ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

春に君と_エピローグ

2014-04-25 07:10:15 | 逆襲の藤隆
「このexamsystemの話題を誰かに話すべきか。」
桜も散り終わり、近所の川縁のSakuraも葉っぱだらけになった時、
私は旦那様に質問してみた。
「このことは、誰にも話すべきではないかもしれない。もしかしたら、実の娘だと
思っている人がショックを受けるだけだ。」
旦那様は厳しくそういった。
「そうね・・・。」
13歳の時に、旦那様のお家に養女として引き取られてから、あまり旦那様と共同研究者
の間のことは詮索しないようにしている。
「そのことは、話さない方がいいのかもしれない。徳島のお家もアルビノだった
女の子を引き取ってきたわけだし。」
この乱れた〈物語〉は、ただ春の桜のごとしか。
おわり
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春に君と_06

2014-04-24 05:40:54 | 逆襲の藤隆
「徳島の研究機関がexamsystemの研究を否定。」
このニュースが流れたのは、私が旦那様から
メッセージを貰った数日後だった。
なんだか徳島の国公立の大学だったらしい。
彼らも、アルビノの女の子を守ったのかもしれない。
出来杉英才博士は何を考えていたのだろうか。
あまりにも怪物すぎる人だったので、みな彼を恐ろしがった。
もし、彼を暗殺した人は、
「好きな人と結婚する事を捨ててでもあの怪物を退治したい。」
とでも思ったのだろうか。
いろいろな人が翻弄されそうになった訳のわからない研究。
徳島の女の子も幸せに。
つづく
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春に君と_05

2014-04-23 06:19:39 | 逆襲の藤隆
「徳島にいるアルビノ個体の少女は数年前出来杉英才博士が研究した
examsystemの個体である。」
ニュース系のインターネット サイトやゴシップ週刊誌がかき立てているのを
よく見かける。
取材する方も疲れるのではないだろうか。かき立てられ、言われる方の生活も
崩されてしまうのだ。
そんなとき、私の携帯にメールが。旦那様からだ。
「生前、出来杉英才博士がexamsystemのクローン技術に対して
<あのクローンは雨宮撫子の卵生細胞を使っている物の、けして
雨宮撫子にはならない。だから壊す。>というのを述べていたのを
思い出した。知世の原型となる素体だけ壊してあとは無いはずだ。」
出来杉英才博士は気づいたの。そして何者かに奥さんが殺害された
丁度1年後に暗殺された。」
という内容だった。
出来杉英才博士を暗殺したのは大国の秘密警察とか大企業とか
言われてきているけれども、私は奥さんを殺害した人間と同じ人間で
もしかしたら、共通の幼馴染かもしれない。
と私は考えているけれども。
最近気になっていることとしては、共同研究者氏の娘さんはなんだか
私の戸籍上の母親にますます似てきている。もしかしたら
彼と戸籍上の母親の隠し子が、共同研究者氏の娘さんなのかもしれない。
私が雨宮撫子のクローンだとしたら・・・。
つづく
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春に君と_04

2014-04-22 07:11:26 | 逆襲の藤隆
研究室を立ち去るとき、私は数日前に読んだインターネットのブログを思い出していた。
彼だか彼女の文章の特徴としては、大人向きの映画やテレビドラマをレビューの守備範囲
としている
ブログ主のようだった。
だけれども、人気特撮シリーズ「ウルトライダーFlash」のクローン技術で作られた主人
公の
サポートをする女性キャラの文責は普段こういった物を拝見しない自分も引き込まれた。
「xxは傷だらけの聖なる母でである。クローン技術で作られ、入れ物が沢山ある。
主人公や上官である長官ないしは司令官の母親役を担当しているように見える。」
と・・・。
私は共同研究者の「聖なる母」なのだろうか。
ふと思うのだけれども、結果的に私の戸籍上の母が、ひぐち君とつきあっている女の子の
実母に見えてしまう。
つづく
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春に君と_03

2014-04-21 17:14:53 | 逆襲の藤隆
「あのー。」
私は旦那様の共同研究者氏に強い口調で問いかけた。
「雨宮撫子は私の母になってくれたかもしれない女性だった。だなんて
うわごとのように言っているのを能く聞きます。私はあなたの母親になることはできませ
ん。」
あまりにも彼の言い分が身勝手だったからだ。
彼は絶句していた。
「だけれども、もう一人の父親なのかもしれません。」
私はにこやかに答えた。
私はそのまま研究室を去った。
つづく
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春に君と_02

