ブルーシャムロック

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魅力的なクリスマス_2

2009-11-27 08:41:53 | 信・どんど晴れ
淡雪は野菜を切りながら自分の郷里のことを考えていた
「なんだか、鬱陶しいのよね・・・。」
そんなことを口走って、野菜を切っていた。
「だよねー。いつも雪ばっかりで寒いのはやはりつらいよ・・。」
淡雪の料理を思わずアシスタントになっていた久留美は
Bowlを用意していた。
「オーストラリアのクリスマスって夏なんだよね。でも
ニュアンス的に違う感じがする。」
と淡雪が言った。
「雰囲気的に日本の夏のさなかにクリスマスが有る感じで・・・。」
久留美も返した。
「やはり、沖縄のクリスマスなのは、その昔やっていた映画やドラマの影響なんだよね。」
淡雪はお鍋の樣子を注意深く覗いていた。
「わたちは見たことがないなあ・・・。その映画だかドラマ・・・。」
少し幼児語が雑じった雰囲気に久留美が言う。
「私が幼稚園の時ケーブルテレビでやっていたのを親が見ていたのを覗いただけで・・・。
でも、そのときの沖縄か琉球群島の風景は印象的だった・・・。」
記憶の遠い中に淡雪はいた。
「よもや、佳奈ちゃんみたいな琉球の島の女の子と知り合うとは。」
久留美は苦笑していた。
「そうね。久留美ちゃんの分は多く入れておくね。佳奈ちゃんの分はどうしようかな。」
淡雪は、思案しながら、琉球の女性が帰ってくるのを待っていた。
「そろそろじゃないの?釜利谷駅に快特がつくから。」
久留美は自分の携帯を見ていた。待ち受け画面は人気アイドルの突風の某君である。
「よし、できた。」
淡雪は料理を盛りつけにかかった。
するとインターホンが鳴る音がした。
おわり


魅力的なクリスマス_1

2009-11-26 20:51:53 | 信・どんど晴れ
「雪のないクリスマスって魅力的ね。」
現在神奈川県の大学に通っている横手淡雪は、
同居人の高槻久留美にそう質問した。
「うーん。そうだねぇ・・・。ハワイとか沖縄とか・・・。」
彼女もそれに同意した。
淡雪は、秋田出身、久留美は石川の出身である。
「でも、約一名それに同意しない人がいる。」
淡雪は久留美と顔を見合わせた。
「佳奈ちゃんね。あの人故郷の島が嫌いだからな。」
久留美がそう答えた。
「彼女が今年の春ぐらいに言っていたけれども
何もない島だといっていた・・・。」
横手淡雪と高槻久留美、そして松本佳奈が
進学のために、神奈川県の海沿いに存在する
三浦金沢市に上京してきたのが、
この年の4月である。
彼女たちが初めて関東で過ごすクリスマスなのである。
今この場所にいない松本佳奈の出身地は
沖縄の近くに存在する加計呂麻島である。
「そろそろ、佳奈ちゃんがバイトから帰ってくる頃かな。」
淡雪は時計を見た。
「そうだねぇ。佳奈ちゃんが帰ってくる。私たちからすれば
毎年、クリスマスは雪だからね。」
久留美も淡雪に同意した。
みんなで御飯を食べる卓袱台に
沖縄の本が乗っていた。
赤瓦の屋根に牛がのんびり牛車を引いている。
「あれっ、佳奈ちゃんってバイトどこだっけ?」
久留美は淡雪に質問した
「久良岐市の琉球料理屋だって。」
久良岐市は三浦金沢市から電車で横浜寄りに移動した場所にある。
「沖縄と奄美は違うって言っていたのに・・・。」
淡雪は少し暗くなった空を窓から見た。
ズッキーニを切りながら夕食の支度をしていた。
「くるみちゃん、胡椒を取って。」
淡雪は、久留美に指図をした。
つづく