ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

幼なじみと恋人

2015-11-27 16:36:13 | 逆襲の藤隆
「ねぇ。知世さん。」
柿沼萌美は、ビルの中で吹き抜けになっているクリスマスツリーを見ている
平賀知世に尋ねた。
「えっ。」
知世は聞かれて少し戸惑う。
「いつも関東に行くと、バーミリオンとマゼンタさんは二人いるのはどうして。」
萌美は、二人が恋人であることをわかりつつ答えた。
「そうね。私のリクエストでもあるの。バーミリオンかっこいいからな。」
と、隣でカメラをいじっている浅岡蓮次をみた。
「確かに。蓮次さんよりは。
私が浩一郎君を大切にしているのと同じで、彼のマゼンタさんを大切にしている気持ちも
あるんだよね。」
萌美は蓮次の名誉もあってか、そう知世に回答してみせた。
「あとは、バーミリオンが昔の恋人にこだわるより、マゼンタさんとくっついてほしい
とも私は考えているから。」
いつも、微笑みを欠かさない知世の表情が険しくなった。
「あの人のことを忘れるために、僕と付き合い始めたんだろう。」
カメラをいじっていた蓮次も言う。
「蓮次さんにとっても、知世さんが言うバーミリオンの元カノは許せないんだ。」
萌美が言う。
「そーだねぇー。でも彼女の顔を僕は見たことがない。」
蓮次は軽く答え
「でも、知世のことを裏切ったならば、僕は彼女は好きでないと今まで考えていた。」
とクリスマスツリーをまた眺めた。
浩一郎は、バーミリオンと話していた。
「ふーん。それじゃあみんなでクリスマスパーティーだ・・。そこにはプールがあるんだ。」
彼は楽しそうだった。
バーミリオンも
「そこで泳いでもいいんだぜ。」
みたいなことを言っていた。
「ふーん。プールがあるんだ。」
萌美はポツリとつぶやいた。
「何か不満でもあるの ?」
知世は、萌美を見た。
「なんでもない。」
萌美は笑って答えた。
「みんなでこのあとバーミリオンの貸切のパーティーを楽しむか。」
蓮次はお気楽に答えたのだった。
このあとはどうなったかしらない。

不幸と幸せと

2015-11-21 21:52:16 | 信・どんど晴れ
「女将、朝倉夏美がいなくなって何年になるでしょうか? 」
いつものように仕事場で女将に、松本佳奈は尋ねた。
「そうだねぇ。何年になるでしょうか。彼女は人を不幸にする人だったのかもしれない。」
女将は東の方向をみた。
「恵美子さんも小田原に帰って行きましたよね。」
佳奈は女将の表情を見て答えた。
「ああ。あなたのいいところは不思議とみんなに幸福を持ってくるのところがある。」
女将は確信を持って答えた。
「そうですか。このことは進学して上京した時住んだ場所で、そしてこの徳之島の加賀美屋で
働き始めて、少し感じているところです。」
佳奈の顔にやたら力が入っている。
女将は苦笑しながら、
「そんなに、力まなくてもいいんじゃないのか。もしかしたら、お前の力を思い出したのは
朝倉夏美かもしれない。ここを出て行った恵美子さんも朝倉夏美と話をすることによって
見出していったのかもしれない。朝倉夏美は、もしかしたら自分の輝きを人に提供する
ことによって、自分の力を出すのかもしれない。もしかしたら婚約者の柾樹も、朝倉夏美
と平凡な家庭を過ごしていたほうが良かったのかもしれない。」
とゆっくりと口を開く。
「そうですか。彼女が来た時、関東に住んでいた時のことを思い出しました。」
佳奈は、柾樹と朝倉夏美の婚約パーティーの時を考えていた。
この加賀美屋に来てから、なつかしい神奈川県に住んでいた時のことを思い出すことを禁じられていた
から、その時のことがフラッシュバックした時のことを思い出した。
「なぜ、朝倉は女将になるとか言ったのかわからない。」
佳奈にそれは課せられた使命だと感じた時に、彼女はそんなことを言い出したのか。
「まあ、いいじゃないか。あの時の失敗を糧に、朝倉夏美は自分の使命を思い出したかもしれない。」
女将は佳奈の肩をたたいた。
「そうですよね。私を見てくれる人が鹿兒嶋と沖縄にいるから。」
佳奈はこぶしに力を入れた。