2014-04-20 06:27:36 | 逆襲の藤隆
「お嬢さんがひぐち君とつきあうのは嫌みたいですね。先生」
旦那様の共同研究者は自分の娘がつきあっている樋口某という
青年が気にくわないみたいだった。
私はその娘に樋口某の写真を見せて貰ったけれども、線は細そうだが誠実な
タイプで彼女とはおにあいだと思うのだが。
「昔お嬢さんがつきあっていたバーミリオンとかいう男性がいいのですか。
その人にこだわりすぎだと思うのですが。」
助手は続けたという。
共同研究者にとってはバーミリオンは大切な存在だったらしい。
でも、バーミリオンの心はマゼンタさんになびいているのに。
そういえば、共同研究者のお嬢さんはどちらかというと私の戸籍上の母親に
似ているような氣がする。
つづく
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春に君と_01

2014-04-19 16:29:56 | 逆襲の藤隆
「現在、examsystemの被検體であるクローンは徳島市内にいると思われます。」
このことを獨自に調査しているロシア人ジャーナリストから私は聞いた。
旦那様も、大変なことだと思ってはぐらかしてしか教えないからだ。
「私もあの研究は何だったのか分かりません。」
彼は、私の問いに顏をすくめた。
「なんで徳島市内なのでしょうか。」
私は彼を問い詰めようとしたけれども、敢而やめた。
「そうだな。あの出木杉博士が研究している研究の助手が徳島市出身だったのかも。」
旦那様は恍惚けて見せていた。
あれで旦那様はいろいろ分かっているから怖い。
「彼にとってexamsystemは永遠の母を作るためには必要だったのかもしれないよ。
雨宮撫子は、彼の母になるためには。」
男にはいやしてくれる母親が必要なのだろうか。
つづく
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春に君と_プロローグ

2014-04-18 17:21:53 | 逆襲の藤隆
「實はこれは私の娘なんだよ。」
旦那様の共同研究者の男性は軽くつぶやいた。
旦那様は一瞬ぎょっとなった。
「君の娘にしては、沢山いる。その上君はこういったクローン技術の専攻では無かろう。」
旦那様が見た物は、細長く水族館の展示水槽のような物に胎児が入っているという
代物であった。
「誰に作って貰ったって、これを作って貰ったのはあの出来杉英才博士だよ。」
旦那様が聞いても居ないのに、共同研究者は聞き始めた。
「そうなのか。でもこのクローンの細胞の主は誰なんだい。」
旦那様はかまかけて聞いてみる。
「私の妻だ。彼女は私の母になってくれるかもしれない女性だから。」
そんなことを言う。
「君には息子さんが居るはずだが。」
旦那様は顔を曇らせた。
「まぁね。有る女性と関係を持って妊娠させた・・・。この子をどうするか。
私は下ろしたくはない。」
あまり、女性関係はこの共同研究者は派手な方ではない。その人が他人の女性を
妊娠させた・・・。
「正直言って、この問題はこじれないようにするだけだよ。」
旦那様は、結局強くいえなかった。
「そういえば、出来杉英才博士はこのクローンの女の子をexam systemに利用するとか
言っていたけれども。」
共同研究者が巨大な力を持つ科学者、出来杉英才博士を問い詰めていたのを
旦那様は横で睨んでいた。
「exam system、私はこの研究に対しては興味無いな。」
と言った。
脳天気かなんなのか分からない空気が流れていた。
程なくして、卵生細胞を提供した共同研究者の妻は急逝した。
この私、平賀知世は、そのとき作られたクローンということも付け加える。
つづく
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だが為に阿佐慶のアンは居るのか_エピローグ

