ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

あじさいが見える丘に(最終回)

2009-06-24 21:59:00 | 逆襲の藤隆
私は、先生が発表する絵本が出るのをみていて、
どきどきしていた。
あそこまで、種を明かしていいのだろうかと・・・。
先生は、他にも仕事が沢山ある人である。
先日聞いた考想からもう半年経っている。
先生にはMailを打っているのだけれども、
待ってくれと言うばかりである。
他社の先生の仕事はできあがっているようである。
自分は苛苛しながら、自分のモニターの近くにある
コーヒーを飲んでいた。
先生にメールを書こうか。そんなことを何度も考えた。
でも、私は自分の現在ある仕事を優先させた。
先生から、電話が来たのが、それから2~3日してから
である。
「できたよ。」
先生は、私にできたてほやほやの絵本を見せた。
「題名があじさいが見える丘にという名前なの。」
私はPageを開きながら内容を確認した。
最後の結末はお姫様があじさいが見える丘で王子様と
happy endを迎えていた。
おわり。
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あじさいが見える丘に_4

2009-06-12 11:58:52 | 逆襲の藤隆
「王子様の顏が先生に見えますね。」
私は先生にそう言った。
先生の皮肉とも自信とも言えない其れが入り交じった顏は
何ともいえない感情になった。
「でも、何ともいえない雰圍氣を醸し出していますね。」
私もなんだか佳くなってきている。
「あなた、手塚氏のファンだったよね。」
先生は私のストラップを見ていった。ブラックジャックである。
「はぁ・・・。自分あんまり漫画とかアニメとかGameとか好きなのは
公表したくないけれども、こうしてつけていると手塚氏のファンだと
ばれますかね。」
私は赤くなった。だって其ればかりが自分じゃないから。
一般人向けの小説とかも読んで、それとアニゲとの関連性を
とくのが好きだから。
「まぁ、私も多少はアニゲ路線は好きだから・・・。
貴殿のストラップを見てね・・・。
その手塚氏のSapphire姫を思い出してね。彼女は乙女趣味なんだなと思ってね。」
私は
「じゃあ、今回の絵本のお姫様も・・・。」
と切り出した。
「そう言う事よ。」
と先生はウインクした。
つづく
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あじさいの見える丘に_3

2009-06-11 21:14:35 | 逆襲の藤隆
「王子様か。」
先生は一瞬考えて、彼女のパソコンのDatabaseを
あさり始めた。
「どんな感じにしようかな・・・。」
彼女は迷っていた。
眉目秀麗な男、
あるいはアグリーベティみたいな顔で眼鏡・・・。
某アジア俳優みたいなそれとか・・・。
「私はこのチェ某というか、劉某みたいな顔の人がいいなあ。」
とその俳優の顔を見た。
「西洋の王子様だからな。チェ某というか、劉某だと彩雲国物語や十二國記みたくなる
でしょ・・・。」
先生にあっさり却下された。
「じゃあ、どんな顔を。」
私に選べという顔である。
どうにも分からないのだ。
先生はひらめいたようである。
つづく
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あじさいの見える丘に_2

2009-06-07 19:02:22 | 逆襲の藤隆
「男の子みたいでいいのよ。」
先生はきっぱりといった。
「このお姫様は男装することが多い男装の麗人でね。文武両道にすぐれた
人だと國の内外に思われているのよ。」
と、先生は言葉を続けた。
「お姫様は、なんだかその跡、女性っぽさに目覺めるのでは?」
と、私は続けた。
先生は笑ながら頷いた。
「そりゃ面白くなりそうです。」
私は相づちの意味で、おだてるように答えた。
先生は城の背景を書く作業に入っていた。
男の子のように、ショートカットのお姫様はピンク色のドレスを着ている
ようである。お姫様は恍惚の顏をしている。
「お姫様の顏がうっとりしているのが解る。」
先生は
「でしょーっ。」
と私の方をずらした眼鏡越しに見た。
「王子様ってどんな感じなんでしょうかね。」
私もほとんど興味本位だった。
「王子様はまだ決めていないのよ。」
先生はそう答えた。
「こういう王子様だから、かっこいい人なんでしょうね。」
私がそう答えたとき、先生は眼鏡の縁からふふんとした顏をしていた。
つづく
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あじさいの見える丘に_1

