ブルーシャムロック

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小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

カレドニアの骨牌また_3

2018-01-29 17:08:08 | 逆襲の藤隆
「知世さんは、何と言うか。 { 先生 } の別れて住んでいる娘さんに見えますねぇ。」
知世はある女子学生に絡まれていた。この学生は { 先生 } のゼミに所属している
考古学を専攻している学生である。元々帰国子女で高校時代までロンドンに住んでいたようだ。
説明するのが遅れたが、知世は { 先生 } の家のある東京都地方のある街に到着した。
{ 先生 } はよく自分の家に学生を招いてゼミを開く。
運良くなのか悪くなのか、それに知世はぶつかってしまった。
「ええ。そうね。先生と私の養父は共同研究者だったの。」
知世は笑っているが顔がひきつっている。
「 yy( 女子学生の名前 ) さん。知世さんが嫌がっているじゃないですか。
知世さんと私は、娘ではありませんし、私の娘は私を捨てて出て行きましたよ。」
と { 先生 } は笑いながら答えた。
「ふーん。」
女子学生は、写真立ての写真を見た。
「たしか数年前、 { 先生 } が共同研究者と Scotland で撮影した写真ですよね。隣に
写っている人がもしかして・・。」
女子学生が、言葉を話そうとした時、
「 yy( 女子学生の名前 ) さん、あまりそのことは・・。。」
恐縮した顔のかたつむりという渾名の別の女子学生が答えた。
「はい。」
女子学生はその日と共にドアを開けて外に出た。
「毎度毎度のことですが、こういうことを { 先生 } は続けていますよね。」
知世は { 先生 } の方を微笑みながら答えた。
「うん。それも教室でやるよりアットホームでいいからね。」
{ 先生 } はいうけれども、昔は教室でのゼミが多かったように思える。
「それにしても、私に { 先生 } と會う事をやたら私の養父はするから嫌なんですよ。
父自ら行けばいいのに。」
知世は思ったことを話した。
「そうだね。知世さん。私もいけないことだと思ったけれども、知世さんには
いつか話そうかと思っていてね。あなたの現在のお父さんは自分が言うより
私の過ちをあなたに自分自身で話したほうがいいと仰っていました。
だから、あなたに話すことを数年前の scotland で話すことを当時の b&b で
決めていました。」
毎回毎回 { 先生 } のはぐらかすような態度が気になっていたが、知世は
「もうこの際だから、 scotland での事を話して欲しいです。」
知世は強い口調で { 先生 } に迫った。
「そういえば知世さんは私の亡くなった妻によく似てきています。あなたは
妻が亡くなった寂しさに耐えられなかった私が当時売り出し中の科学者であった
出来杉英才博士に彼女の卵生細胞を使って彼の研究である examsystem の
為に作られたクローンなのです。」
先生は困惑しながら答えた。
「私もいろいろ調べて自分の体がおかしいことは知っていますし、恋人の
朝岡蓮次にもそれは言い聞かせて置きました。」
知世は表情を変えていない。
「こういうことです、最近出来杉英才博士が奥さんを殺害され、誰かに命を
狙われているようなのを見ていると、私はいけないことをしたと思っています。」
{ 先生 } は言う。
「もう。いいじゃないですか。私は現在の父の養女で、 { 先生 } はその共同研究者で
でも、いろいろ聞きたいなぁ。」
知世は多少意地悪い顔をした。
つづく
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カレドニアの骨牌また_2

2018-01-26 10:45:05 | 逆襲の藤隆
「おい、知世。先生のところに資料を届けてくれないか。」
知世の養父が、知世に言う。
「お父さん何時も { 先生 } のところに行かせるのに、私を使うよね。」
知世はブツブツ言いながら、父親が先生に届ける目的の資料を
確認していた。知世にとっては全く関係がない。
「ああ、あの車を使うのは知世だろう。」
養父は笑いながら答えた。
「はい。」
知世は、車に乗る準備をした。
元々はキューバで走っていた古いアメ車だが、エンジンがプジョー、
トランスミッションがロシア車と FIAT のそれ、というすごい車である。
現在横浜に住んでいる知世にとって東京都地方の某所の先生の家は
いささか遠い。
車を走らせながら、知世はラジオをつける。比較的新しい
日本メーカーのカーステレオだ。
「・・。 toto の xx でした。」
ラジオは途中からつけたから、彼のどんな曲なのなのかはわからない。
「父さんも父さんだ。なんで先生に會わせたいのかわからないよ。
今回は蓮次君のデートでもないし、浩一郎君や萌美ちゃんが来るわけじゃない
しな・・。いや。父上はそういうところを狙って先生への用事を申し付ける
ことが多いんだよ。うん。」
ハンドルを握りながら知世は横浜上大岡から世田谷方面に向かっている。
つづく
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カレドニアの骨牌また_1

