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ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

山羊の頭なスープ_最終回

2010-09-02 20:36:53 | 信・どんど晴れ
「へぇ。山羊汁か・・・。一度食ってみたいな。」
佳奈のクラスメートの宇品は、佳奈の話題に乗り込んできた。
「宇品さんは山羊を食べたことがあるの。私だって未だに癖のある食べ物だと
おもっているけれどもね。」
と、苦い物と甘い物を両方入れたような顏をした。
「山羊は食べたことはないが、Mattonならばある。」
札幌出身の宇品は少し自慢したような顏をした。
「Mattonと山羊肉がどうして、同じ味といえる。」
佳奈はむっとした。
「ああ。高校時代の同級生が勤めている料理屋で北海道名物
ジンギスカンを注文した沖縄の人らしき観光客が
山羊の味みたいだと言っているのを聞いたからだよ。」
宇品はそう言った。
「なるほど、一度山羊汁を食してみるか?」
佳奈は勢いよく迫った。
「ああ、考えておく。」
宇品は少し恐縮しているようであるが、挑戦する氣持ちはあるようだった。
「でも、この前の山羊汁パーティーで、改めて自分のことを考える事になった。」
佳奈は何か考え事をしているようだった。
「小禄さんって沖繩の人だったよな。お前さんの出身地の加計呂麻島に
なんとも文化が近いんだ。」
宇品は少し遠くを見て笑っているのか悲しんでいるのか解らない顏をした。
「でも、逆に小禄さんも自分に自信が持てるようになったらしい。」
いつも、煙ったような皮肉っぽい表情が多い、佳奈が笑ったような氣が宇品はした。
おわり
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山羊の頭なスープ_8

2010-09-02 20:36:23 | 信・どんど晴れ
結局山羊汁は、佳奈と小禄で一緒になって食べた。
他の2人は食べなかった。
「それにしても琉球は肉が多いよな。あまり魚料理っていうのが無いな
と私は感じてしまう。」
佳奈は、山羊汁と一緒に飲んだ泡盛などのアルコールで赤くなった顏で口を
開く。
「そうだね。旨い魚がないからって考えた事があるんだよ。観光客に
魚を勧めた事ってないって、父が言っていた。」
小禄はそれに答えた。
「小禄さんの親が経営する会社みたいなところが北陸や東北であったら
恐らくは、魚料理を勧めたり、観光地で魚介類の加工品を進める可能性が巨きいな。」
そう言った地域出身の人間と住んでいる佳奈は答えた。
「私も關東の大学に進学してからという物、北国の人は魚とか魚介類裁くのが旨い
よね・・・。私はホヤが苦手なんだ・・・。」
小禄はそう答えた。
「私は鮭が苦手だ・・・。石川より東では食べるみたいだけれども・・。」
佳奈はそう答えた。
佳奈と小禄が話しているそばで、
淡雪と久留美は他に使ったチーズを主流にしたおつまみで残りの焼酎を飲んでいた。
 そして、その後・・・。
淡雪と小禄が通う女子大のCampus・・・。
「おはよー、横手さん。」
小禄がやけに明るい顏をして返す。
「おはよー、小禄さん。いつも暗い顏をしてる貴女が晴れやかな顏だね。」
淡雪は半分怪訝そうな顏と笑った顔が雑じったような顏だ。
「それよりもー、佳奈さんはどうだった?」
小禄は晴れやかだ。
「彼女も深刻そうな感じから解放されたかな。奄美・加計呂麻といった地域じゃなくて
似た感じの場所の人が来てほっとしているかな。」
と淡雪は答えた。
「まあ、私も彼女に元気をもらいましたー。彼女は、急度シマに帰ったら活躍しそうだね。」
と講義室の近くに歩き出した。
つづく
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山羊の頭なスープ_7

2010-09-02 20:35:51 | 信・どんど晴れ
「さてと・・。」
釜利谷のアパートに帰って来た佳奈と小禄は、山羊汁の支度をし始めた。
佳奈の住んでいるSpace一面に山羊のにおいが立ちこめている。
「すごいにおい・・・。以前山羊乳のチーズを食べたことがあるけれども
それに似た感じね。」
料理にはうるさい淡雪が不安そうな顏をした。
「私には全くわかんない。」
淡雪のそばに座っていた久留実は全く理解不能なようだった。
「こんな物を入れるんだ・・・。實はさ、加計呂麻の私のシマでは
したのものを・・・。」
佳奈は小禄にそんなことを言う。
「幼い頃から宮古に行っているけれども、宮古も同じ。跡は本島だったら
やんばるとかもかなー。」
Kitchenのそばにあるテーブルに座っている淡雪と久留美は絶句している。
「残酷かもしれないけれども、いつも考えながら食べていた。」
テーブルの2人を佳奈はちらりと見た。
「そうだよねー。」
小禄が相づちを打った。
「山羊を食べる理由・・・。やはり本土ほど魚料理がないからかも。」
佳奈はしみじみ考えた。
鹿児島の本土地方の先生は漁村の出身で、魚を色々食べてきたとか話していたっけ
なぜだか脳裏に浮かんでくる・・・。
「鹿児島の本土地方でそうなんだから、東北や北陸ではなおさらだよねー。」
小禄は言う。しかし、彼女の知っている日本本土は關東だけである。
他人のようだが、他の地方の言動から類推している。
「できた。」
佳奈と小禄は
神妙な顏をした
つづく
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山羊の頭なスープ_6

