今年は、イチローにとっても節目となる1年でした。年の瀬も押し詰まった12月19日になってようやく、今オフにFAとなったイチローのヤンキース残留が正式発表されました。2年契約で年俸総額1300万ドル(約11億円)と言われます。
何より7月23日、マリナーズからヤンキースへ電撃トレードされた時には、誰もが驚きを禁じ得ませんでした。200本安打が途切れた昨年は、184安打、打率2割7分2厘、5本塁打、47打点、40盗塁、出塁率3割1分に終わり、今年は移籍前までの95試合で、打率2割6分1厘、4本塁打、28打点、15盗塁、出塁率2割8分8厘と更に低迷し、さすがのイチローも、寄る年波には勝てないのかと、来たるべき時の流れををなかなか受け止められず寂しい思いをしてきました。そして、本人が記者会見で語ったように「環境を変えて刺激を求めたい気持ちになった」ことを、ファンの一人として素直に受け入れました。マリナーズが若返りを図っている事情に加え、マリナーズの看板選手として常にマークされながら、チーム成績は低迷を続けるプレッシャーから解放され、ヤンキースというスター・プレイヤーがゴロゴロしている常勝の金満球団で、伸び伸びとプレイ出来るのではないかと、秘かに期待したからでした。結果、安打数は今年も200本に届かない178本でしたが、今期の打撃成績は最終的に昨年を若干上回る打率2割8分3厘、9本塁打、55打点、出塁率3割7厘まで戻しました。
「ナンバー11月22号」によると、ちょっと違う姿が見えてきますので、抜粋します。
打率2割8分3厘は、大リーグ移籍後の12年間で11番目で、今年の大リーグ全体では53番目でしたが、35歳以上のベテランに限定すると5番目、しかも上位4人は、3割1分6厘のデレク・ジータ―(ヤンキース、38歳)、3割1分3厘のトーリ・ハンター(エンゼルス、37歳)、3割6厘のマルコ・スクータロ(ジャイアンツ、37歳)、2割9分8厘のポール・コネルコ(ホワイトソックス、36歳)と、10月22日で39歳になったイチローの年下ばかり。同い年か年上で100試合以上出場している選手を探すと、ラウル・イバネス(ヤンキース、40歳)は130試合に出場して、打率2割4分、19本塁打、62打点、チッパー・ジョーンズ(ブレーブス、40歳)は112試合に出場して、打率2割8分7厘、14本塁打、62打点で、今年限りで現役引退しました。同い年のトッド・ヘルトン(ロッキーズ)は、生涯通算打率3割2分でイチローと比べても遜色ない実績を誇り、首位打者1回、打率3割以上が12回の巧打者ですが、今季は故障もあって69試合に出場し、打率2割3分8厘、出塁率3割4分3厘でした。イチローが162試合に出場していること自体が驚くべき事実だと、解説しています。ヤンキース移籍後に限ると、67試合で打率3割2分2厘、出塁率3割4分、長打率4割5分4厘は、まだまだ出来ると思わせます。
そんなイチローの新たな一面を見たのは、プレーオフのア・リーグ優勝決定シリーズで、タイガースに4連敗してワールドシリーズを逃した時のコメントです。「短い時間だけど、いろいろなものを僕に与えてくれた。悔しい気持ちは久しく味わっていない。(野球をやって)本来持っている気持ちを思い出させてもらった」と述べました。10年連続200本安打という大リーグ記録を達成し、さすがのイチローもモチベーションを維持するのは大変だったであろうことを想像させます。従い、イチローにとってのチャレンジは、世界一をもう一度目指すこととともに、個人的には日米通算4000本安打まで116本、メジャー通算3000本安打まで394本という大記録が控えます。願わくば、出場機会があらんことを。
自分にどのような言葉をかけたいかと問われて、かつてバルセロナ五輪で銀メダルを獲得したのに続いてアトランタ五輪でも銅メダルを取った有森裕子は「自分で自分をほめたいと思います」と答えたもので、アマチュアのスポーツ選手としての爽やかさに私たちも感動したものでしたが、松井は「自分なりに日々頑張って来たが、よくやったという気持ちはない。今出て来る言葉は『もう少しいい選手になれたかもね』」と言って笑みを浮かべたといいます。なんともプロとしての松井らしい修行僧のようなストイックさを最後まで貫いたものです。打者のタイプが違うイチローは、しかし修行僧という面では松井と共通します。果たしてイチローはどんな終わり方をするのか、今からこんなことを言うのは不謹慎ですが、それもまた興味深く思います。
