ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

いちぬけたあとの後始末_4

2017-12-31 23:43:42 | 逆襲の藤隆
「岸坂さん、私も強がって生きるのって、昔ほど面白いとは思わなくなったのよ。」
米坂博士は、言う。
ここは、米坂博士とパトロンの岸坂さんが、足繁く通うバーである。
米坂は、いつも注文するブランデーだった。
「そうですねぇ。私が米坂さんのことを考えてみているのですが、
いつも研究論文荒らしをしていたり、科学関係の書籍をベストセラーに導いているのを見ていると
いつも飲んでいるブランデーみたいなものを感じています。」
岸坂の判断は鋭い。
米坂はブランデーに口を含みながら、
「何時ものブランデーじゃなくて、先日の ARMENIA 産のブランデーみたいな味を今度体験したい
と思う時があるのよ。強がるよりは失敗しても挑戦したい感じが。」
と言う。
「そうだなぁ。こんなものがあるよ。」
岸坂は一つのレポートを渡した。
「すごく・・・怖いです・・・・・。」
普段であれば、怖いものがなんにもなさそうに振る舞う米坂がそのレポートに
見入った。
「もし、この研究に自分が驕り高ぶっていた 40 代の頃に出会っていたら、これに没頭していたかも
あの時は、自分の保身ばかり考えていたから。」
岸坂は苦笑していた。
「でも、あなたはパトロンという形で、私に協力できる。」
米坂は笑う。
「それだったら、決まりですね。この研究の後継者に。」
岸坂の表情が柔和になる。
to be continued
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いちぬけたあとの後始末_3

2017-12-22 10:12:27 | 逆襲の藤隆
瀟洒な洋館。
一人の女性がソファに腰掛けて、デキャンタのブランデーを飲んでいた。
「すみません。深酒をしてしまいまして。私がいつも飲んでいるブランデーと
違う味がしましたので。」
と、コーヒーの入った容器とティーカップを持った初老の男性に言う。
「米坂博士。今飲んだブランデー、 ARMENIA 産なんだよ。だから
あなたが愛飲しているブランデーと少し味が違う。」
初老の男性は言う。
「いつもは深酒をしないのに、ブランデーの味に引かれてしまいました。
ところで、この前岸坂さんが表示してくれた機械関係の研究
引かれるものがありました。」
女性科学者の米坂博士はびっくりして言う。
「ああ、色々とこの研究をしている男は介在されることを嫌うみたいだけれども、
私の説得には応じて来たようだよ。」
とソファの近くのテーブルにティーセットを置く。
「岸坂さんも若い頃は、研究者仲間を貶めて研究者としての地位を確立した部分がありますよね。」
米坂博士は率直に物事を言う。
「そうだよ。私がフリーランスの科学者のパトロンになったのは、その当時の贖罪意識だ。
君も、よく活用している大学のラボの学長先生には、目をつけられているね。」
岸坂もそう返答する。
「そうですね。私の力を示すのに、あそこのラボは必要。ベストセラー本を執筆するのに
民明書房編集部の人たちの力も必要。しかし、岸坂氏が今回提示した資料は怖いですね。」
アルコールの酔いが回ったのか、それとも本格的に怖いのか米坂博士は震えていた。
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いちぬけたあとの後始末_2

2017-12-10 21:47:43 | 逆襲の藤隆
僕自身、東京の用事を済ませたあと、用事のある最寄り駅から数分の、
クリスチーネ剛田氏のアトリエに來た。
「よく来たわね。現在新作漫画 {y シャツを作る } の制作に追われていて・・・。」
見ればアシスタントなどが、制作に追われていた。
「以前題名は忘れたものの、なんとかとか言う漫画のアンサーだったよね。」
僕は、足りない頭で、 10 年ほど前の漫画を思い出そうとしたがタイトルが思いつかなかった。
当時はまだ東京にいたと思う。
「そう。そのアンサー。」
クリスチーネ剛田氏は、
僕の顔を見た。
「ぷりぷり市で、彼と出会ったみたいね。彼は彼の研究に没頭して、私はわからない。そしてあなたにもわからな
かったでしょう ? 」
と言う。
「そうですね。僕も彼の研究はわからなくてもいい。それでも彼は満足しているようにも思えるよ。」
と言った。
せわしないアトリエに一瞬の静寂がこもる。
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いちぬけたあとの後始末_1