2010-09-02 20:35:16 | 信・どんど晴れ
「国道は混むから、こちらの道を使った方がいいかもしれない。」
横浜の南郊の工業地帯の物資を運ぶための道路のためか、
広く作られている。神奈川県を代表する食品会社の工場が暗いながら解る。
「もう少し行ったら、八景島だね。」
ハンドルを握っている小禄の聲だ。
「そーだな。鎌倉の親戚の家までは朝比奈経由が近いか?」
佳奈が聞く。
小禄は黙って頷いた。
車は釜利谷の近くをさしかかる。
ここ30年ぐらいに建てられた団地も工場と併存して立っているが
埋め立て地だからだろう。
「ぼちぼちか・・・。」
暗いので取り付けられていたカーナビを確認しながら曲がり角を確認するのは佳奈。
「小禄さん、ここで曲がってくれ。」
それに対して小禄は
「了解しました。」
とエレベーターガールみたいな声で言う。
「山羊か・・・。みんな食べるんだろうか・・・。」
2人は其れを考えていた。
つづく
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山羊の頭なスープ_5

2010-09-02 20:34:43 | 信・どんど晴れ
車窓を眺めている佳奈の風景は、本牧をすぎて久良岐市の久良岐中央驛
付近にさしかかっていた。
かつては、磯子といわれていた地域である。
「磯子って昔は言われてみたいだよ。」
小禄が、助手席の佳奈を見た。
「そうなんだ。ここら辺の海でも泳げたのかな。」
数分前、運河のような風景に漁船のような船が止まっていたのを
佳奈は見ていた、漁船や、其れを改造した渡船屋の船は郷里にいたとき
見慣れていたからだ。
「無理だと思うよ。佳奈さん。漁船みたいな船が止まっていたね。」
小禄が笑って答えた。
「小禄さんは自分の考えていることが何ともナシに解るから怖い。」
佳奈は苦笑しつつ、また笑った。
「産業道路沿いに行けば、三浦金沢市だな。」
久良岐中央驛を通り過ぎ、杉田の驛にさしかかる。
「見慣れた風景だ。モノレールの線路も見える。」
全く暗くなって見えないが、それでも線路が確認が可能だ。
「佳奈さん、今夜はすごいpartyになりそうだねー。」
小禄が佳奈を見た
「おう。山羊を關東で食べるのは今日が初めてになりそうだ。」
佳奈がうれしそうに答えた。
つづく
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山羊の頭なスープ_4

2010-09-02 20:34:04 | 信・どんど晴れ
「でも、佳奈さん。山羊の肉が売っている店で店主の人が
三線をならしていたら、ノリノリだったけれどもどうして。」
小禄が佳奈に聞いてきた。
「そうだな。私は子供のころから三線って沖繩で言う楽器を
親父が弾いていたから、それでつい・・。」
佳奈はそう回答した。
「沖繩の曲は知らないんでしょ?でも・・。」
小禄は不思議がった。いわゆる奄美の島唄は日本本土に近いメロディLineが
多いことで知られている。知らない人が聞けば、日本本土のどこかと
言われるような感じである。
「音が奄美に似ていたから。」
佳奈はきっぱり答えた。
「で、最後にはカチャーシー。」
小禄は笑う。
「あれ、沖繩ではカチャーシーというのか。奄美ではどういうか解らないけれども
あの音楽にはあの手つき。決まりでしょ。」
佳奈は親指を小禄に見せた。
「そう・・・。」
基本的に故郷を捨てた人間にしては、故郷を引きずっているな。小禄はそう感じた。
「全然違うがシマに似ている物と關東で出会ったのが少しうれしかったな。」
佳奈は車窓の風景を眺めていた。
つづく
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山羊の頭なスープ_3

