ブルーシャムロック

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松本佳奈の始まり

2012-08-21 19:43:09 | 信・どんど晴れ
「女将、甥ごさんが、婚約者をつれてここに来るんですか?嬉しい限りですね。」
私は、私や他の従業員に話したことを、上司である女将にまた聞いてみた。
「ええ、まあ彼も身を固めることになったんだから嬉しい限りだけれども。」
女将の顔は些か曇っていた。
「濱のHotelに勤務していて、婚約者の方も横浜出身か。
なんとまあ羨ましい。」
私はそれに、恍惚けて見せた。
「佳奈ちゃん、私は彼らが濱にいたから話したくないのもあったし、
それに、大女将が彼らを担ぎ出さないかなと。」
女将の顔はなにか用心深そうな表情をしていた。
「そんなあ、考えすぎですよ。」
と軽く否定したものの、
私は中半強制的に勤務している徳之島の老舗旅館「加賀美屋」から本心を言うと
抜け出したいと思って居たから、女将の思い込みとも言うべき自分が考えている
加賀美屋体制に反する物たちに対する思いは気持ちが悪いのだ。
ともすれば、粛清したいのだろう。
女将は一瞬考えて、
「まあ、私なりの彼らへの婚約記念パーティーを考えましょう。」
と、言った。彼女自身口では平静を保っているけれども、本心はどうなのだろうか?
「彼と彼女の結婚式は濱でやるみたいだよ。」
女将は、私に教えてくれた。
「おおーっ。」
私は言った。会場はどこか分からない、しかし老舗旅館の甥ごさんだ、豪勢な場所になる
そんな事を考えていた。
その後、二人は横浜に帰っていった.
彼らが帰っていった跡、女将は私に打ち明けた。
「大女将が二人を、後継者にすると言ったらしい・・・。」
彼女は深刻な顔をしていた。彼女自身私を加賀美屋の後継者か、それに準ずる
Postを与える考えだったので、横浜に帰っていった彼らが継ぐはずがなかったのだ。
あとで女将が話したのだけれども、
「柾樹さんの母上にあたる方は、其れは厳しい人だった。いつも柾樹さんを
しかり飛ばしていて、お前は関東にでもいって、自由に暮らせといっていた
いつも私と大女将の間を取り持っていて、彼女がいたらうまくいったはずだった。
彼女は過労などがたたって、急死。そして柾樹さんの父上も大阪に失踪してしまって
消息がわからずじまい・・・。」
と言っていた。なんでこんな所に私が来なければいけなかったのか。
関東でお気楽なol生活を考えていた私からしたら實につらい物を背負ってしまった。
離島の老舗旅館。ここで自分が仕事をする羽目になり、周囲は私を英雄に祭り上げる
ことになっていく。
「あの大女将は孫を溺愛して、それに縛り付けることによって周囲を混乱に
巻き起こしていく。」
女将は私に漏らしたのは、その後大女将が亡くなってからだった。
おわり
コメント
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