ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

ぷりぷり縣から帰って来て

2021-07-31 06:34:45 | 潮風の櫻
編集長がぷりぷり縣から帰って来て、お土産と共に、
あるものを持ってきた。
「現在ぷりぷり縣は実業家山田守氏の本據地らしいよね。珍しい布を
作っているようだ。漂流プラスチックと外来植物のセイタカアワダチソウを
使った繊維を開発しているようだ。」
と、編集長が部下に繊維を見せる。
「麻みたいな感覚だ。」
部下は答えた。
「個人的には木綿かリネンに近いほうがいいと考えていたが。
昔日本で使われていた麻みたいな感じになったのだろう。
彼の資料館でみた資料だったけれども、木綿に近い素材も開発されていたようだ。」
と編集長。
「これを今は作りたいんでしょうね。昔の様式が嫌いなベテランアーティストがいるから。」
と、他の部下も言う。
その後はわからない。
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菊の名前の後先_參

2019-05-03 11:03:30 | 潮風の櫻
「へぇ。この松島基地の公報の方、うちのスナックによく来てくれるよ。」
俺が撮影したデジカメの写真を見て、久慈市にあるスナックのマスターが答えてくれた。
久慈市に到着したのは丁度お昼どきだった。
俺は、何かというとしがないフォトジャーナリストだ。 3.11 の原発事故以来、浪江町を中心に
回っている。 3.11 以前から浪江町を中心とした場所をずっとインターネットで報道していた。
あの地震と原発事故より前、過疎化の告發のような使命感をもって浪江町を取材してきた。
そして、 3.11 が発生することになる。
俺は、第二の故郷である浪江町を追われた格好になった。その後も避難している人を取材対象に
してきた。
「浪江町を主に取材対象にしてきたようですが、なんで松島や久慈市に足を運ぶ事になったの ? 」
マスターは見当違いの場所にいる俺に質問してきた。
「はい。他の自身で被災した場所も見聞きしていきたいと思って、松島にも久慈市にも足を運ぶことに決めたん
です。」
俺はそう嘘をついた。
マスターは納得したようだった。
俺が、松島や久慈市と言った場所に赴いたのは今は亡き、熊本出身の学生時代の親友が「菊の名前」という長
編小説の二次創作のエピソードを延々と自分のブログで掲載していたからだった。
その小説の舞台が現在の松島基地近辺や久慈市といった場所が舞台だったからだ。だからついでにこっちに来
た。
「そうそう。現在松島基地の広報をなさっている自衛官の方も、災害救助のヘリコプターが
久慈市の方を救助できたらいいなとか言っていた・・。彼も津波で何もできなかった。」
とマスターは話を続けていた。
カランカラン、スナックにつけていた鐘がなった。
「今熊本から帰ってきてね。あの時の恩返しができた。」
消防署の服の人がカウンター席に座った。
「まああの時も熊本の消防署の方に助けられたから。」
マスターは消防署の服の方にそう答えてきた。
世の中は持ちつ持たれつ。
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台風の少し前

2016-11-01 10:40:31 | 潮風の櫻
「今日も異常なし・・・。」
私の搭乗するヘリコプターの僚官であるコーパイは言う。
3.11以降、新しく入ってきたHELICOPTERで、海難救助に赴いている。
私は航空自衛隊の松島基地に所属するヘリコプターのパイロットである。
あの時は何もできなかったけれども、私は挽回するつもりで、自分の業務をこなしている
整備の人もそうだろう。
少し前のtvで自分たちが避難する人を救助しなかったことを詰る画面をtvに映すように支持したのは
公報の空井という人だった。
彼も我々現場の人間と同じなんだなと、私は同感した。
3.11も過ぎ、そして岩手県に悪名高い台風10号がやって来た。
我々も出動するかもしれないと思って構えていた。
我々には出動が降りなかった。
「北三陸市の近くだ。」
tvを見ると被害があった岩泉町の隣に海に面した北三陸市という地名がある。
「空井2尉、北三陸市に誰がいるんだ。」
私は空井に聞いてみる。
「私の知り合いが北三陸市にいるんです。彼らが無事か・・。」
私はこう切り返す。
「もし、出動することがあればヘリコプターで様子を見てくるよ。」
私は笑っていた。
2週間したあと、空井2尉は北三陸市に赴いたことが彼のsnsで伝えられていた。
彼の行きつけの店、スナックリアスでらしい。
「この後、空井さんのところが救助に来たらよかったのにと言われました。」
とそこには書かれていた。
まあ、自分や空井が所属している場所がそういうところじゃないからね。
おわり
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潮風のメモリー_4

2013-11-18 18:22:59 | 潮風の櫻
その後、空井は北三陸市のあるスナックにいた。
ココのスナック自体、かつての上官である鷺坂が常連にした
所だった。
そこで、大吉にあった。そこで衝撃の事實をきいた。
「實は、ここにいるユイちゃんと俺を助けてくれたのはアメリカの海兵隊員だったんだよ

