ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

Gameプロデューサーの素顔_3

2010-10-10 22:30:40 | 信・どんど晴れ
場所は高垣のOffice。
高垣は、お昼のテレビを見ていた。
かのGameプロデューサーである塚崎の授賞式の模様がモニターには映し出されていた。
「彼、Gameで最優秀賞をとったのか・・。」
高垣はしみじみと語る。
彼のGame「監査法人」はいわゆる推理物でグランドセフトオートや龍が如くを
彷彿とさせる一面があった。モニターの塚崎曰く。
「著名Gameであるグランドセフトオートや龍が如く見たいなものを嗜好したのは
ファンを取っつき易くさせるためです。」
と自信たっぷりに答えていた。
彼の授賞式にはマスコミ関係者がGame関係者が来ていた。
その中には、彼が無名時代ディレクターとして参加していたGame
「こーひょん・どっぐうっど」
の、エグゼティブプロデューサーの細川勘九郎氏が来ていたのを高垣はみた。
「師匠にほめられたのか・・・。俺はどうだろうか・・・。」
とイイながらある人間へのメールを端末で打っていた。
安倍川である。
彼のmailのRESには
「安倍川さん、私がGameプロデューサーであるならば、あるLaboratoryの主任研究者
でチームを率いて、対立するLaboratoryに先んじて人工衛星を作ったり、
Clienteの注文に応えて、研究の成果を彼らに見せるようなGameを作りたい。」
という内容であった。
高垣の頭にあったのは、自分はそんなLaboratoryの主任研究者の
スーパー主人公じゃないなと思ったことである。
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Gameプロデューサーの素顔_2

2010-10-10 22:29:58 | 信・どんど晴れ
場所は変わって、三重県四日市市。
此處のある會社、「中日本フードサービス」は、
食品会社に機械をおろしている會社として多くの人間に知られている。
「面白い男だったよ。塚崎君は。」
此處の會社の社長が取引先の会社の社長に話していた。
社長はもう80代になるのであるが、かくしゃくとした男。しかし、何か腹に一物あるようで
つかみ所が無く見える。
もう一人の男は60代になるのだが、年齢より若く見える。
「取引先が岡崎の山長と聞くとびっくりしてね。目立たないが中京圏の産業を支えている
事にビックリして、色々取材していた。まるで作家か新聞記者みたいだったね。Gameの内容は
推理物とか言ってたよ・・。どんなものになるが見当がつかない。」
中日本フードサービスの社長は現在のGameにはついて行けないようだった。
「そうですね。社長。まあ現在のGameは巧妙になっているのを若手社員から聞いたことが
私もありますから、塚崎君の取材体制は納得いく物があります。」
もう一人の山長の社長は答えた。
「塚崎君は、おそらく君の息子さんが生きていたらあのぐらいの年齢になったのかもな・・。」
中日本フードサービスの社長は言う。
「そうですね・・。」
山長の社長は複雑そうな顏であった。
つづく
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Gameプロデューサーの素顔_1

2010-10-10 22:29:10 | 信・どんど晴れ
「もしもし、高垣さんかい。俺だ安倍川だ。」
素っ頓狂な電話のかけ方をする男である。
以前高垣が所属するリストラ室プロジェクトチームに所属していた
安倍川という男である。現在は高垣が所属する会社の人間とともに
仙臺の自分の會社でリストラ室に勤務していた。
「ああ。現在俺は英会話教室のバノの救済プロジェクトをやっていて
順調なんだが、そこに変な人間が來てな・・・。」
安倍川は苦笑していた。
「なんでも、Gameプロデューサーらしくて、新作Game『監査法人』とかいうGameの取材
らしい・・・。俺たちが取りかかっているバノの話しを聞きたかったらしい。」
安倍川は、電話口で彼の行動を疑問に思っていた。
「安倍川さん、まあ様子を見てみましょうよ。」
電話口の高垣はそう言うしかなかった。
ひとしきり電話をし終わった、安倍川は資料の入ったディスクを自分の端末に入れた。
彼のデスクの上には
「株式会社キャッツアイの詩 塚崎小一郎」
と書かれた名刺が置かれていた。
つづく
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宍道湖と中海に捧げるバラード_Epilogue

