ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

加計呂麻島記_8

2011-01-16 18:05:54 | 信・どんど晴れ
彰は、佳奈の実家のサトウキビ畑をみている。
「これが歌に出てくるサトウキビ畑か。」
しみじみとした表情に、
「ああ。その歌がなにかあったのか?」
と佳奈は聞いた。
「うん。小学校の頃好きで、沖繩の島を浮かべて歌っていた。」
すっかり、サトウキビは、刈り取られている。
「姉ちゃん、夏祭りの準備をしてくれないかな。」
佳奈の弟が、恋人を伴って来た。
「ああ。」
素っ気ない佳奈の返事である。
「もしかしたら、佳奈ちゃんも忙しいかもしれない。」
そんなことを言ったのは彰だ。
やぐらか、なにかを作るための鉄パイプをもっているのだが、いかんせん重いので
ひきずっているようである。
「わたしがもってあげる。」
彰はにこりとして、鉄パイプを持つ
「軽そうだね。女性なのに・・・。これを持ち上げられるのは、姉貴だけだぜ。」
と弟は苦笑した。
その経緯をみていた、佳奈は、弟の恋人に
「彼女は、テニスをやっていてね。秋田ではxxの鬼小町と言われていたらしいよ。」
と言う。
弟の恋人はそれほど、興味がないようだった。
ハイビスカスの花が揺れている。
「お姉さん、ハイビスカスの御茶って飲んだことありますか?」
と恋人は興味深く佳奈に聞く。
「ああ。関東に来てからルームメートの影響で飲んだことがある。」
と妙にまじめっぽく佳奈は回答した。
「そうだ、毋がハイビスカスをお茶にして、売っているんで、お友達に如何ですか?」
恋人嬢は、うれしそうに勧めた。
「そうしとく。」
それが佳奈の答えである。
こうして夏祭りの瞬間がやってきたのだけれども、
佳奈はむっつりしているのは、とれなかった。
終始、彰は気にしていた。
その後、関東に歸って来たとき、
佳奈は表情が明るくなった。
そして、
「たくあんが食べたい。」
と述べた。
おわり
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加計呂麻島記_7

2011-01-16 18:05:20 | 信・どんど晴れ
「姉ちゃん、歸ってきたのかよ。」
絶句していた、佳奈の後ろから若い男性の声が聞こえた。
「あ・・。」
佳奈は振り向いた。
「この人、誰だっけ?」
弟は、振り向きながら彰を見た。
「初めまして、追浜彰です。お姉さんのRoommateの友人です。」
と簡潔に説明した。
「この前の冬、淡雪と久留実さんが来たけれども、そのまた・・・。」
不思議がった弟に、佳奈が
「そうそう、彼女とは秋田でであったんだよ。」
と割ってはいる。
「秋田か・・。結構物好きだね。この奄美は暑いぜ。」
と言う。
「実を言うと沖繩や南の島にあこがれていて、佳奈ちゃんにせがんで来ました。」
と弟の顔を見る。
「彰、あいつ結構氣にいったんだろう。」
と苦笑した。
「そうだね。ところでBeachって何處だっけ?」
彰は弟に聞く。
「この家の後だよ。」
とさす。
1時間後、
佳奈は彰に誘われて海で泳ぐことになってしまった。
家の浦の浜辺に水着を着用して行くことになる。
「ところでさあ、佳奈ちゃんの家の広い敷地は何の畑だっけ。」
彰はふと質問した。
「あれは、サトウキビだ。」
と簡潔に説明するのは佳奈。
「サトウキビか。もう収穫のシーズンは終わってしまっただろうね。」
彰は残念そうに言う。
「今年収穫した黒砂糖がある。食べてみるか。これを鎌倉の小禄の家に送ってやるか・・。」
と佳奈は言う。
「小禄さんって?」
彰は不思議そうに質問した。
「元元淡雪のクラスメートだが、沖縄出身でいろいろあわないことがあったので
文化が近い私が話し相手になってやったんだ。まあそれで両親の実家がある宮古島の
サトウキビを持ってきて、私の実家の其れを持って行ってやろうとしてね・・。」
と、佳奈はつらつらと話した。
「どっちみち、私には関係がないことだけど。」
と彰は海の方を見た。
「準備体操はするんだよな。」
佳奈は彰を見る。
黙って頷く彰。其れと見る佳奈。
しかし、佳奈のハイレグ競泳水着がほつれているような気がすると佳奈は思っていた。
数分後、なぜだか其れは破れた。
とんでもないことになってしまった。
「あ、ちょっとまってろ・・。」
佳奈は実家の方に駆け出した。
叢に隠れている彰に
「これ中学の頃に買って貰ったSepareteなんだが。」
と恥ずかしそうに差し出した。
其れを着た、彰は
「ギンガムチェックで、佳奈ちゃんのImageとはほど遠い。」
と漏らす。
しばらくして、近所の小学生も現れた。
「佳奈ーっ。そこのねえちゃんは東京のお姉ちゃんか?」
スク水の男女は興味深く彰を見る。
「まあそういうところだ。」
と佳奈は説明した。
彰は彼らと仲良く遊んでいる。
そして、記念撮影をしたのだが、
なんと彰を佳奈がお姫様抱っこする写真を堂堂と撮る。
「女がお姫様抱っこして如何するのだ。」
佳奈はそうモラすが、
「佳奈ちゃんだからいいんだよ。」
と彰はまんざらじゃなかった。
なんだか、不思議な帰省である。
つづく
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加計呂麻島記_6