2017-12-09 06:46:10 | 逆襲の藤隆
日下部浩一郎と柿沼萌美は、現在 18 歳。
幼い頃通っていたスイミングを訪れた。
丁度、このスイミング名物でもある水着自由の日、通称「褌の日」だった。
現時点の浩一郎と萌美の水着は、いわゆるスポーツ水着である。
昔の浩一郎や萌美からしたら、拍子抜けするぐらい普通の競泳用のスポーツ水着に
身を包んでいる。
プールサイドには、小学生ぐらいの子どもたちがいた。
見ると、男の子は赤い六尺褌、女の子はバブル期のリゾート用ハイレグワンピース水着か、
2 昔前ぐらいのレースクイーンのようなデザインだった。
「昔と全く変わっていない。」
浩一郎はボソリとつぶやいた。
「そうかなぁ。私は益々おかしくなっているようにも思える。」
萌美は特に、女の子の水着に関してだ。制服見たくバブル期のリゾート用ハイレグワンピース水着か、
2 昔前ぐらいのレースクイーンのようなデザインの水着を着用しているのがとてつもなくおかしい。
「萌美ちゃん、やはり女の子の水着がみんな君が着用していたような水着を着ている。」
浩一郎もそれをわかった。
すると、浩一郎と萌美が顔なじみのコーチが来た。
「浩一郎、萌美。お兄さんとお姉さんになったな。久しぶり。水着自由の日も変わったよ。
特に萌美が 11 歳ぐらいに着用した水着が好評だったからね。女の子の間でも人気があって
自作水着の布も自分のスイミングで売り出しているぐらいだ。」
と笑っている。
「はぁ。」
浩一郎も萌美も返す言葉がなかった。
あの時は浩一郎も変わった水着を着用することが好きでたまらなかったし、それに対して萌美も
素っ頓狂なデザインの水着を着用することで呼応してきた。
「今の子ってレースクイーンって、スイミングに来ている女の子が着用しているような水着を
着ているものってわかるのでしょうか。」
浩一郎はコーチに聞いてみた。
浩一郎が檢索エンジンなどで調べたところ最近のレースクイーンはミニスカートの扇情的な
コスチュームを、現時点の萌美ぐらいの女性が着用しているのをよく見る。
浩一郎にとって興味の湧くものではなかった。
「そうだな、今ああいった水着を着用しているのは昔ここを利用していた先輩のお姉さんが
こういうデザインの水着で泳いでいたと子どもたちの間で語り継がれていっているようだ。」
コーチは浩一郎と萌美の二人を見た。
「そうなんだ・・。抜けた後後始末をしておけばよかった。」
萌美は半分笑いながら、半分恥ずかしいような気持ちになった。
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おらあいちぬけた_4

2017-12-08 10:57:08 | 逆襲の藤隆
僕は、ある男とぷりぷり市での会談を終えたあと、数日して東京の編集部に
呼ばれて、そちらに赴いた。
新作漫画の脚本を任された。
題名は「信・くノ一忍法帖」という題名の企画である。
作画を担当するのは、絵は上手いが、ストーリーを考えるのが苦手な奴だ。
今度のストーリーは人気のあった企画を大幅今の自体に合わせた某アニメみたいな
印象を受ける。
元ネタの山田風太郎のエロチックな企画を大幅に変えてくノ一のアクションを主眼に
置く企画だと言う。
作画の人の roughsketch を見せてもらった。
自分が考えている露出度を抑えた感じ。
編集部からの帰り途、自分のスマホのメールに
クリスチーネ剛田氏が
「会わないか。」
と言って来た。
その後の話はまただ。
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おらあいちぬけた_3

2017-12-03 20:49:25 | 逆襲の藤隆
「いつだったか。パラレルワールドのことを考えていた。
そこでは僕と出来杉の嫁さんが結婚していて、僕と彼女の間には男の子を一人設けていた。
自分と嫁さんとの恋に敗れた出来杉は金髪の美女と結婚していて、
彼の力を有る意味みせつけられ、彼を手負いにしてしまった。」
男は、見てきたように語った。やはり彼も出来杉を恐れているのだろう。
そして、
「出来杉とあの嫁さんが惹かれ合い結婚するのは正論だったんだよ。」
といった。
「あの女性のために、あなたがやっきにになるのは正解ではなかったように思える。」
僕はそういった。
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おらあいちぬけた_2

2017-12-02 10:39:54 | 逆襲の藤隆
「そういえば、最近出来杉が様々な事件の黒幕のように言うけれども、その原因はなんなのだろうか。
あいつはやはりいい奴だが、そのパーフェクト超人でありながら人のことを悪く言わない彼は
人に余計な力を印象づけると思う。
その力がなりふりかまわない印象を見せてしまって、人がビビるんだ。
自分の行動に濁りがないと思っているやつだからこそ見せしめに嫁さんが殺されるのかもしれない。」
男は僕にそう語った。
少し時間をとって彼は
「僕はね。出来杉の嫁さんと夫婦になれなくても男として認められたいと思っているんだ。
現時点での感想だが。そして、君がよく創作でコンビを組むクリスチーネ剛田氏とも
夫婦になれなくてもいいと思ったのだ。
そんなことを考えるようになったのは、君には関係もない大事故があったからだ。
あの大事故は、僕が誰かを恨んで追い詰めて打ち負かすではなくて、そして
出来杉に自分の弱い部分を介在させられて帰って助けられるようなこともあってはならない
と考えるようになった。」
と話す。
「そういえば、あなたは出来杉夫人をくさしておられるようだが。」
多少僕はおどけて男に質問した。
「そうだねぇ。彼女が殺害するほんの半年前ぐらいに彼女と話すことができた。
ちょうど僕が、なんとか賞を受賞した時、彼女にほめてほしいみたいなことを
言ったんだけれども、彼女は{出来杉さんより魅力がないのに貴方はへんに頑張って
評価されてたいみたいな態度は御門違いよ。}みたいなことを冷たく言い放った。
僕としては恋愛感情などを抜きにして多くの人に認めてもらいたいと努力しているのに
彼女は出来杉と比べるように言った。彼女は自分と出来杉を比べてウロウロ動いていた
ようであるが、こいつと結婚して出来杉を手負いにすることなんてあまりにも信じられなくなった。」
男は感情を表にしていた。
つづく
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