2010-10-02 20:55:28 | 信・どんど晴れ
「それにしても佳かったな。いわゆる大人向きの小説も好評を博して。」
風森は、利一郎に電話口で、彼の作品を祝福した。
「ええ。ただ、自分が小説を執筆しているときに考えていただけで・・・。
其れとの格闘でした。」
利一郎は照れながら答えた。
「時代小説の方も面白いが、現代劇路線の奴、なんだかどこかの漫画みたいで。」
風森は笑っていた。
「まあ、私はラノベでデビューするまで漫画ばかり読んでいましたから。
そこからの影響でしょう。」
利一郎はそう答えるしかない。本来は、風森が電話に出ている時に、
いた、女性から想像したのだが・・・。
「まあ、自分としては息子に父親の証明を残すことが出来たと思っているんですよ。
もともと、自分がやってきたことを誇りに思いなさい。と先生が仰ってくれたので
そのことを、ワープロにたたきつけただけです。これで米子の両親も認めてくれるかもしれない
と自信がつきました。」
利一郎は涙を浮かべていた。
妻の浪江曰く、滅多に涙を見せない男と言われるのにダ。
「これでいい。俺の新境地を築けました・・・。」
利一郎は手で涙を拭いた。
 一方、隠岐・・・。
竹崎は利一郎の、著作、筑後川の夕闇をみていた・・・。
「福岡県が舞台だけれども、なんとも、風森くんと私の関係かしら・・・。」
なんと読んでいたのは竹崎だった・・・・。
さて、この跡は・・・。
おわり
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宍道湖と中海に捧げるバラード_6

2010-10-02 20:54:53 | 信・どんど晴れ
時代小説を執筆しているとき、何か心の声が聞こえた。
かつて出入りしていた調布の瀧本嬢だった。
彼女とは会ったことがない。
でも、鮮明に聞こえる・・・。
人気美少女ゲームやanimeで活躍するキャラクターの聲みたいだし、
あるいは、人気ドラマや映画にでる若手女優のx氏にも聞こえた声だった。
「私は、クラブジャズやr&bに固執していない。私は自分の信じる世界を
web上で発表するだけ。」
缶詰になってうとうとした時に、彼女はそう言って自分の中から
去っていった。
その跡、利一郎は、
「俺はモダンジャズだけじゃない。クラブジャズやr&bだけではなくて
ハウスもDrum 'n Bassも好きだ。」
と叫んだ。
そしてキーボードを叩いた。自分の文章を酷評する鹿児島の人間だった。
何か言っているが、薩摩なまりはわからん・・。
ならば、これはどうだ・・・。
資料で調べた箇所をたたきつけた。
すっかり出来たとき、中山さんにネットで送信したあと、
中山さんのRESのmailがあった。
「よく頑張りました。なれない素材に格闘していました。」
数分後、現代劇路線の原稿を依頼していた藤崎・綾田両氏のメールだった。
「何とも違う企画のクリエーターが執筆しそうな原稿なので、苦笑はしましたが
まあ、向田利一郎新境地ということで・・。」
という内容だった。
利一郎はこうRESを返した。
「他企画のたとえば、弘兼憲次氏は多作で器用にいろいろな作品を熟す
クリエーターだけれども、俺は、これで手一杯です。」
と。
出版されて、いつも出入りしている松江の書店では人々が利一郎の作品に集まっていた
遠巻きに見ていた彼は、
「これでいい。」
とつぶやいたという。
つづく
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宍道湖と中海に捧げるバラード_5