恵美子を見た

2015-11-13 13:03:37 | 信・どんど晴れ
徳之島にある旅館、加賀美屋は今日も忙しかった。
女将と、それの後継者候補である松本佳奈は、客の応対に追われている。
「沖縄のテレビ局に紹介されてから沖縄の客が増えましたね。鹿児島の本土の人より多いぐらいだ。」
客が食べたお膳をうず高く抱えながら、女将に質問する。
「そうですね。佳奈ちゃん。あなたが関東で出会った沖縄のお友達に感謝しなければね。」
同じように、お膳をうずたかく持った女将も答えた。
仕事を一息ついて、休憩室でtvを見ていた佳奈は、びっくりしてしまった。
いつも見ているワイドショーのラフレシアなんですじゃなくて、ちょうどテレビをつけたらモニターに
映しだされていた、旅チャンネルに釘づけになった。レポーターはかつて映画やテレビドラマで
チンピラヤクザの役が多かった性格俳優である。
「今日は、横浜特集です。今回は横浜元町にあるつねに挑戦的な試みをしているパティスリー
"ル・ヴィサージュ"の紹介です。オーナーの橘恵美子さんとシェフの須藤晃さんです。」
佳奈と女将は目を疑った。
「あれ、恵美子さん、新一と別れて小田原に帰ったと聞いたけれども、なんで横浜元町にいるんだろう。」
女将が、横浜の近くに住んでいた佳奈に尋ねた。
「まぁ、横浜と小田原は東海道線で一直線ですから、横浜の店を買収することだってあるんじゃないですか。」
佳奈はそう答えた。
「恵美子さんにとって、徳之島は牢屋だったのかな。昔よりイキイキしている。」
かつての姑の女将は答えた何か荷物が降りたようにも佳奈は思えた。
佳奈は彼女を複雑な表情で見た。私だってこの旅館と徳之島なんて好きでいるわけじゃない。でも
根無し草で関東の大学にいた時よりは、ここの仕事の方がしっくりきているなとも思うのだ。
ある意味、こういう部分では恵美子さんには甘いくせに、私には厳しい。
そんなことを考えながら、ふと考えた、
「あれ、"ル・ヴィサージュ"って、朝倉夏美の実家だったような・・・。」
佳奈は一瞬考えた。でも、朝倉夏美は画面には一切映らなかった。
「前シェフの朝倉夏美は現在イタリアに留学中です。帰ってきたら彼女の成長が楽しみです。」
モニターの恵美子は、そう告げた。
佳奈と女将は二人で目を丸くした。
「イタリアって、どこでどう間違ったんだろう。」
女将は目を丸くしている。
「彼女は女将修行より、スイーツ修行を選んだんだろうね。彼女の
あのあった時のフワフワした感じよりしっかりした女になって帰ってきてほしい。」
佳奈は期待していた。
モニターの前にいる二人は恵美子の考えは知らないようだった。

少し早いクリスマス。

2015-11-04 18:27:03 | 逆襲の藤隆
バーミリオンとマゼンタは、赤レンガで待ち合わせをしていた
平賀知世、朝岡蓮次のカップル、日下部浩一郎と柿沼萌美のカップル
と出会い、ランドマークタワーのクリスマスツリーを見に行く。
今回のクリスマスツリーのプロデュースはベテランバンドの「traffic jam」の
プロデュースなどで知られる人気プロデューサー津崎清地がプロデュースした
らしいのだ。
「本当を言うとこれが見たかったな。」
マゼンタは、周りの人に言う。
「これか。僕は何回も見たよ。」
日下部浩一郎は、通ぶって答える。
「ええっ。私だって何回も来れないんだよね。だから今日の津崎さんのクリスマスツリーは
見てみたいのよ。臺灣の親戚に自慢したいしね。」
マゼンタは強がってみせる。
「まあ、愉しめばいいじゃないの。」
柿沼萌美の声。
「毎年恒例だしね。12/24or25はこれを見ないと面白くないし。」
朝岡蓮次は言う。
「私はみんなといっしょに入れるといいなぁ。」
平賀知世が言う。
クリスマスツリーは、吹き抜けを数階分を突き抜けているかなりの大きさだ。
それに色々な飾りがしてある。
アナウンスが聞こえた。
「只今より津崎清地のファンタスティッククリスマスが始まります・・・。」
照明が消され、津崎清地が作曲したムーディーな音楽が流れた。
見ているみんなはそれに圧倒されていた。
「みんなMerry Christmas。」
ここにいた人間の無言の共通言語だった。

汽車道とイルミネーション

2015-11-02 18:01:07 | 逆襲の藤隆
「ねぇ。もしかしたら、あなたが木之本さん?」
私、マゼンタは一人の女性に話しかけた。
「違います。人違いです。」
女性は、私の質問をはぐらかしていた。
でも、なにか確信に迫ったような表情が気になってしまう。
私の恋人であるバーミリオンはついてくるには後ろから来るようである。
「あのー。何なんですか。」
木之本という女性は言う。
「ふーん。こういう人なんだ・・・。」
私は少し勝ったと思った。
「あのー。私彼をまたしているんです。」
女性は言う。
「またしているのか。まあ仕方がない。私も彼をまたしているんだ。」
と、言う。程なくして木之本さんの彼がやってきた。
彼の後ろから、男女二人も来ている。wデート。まあ私も同じだ。
私の彼のバーミリオンと、他にこの横浜に住んでいる平賀知世さんと東横沿線
に住んでいる蓮次くんのカップルと、瀬戸内からいつも横浜にやってくる年下カップルの
日下部浩一郎くんと柿沼萌美ちゃんのカップルを待せている。
「おーい。マゼンタ。アルクの早い」
バーミリオンが後ろからやってくる。
「ごめーん。そういえば木之本さんと出会ったよ。」
私はひとこという。
「あの子は俺と一緒じゃない方がいい。あの子が他の人らと楽しむことを
俺は望み、お前と一緒にいることがいい。」
と表情が硬くなりながら答えた。
「うん。知世さん達は確か赤レンガの方だよね。」
と言うと
バーミリオンは黙って頷き、
「そうだな。みんなでクリスマスマーケットを楽しもうよ。」
と大きなクリスマスツリーがある洋館の方に歩いて行った。
「その後はランドマークタワーのクリスマスツリーだね。」
と、バーミリオンの腕を組んだ。
おわり