2011-01-16 18:04:29 | 信・どんど晴れ
「佳奈はどうかね。」
父親は、彰に聞いた。
「まあ、彼女とは學校も違うし、神奈川縣と立川じゃ、距離が違いますよ。」
父親は彰の発言に恐縮をした。
佳奈は、
「まあ、おやじは大阪より東には出たことはないから。」
とぼそりと言った。
「二人とも、あいつもそろそろ歸ってくるだろう。」
と佳奈の方向を見た。
「あいつっていったい誰なんだろう。」
と彰はきょとんとした顏をした。
「あいつとは、佳奈の弟になります。」
と彰に父親は説明した。
「弟さんか、どんな人かな。」
彰はうれしそうだった。
「イケメンだったら佳かったか?まあアイツはイケメンだ。でも彼女がいる。」
と現實を佳奈は説明した。
「まあ、それだけの人ならほっておかないとして・・。佳奈ちゃんみたいにひねくれ者
ではないことを考えているね。」
彰は、茶の間の方向を見ながら、相変わらずむっつりした佳奈を見た。
「海も、きれいなんでしょう?」
彰は父親に聞いた。
「きれいですよ。内地から來たお客さんも太鼓判を押すぐらい。」
佳奈とは違う表情で、答えた。
彰は
「絶対泳いでみよう。佳奈ちゃんこの前選んだ水着着てみてよ。」
とにやりとした表情で答えた。
「あれかよ・・・。」
佳奈は絶句した。彼女が一番気にしている大きな胸が強調されるのがとてつもなくいやだったの
だ。
つづく
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加計呂麻島記_5