2010-10-02 20:54:16 | 信・どんど晴れ
「できたよ。」
利一郎が編集者に完成原稿を添付したメールを送ったのは
夜明であった。
彼を或る意味祝福しているのがみえた。
「今度、米子の両親に会いに行くことを弟夫婦に伝えた。」
浪江にそう言う。
「利一郎さん、自分に勝てましたか。」
浪江は何気なしに、利一郎に尋ねる。
「ああ、自分に勝てた。そして猛き黄金の國が見えたかもしれない。」
利一郎はしみじみと語った。
「見えるとイイですね。出版されてからお楽しみで・・・。」
浪江は涙を浮かべていた。
数日後、そば屋「石倉庵」には、浪江と長男を連れた利一郎がいた。
「久しぶりだねぇ。向田先生。それも家族連れで。」
そば屋の主人は言う。
「はい。細やかな祝勝會です。」
利一郎は冷たい水を飲んだ。
「私も長男も、お供させていただきます。いつもの奴をお願いします。」
とオーダー表を持った主人に手を挙げた。
いつも利一郎がオーダーしているメニューを口にしながら
これまでのことを、皆考えていた。
利一郎は
これまでの行動がステップアップすること、あるいは仲違いをした
桐立の事を・・・。彼は口癖としてソウルフルという言葉を
発したが、今回は彼の言葉に對するソウルフルな物が出来たと
思っている。ならば、彼のソウルフルな詩がまた見たいと
思っていた。恐らくはすごい物になりそうだと・・。
そして、彼の原稿は出版の時を迎えた。
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宍道湖と中海に捧げるバラード_4

2010-10-02 20:53:38 | 信・どんど晴れ
浪江が、買い物の時、歩いていると利一郎が利用しているそば屋、
「石倉庵」でバイトしている双子の女子大生とであった。
何故かキャンディーズを歌っている。
さすがに浪江も苦笑せざるを得なかった。
「あー、たしかいつも石倉庵を利用している向田先生の奥さんだ。」
双子の姉が答えた。
「そーですけれども・・。たしか・・。そば屋でバイトしている双子ちゃん?」
浪江は双子の姉に聞いた。
「そーですよー。最近向田先生が来ないから如何したのかなと思って。」
双子の姉は返した。
「今ストリートライブでレパートリーを増やしたいと思ってキャンディーズ歌っていたんです。」
妹も言う。
「2人とも,現在向田は、關東の出版社に再三再四言われている仕事を受けて、
複数熟している最中です。内容は、出版されてからのお楽しみらしい。」
浪江はそう言った。
双子は一礼すると、その場を去っていった・・。
夜中にこっそり見たdvd-rの中味は・・・。
「現在熟している大人向きの小説の内容だけれども、一つは弘兼健二氏の作品
'黄昏流星群'のみたいな1960/70年代の福岡県を舞台にした作品。
風森先生と、彼の家に遊びに来ていた竹崎とかいう先生の間柄を見ていると
ひらめいたんだ。もう一つは、島津肆兄弟についてだ。
本当を言えば、雲伯地方の松平不昧公や小泉八雲にすれば簡単に書けると
思ったんだけれども、それじゃ逃げになる。自分を馬鹿にした両親に
一泡吹かせたいと思って、歴史小説の方は、この内容にした。
戰國から江戸時代初期に活躍した島津肆兄弟は薩摩藩では
島津斉彬、西郷隆盛、大久保利通、東郷平八郎などといった
人間ほど全国区での活躍はしていない。
でも、Minorだから書いてみたい。薩摩藩・鹿児島を舞台にした
小説はいい加減なことを書くと鹿児島の人間から抗議が来る
RISKYな素材だから真っ向からぶつかっていく。
それは自分との戰いに打ち勝つことである。」
と、書かれていた。
彼自身、真っ向から勝負をしたいのだろう。と浪江は感じた。
つづく
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宍道湖と中海に捧げるバラード_3

2010-10-02 20:53:01 | 信・どんど晴れ
今し方、風森と電話をしていた利一郎であったが、風森にこういう事を
言われていた。
「一体何故、親のことになると愚痴になるのか。君はもっと
自分の仕事に誇りを持つべきなんじゃないかな。
私は読んだことがないが、近所の大規模書店で君の作品が
大量に平積みされているのをみたよ。それにアニメ化か・・。
animeにもテレビドラマにもされず、消えていった作家や漫画家
からしたら、大仕事なんだ。米子の両親に一泡吹かせてやる。
その行動が必要だ。」
風森本人の口調は厳しかった。普段温厚な人間であるが故に
利一郎には、重く感じた。
浪江が長男と退院後、利一郎は重大な決意をしていた。
「一週間のウチに大仕事をする。もしかしたら、俺の作品が変わるかもしれない。」
彼は自室のドアを締めて、執筆に取りかかった。
そのとき、浪江が渡されたのは、一枚のdvd-rだった。
「この記録内容には、俺の書きたいことがある。お前だけ見てくれ。」
そんなことを言った・・・。
つづく
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宍道湖と中海に捧げるバラード_2

