月比41%減となり、中国政府は「国連制裁決議を全面的に履行しいる」と主張したと報じた。相変わらずの言行(一部)不一致で、胸を張って言うようなことではない。習近平国家主席がトランプ大統領から半ば脅しを受けて協力要請されたのは4月6日の夜のことで、それすらも反故にしていることになる。他方、ロシア政府の公式統計によると、今年1~3月の露朝間の貿易額は前年同期比85%増、エネルギー関連のロシアからの輸出は133%増となり、何のことはない、中国が北朝鮮からの石炭輸入を止めた間隙を縫ってロシアがせっせと北朝鮮との貿易を拡大している構図であることも報じられた。プーチン大統領はなかなか大した男だと思う。2日にサンクトペテルブルクで開催された経済フォーラムで「小国は独立や安全、主権を守るためには核兵器保有以外に方法がないと思っている」と述べて北朝鮮を擁護したというから、見事に言行一致、しかしNPT等の国際合意は完全無視で、軍事大国(経済小国)ロシアの面目躍如と言えようか。どうも中国は(金持ちだからというわけではないが)小賢しくて信用ならないが、プーチンは(貧乏のくせして大国ぶって)憎たらしいが憎み切れない孤高なところがある。
 こうして北朝鮮情勢は膠着し、先行き不透明な状況は変わらない。となれば、いざというときには自衛するしかない。というわけで最後に(やや自棄気味に)ある雑誌に掲載されていたあるお医者さんの「北朝鮮ミサイル襲来、生きるためにすべきこと」と題するコラムから引用する。

(前略)
 日本を射程に捉えるスカッドやノドンの平均誤差半径(CEP:Circular Error Probability、円内に着弾する確率が50%になる大きさの円の半径)は、ジェーン年鑑によれば1~3キロメートルで、防衛白書では特定の施設をピンポイントで狙う能力はないと評価しているらしい(但しその精度は改善している可能性ある)。1~3キロと言えば地下鉄の駅にして、1つから2つ分ぐらいはずれる、ということになる(防衛関係者)。
(中略)
 まず知っておくべきは「ミサイルそのものでダメージを負うのではなく、ミサイルに搭載された爆弾が爆発することでダメージを負う」(防衛の専門家)ということだとか。爆発物による人体へのダメージのことを「爆傷」といい、これは一次~四次に分類され、
 一次爆傷:爆発した瞬間の衝撃波により鼓膜や肺、眼球が破れる
 二次爆傷:爆発物の破片やガラスなどが銃弾より速いスピードで飛んできて致命傷になることも
 三次爆傷:爆風で吹っ飛ばされた後に頭を打つなどして負うダメージ
 四次爆傷:その他(やけどや落ちてきた瓦礫のダメージ、煙や粉塵を吸い込むことで起きるダメージ、有毒ガスなど)
 (「MCLS-CBRNEテキスト」一般社団法人日本集団災害医学会監修 ぱーそん書房を基に著者が編集)
 この内、一次~三次爆傷を先ずは避けるために、建物に入ったり地下に入ったりすることが良さそうで、ガラスの近くは危険、しかし四次爆傷で、爆発により自分のいる建物が崩壊などしたら逃げようがないし、有毒ガスなども避けられないかもしれない。但し、「北朝鮮がサリンなどの化学物質をミサイルの弾頭に安定的に搭載する能力を保持していることは疑問」(防衛関係者)らしい。
(中略)
 もし近くに着弾して怪我を負っても、諦めずに119番通報せよと言う。ミサイル攻撃で「都市機能が全てマヒしてしまうところまではいかない」(防衛関係者)からで、仮に数百発来たとしても都市は壊滅しないと見られている。東京であれば病院はたくさんあるし、爆傷患者を受け入れられる3次指定救急救命センターを持つ病院はいくつもあるという。ダメでも近隣の県からヘリを飛ばして搬送するという方法も。そしてこのお医者さんのもしもの時のアドバイスは、
 1. 出血した場合、そこを強く手で押さえて止血する(圧迫止血)
 2. 何かが体に深く刺さってしまった場合は、それを抜かない(抜くと大出血し死亡する危険がある)
(後略)

 お役に立てれば幸い・・・(と言いつつ、実のところお役にたつ機会がないのが幸いなのだが)
コメント
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