ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

或熊本日記_4

2009-06-05 21:44:48 | 菊の名前異聞
「これが東北のまつりの映像か。」
そんなことをイイながら八戸えんぶりの映像をみていた。
私の目には道々の者の影響はそれほど無かった。
「いわゆる道々の者は江戸時代何處に消えたのだろうか?」
私は何度も自問自答しながら考える。
「そんなこと考えてもしょうがないでしょう。」
妻はそう答えた。
菊の名前という小説を読んで、自分はこの作者が探求したい
世界を知りたくなって、日本のまつりに興味を持つ切欠になった。
「道々の者の文化は、西日本から關東にかけてであって、東北には
こなかったのかもしれない。」
私はそうつぶやいた。
「もしかしたら、道々の者は奄美にいったのじゃないかしら。」
妻がそうつぶやいた。
「奄美か・・・。」
私は少し妻に反論しようと思った。
「私の大学時代の友人が奄美出身で集落で八月踊りなる踊りを
旧暦の八月に踊るのよ。」
妻はそう続けた。
八月踊りの土俗的な感じはもしかしたら、道々の者の影響かもしれない。
翌日、八月踊りのdvd を見た。
もしかしたら・・・。
おわり
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或熊本日記_3

2009-06-03 22:46:06 | 菊の名前異聞
「果たして、道々の物の血筋は絶えたのだろうか。」
私は漠然と思った。
江戸幕府の弾圧によって非農業民はすべて幕藩体制に
組み入れられたと言われる。
しかし、阿蘇山麓の神社の祭事にあるように、その存在は細々と
生きながらえたのかもしれない。
先日のビデオを見終わった跡、何も写っていないモニターを見ながら
思っていた。
小説の方は、楠木正成の出現が或る意味救世主みたいな感じだった
と、そんなことを考えていた。
楠木正成も、非農業民の出自のような人であると説く人もいる。
ならば、道々の者達は仕太かったかもしれない。
江戸時代は身分制度が強くて弾圧的な時代だと言うけれども、
意外と自由だったとも言うし。
(つづく)
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或熊本日記_2

2009-06-01 22:06:40 | 菊の名前異聞
「徹心と良庵か・・・。」
私は菊の名前の登場人物の名前を諳んじた。
なんでも、主人公の徹心がつきあっていた女性が、
道々のものという非農業民の女性だったらしい。
なぜか、ムジナという名前で。
その跡、かつて自分が録画した8mmフィルムをdvd に起こした物を
みていた。
阿蘇山麓のまつりの樣子である。
得体の知れない人形が数体出てきて、一体の人形と相撲を取るという
謎のまつりである。
「きたっ。」
私は一体の人形をよってたかっておそう人形を応援したくなかった。
そして、一体の人形は数体の人形をすべて投げ倒してしまった。
「なんて強いのかしら。」
横で見ていた妻がそういった。
「なんのためにこのまつりを始めたのかわからん。」
私はテーブルの上にある「菊の名前」の本をしげしげとみた。
こういった、道々の物が即興で始めたのかもしれないなと
考えていた。
「殺人事件が起こった時、道々の物が疑われているな。」
この菊の名前の犯人は誰なのだろうか?
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或熊本日記_1

2009-05-29 20:57:17 | 菊の名前異聞
「そういえば、お父さんが失踪して何年になりますか?」
妻がそう答えた。
「ああ。もう数年になる。」
私はコーヒーを飲みながらそう答えた。
私は熊本市で、歯科医を営む人間である。
素人、郷土史家という側面を持っている人間であるが、
歯科医の仕事もおろそかにしたことはない。
私の父も歯科医であったが、時代小説のファンとして
知られる人間であった。
特に、純文学作家から転向した、江平茗子なる作家の
「菊の名前」
は、父の好むところであった。
南北朝時代の寺で起こる事件を
建長寺の禅僧が解決する事件であった。
このなかで、主人公の禅僧が過去道々の物という
漂泊者の女と恋をしたという話しになっていた。
道々の者といえば、阿蘇山麓だったか、国東半島に
そういう道々の者と思われる芸能が伝わっている。
素人郷土史家として、阿蘇山麓に入ったことがある。
出自不明のなぞの芸能として
当時は漠然と見たことがあるのだが。
つづく
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いんびじぶる・てぃあーず_7