2010-10-02 20:52:28 | 信・どんど晴れ
利一郎と浪江が会話をして1時間ほどだろうか、
浪江の両親が絵に描いたような外人面の人をつれて
出雲市からやってきた。
「浪江、お前もお母さんか・・・。私もおじいちゃんか・・・。初孫だから
なんともうれしいな・・。」
浪江の父親はそう言った。
「お父さん、私もおばあちゃんですよ。」
母親も苦笑はしているが、孫が出来たのはうれしいのだ。
「ところで、ロブ、新作の日本酒、ここに置いておいてくれ。」
ロブというのはこのアフリカ系の顏の男だろう。
「ああ、はい。」
多少なまりのある日本語で一升瓶の包みをおいておく。
「この、ロブが日本酒を造ったのですか?」
利一郎は、目を白黒させた。
「實はね、ロブは日系四世で先祖がここら辺の出身で、かねてより日本に来たいと
思って、土佐まで修行の旅にでて、この日本酒を造ったんだ。」
浪江の父親はそう語った。
「ロブ・マッキンタイアです。
私は、バンクーバーで生まれたJamaicaの血を引いています。でも
曾祖母に日本人がいて、その人が日本に行けと父方のおじいちゃんに言っていたことを
おもいだしました。だから、日本でがんばって、此處でがんばりました。
今もVancouverの両親と祖父母は応援しているので、ここで結婚しても雲伯が第2の故郷です。」
と利一郎に答えた。
「じゃあ、君なりの猛き黄金の國を見つけたんだね。」
と利一郎は口を開いた。
ロブは一瞬考えて、
「どこまでオウゴンになるか解りません。でも邁進すれば其れは見えると思います。」
とそつなく答えた。
「まあ、君が酒造りならば、俺は物書きとしてがんばってみるつもりだよ。」
利一郎に何かひらめいたようだった。
つづく
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宍道湖と中海に捧げるバラード_1

2010-10-01 20:57:29 | 信・どんど晴れ
「だれと電話をしていたんですか?」
病院の一室で長男と寝ているのは、雲伯地方を根城にラノベなどを執筆している作家
向田利一郎の妻浪江である。ふと懐かしそうな感じに成っていた夫に質問をした。
「ああ、小学校時代の恩師とだ。小学校を卒業した跡も、交流が続いている。」
携帯の電源を切って、浪江の方を見た。
「小学校時代の恩師とですか。米子のご両親とは電話をかけないのですか?」
浪江は悲しい顏をした。
もともと、向田利一郎は大学進学で松江に引っ越してきて、そのまま棲み着いている有様である。
生まれたのは松江だが、幼い頃に米子に引っ越して高校までそこで暮らしていた。
大学合格までは上手くいっていた・・・。しかし、就職せずにくだらない小説を
書いていた、利一郎に愛想を尽かして、両親とは仲がこじれたままだった。
浪江とは大学在学中に出会う。彼女の出身地は出雲市だ。
「もうすぐ、出雲市の両親が見えてね。その両親が地元では新進気鋭の造り酒屋の
日本酒を持ってくる見たい。」
浪江の言葉を聞いた利一郎は窓の風景を見ていた。
「そういえば、この前も来た藤崎と綾田といわれる關東から来た編集者、なんだか
俺に、小説を執筆してくれと執拗くせがむな、他に中山とかいう編集者も
俺に時代小説を執筆して欲しいと言うが、ラブコメしか書いたことのない俺に
どう書けと思ったけれども、ぼちぼち返答を出そうと思う。」
窓の風景を見ていた利一郎は浪江と長男を見た。
「追い出すんですか。」
浪江は、複雑な顏をした。
つづく
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