2011-01-16 18:03:58 | 信・どんど晴れ
しばらくして、バスは動き出した。
結構人が乗っている。
「おそらくは鹿兒嶋の本土や大阪周辺の人かも。」
佳奈はぼそりとつぶやいた。
「関東に、奄美の人って少ないのか・・・。」
彰は不思議がった。
「關東でも下町に東北の人間が多いのと同じ理屈だ。」
佳奈は口をへの字に曲げた。
「ああ、淡雪は下町だけには住みたくない。と誰かさんみたいなことを言っていた。」
彰は意地悪く佳奈を見た。
「そうだったな。關東で共同生活を始めてから私も聞いた。」
と、彰を見た。
大島と同様、この加計呂麻島も山がちである。
坂道やつづら折りになった道を越え、マイクロバスは進んだ。
着いたところは、とある集落。
「xxです。お降りの方は・・。」
運轉手は、野太い聲で、客にオリるように促すのだった。
「おっと、私らおりるぜ。」
佳奈は彰にオリるように言う。
「あっ・・。」
彰は重い荷物を、マイクロバスの狭い出入り口から掻き出すようにする。
佳奈は軽装なので、そこまでは重くはない。
バス停から、歩いて数分の處に松本佳奈の実家はあった。
深刻な顔がますます深刻になっている佳奈に対して、
うれしそうな彰
「久々の帰省なのに、」
うれしそうな顏に憂いが入る彰。
「關東からの客を入れるのは、この前の冬、淡雪と久留実を招き入れていらい。」
佳奈は、だまって、家のインターホンを押した。
「佳奈です。關東から帰省してきました。」
引き戸が開き出迎えたのはなんと父親だった。
「お前か。まあどこぞで下らんことをしているんだろう。」
佳奈を一瞥(いちべつ)し、そういう。
「私が渋谷か六本木で遊び歩いているように見えるかよ。おやじ」
佳奈はそうにらみ返す。
父親は、彰を見た
「東京のお嬢さんか。まあ育ちは良さそうだな。」
と表情は明るくなる。
「うーん。現在すんでいるのは東京だけれども、出身は秋田なんです。」
彰は、父親と佳奈の確執を感じながら丁寧に口を開いた。
「まあ、この前来た人と関係がありそうだ。東京あたりじゃあ、こういった場所の人と
佳奈も出会いそうだ。」
ふむ。という顏をして奥の座敷に、だまって案内をした。
つづく
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加計呂麻島記_肆

2011-01-16 18:02:08 | 信・どんど晴れ
大きな船に乗り込んだ二人は、彰が上のフロアに行こうと促すので、
佳奈も上のフロアに行く。
佳奈にとっては大島側に行くときも、そして、上京するときも使っている。
条件反射的に関東の方向を向いてしまう。
「また、故郷を見たくないんだね。」
彰は苦笑した。
「ああ。言っただろう。」
佳奈は表情が暗い。関東から加計呂麻島に向えば向かうほど暗い表情になる。
20分ぐらいだろうか、船は加計呂麻島の港に接岸した。
彰は、港を見た。
「佳奈ちゃん、みてよ。たくさんの人が来ているね。」
初めて見る表情にうれしくなっていた。
「いつものことだよ。」
暗かった表情が少し明るくなった。
船から二人が下りると、出迎えの人がいる。もんぺをはいたおばさんや作業着のおじさん
をみて、
「ここは、秋田の郡部と変わらないね。」
と彰が漏らした。
「そうだな。もし、これが関東生まれ關東育ちならば、田舎くさいとかあるいは珍しそう
に見るけれども。
冷静な表情で見るのは秋田育ちのおまえらしい。」
と状況を把握しながら佳奈は論述した。
といいつつ、マイクロバスの方向を見る。
「あれに乗るんだね。」
言葉が少ない佳奈を見る彰。
つづく






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加計呂麻島記_參

2011-01-16 18:01:37 | 信・どんど晴れ
「古仁屋に着いたようだな。」
名瀬よりもビルの数は少ないもの、町中を見て佳奈は言う。
「これからまた船に乗るんだよね。」
彰は、確認を促した。
「ああ。」
飛行機に乗っているときもそうだったけれども、船着き場に足を運ばせる佳奈の脚取りは
重そうだった。
バス停から数分後、フェリーなどが泊まっている船着き場につく。
「あれだ。」
佳奈はFerryをさす。
しかし、彰が眼に行ったのは、漁船だった。漁船自体は彰が生まれ育った秋田でも眼にするのだが・・。
「あれ、漁船じゃないよね。」
彰が不思議そうに佳奈に訪ねる。
「あれは、海上Taxi。昔風に言うと渡船屋だ」
と当たり前のように言う。
「あれをつかって、大島と加計呂麻島を行き来するのか。」
彰自体、漁船のようなそれをみて、それだけ行き来が盛んなのかもしれないと思った。
「早くしないと、Ferryが出ちまうぞ。」
海上Taxiをみていた、彰に巨きな船に乗ることを促す。
「ごめんごめん。」
苦笑した彰は船に乗った。
数分後船は古仁屋の港をでて、一路加計呂麻島を目指した。
思ったより、穏やかな海である。
夏でも波が高い日本海とは比べものにならない。
「私からすれば、日本海の方が珍しかったな。」
と佳奈は見飽きたようにぽつりとつぶやいた。
「佳奈ちゃんの実家の方々ってどんな人かな。」
彰はうれしそうだった。
つづく
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加計呂麻島記_2