何より7月23日、マリナーズからヤンキースへ電撃トレードされた時には、誰もが驚きを禁じ得ませんでした。200本安打が途切れた昨年は、184安打、打率2割7分2厘、5本塁打、47打点、40盗塁、出塁率3割1分に終わり、今年は移籍前までの95試合で、打率2割6分1厘、4本塁打、28打点、15盗塁、出塁率2割8分8厘と更に低迷し、さすがのイチローも、寄る年波には勝てないのかと、来たるべき時の流れををなかなか受け止められず寂しい思いをしてきました。そして、本人が記者会見で語ったように「環境を変えて刺激を求めたい気持ちになった」ことを、ファンの一人として素直に受け入れました。マリナーズが若返りを図っている事情に加え、マリナーズの看板選手として常にマークされながら、チーム成績は低迷を続けるプレッシャーから解放され、ヤンキースというスター・プレイヤーがゴロゴロしている常勝の金満球団で、伸び伸びとプレイ出来るのではないかと、秘かに期待したからでした。結果、安打数は今年も200本に届かない178本でしたが、今期の打撃成績は最終的に昨年を若干上回る打率2割8分3厘、9本塁打、55打点、出塁率3割7厘まで戻しました。
「ナンバー11月22号」によると、ちょっと違う姿が見えてきますので、抜粋します。
打率2割8分3厘は、大リーグ移籍後の12年間で11番目で、今年の大リーグ全体では53番目でしたが、35歳以上のベテランに限定すると5番目、しかも上位4人は、3割1分6厘のデレク・ジータ―(ヤンキース、38歳)、3割1分3厘のトーリ・ハンター(エンゼルス、37歳)、3割6厘のマルコ・スクータロ(ジャイアンツ、37歳)、2割9分8厘のポール・コネルコ(ホワイトソックス、36歳)と、10月22日で39歳になったイチローの年下ばかり。同い年か年上で100試合以上出場している選手を探すと、ラウル・イバネス(ヤンキース、40歳)は130試合に出場して、打率2割4分、19本塁打、62打点、チッパー・ジョーンズ(ブレーブス、40歳)は112試合に出場して、打率2割8分7厘、14本塁打、62打点で、今年限りで現役引退しました。同い年のトッド・ヘルトン(ロッキーズ)は、生涯通算打率3割2分でイチローと比べても遜色ない実績を誇り、首位打者1回、打率3割以上が12回の巧打者ですが、今季は故障もあって69試合に出場し、打率2割3分8厘、出塁率3割4分3厘でした。イチローが162試合に出場していること自体が驚くべき事実だと、解説しています。ヤンキース移籍後に限ると、67試合で打率3割2分2厘、出塁率3割4分、長打率4割5分4厘は、まだまだ出来ると思わせます。
そんなイチローの新たな一面を見たのは、プレーオフのア・リーグ優勝決定シリーズで、タイガースに4連敗してワールドシリーズを逃した時のコメントです。「短い時間だけど、いろいろなものを僕に与えてくれた。悔しい気持ちは久しく味わっていない。(野球をやって)本来持っている気持ちを思い出させてもらった」と述べました。10年連続200本安打という大リーグ記録を達成し、さすがのイチローもモチベーションを維持するのは大変だったであろうことを想像させます。従い、イチローにとってのチャレンジは、世界一をもう一度目指すこととともに、個人的には日米通算4000本安打まで116本、メジャー通算3000本安打まで394本という大記録が控えます。願わくば、出場機会があらんことを。
自分にどのような言葉をかけたいかと問われて、かつてバルセロナ五輪で銀メダルを獲得したのに続いてアトランタ五輪でも銅メダルを取った有森裕子は「自分で自分をほめたいと思います」と答えたもので、アマチュアのスポーツ選手としての爽やかさに私たちも感動したものでしたが、松井は「自分なりに日々頑張って来たが、よくやったという気持ちはない。今出て来る言葉は『もう少しいい選手になれたかもね』」と言って笑みを浮かべたといいます。なんともプロとしての松井らしい修行僧のようなストイックさを最後まで貫いたものです。打者のタイプが違うイチローは、しかし修行僧という面では松井と共通します。果たしてイチローはどんな終わり方をするのか、今からこんなことを言うのは不謹慎ですが、それもまた興味深く思います。