風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

大震災(5)復興に向けて

2011-03-20 15:11:17 | 時事放談
 木・金曜日と、厳しい寒さに見舞われ、電力需要が高まったため、大規模停電を避けるために鉄道各社が帰宅ラッシュ時の運行本数を減らすと言うので、木曜日は5時に(他の企業では4時のところも)、金曜日は5時半に帰宅するよう、会社から指示が出ました。地震があった当日も、無理して帰宅しないよう指示があったのは、恐らく政府の指導を受けてのことだったのでしょう。非常事態で官民の連携はそれなりに取れているように思われますが、いつまで続くのかという不安がよぎります。
 そんな中、金曜夜は、会社の先輩が近々海外駐在で出発するというので、新橋に飲みに出ました。週刊誌を読むと、夜の街はあがったりのような印象を受けていたのですが、金曜夜ともなれば、人気の店は満席で、それ以外もそこそこに混んでいて、驚かされました。一週間経って、事態に慣れてきたこと(実際にちょっとやそっとの余震は、またか・・・と遣り過ごせるようになりました)に加え、暫く行動を自粛して来たことの反動もあることでしょう。
 徐々にではありますが、活気を取り戻しつつあるのは良いことだと思います。被災地の苦労を思えば、首都圏に住まう我々の「無計画」停電による不自由や間引き運転による混雑はものの数にも入らないのは事実ですが、いつまでも必要以上に行動を慎んで、被災地を支えるべき首都圏をはじめとする周辺地域が沈んで共倒れになっては、元も子もありません。
 そういう意味で、春の高校野球開催を決めたのは良かったと思います。高校野球を徒に美化する風潮は好きではありませんが、そうは言っても先ずは職業野球ではないこと、都道府県対抗であること、そして何より東京・東北電力管内ではないということで、こういうご時世でもイベントとして受け入れられやすく、被災地の出場校は、結果は別にして健闘することが被災者を大いに元気付けることでしょう。他方、プロ野球はセ・パ分裂開催になったのが解せません。このあたりは、まだ死者や行方不明者の数が増えている中で不謹慎だという見方と、いつまでも謹慎していても仕方が無くてアスリートにはその道で日本に元気を与えるべきという見方との間で、揺れたことは理解します。3月25日なら早すぎて、29日なら良いのか、更にパ・リーグの4月12日なら安心なのか、いろいろ意見はあったことでしょう。延長戦をなくすなどの節電対策を採るようですが、開催地を絞ったり、日程を縮小するなど、もっとやりようがあって、プロ野球と言っても所詮は職業人としての自覚をもって、プロ野球機構として合理的な統一見解とセ・パ足並みを揃えた行動を示すべきだったという気がします。
 そういった(日本プロ野球機構や官邸や東電も含む)マネジメント層の体たらくとは別に、プロ野球の選手会をはじめ各方面のアスリートの間で、草の根の支援の輪が広がっていることは、心強く感じます。私のような庶民は、城島が真っ先に1000万円の義援金を決めて感心していたところに、東北高校出身のダルビッシュは5000万円をはずみ、イチローに至っては1億円にまで跳ね上がって、これまでのところ募金箱を抱えるだけの松坂や拙い英語で募金を呼びかけるだけの松井はどうするのかと気になってしまう小心者ですが、もとより義援金競争を煽るべきではありませんし、高額所得者がプレッシャーを感じるような全体主義的風潮が蔓延るとすればちょっと気になります。
 こうした支援の輪はアスリートに限ったことではなく、私の会社も含め各方面で募金活動が活発化し、ボランティアの応募に列をなし、救援物資が集まり、また国家関係が必ずしも良好とは言えない中国や韓国を含む諸外国からも日本を応援する声や義援金や支援の手が次々に寄せられるのを聞くと、近ごろとみに涙腺が緩くなった私はニュースを見て涙が止まりません。日本が多くの国に支えられ、そして日本国を支えるのは私たちであり、その私たちが思いと力を合わせて復興に向けて力強く歩き始めていることの幸せを感じます。
コメント
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