日本語に堪能な方が救助にあたってくれたんだ。」
ユイはだまって寫眞を空井に
「この人たち知っているよ。津浪にあった松島基地の再開に協力してくれた人たちだ。」
空井の大声に、店に来ていたアキが
「蛇男、いろんな縁があるんだね。まあ、再開できたんだから官公庁の性格上また救助に
いけば
いいべ。このまえのNEWSで見たけれどもブルーインパルスが歸ってきたときくよ。」
空井は軽いなぁという雰圍氣で苦笑して。
「そうだね。救助のHelicopterもなんとか歸ってきたし、つぎ救助隊員の広報として
仲間をprしたいね。」
とGlassのWhiskyを眺めながら述べた。
そういう軽口を言った跡、東北の長い梅雨が明けるか開けないかのとき、
秋田と岩手の県境で土砂災害が起きた。
松島基地のメンバーは自分たちに出動要請がくることを考えていたが、出動要請がでなか
った。
他のセクションの捜索隊員が倒木などと格闘しながら、被災した人の救助にあたっている

そして・・・。
2013年10月・・・。
伊豆大島の災害救助の基地として松島基地のメンバーは、広報業務に当たっていた。
空井は北三陸市の人に、こういうメールを書いていた。
「北三陸市の皆様、僕たちは伊豆大島の土砂災害の後方業務に追われています。
なんとか復旧した基地が、災害救助の基地として使われている事が誇らしく思って居ます

自分たち松島基地の人間が救助に向かったらもっとかっこよかったのにとは個人的には
思って居ますが。」
北三陸市の人は連日のテレビの報道と照らしながらそのメールをにこやかに見ていた。
おわり
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潮風のメモリー_3

2013-11-15 09:06:07 | 潮風の櫻
今回の松島基地の報道のあり方が招いたもの、
それは
「自衛隊に代表される官公庁の救助隊が災害の時にすぐ駆けつけてくれるか?」
という疑問を多くの人に植えつけたことだった。
電話に応対する空井など、松島基地の人間が映しだされた時、
多くの人は複雑な思いに駆られた。
一人大吉は
「やはりそうだったか・・。」
とつぶやいた。
つづく
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潮風のメモリー_2

2013-10-12 05:00:55 | 潮風の櫻
岩手県北三陸市
北鐵の運轉手大吉は、新聞を片手に、前の晩報道された日売テレビの番組のことを
店の人に愚痴っていた。
「あのとき、救助に来てくれなかったのは救助に行くはずの人も同じだったのかな。」
前の晩公開された番組と言えば空自松島基地の番組である。
窓の外では、相変わらず雨が降っている。
コーヒーを頼むと、大吉は考えた。
あのとき、電車を止めたとき、見えた画像。
飴のように曲がった線路。
四散したする瓦礫。
寒そうにしている乗客がいた。
Helicopterが来たのは、辺りが暗くなってから。
機体には「秋田県警」と書かれていた。
秋田からじゃないと、機材が十分ではなかったのか?
大吉は思った。
Tvに映し出されていた松島基地の画像も津浪でめちゃめちゃだった。
隊員は、全員高台にある建物に、待避していた。
「この、衝撃的な情報を流すのに許可したのは、やはり広報の人なんだろうかな。」
大吉はつぶやいた。
「そうかも。」
店番をしたユイが言う。
店のドアが開く。
「あ、もうあいているんだ。しかしすごい雨だぁ。」
初老の男が言う。
「鷺坂さんまた来たんだ。」
ユイが面倒くさそうに答えた。
鷺坂という名前の
男は一ヶ月前からリアスに入り浸っている。現在は宮城県の方に住んでいると言うが
本職は何をしているか分からない。やたら北三陸市が気に入ったと言っていた。
「大吉さんは相変わらずですね。」
鷺坂は言う。
「ああ、はい。」
彼の人を食った雰圍氣は苦笑か愛想笑いしか出てこない。
「すごい雨だ。仮設住宅の方に、被害が及ばなければいいけれども。」
彼はなにやら心配そうな感じである。丁度災害救助に赴く事のある人のようだった。
「あんたもなんだか分からないけれどもこういう警察だか消防につとめていたの?」
大吉は質問した。
鷺坂は黙って頷く。
つづく
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潮風のメモリー_1

2013-10-11 17:06:37 | 潮風の櫻
2013年7月、宮城県松島基地。
ここの基地に所属する隊員は、なかなか明けない梅雨にヤキモキしていた。
「東北でもこの梅雨は異常だ。このまえの地震と津波の被害に対して次は集中豪雨
に警戒しないといけない。恐らく我々が災害派遣に参加することになるだろう。」
ヘリコプターの整備主任がそうつぶやいた。
「そうですね。」
空井と名乗る1尉が頷く。
彼は、ここの広報を担当している。
「まぁ、半年前日売テレビの取材をプッシュしたのは、広報の人間たちだったよな。
あのときの地震の時の我々の困難が分かったんで、みんな納得してくれたかもしれないね。」
と、自分の担当を整備していた。
みな、あの取材に対しては基地内では賛否両論だった。
しかし、今の状況をわかってくれた方が、救助に来てくれない自衛隊や警察の
状況を分からせるには、丁度よかった。
この取材の時も、余震が相次いでいた。
そこにCameraに映し出されていた物は、それに屈さない隊員たちだった。
他の人間にも、別な部署が再開したところを伝えたときがあった。
「災害に屈さない俺たちのことを、テレビに見せたのは、俺たちHelicopterの
運用スタッフにも励みになる。ここらへん近辺で豪雨による災害が起きたら
俺たちが行く。近くの自衛隊の人がやってきてくれたと安心するから。
このまえの地震の時、電車を急いで止めた運轉手を救助できた可能性があったかもな」
整備主任は言う。
「そのときは僕たち、広報部がprするんで。」
空井はほほえんだ。
つづく
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