2009-05-18 21:32:13 | 菊の名前異聞
「そういえばさぁ、このあたりだったよね。」
妻が、私の方向を指した。
先日、關東を去った友人夫妻が住んでいた七里ガ浜に来ていた。
海があり、そこを少しアガった高台に、彼らが住んでいたアパートが存在していた。
どうって事のないApart なんだけれども、彼らの亡命生活を顕していた。
少し涼しい秋の風が吹いていた。
私は、妻とともに付近を散策した。
遠くからギターの弾き語りの音が聞こえる。
「全く何にもないような場所なんだけれども。」
妻は辺りを見回していた。
「ああ。」
私はうなずいた。
遠くに富士山を望んでいる。
「彼らはどこに行ったのかな。」
と、妻は私に聞いた。
「どこだろうかな。上海かもしれないしhong kong かもしれない。」
私はそう答えた。
「hong kong か・・。中華圏は今渡るにはどうにも。」
妻はそう答えた。
「解らないな。意外とそっちかもしれないぞ。」
私は言い返した。
「彼らは神出鬼没だから、何處にいてもおかしくないね。」
妻は笑って答えた。
おわり
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いんびじぶる・てぃあーず/6

2009-05-18 21:31:35 | 菊の名前異聞
「あそこの客不思議な感じだね。」
女性が、隣のテーブルの人間を見た。
「うん。日本語はうまいんだけれどもね。」
男性も同調した。
「もしかしたら・・・。」
有ることを言いかけた後、
妻がAlcoholicalで口を湿らせていた。
「かもしれないね。」
私はそう妻を制止した。
最近は日本列島にもいろいろな人が來るからなぁ。
中華圏や韓國周辺の人が来てもそれほどおかしくもないよ。
ということを頭で考えていた。
ステージではr&bシンガーが歌を歌い始めた。
スタンダードNumberだっけかな。
「そういえば、今度關東を去ることになったよ。」
男性が寂しそうな口はそう告げていた。
「關東を去るのか・・・。追われるよ。」
妻が皮相的な顏をしている。
「それでもいい。」
女性はそう言った。でも寂しさと死んでもいいというニュアンスが込められていた。
つづく
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いんびじぶる・てぃあーず_5

2009-05-18 21:29:58 | 菊の名前異聞
「なんだか妖しい聯中だね。」
女性が声を上げた。
「そうかな。」
私は一言声を上げた。此處だけの話し、私は日本人ではない。hong kong 人だ。
「丹波が何とかとか言っているが、なんとも怖いというか・・・。」
もう一人の男性も声を上げ、Brandy を口にした。
「日本列島を旅してきて、貴殿らと出会って、實を言うと關東に来たのは初めて・・・。」
女性はため息をついた。
私と同席の男女は、男性が台湾人、女性が韓国人である。
地名からして、皆さん、私の母語である廣東語が解る人が一人もいないのだ。
私と出会ったとき、自分の北京語がわからない台湾人の彼はため息をついていた。
おおかた、同郷の人間か、北京語を理解する中國大陸の人間かと思っていたのかも。
女性は、ハジメから日本語で話しかけ、日本人でないと解るとビックリだった。
「此處の焼酎はイイ銘柄をそろえているような気がするよ。」
女性はそう言った。
「俺は焼酎が解らないから、無難にスコッチかブランデーにしたけれどもね。」
と台湾人男性は苦笑した。
聞いていると、みんな日本語が流暢だ。
「私としては、日本語を勉強して佳かったと思った瞬間ですよ。」
と私は肩をすくめた。
「下北半島で、貴殿と出会って3 人で妖しい探検隊を結成できたのも何かの縁だし。」
台湾人は口元をふふんと言わせた。
「さてと、関東にも行ったし、次はどこに行きますか。鳥取とか。」
韓国人女性が言った。
「鳥取ですか。ついでに丹波も見ていきましょう。」
私はそういった。
2 人は、顏が引きつっていた。
つづく
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いんびじぶる・てぃあーず_4

