ブルーシャムロック

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加計呂麻島余話_5

2011-02-13 18:06:22 | 信・どんど晴れ

「補欠合格だったんだ。」
佳奈の話に、小禄は耳を傾けていた。
「そうだ。魔訓學園の人には、感謝している。」
少し冷めかけた、マグカップのハイビスカスティーを口に含みつつ佳奈は
「今の大学に受からなければ、私は大阪に就職する予定だった。オヤジの伝手でな。」
と自嘲した。
「自らをあざけないでもいいのに。」
小禄はそう言ったが、やはり沖繩とは違う奄美なのか・・・。と考えていた。
「関東に来て思ったけれども、奄美の人間って自意識過剰なんだよ。だから其れを傷つけられたくなくて
大阪にこだわっているのかなと。」
佳奈は突拍子もないことを言う。
「よくわからないけれども。」
小禄はそう言葉を発した。
「そうか・・・。自意識過剰なのは、或る意味東北の人間も似ているかもしれない。」
佳奈も小禄も、横手淡雪のことを思い浮かべていた。
「だからさあ、佳奈ちゃんは島を救う人になるかもしれない。島を嫌っていても。」
小禄はそう締めた。佳奈は難しそうな顏をしていた。
end

加計呂麻島余話_4

2011-02-13 18:05:49 | 信・どんど晴れ
「佳奈ちゃんは無理しているようだった。」
佳奈の帰省に同行した、追浜彰は彼女のルームメイトに話す。
ルームメイトは興味深く、彰の話を聞いた。
「佳奈ちゃんの高校時代の先輩と出会ったんだけれども、彼らと話し込んでいて
佳奈ちゃん自身の高校時代の話を聞いてきた。」
ルームメイトの一人がこう訪ねた。
「どんな・・。結構荒れていたの?」
彰はこう回答した。
「至って普通の、女子高生だったらしい。高3になってからみんなが進学や就職に焦るようになってから
関東にあこがれたとか・・・。」
ルームメイトたちは、
「なんで、関東にこだわるのかな。」
と答えた。
「佳奈ちゃんの出身の島では、多くの人が大阪に出て行くみたいで、周りのたとえば鹿兒嶋の本土地方や
沖繩見たく、関東に出て行く人がそれほど多くないみたいで・・。」
という。
聞いているRoommateは不思議がった。
「だから、彼女自身関東に進学を強く希望して、進学できなければ大阪の会社に就職する予定だったとか。」
ルームメイト二人の内一人が、
「豪く極端だ。まあ、そこのこだわりが彼女かもしれないと思っておこう。」
という。
「まあ、それで合格して、関東に来た・・・。」
彰の話は続いていた。
つづく

加計呂麻島余話_3

2011-02-13 18:05:13 | 信・どんど晴れ
「サキシマハブって宮古島にいるやつか・・・。」
佳奈は小禄の中断しかかった話を続けた。
「そうだけれども・・。」
小禄は、苦笑していた。
「そんなやつがいるのか・・・。」
佳奈は小禄の顔を見た。
「ああ、今度佳奈ちゃんの実家のサトウキビ畑を見てみたいね。広いの?」
小禄が質問をする。
「そこまで廣くはない。小禄さんの両親の実家の畑は?」
佳奈は興味を持って、小禄に聞いた。
「父方・母方合わせると、近くのお寺の境内ぐらいかな。」
小禄は言う。
佳奈は、なんとも不思議そうだった。
つづく

加計呂麻島余話_2

2011-02-13 18:04:09 | 信・どんど晴れ
「飴か。」
小禄は黙りながら、佳奈の話を聞こうとした。
「まあ、この追浜彰、蛇が嫌いでな。椋鳩十という作家の本を読んでだな、ハブが嫌いだという。」
佳奈はにやにやしながら、黒糖をつまみながらハイビスカスティーを飲む。
「ハブって秋田にはいないから余計怖いよ。」
小禄は表情が厳しくなった。
「ああ。秋田にはMamushiがゐるはずだがね。」
佳奈は、うーんという顏をしていた。
「三浦金沢市から、鎌倉あたりの山にいるMamushiは、毒が強くない。でも、最近沖縄本島には
サキシマハブとの交雑しているのがいるから、奄美のホンハブより毒が強いから・・・。」
小禄は、一緒に行った彰をからかっているのかと思っていた。
「どうだか・・。まあ安心させてやった。私もこうやって生きていると・・。」
佳奈は小禄の表情を見ていた。
小禄自身、表情は明るくなっている。
つづく

加計呂麻島余話_1

2011-02-13 18:03:29 | 信・どんど晴れ
9月、松本佳奈が加計呂麻島からの帰省から歸ってきた。
ひょんなことで、小禄嬢が、鎌倉から、三浦金沢市の自宅に遊びに来ていた。
「佳奈ちゃん、加計呂麻島に帰省してたんだね。まあご両親も佳奈ちゃんの元気な姿を見て、
ひと安心さー。」
とのほほんとした顏で、佳奈に言うのである。
「どうだかな。まあ約一名沖繩の方に行きたいという香具師を連れて行ったがな。」
とこの場所で撮影した写真をみつつ、小禄の顔を見た。
「つかさあ、恥ずかしいだろ。女の子同士のお姫様抱っこってさ。」
寫眞の佳奈は、にこやかな顏の追浜彰に対して、むっつりとしていた。
「そーなんだー。一緒に行った女の子、さぞうれしかったんだろうねー。ほんとにお姫様だ。」
と、佳奈の実家の黒糖を小禄はつまんだ。
「まあそういう娘だよ。王子様って言いたいところだが、女同士だからな。」
佳奈は、顏が少し寂しくなった。
「なんでも、横手さんの幼なじみで、高校まで一緒だったらしいとか。」
寫眞の女の子をなめ回すように、小禄は寫眞を拝見する。
小禄は、佳奈のRoommate横手淡雪の同級生である。
學校は違うものの、文化圏が似たような場所の出身地ユエの共鳴だった。
しかし、決定的に違うのは、出身地を誇りに思いつつ上京していた小禄に対して、
出身地を捨てる覚悟で、関東に出てきた佳奈の違いがある。
「この黒糖は、飴みたいだねー。」
と同じく、佳奈がお土産で持ってきたハイビスカスティーを飲みながら答えた。
「飴、か・・・。宮古島の黒糖は粉っぽい。」
と佳奈は燥いた感想を漏らした。
小禄は、難しそうな顏をした。
つづく