ブルーシャムロック

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小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

私にとっての東京

2013-04-23 11:47:10 | 信・どんど晴れ
「下町か。あそこは、私にとって人間をふぬけにする場所よ。」
私のルームメート横手淡雪が憎憎しいような顔をして、話したのは豆鉄砲ものだった。
私松本佳奈にとって、東京というと、先輩が愛読していたこち亀だったからだ。
他のルームメート、高槻久留美が良く話にしている下北沢や澁谷、吉祥寺といった
場所は、何ともはや自分の頭には分からない場所だった。
横手淡雪や、高槻久留美にとっては、こち亀の舞台になる地域より
こっちのほうが、モダンな東京みたいである。
なので、自分にとっての東京の代表が、横手嬢にとっては、人間をふぬけにする
場所とは思いもしなかった。
「奄美出身の私にとっては都会というと大阪なんだ。だから東京はぴんと来ない。」
とさらりと言ってのけた。
私の話に横手嬢も、久留美も梅干しを食べたような顔をしつつ笑った。
「そんな所ってアルの。私のクラスメート西日本の人が多いけれども下北沢や澁谷、吉祥寺
って東京の定番だってみんな思って居るよ。」
秋田出身の横手嬢は、吃驚しつつ早口で答えた。
久留美も頷いている。
「ここだけの話なんだけれども、下町って上野駅があるよね。その上野駅の関係で
東北出身者が多くて、あそこに心がとられてしまう人がいやなんだよ。」
久留美がこそっと私に答えた。
「まえにも話したけれども、私が関東の大学を受験しなければ、大阪の会社に就職する
筈だったんだよ。それだけ、大阪が奄美の人にとっては濃厚なんだ。鹿児島の本土や
沖縄の人ならば、東京・関東にパイプがあるから色々東京にイメージがあるんだろうね。」
と私はちと感情的になっていた。
私のルームメートふたりはやはり奄美という存在にぴんとこないでいた。
数日後、私はルームメートにつれられて、澁谷に行く電車に乗っていた。
電車に搭載されている電光掲示板には「武蔵小杉」と表示がされている。
「何かピンとこねぇな」
私はつぶやいた。
ルームメートは何か言ったとイワンばかりに私を見ている。
これ以上言っても無駄だ。
「私にとってのお洒落でハイカラな町って、神戸なんだよな」
私は言う。
「神戸の方が分からない」
横手淡雪が述べた。
「わかんないか・・・。やはり・・。」
私は言おうとしたが。
「私の学校の先生は神戸の出身だけれどもあんまり濱に比べてかっこよくない
ばかり言っているよ。」
高槻久留実が言う。
「つーか神戸ってなんなの。」
私が久留実につっかかった。
「佳奈ちゃんの耳には痛いけれども大阪のオマケだな。多くの關東人は近畿圏と言えば
大阪か京都かそれと奈良という考えが強いよ。神戸は分からないんだな」
と言う。跡で聞いた話だが、高槻久留実嬢の出身地である石川県は
近畿と関東に等価値に赴く場所らしい。
私は悩んでいた。渋谷が嫌いなのではなくてぴんと来ないのだ。
電車は多摩川に架かる鉄橋を越えようとしていた
おわり。
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テーブルの上に

2013-04-15 16:39:16 | 逆襲の藤隆
テーブルの上に、缶ビールとCondom・・・。」
そんなおかしな歌を口ずさみながら、私はぷりぷり中央駅のコンコースにいる。
コンコースの外は雨。
今口ずさんでいた歌は、臺灣ドラマの主題歌である。なんともはや、私自身こんな歌を
歌って居るんだろうか。まあ、元来ドラマとアジア映画が好きだったのでその流れだろうと
思って居る。雨の降っている空は、現在コンコースを構成している金属の柱と同じ色だ。
季節柄、じとじと降っている。
「ふぅ。」
私は新幹線の行き先板をみている。「大阪」、「東京」という単語がそこには踊っている。
なんで、このコンコースに来るのだろうか。私が幼き日、下北沢に住んでいるときにいつも
父親を傘を持って迎えに行く事が度々あった。そこに、当時売り出し中のドロップの広告が
描かれたベンチが存在していた。今丁度目の前にあるベンチみたいだ。
今は、人気ののど飴の広告が貼られている。
雨が降ると、その幼いときのことが思い起こされる。現在私の仕事は
ぷりぷり市から関東や近畿圏と仕事が出来るはずなのに、ここに来るのも恥ずかしいよな
と思ってしまう。
そんなことを考えていると、関東の出版社からメールだよ。
と、携帯端末機を介して見ているpcのメールボックスをみながら、今度の原稿
を急ごうと思った。
おわり
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あるがままに

2013-04-02 11:47:50 | 逆襲の藤隆
「分からない。私にとって有村とは、萌美ちゃんとは。」
また、始まった。
我が、恋人である平賀知世の戯言が。
有村とは彼女の大学の親友。萌美ちゃんは度々遊びに来る瀬戸内に住んでいる
小さな友人である。まだ小学生である。
「人間に恋愛感情ばかり起きないことだってあるんだ。」
僕はそう言うしかない。
紹介が送れた。
僕は、浅岡蓮次。平賀知世と同じ大学生だ。
「まあ、天の配分で蓮次君が私の恋人だし。」
知世は苦笑して答えた。
「まあ其方が、彼女たちが戸惑わなくてもいいのかもしれないよ。」
現在の僕にはそういう言葉しか浮かばない。
「そうだな。なにか彼女たちに性的なものを求めると恥ずかしい。」
知世は真顔で答えた。
「きのなんとかさんは、みんなの前から消えた。」
僕はいつも知世に言い聞かせるように言う。
「うん。」
知世はきのなんとかさんの事を考えると、感情が巡ってしまい、物事がとりつく島もない
という感じになってしまう。
「私が言うけれども、知世には有村さんや萌美ちゃんがいい友人としている。」
僕は強調して伝える。
早い桜が散って新緑の季節を迎えようとする庭の外を僕と知世は眺める。
おわり
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