2009-06-07 19:01:04 | 逆襲の藤隆
「急な坂だな。」
そう独り言を言って、いつもの坂を上っていく。
湘南と横浜の中間に存在する、足柄聯邦のある町である。
此處にある童話作家が住んでいる。
私は今現在所属している企業に転職してから、もう3 年になる。
もともと、北陸にある金澤の出版社に勤めていたんだけれども、
会社の倒産により、此處關東にやってきたのだ。
昔のように關東が日本の中心じゃないのは解っている。
金澤の存在する北陸の方が富んでいる。
友人の伝手で、此處にきた。日本國の関東地方は存在しているわけじゃない。
2~3 カ国にそれぞれ関東地方に出来た國家によって分割統治されている。
でも、歴史的区分として關東という概念は存在している。
私が住んでいる世界とはそう言う物である。
もう梅雨の時期なので、雨は激しくなってきている。
急がなければ。
予定より5 分遅れて、先生の家についた。
先生は怒っていたようである。
「遅いわねぇ。何か弁解する理由はあるわけ。」
眼鏡をずらしたような独特のかけ方をした童話作家の先生は、
絵本を書くためのペンタブをいつもよりも強く
つかんでいるようだった。
「今度の絵本はお姫様が主人公のようですね。」
色を塗っていないCharacter が居るモニターを見た。
「そうね。」
先生の言葉は冷たかった。
私が疑問に思ったのは、お姫様が男の子のように見えるところである。
「先生、ヒロインのお姫様が男の子みたいですが。」
私は疑問を率直にぶつけた。
「それでいいのよ。」
先生の答えだった。
つづく
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或熊本日記_4

2009-06-05 21:44:48 | 菊の名前異聞
「これが東北のまつりの映像か。」
そんなことをイイながら八戸えんぶりの映像をみていた。
私の目には道々の者の影響はそれほど無かった。
「いわゆる道々の者は江戸時代何處に消えたのだろうか?」
私は何度も自問自答しながら考える。
「そんなこと考えてもしょうがないでしょう。」
妻はそう答えた。
菊の名前という小説を読んで、自分はこの作者が探求したい
世界を知りたくなって、日本のまつりに興味を持つ切欠になった。
「道々の者の文化は、西日本から關東にかけてであって、東北には
こなかったのかもしれない。」
私はそうつぶやいた。
「もしかしたら、道々の者は奄美にいったのじゃないかしら。」
妻がそうつぶやいた。
「奄美か・・・。」
私は少し妻に反論しようと思った。
「私の大学時代の友人が奄美出身で集落で八月踊りなる踊りを
旧暦の八月に踊るのよ。」
妻はそう続けた。
八月踊りの土俗的な感じはもしかしたら、道々の者の影響かもしれない。
翌日、八月踊りのdvd を見た。
もしかしたら・・・。
おわり
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或熊本日記_3

2009-06-03 22:46:06 | 菊の名前異聞
「果たして、道々の物の血筋は絶えたのだろうか。」
私は漠然と思った。
江戸幕府の弾圧によって非農業民はすべて幕藩体制に
組み入れられたと言われる。
しかし、阿蘇山麓の神社の祭事にあるように、その存在は細々と
生きながらえたのかもしれない。
先日のビデオを見終わった跡、何も写っていないモニターを見ながら
思っていた。
小説の方は、楠木正成の出現が或る意味救世主みたいな感じだった
と、そんなことを考えていた。
楠木正成も、非農業民の出自のような人であると説く人もいる。
ならば、道々の者達は仕太かったかもしれない。
江戸時代は身分制度が強くて弾圧的な時代だと言うけれども、
意外と自由だったとも言うし。
(つづく)
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或熊本日記_2

2009-06-01 22:06:40 | 菊の名前異聞
「徹心と良庵か・・・。」
私は菊の名前の登場人物の名前を諳んじた。
なんでも、主人公の徹心がつきあっていた女性が、
道々のものという非農業民の女性だったらしい。
なぜか、ムジナという名前で。
その跡、かつて自分が録画した8mmフィルムをdvd に起こした物を
みていた。
阿蘇山麓のまつりの樣子である。
得体の知れない人形が数体出てきて、一体の人形と相撲を取るという
謎のまつりである。
「きたっ。」
私は一体の人形をよってたかっておそう人形を応援したくなかった。
そして、一体の人形は数体の人形をすべて投げ倒してしまった。
「なんて強いのかしら。」
横で見ていた妻がそういった。
「なんのためにこのまつりを始めたのかわからん。」
私はテーブルの上にある「菊の名前」の本をしげしげとみた。
こういった、道々の物が即興で始めたのかもしれないなと
考えていた。
「殺人事件が起こった時、道々の物が疑われているな。」
この菊の名前の犯人は誰なのだろうか?
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