ブルーシャムロック

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逃げ場所とは?

2011-09-20 08:29:07 | 信・どんど晴れ
「私は、關東は、神奈川縣のここに来たのは、下町の人間のべたべたした
東北への片思いから逃げるために來た。」
私とともに部屋をShareしている横手淡雪が言う。
大学に進学して直ぐの話だ。
「下町と言いますと、石川啄木の著明な短歌でありんすか。」
同じRoommateの石川県出身高槻久留実がおどけながら答える。
「うん。私はあの短歌、中学校時代に触れたけれども、上京して上野駅周辺に住むことに
嫌悪感を覺えた。」
淡雪は、顔が曇っていた。
「ほかに集団就職とか・・・。實はさ,奄美からも大阪周辺に集団就職で行ったという時代が
あったけれども、東北から東京にたどり着いた集団就職の人間が上野駅にっていう
のも、あるな・・・。」
私、松本佳奈は軽く語った。
其れを聞いて横手淡雪はだまって頷いた。
「まあ、石川の人間も上野駅に降り立ってという時代が存在したが、東北の人間のように
縛られることは無かった。神奈川縣という選択肢もあるというか。」
高槻久留実は横でそう答える。
「私なりに思うのだけれども、東北の人間は意固地だから、みんなで固まって下町に
住むことが多かったのかもしれない。だからそのうち下町の人間は、東北へ
過剰な愛を注ぐことを知ってしまった。」
淡雪は悔しそうな表情を見せた。
「私もそうだ。大阪と奄美のしがらみに挑戦したいと思っていた。」
私も強い表情で答える。
「そこまで強く考えていたのか。たかが東京に出てくるのに。」
淡雪も久留美も首をかしげた。
「うーん。大阪出てくる人も石川県人に入るよ。でも奄美だって・・・。」
久留実は私の態度が理解できずにいた。
「誰もそこから動かないから私が最初に出てくる。そう決めた。」
妙な強気な態度になっている私を見た淡雪は。
「私の所属しているClassみたいな物に、鹿児島の本土出身の人も沖繩出身の人もいる。
普通に上京してきたと言うけれども。」
と少し心配そうな表情を浮かべた。
「まあ、關東だからそういうことがあるだろうね。」
私はそう言ったけれども、でもなんで同じ南日本なのに奄美の人々は大阪で
歩留してしまうのかなと悔しくなる。
「でも、少ししか奄美の人が居ないならばがんばりがいがあるんじゃないの?」
久留実が私をなだめた。
「あぁ。」
私はこの台詞にいささか現実を込めながら口を開いた。
ここに骨を埋める為に来たような物だ。当時はそう考えていた。
 その後、淡雪がclassmateに私のことを話した。
「實は、私が部屋をシェアしている女の子の一人が奄美出身なのよ。加計呂麻島
とかいう島の。」
その答えに一人はこういった。
「奄美か。私の通っていた高校にも大島地域の子らが下宿して通っていたよ。
加計呂麻島じゃないにしても、xxというシマの出身だとか。」
そう答えたのは鹿児島本土は谷山出身の永薗幾という女性だった。
彼女は癖なのかもしれない。奄美地方のことを大島と言う。關東のここら辺では
伊豆大島と間違えるのに。
「奄美か。結構地理的に見ると沖繩に近いのにね。でも、そこまで考えたことがない。
私の両親が宮古出身なんだけれども、伝統的に沖縄本島から見たら
奄美群島というと宮古みたいな感覺だと私は思う訳。」
と、沖縄出身の小禄という女性が答える。
「ずいぶん気負っているルームメイトの女性殿に悪いが、奄美って松山か広島市内からみた
瀬戸内にある愛媛・廣島兩縣に所属する瀬戸内の小島みたいなものだな。
いろいろと受け取るべき物がある沖繩から見たら關東人は奄美にはそう感じていて
そうだな。」
實に残酷だ。松山市出身、母方の実家が広島市内にある館芝ヒカルという女性は
そう回答する。
「關東人向けに小説か漫画を書くとなると松山か広島市内だったらイメージがわくんだろうな。
これまで世に出されてきた小説・漫画は松山か広島市内が舞台じゃないか。」
とヒカル嬢は続ける。
当時聞いていた横手淡雪はどう私に伝えようか戸惑ったようである。
話を聞いていると、西日本出身者が多く、大阪はなじみがある土地である。
でも、みな大阪も東京も等価値に遠いと答えたという。
淡雪はclassmateにこう伝えた
「私は關東に進学してきて、西日本出身者とも出会う事を考えて出てきた。
そうしたら案の定だった。」
そのことに、京都出身の前川小町が
「まあ、東北の人間は関西人苦手だと聞くけれども、そうでもないみたい。
確かに關西に奄美の人多い。大阪の知り合いが奄美出身人のことを語っていた。
逆に、奄美の人々は東北とか怖がっているように思う。」
ともいったらしい。
だからだ。關東にずんずん出てくる鹿児島本土や沖繩の人間に勝ちたいとも
おもっていたな・・。
end
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シマと人と