2010-09-02 20:33:31 | 信・どんど晴れ
結構なLoudロックである。佳奈の頭ではhr/hm,パンクの区別がつかない。
「なんだっけ、このArtistは?」
佳奈はこの音楽をかけた小禄に聞いてみた。
「Led Zeppelinだよ。これは中学を卒業して沖縄本島に来た両親が聞いていた。」
と、小禄は説明した。
「これがはやっていた時期はよくわからないな。古い曲らしいけれども・・。」
佳奈は首をかしげた。
「1972年に沖縄が返還されたから、この前後だよ。」
小禄が軽く説明する。
「奄美が1953年に返還されたという事は知っている・・・。」
佳奈はそう話した。
「1953年か・・・。プレスリーより前の時代だね。」
そんなことをイイながら、前の方向をみている。
「返還よりも何も、1972年頃にこれがはやっていたという事實が信じらねぇ。」
佳奈は自分の意見をまくし立てた。
「信じられないか。佳奈ちゃんのご家族はどんなのを聞いていたの?」
音楽はLed ZeppelinからDeep Purpleに変わっていた。
「これも1972年頃にはやっていたのか・・・。そうだなぁ。いわゆる島唄以外は演歌とか
聞いていたよ。だから、洋楽とか全くわかんないよ。」
佳奈はおどけているようだった。
小禄は察したように、カーステレオの1972前後に流行していた洋楽のcdを抜いた。
取り出したのは、沖繩の島唄方面の歌手のテープ。
セットすると、琉球音階のメロディが流れた。
佳奈はぴんとこないようだった。
車が三浦金沢市に近づくたび曲が変わっていく。
「これは知っている。」
佳奈が声を上げた。
「びっくり~。佳奈ちゃん宮古も沖繩も知らないんでしょ~。」
ハンドルを握っている小禄が目を丸くした。
「いや、これは親父が良く歌っていた。たしか沖永良部島の曲だとか言っていた。」
佳奈は深刻そうな顔をした。
小禄は確認する用にインデックスを確認した。
つづく。
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山羊の頭なスープ_2

2010-09-02 20:32:59 | 信・どんど晴れ
「思わないわな。」
佳奈は表情を崩さずそう言った。
「でも、こっちの食べ物は全くわからないわけー。」
小禄は、無神経にそう言った。
「或る意味我々には仕方がない。だが、東北や北海道の人間にとっては
其れが普通だ。特に魚にたいしては、こだわりがあるのだろう。」
佳奈はまだ表情が硬いままだ。
「佳奈さん、まだ表情が硬いよ。」
小禄は恐縮しているようだった。
「堅いのか・・・。まあこういう風にしなければ關東では嘗められると思っているのかな。」
佳奈は自分のことを説明した。
「まえにも話したけれども、佳奈さんは大阪に就職する事が決まりかかっていたとか。」
小禄は、佳奈の表情を伺っていた。
「ああ。でも、補欠合格で現在在籍している大学に行けることになって、大阪に行く事を
やめたのだ。」
佳奈は、少し表情がゆるんだようだった。
「でも、大阪の方がリラックスできたんじゃないの?私が考えるんだけれども
奄美の人結構いるし。」
小禄は自分が知っているだけの情報を述べた。
「多いね。だからこそ、大学に行くんだったら關東に行くと決めた。沖縄や鹿児島の本土地方の
人間は言うに及ばず、東北や北陸の人間が多い土地でどうやっていくか。」
佳奈がだす自重したけぶった笑い。
「でもー。肩に力が入りすぎて、關東がますます襲いかかってくると言う事もあるよ。」
普段であるならばのほほんとした感じの小禄であるが、彼女なりの意地悪だったのだろう。
つづく
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山羊の頭なスープ_1

2010-09-02 20:32:25 | 信・どんど晴れ
「でさー、なんでこんなことをやろうと思ったわけ?」
松本佳奈はハンドルを握っている女性に聞いた。
「そうだねー。關東でおおそれた事をやってみたいとおもったのー。」
この語尾上がりのハンドルを握っている女性の名前は小禄。
下の名前は解らない。
ただ解ることは・・。。
「小禄さん、あんた出身沖繩の浦添市とかいう場所だっけ?」
佳奈は聞いた。
「そうだよー。両親は宮古島の出身だけれども。」
小禄は助手席の人に返事をした。
「なるほど。山羊汁って浦添でも宮古でも食べるんだ・・・。」
佳奈は車の荷台に載っているものをちらりと見た。
小禄嬢の親戚が神奈川縣の鶴見から川崎に住んでいて、その親戚の家から
山羊汁用の山羊肉を買って、佳奈が住んでいる三浦金沢市の自宅に戻る途中である。
「私のシマの加計呂麻島でも山羊は飼っていてする。」
佳奈はシビアになった。もう慣れっこだったが、其れを食する習慣のない人間が
こんな物は食べるだろうかという迷いのような物がある。
「佳奈さんも同じ~、私も子供の頃宮古に行ったとき、山羊をする處を
見たときは、どきりとしたけれども、見ているとなれるんだよね。
今のはBlock肉だから気持ち悪く思わないけれども・・・。」
小禄の話しを聞いて、ますます顏が険しくなる佳奈。
其れを解らない小禄。
つづく
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