2018-01-21 19:57:37 | 逆襲の藤隆
「いやだ。お父さん。この写真私が 13 歳の時、 Scotland に行った時の写真だ。」
久しぶりに、平賀知世の養父が横浜の家に帰っていた。
「ああ。 { 先生 } との共同研究のためだね。」
父は、コーヒーをすすった。
平賀知世と養父は , 知世が 13 歳の時に、父親になった。あるときの春休み、
彼が Scotland に赴くより少し前ロンドンで出会い、知世のボディーガード
として、知世が雇ったのだった。」
知世は写真立ての写真を見ながら、
「複雑な気持ちになるね。」
と一言。
彼女自身、考えた。
写真に写っている { 先生 } ももう一人の父親だということを。
「知世、 { 先生 } とのことはあまり考えないほうがいいぞ。私は君のことを承知で
君を養女にした。」
父親の、きついセリフが飛ぶ。
「ああ。すみません。中一 13 歳の時はすごく複雑だったし、事情を知っちゃったら怖いし。」
知世は、トーストをトースターから出しながら机に座っている父に言う。
「うん。」
父は微笑んでいたけれども、心中複雑な顔をしていた。
父は知っている。知世が { 先生 } の亡くなった奥さんのクローンだってことを。
「 { 先生 } は、私のことを、長い間合わなかった娘みたいに思っている。
先日、 { 先生 } の自宅に赴いた時考えていたけれども、先生の教え子の学生に
まるで、 { 先生 } の子供みたいだと言われて・・。」
知世は冷静に答えた。
「まあ、君が冷静さを装っているけれども、感情的になるのは 13 歳の時から
見ている。君と私、 { 先生 } 都の間は君自身が解決することだ。」
と、多少冷めかかったコーヒーを父親は口に入れた
つづく
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いちぬけたあとの後始末_8

2018-01-13 10:23:52 | 逆襲の藤隆
「あの人は私の兄に介在をさせなかった。今現在兄は、大手コンビニホールディングスのツルキと合併をして
兄の企業が持っているゴーダマートをツルキ・ゴーダマートと名称変更をすることに追われている。
だから、あの男に介入しようと思っていた。」
クリスチーネ剛田氏から僕に来たメールにはそう書かれていた。
ドコモ、中堅のコンビニは苦しいのはわかっている。
彼の企業も「お前もか」みたいな感じ。
現在、謎の研究をしている男はクリスチーネ剛田氏とはいろいろあったことが伝わっている。
そして、出来杉と同じくらい怖いことを。
なのに、彼は自分が選んだ人の為にやるのか・・。
一旦執筆しているワープロのキーボードの手を休めた。
僕が彼を物語にするのはいつの時か。
end
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いちぬけたあとの後始末_7