2011-01-16 18:01:07 | 信・どんど晴れ
「ここが佳奈ちゃんの生まれた島がある所か。」
彰は、奄美空港に向かって高度を下げる飛行機の窓から風景を眺めた。
「ああ。」
佳奈の顏は寂しかった。
飛行機の中でだんだんと顏が険しくなっていく佳奈の顏を彰は、心配そうにみていたが、
着く算段になると、言葉も少なくなるのだろうと思った。
「うわっ・・。」
飛行機から出て、奄美の土を踏んだ彰の言葉である。この土地の夏の暑さ。日差し
すべてが、彼女を絶句させた。
「暑いだろ、この季節に帰省は勧めたくない。」
彼女はそういって、加計呂麻島の近くにある古仁屋に行くバスを探し始めた。
「古仁屋行きは、あれか・・・。」
佳奈は、彰に指図した。
「古仁屋だったよね。船が出るみなとがあるのは。」
と彰も言う。
「お客さん、このバスは名瀬経由ですよ。」
バスの運転手は言う。
「そうですか・・・。」
そう言いながら、佳奈はバスの料金を払う。
バスはそのまま名瀬に向かっていく。
周りの濃い木々を彰は珍しく見ていた。
「もっといくとなジャングルになる。」
佳奈はそう答える。
「また、佳奈ちゃん顏がこわばっている。」
彰が苦笑していた。
50分ぐらいしたあと、
名瀬に着いた。
多くの人がオリる。
「ここからがすごいものが見える。」
佳奈の言葉だ。
「期待しているよ。こういう風景こそ南ノ島というものを・・・。」
バスは蛇行した山道を上り始めた。
「うわぁ・・。」
熱帯植物とクスノキが紛れたような風景がある。
佳奈は運轉手の方をみている。その前には大学のある關東かもしれない。
そして・・・。
「道すがらマングローブの林もある。」
と窓に張り付いている彰に述べた。
「マングローブ?!すごく見てみたい。」
案の定うれしそうな顏である。
佳奈は、苦虫を噛み潰したような表情だ。
数十分後、
マングローブの林をみる事になった。
「小学校のころ、総合学習で沖繩のことを調べることになったけれども、
そこでマングローブを調べたけれども、車窓からみるなんて・・・。」
彰はそう述べた。
バスはいよいよ古仁屋である。
つづく
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加計呂麻島記_壹

2011-01-16 18:00:30 | 信・どんど晴れ
飛行機の中で松本佳奈はむっとしていた。
「私は今回は帰省したくなかったんだがね。」
腕を組んで飛行機が飛び立つ時間を待っているようであった。
「そんなことは言わない。」
今回、加計呂麻島に行きたい述べたのは横の座席に座っている追浜彰である。
「そうか・・。おまえさんが沖繩にあこがれていたならばついて行かせるとEngageさせたな」
こわばっていた、表情が柔らかくなった。
飛行機は羽田にまだとどまっている。
アナウンスが聞こえる
「当機は東京国際空港を出発して奄美空港に飛び立つxxの?!便です・・・。」
シートベルトのランプが点灯して、飛行機はようやく關東の土をでた。
「この季節の加計呂麻島は暑いから用心しろ。秋田出身のおまえさんが耐えられる場所じゃないかも。」
佳奈は機内誌を読みながら、横目の彰に忠告した。
「分かっているよ。其れも加味した上での加計呂麻島だからね。」
彰は、にこやかに答える。
「まあ、好きにせい。もしかしたらいい青春の思い出になると思う。このまえ私も秋田に足を運んで
雪を体験したからな。」
と表情を変えずに答えた。
つづく
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