2014-04-05 17:16:38 | 信・どんど晴れ
「竹鶴なんとか・・・。」
経済学部の講義の黒板にやたらこの文字だけが白く光って見える。
担当の講師が言うには、ニッカウィスキーの創業者で北海道の産業の発展に尽力した
ひとらしい。
自分の鞄の中は、なぜだか村岡花子の本がはいっている。
「ニッカウィスキーの創業者ですか。ならば北海道に渡った会津出身の人間の事を調べてみます
か。」
と久留実の隣に座っていた会津出身の女子学生甲さんが、色めきだった。
同じように自分の在学している経済学部に進学してきた高校の同級生でもある乙さんが
「彼女は、今度の講義は気に入っているみたいです。性格にムラのある山師的な
人ですから。」
と皮肉っぽく答えるようなところがある。
「竹鶴さんは出身地は私の高校の恩師それでもあるよ。」
と広島出身のデルタさんは言う。
講義が終わり、久留実の本を静岡出身のうららさんがみた。
「村岡花子さん、あんまり講義には關係のない本では。」
という。彼女の持っている本は鉄道の経済波及効果とかに述べた本だ。
「うん。私が個人的に興味があるから読んでいるのよ。」
と苦笑して答えた。
「高槻さん、先日はトールキンとかサリンジャーに関する本を読んでいたけれども、
どちらかといえば、文学部に入りたかったのですか?」
乙さんが言う。
「本当はここ以外に同志社の英文学部を受けるはずだった。でもあさっての方向である
神奈川縣に来てしまった。」
と久留実は答える。
「どうなるか分からない。敢えて言うが我慢の果てにはじける。」
デルタさんは述べた。
「はじけてしまうのならば、それでいい。」
久留実は口を真一文字にした。
「私は数学が得意だったから、経済学部に進学してきたのだ。しかし意外や意外
はじけた跡面白きことが起きそうだな。」
と、デルタさんは言う。
「面白きかな。我が生国にがまんをしますという考えがあれども、がまんの先に花も咲くのだよ。
デルタ殿。」
と甲さんは述べた。
「おもしろそうですね。私もじっくり見ていきたいものです。」
と乙さんが笑う。
「ニンゲンとんとん拍子に行くと跡で失敗が大きい。」
とうららさんがいった。
おわり
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だが為に阿佐慶のアンは居るのか_6

2014-04-04 15:55:21 | 信・どんど晴れ
「ここで佳かったのかな。」
田口は恐縮しながら、久留実のことを見た。
ここは横浜駅のどこかにある喫茶店。
田口自身、久留実の關東における家がある釜利谷駅のほうまで
足を運びたかったようだが、久留実が、女の子ばっかりで住んでいるから
駄目だと言われたのでここで落ち合った。
「今、他学の女の子ふたりと一つの部屋をルームシェアして住んでいるのよ。
男の子はsocoに入れる事はできない。」
久留実は表情を変えなかった。
「今読んでいる本が、バーネットとバージニア・ウルフに関する本を読んでいる。」
田口は答えた。
「田口君の専攻じゃないでしょ。」
久留実は皮肉っぽく答えた。
「でも、自分の物語の為には必要な存在だ。」
田口は確信を持っていた。
「でも、あなたが好きな輸入文学が目的になってはいけない。日本人に多い手段と目的が
すり替わる病気だって
うっすらながら、研究者が指摘して居るみたい。文系でも理系でも同工異曲な口調で。」
久留実がそう釘を刺すと田口は。
「うん。最近は隠蔽調査シリーズと西尾維新を読み始めた。手段と目的がすり替わる病気
というものに
気づき始めたからだよ。」
久留実はカップに残ったコーヒーを飲みながら
「私が村岡花子さんに興味を持ったの分かる?
「輸入文学ばかりよんでそれに耽溺するよりは、仲介者としての翻訳者に興味を持ったか

様々な観点から海外の文学を楽しんでみたいと思って、日本の翻訳者に関心を持ったの
赤毛のアンも一つの視点からじゃつまらない。田口君も柔軟な氣持ちで物語と向き合って
みれば?」
といった。
田口はスマホを見ていった。
「自分のpcのMailAddressに図書館に予約していた正岡子規の本が届いた。」
と答えた。
「田口君も、対立せずに日本文学しか読まない人と向き合ってみれば。」
と久留実は答える。
「もしかしたら、君が経済学部に在籍しているのは柔軟に物事を熟すためにいるのかな。

と苦笑した。
「うん。好きなことばかりはできないから。」
田口は黙って頷いたけれども、表情は暗かった。
つづく
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