2009-05-18 21:29:12 | 菊の名前異聞
「こーひょん・どっぐうっどお待たせいたしました。」
店のバーテンが隣の席にカクテルを運んできた。
「こーひょんってなんだったっけ。」
女性がそう答えた。
「さぁ、佛蘭西かな。イタリアの地名じゃない。」
男性がそう答える。
「俺が思うには・・・。おそらくスペインかポルトガルの地名だと思う。」
とあきれながら答えた。
「隣の席の人が頼んだ、こーひょんなんとかは泡盛ベースのカクテルなんだって。」
と妻が脳天気に答えた。
「人の氣持ちもしらぬな・・。」
私は剣呑な顏をした。だって、こーひょんなんて聞き慣れないんだもん。
「亞細亞とか・・・。韓國とか・・。」
女性は
「ああ、そっちけいね。」
と言った。
「カクテルの名前なんだけれども、おそらくは木更津キャッツアイのふぁんだったから、
対抗して犬という名前を付けたのかもしれない。」
私は少し顔を曇らせて、
「それって、西洋の薔薇に對して菊という考えにも・・・。」
男性が言おうとした。
「だから真剣に考える事じゃない。」
私が皆の考えをまとめた。
つづく
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いんびじぶる・てぃあーず_3

2009-05-18 21:28:05 | 菊の名前異聞
「南北朝時代って、確か朝敵足利尊氏の時代ぐらいしか思いつかない。」
妻は答えた。
「そうだね。」
私も同調した。
かくゆう私も歴史音痴で、南北朝時代の小説を書き始めた女性に
何となく注意を受けたのだった。
店のモニターが、NEWSを映し出していた。
「私にとって南北朝時代は、男のRomanticと歴史の深さがある。」
小説の作者の女性である、心なしかキレイになったかなと考えていたが、
「下焦がうまくなったのかもね。」
同性である妻の辛辣な聲がした。
「そうかもね。」
女性も同意した。
「彼女、演劇部に所属していて、原稿が書きたいが爲に、演劇を志した
という異色な側面があるから。」
男性が思いついたことを口にした。
「ああ。所属していた演劇部はお笑いばかり強調していたから、」
私も同調した。
「お笑いがそんなに重要だったか?私もなんだか考えている。」
妻はそう答えた。
「コントばかりやっていて、お笑い研究会かって、隣の部室の落研にからかわれていた。
お笑いが本業の部からしたら、あの演劇部はおかしかったのかも。」
女性はドリンクに口を付けた。
「なんというかなぁ。私にとってはぬるくてよかったけれども。」
私は苦笑した。
つづく
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いんびじぶる・てぃあーず_2

2009-05-18 21:27:11 | 菊の名前異聞
「知っているって?」
私は男性に質問をしてみた。
「俺が丹波ゲリラを支援しているのは各国の捜査機関が調べているから。」
男性は平気な顔をした。
「そんな、危ない橋を渡ってきた訳か。」
妻もまた答えた。
「そう。大学卒業してから、私と彼は危ない橋を渡ってきたわけ。」
女性が答えた。
「こんな人だかりのある場所でこんな話しをして大丈夫?」
妻は答えた。
「大丈夫じゃない。」
男性が答えた。見回せば、怪しげな客が能く来ている。もしかしたら、
テロリストかもしれないと疑ってしまう。アジア系の客が多い。
日本人、他に外国人といえば強而言うならば朝鮮半島系、華人系という處だろう。
そんな感じの顔ばかりだ。何人かは特定は出来ない。
「まあ、おそらくは日本列島の人間が大半だろうな。」
男性がそう言った。
「アフリカや欧羅巴の血筋を引いてそうな顏が存在しないから?」
妻はそう言う。
「そうかも。」
男性は答えた。
Xxxx.xxxx!!
遠巻きに外国語が聞こえた。Asia の言語としか解らない。
「まあ、観光旅行に来た台湾人というところか。」
男性は当てずっぽうに答えた。
「そんなにkatte に決めつけちゃ。」
女性は、男性にひじ鉄を食らわせた。
「はは・・・。」
「ところでさぁ、演劇部で一緒だったあいつ、また小説書き始めたんだっけ?」
突如素っ頓狂な質問を男性は始めた。
「そうそう。」
私もそう言う素っ気ない答えしか出てこない。
「確か、南北朝が舞台だとか・・。」
妻が言う。
「まったく、あの人らしい。南北朝時代だなんて・・。」
女性は、戦国時代がファンなので、マイナーな南北朝時代は屎食らえなのかもしれぬ。
「まあ、読んでみないと解らない。」
妻が反論した。
「俺も、なんだか南北朝時代興味を持ったな。」
私も答えた。
つづく
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