ブルーシャムロック

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人は、退出下さい。

潮風のメモリー_2

2013-10-12 05:00:55 | 潮風の櫻
岩手県北三陸市
北鐵の運轉手大吉は、新聞を片手に、前の晩報道された日売テレビの番組のことを
店の人に愚痴っていた。
「あのとき、救助に来てくれなかったのは救助に行くはずの人も同じだったのかな。」
前の晩公開された番組と言えば空自松島基地の番組である。
窓の外では、相変わらず雨が降っている。
コーヒーを頼むと、大吉は考えた。
あのとき、電車を止めたとき、見えた画像。
飴のように曲がった線路。
四散したする瓦礫。
寒そうにしている乗客がいた。
Helicopterが来たのは、辺りが暗くなってから。
機体には「秋田県警」と書かれていた。
秋田からじゃないと、機材が十分ではなかったのか?
大吉は思った。
Tvに映し出されていた松島基地の画像も津浪でめちゃめちゃだった。
隊員は、全員高台にある建物に、待避していた。
「この、衝撃的な情報を流すのに許可したのは、やはり広報の人なんだろうかな。」
大吉はつぶやいた。
「そうかも。」
店番をしたユイが言う。
店のドアが開く。
「あ、もうあいているんだ。しかしすごい雨だぁ。」
初老の男が言う。
「鷺坂さんまた来たんだ。」
ユイが面倒くさそうに答えた。
鷺坂という名前の
男は一ヶ月前からリアスに入り浸っている。現在は宮城県の方に住んでいると言うが
本職は何をしているか分からない。やたら北三陸市が気に入ったと言っていた。
「大吉さんは相変わらずですね。」
鷺坂は言う。
「ああ、はい。」
彼の人を食った雰圍氣は苦笑か愛想笑いしか出てこない。
「すごい雨だ。仮設住宅の方に、被害が及ばなければいいけれども。」
彼はなにやら心配そうな感じである。丁度災害救助に赴く事のある人のようだった。
「あんたもなんだか分からないけれどもこういう警察だか消防につとめていたの?」
大吉は質問した。
鷺坂は黙って頷く。
つづく
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潮風のメモリー_1

2013-10-11 17:06:37 | 潮風の櫻
2013年7月、宮城県松島基地。
ここの基地に所属する隊員は、なかなか明けない梅雨にヤキモキしていた。
「東北でもこの梅雨は異常だ。このまえの地震と津波の被害に対して次は集中豪雨
に警戒しないといけない。恐らく我々が災害派遣に参加することになるだろう。」
ヘリコプターの整備主任がそうつぶやいた。
「そうですね。」
空井と名乗る1尉が頷く。
彼は、ここの広報を担当している。
「まぁ、半年前日売テレビの取材をプッシュしたのは、広報の人間たちだったよな。
あのときの地震の時の我々の困難が分かったんで、みんな納得してくれたかもしれないね。」
と、自分の担当を整備していた。
みな、あの取材に対しては基地内では賛否両論だった。
しかし、今の状況をわかってくれた方が、救助に来てくれない自衛隊や警察の
状況を分からせるには、丁度よかった。
この取材の時も、余震が相次いでいた。
そこにCameraに映し出されていた物は、それに屈さない隊員たちだった。
他の人間にも、別な部署が再開したところを伝えたときがあった。
「災害に屈さない俺たちのことを、テレビに見せたのは、俺たちHelicopterの
運用スタッフにも励みになる。ここらへん近辺で豪雨による災害が起きたら
俺たちが行く。近くの自衛隊の人がやってきてくれたと安心するから。
このまえの地震の時、電車を急いで止めた運轉手を救助できた可能性があったかもな」
整備主任は言う。
「そのときは僕たち、広報部がprするんで。」
空井はほほえんだ。
つづく
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