2018-01-03 00:07:00 | 逆襲の藤隆
「米坂博士とパトロンの岸坂氏が研究を始めたのが・・。
そうか・・。僕が 20 歳の時か・・。」
僕はため息を付きながら空港である本を読んでいた。
題名は「 z 博士の奇妙な研究。」である。
「蓮次君、何を読んでいるの ? 」
僕の妻、平賀知世が難しい顔をしている僕のことを覗きこむ。
「ああ、昔出来杉とは激しく対立したある科学者の物語だよ。
でも、彼と出来杉は噛み合っていないようにも思えるんだ。」
僕は、本をたたんだ。
「確かに、今タイトルにある科学者は誰のためになるためではなくて、これから生まれてくる
子どもたちのためにと口癖のように言っていた。彼は自己犠牲を惜しまないタイプだった。」
僕は一瞬考え、
「ああ言う人は、彼がが海に飲み込まれても困った人の為になると思うタイプだ。
出来杉は、ああ見て強がるばかりで人に怖がられ、疑心暗鬼を生じさせる
タイプだと思う。果たしてどちらが正しいとは思えない。」
僕は小学校の頃の八郎という教科書童話を考えていた。
さて、僕達が誰を待っているかというと、瀬戸内の桜ヶ丘市に住む日下部浩一郎君と、柿沼萌美ちゃんだ。」
もう 18 歳になる。大学が推薦で通ったので、關東の僕ら夫婦に会いに来たのだ。
なんでも桜ヶ丘市から羽田まで vstol 旅客機が通ったらしく、それに乗って行きたかったらしい。
彼らの住んでいる場所から最寄りの空港から車で 1 時間ぐらいかかることを考えれば、
家から近いところから彼らいわく ys-11 を改造したようなデザインの vstol 旅客機が
羽田まで飛ぶのは嬉しいのだろう。
行き先の電光掲示板を見る。
「青森、札幌、松山、まだまだか・・。」
そして、
「静岡・・。桜ヶ丘市 / マリーナシティと書かれているのが、それじゃないの。」
と二人で探していた。
電光掲示板の表示を発見してから 10 分ぐらいして、浩一郎君と萌美ちゃんは現れた。
「知世さん、蓮次さん、久しぶりです。」
二人は 18 歳らしいたくましい体になっていた。
「大学合格おめでとう。」
僕は彼らに言う。
「たくましくなったね。昔の水着にこだわってはしゃぎまわっていた時代
が遠い昔のようで・・。」
知世は苦笑していた。
「うん。中学から以降僕はまともに生きようと思ったのです。」
浩一郎君が言う。
「でも、私がバドワイザーやハイネケンをやめなければ。」
萌美ちゃんが、浩一郎を小突く。
「そうだね・・。」
僕達は笑いながら駐車場に赴く。
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いちぬけたあとの後始末_6

2018-01-02 16:04:54 | 逆襲の藤隆
「彼は介在されたくない。私の兄にも、そして出来杉さんにも。」
クリスチーネ剛田氏が先日、東京のアトリエに赴いた時、そんなことを
述べていたのを、私ガリベンは聞いたことがある。
彼のほとんど趣味みたいな研究が、アウトローで知られる女流科学者と
かつて科学界から抹殺された彼女のパトロンの目に留まって
彼の研究の後継者になった・・。
「私の兄は、男に資金援助をしたいと言ったらしい。しかし、
毅然とした態度で断ったらしい。」
またクリスチーネ剛田氏が言う・・。
「私が聞いた話では、出来杉にはすさまじい顔をした男が
君は僕の言葉に介入するな。
と彼に掴みかかったとも言うんだ。」
と、私ガリベンは、クリスチーネ剛田氏の端末にそうメールを送信した。
彼女のレスはあまり覚えていない。
クリスチーネ剛田氏はきっと、この人の本気を悟ってはいたかもしれない。
彼の本心はなんなのだろうか。
つづく
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いちぬけたあとの後始末_5

2018-01-01 09:09:33 | 逆襲の藤隆
「ふーん。岸坂さんとおっしゃるのか。私の研究に興味と関心があるのか。
現在している研究は私 1 代では完成しない果てしなき世界ですよ。
それでも、共同研究している米坂博士と研究したいと言うのか。」
男は、岸坂の言葉に難色を示していた。
「はい。この研究は引き継がないと思って。私は研究者として
若き日の挽回をしたいと思っていたのです。」
岸坂は 40 代の時を思い出していた。
そして男に話した。
「いろいろあったのですね。私は現在の研究は自分が死んでも続くお祭り
として考えています。あなたや米坂博士、そして私が研究をしている
のに全く関心を示さないような保守的で冷酷な人が私の研究の成果
の果実を受け取るような感じの。」
男ははしゃぐように言う。
「そんなに燥ぐぐらいならば、やはり続けて欲しいのですね。わかります。」
岸坂は乾いた笑いをした。
「私もお祭りに参加してみますよ。どうなるかわかりませんが。」
この物語は岸坂が米坂博士を連れてバーに行く一ヶ月前の話しである
つづく
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