2011-09-08 17:54:22 | 信・どんど晴れ

「卒業してから、徳之島くんだりまで來るのは、小禄さんだけだな。」
松本佳奈は、ビジネスSuitに身を包んだ女性を見た。
「うん。まあ徳之島もまあまあ沖繩から近いしね。」
小禄はそう返す。
「關東で一緒だった人間は、ここまでは来ない。ここの島は牢獄だ。と感じた。」
深刻なことを語っているのに、佳奈はやけに淡淡としていた。
「でも、此處にある程度長い時間佳奈ちゃんは居るよね。楽しんでいるわけ?」
小禄は不思議になって聞き返す。
「どうだか・・・。此處にいて運命に抗う為と、運命に翻弄される2つの出来事を
体験するためだ。」
佳奈は、加賀美屋の庭木のガジュマルとパパイアを見た。
「そうなんだ。でも此處は、沖縄本島や宮古に変わらん雰圍氣が気に入っているね。
私は關東は駄目だった。」
小禄は、庭木を見ている女性をチラ見した。
「私は關東は結構楽しかったぞ。」
と佳奈は小禄に言う。
「うそだな。いつも佳奈ちゃんはむっつりしているような顏をしていた。」
小禄は、苦笑とも憐憫とも着かない表情を見せた。
佳奈は、訂正するように表情を堅くして
「莫迦言え、莫迦にされないようにだ。リラックスしていたら關東で生きられん。そう感じたからだ。」
と答える。
「この加賀美屋に居る佳奈ちゃんを見ていると、リラックスしているような表情でいろいろな
人に接している。關東よりも気負っている感じが薄い。」
小禄は一人で熱り立っている佳奈の話をそらすように言う。其れを見た佳奈
「そうだな。此處にいる人たちは油断成らんよ。ここの女将は私とほぼ同郷の人間だから
やけに後継者にたてようとするし、行きつけのスナックのMasterも自分を見張っている感じがね。」
と憎々しげに言う。
「佳奈ちゃんはもっと自然になって加賀美屋と徳之島を楽しむべきだ。あなたには過ぎた職場だ。
關東で失敗したからって・・・。」
と小禄は論じた。
「ああ。この前も横濱からおかしなおんなが来てな。大女将が自分のお気に入りの孫の
婚約者という立場で勝手に押しかけ女房修行を認めさせたり、あるいは原田なんとか
とか言う女も勝手に女将に成りたいとか言ってきて、後者には女将に成らせてやりたかった。
しかし、あとでここの店のお金を可成り大金を着服しようとしたのがばれてね。
私を女将か仲居頭にするために勝手に失脚した感じがした。」
佳奈は、運命に動かされている自分に腹立たしく感じているようだった。
對する小禄は、
「おもしろい話だね。横濱の女性の方は知らないけれども、原田は、沖縄の方で
別な容疑で指名手配されている。こんな人に加賀美屋は任せられないよ。」
と、佳奈に目配せをした
「本当なの?だとしたら、怖い・・。」
あまり怖い物がない佳奈が怖がった。
加賀美屋のある徳之島は鹿兒嶋縣に所属して沖縄県内の情報はこない。
だから、佳奈は震えた。
「でも、横濱から徳之島だなんて、横濱の女性も勇気がある。私たちは態々關東の学校に行ったのに・・・。其れまでして加賀美屋に・・・。」
小禄はさっきの横濱の女性の事を思い出していた。
「ああ。だから、彼女の勇気があるならば横濱で発揮できると思ったんだ。
私が徳之島で能力が発揮できると思いつつあった時代だったから。
それにしても彼女の婚約者である柾樹とかいう男性の話も聞かない。
もしかしたら男か女か分からないけれども、あの朝倉なんとかとかいう
女性は、柾樹以外の人間に羽ばたく勇気を貰うのかもしれない。」
佳奈は東の方を見た。
「そうかもね。佳奈ちゃんも失敗した人たちのうえに生かされていると思うならば
加賀美屋で踏ん張らなきゃ。でないと關東でも通用しない。」
小禄はテンションを上げた。佳奈自身彼女と關東で出会ってそのTentionが苦手なのだが。
「ああ。徳之島に就職した私をほおって置かない人間が沢山いる。自分の中では
先日原田が50萬ほどのお金を盗んで加賀美屋を追放された事件があった。おそらくは
そいつと私は対決する羽目になるだろう。おそらくは徳之島全体を原田は巻き込む事件を
ひっさげてな。そして、私は原田に對するSymbolになる。」
こんなことを言いながら佳奈は遠い目になっていた。
「それでいいじゃないの。佳奈ちゃんは御神輿でも。急度神様があなたを選んだんだ。関東に無理矢理いかなくてもいいよ。」
小禄は、そう言って声を上げた。励ましているようにも思えた。
「まあ、関東に住みたいと思っている人間を無理に島にとどまらせる神様も残酷だな。」
佳奈はそう言って口をとんがらせた。
おわり
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