ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

稱名寺の櫻_5

2010-04-09 06:37:44 | 信・どんど晴れ
今關東は、桜の季節だな・・・。關東に残されたみんな、
どういう春を過ごしているのかい。
近所の稱名寺の他、東岡先輩が住んでいた久良岐市の慰霊堂の近くも櫻が見事だったよな

なにか、あの關東の櫻は心を切なくさせる。
私は、或る意味生きる使命をもらったんだよ。徳之島に。
天気予報で見たけれども、關東は寒いみたいだね。
徳之島も寒いかなぁ・・・。
關東にいたとき、むなしく感じたのは、桜が散ったとき。
アスファルトの道路に、花弁が汚らしく踏みつけされているとき
人間の人生もこれと同じなのかなと毎年思った。
其れを見続けるのが、關東に生きていく宿命だなと思っていた・・・
えっ、それって大袈裟かい。彰?
笑ながら答えるなよ・・・。
おわり


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稱名寺の櫻_4

2010-04-08 05:50:13 | 信・どんど晴れ
「ひところ、その關東の友達から電話がなかったけれども、最近は
よくあるねぇ・・・。東京の立川に住んでいるんだっけ?」
女将は私に聞いた。
「そうですね。立川です。当時神奈川の自宅から八王子まで行って
中央線で乗り換えていった物です。」
私は苦笑した。
「佳奈ちゃんは、一頃友達に辛辣なことを言われていた感じがしていたけれども
そのとき青い顏をしていたね。でも最近は明るいけれども・・。」
女将は私に問いかけた。
「あのときは、友人は私に甘えるなとしきりにいっていたので、
私も彼女を頼らないようにしていたのですが・・・。」
私はそう言った。
「立川と言うことは同居していた友人とは違う子か。」
女将は口をへのじぐちにしていた。
「違う子です。でも私は彼女とは話しがあった。高校の友人よりもかけがえのないひと
だった・・・。」
私は彼女のことを話すと力が入る。
「だから、關東の天地でGet Job して彼女と近い處にいたい。そう考えた訳だ。」
女将は顏が険しくなっていた。
私は、これ以上話すのをやめたとき、
「でも、運命は違う方向に導かれる。徳之島の生活の悪くはないかもね。」
と険しい顏が柔らかくなっていた。
つづく



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稱名寺の櫻_3

2010-04-07 05:11:56 | 信・どんど晴れ
「そうだ。2 月だよ。」
私は確信を満ちて2 人を見た跡、見事に咲き誇っている
櫻を見ました。
境内の櫻は、私を迎えているどころか、なにかよそよそしいと私なりに感じていました。
私と、友人二人はお寺の本堂に足が止まっておりまして、
そのなかで手を合わせていました。
私が願っていたこと。
「大学を卒業して、關東で生活できますように。」
とだったと思います。
友人は何を感じていたんでしょうね。
關東とか何とか、考えておらなんでしょうね。
色々ありましたが、この徳之島で生きることしか今は思いつきませんね。
つづく



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稱名寺の櫻_2

2010-04-06 06:36:39 | 信・どんど晴れ
そうですねぇ。私が大学に進学して2 年目の春のことです。
学生時代住んでいた神奈川の家から歩いてすぐの處に稱名寺っちゅう古いお寺が
ありました。
なんでも、その昔此處を納めていた、金澤さんとかいう領主さまがおたてなすったと
土地の古老や同居していた高槻久留美が言っておりました。
「今年も櫻を見に行こうか。」
高槻久留美と、同じく同居していた横手淡雪とつれあってお寺の中に入っていったのです。
境内の山門をくぐると櫻が私たちが歩く両サイドに満開でしてね。
久留美と淡雪は有頂天になってキレイだきれいだと、お互い三名進学した時代と
同じことを言います。
私はぽつりと
「此處の櫻は薄い色なんだなあ。もっとピンクの色が私のシマじゃあこいなあ。」
ともらしました。
2 人は去年も聞いたという顏をして
「櫻と言ったらこの色だよ。佳奈ちゃんの話している色は桃の花だね。」
と言うんですよ。
「そうかい。」
進学して二年も神奈川にいるのに、この色になじめないとはなんとまあ
私は琉球人だと思ってしまいました。
「わからんのだよ・・・。この色が。でもこの色にもなじまないとな、これからGet Job しても
毎回見るんだからな。」
と2 人に告げました。
「そうかもね。郷里よりも早く咲く櫻は私は大好きだな。」
とぽつりと淡雪がのべました。
「秋田やら石川の櫻ってもっとあとだっけか・・・。」
笑ながら私は応えました。
「佳奈ちゃんのシマの櫻って2 月だっけ。信じられんけれども。」
久留美が答えました。
3 人で山門から本道のある場所まで歩きながら櫻がびっしり咲いた木々をみていて
私は、きれいというよりはこの桜が咲く關東の天地にこしをおろさないかんって
思っちゃったもんです。
私を見て淡雪と久留美はくすくすわらっておったんですが、
当時はなんで笑っていたか理解が不能。今思うとどこか肩に力が入ったもんを
感じていたんですかねぃ。
つづく



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稱名寺の櫻_01

2010-04-05 04:46:17 | 信・どんど晴れ
此處は、徳之島。一般に奄美群島とか琉球群島といわれる場所にある
とっくりのような形をした島である。
此處にある老舗のRyokanに松本佳奈は数年前から仲居の仕事を得て働いている。
「そろそろ、桜の季節ですね。ここも加計呂麻島も櫻だ。」
Calendarは2月を指している。
「ええ。私のシマもあんたのシマもね・・。」
佳奈の出身地は加計呂麻島の有る集落だが、話しをした女将は対岸の大島にある
古仁屋の出身である。
「櫻か・・・。關東にいるときもよくみました。」
佳奈は楽しかった関東で過ごした学生時代を思い出しているようであった。
「關東の櫻か・・・。上野か向島か・・。神奈川縣だったら大岡川とか・・・。」
女将はそう言った。
「ええ。私たちが花見に行ったのは、稱名寺という近所にある古いお寺です。」
佳奈はそう伝えた。
「稱名寺か・・・。そう言うところがあったのね。」
關東の地理に疎い女将は狐につままれた感じであるようだ。
「關東の櫻は、なんとも薄い色で神秘的に思いました。私のシマの櫻は余りにも色が濃い
ので。」
關東の話しをするとき、なんとも佳奈は悔しそうな顏をする。
そして、
「数年前、朝倉夏美とか言う横浜からの女がいましたね。」
と続けた。
「そんな女思い出したくもありません。」
女将は続けた。
「そうでしょうとも。私も同感です。ただ人間の理ではいやでも根を下ろさなければ行け
ない
今の徳之島の仕事も私も未だに天職だとは思っていません。でも、此處で根を下ろさなけ
れば
と考えるとできます。私は数年前来た朝倉も本来の根は横浜や関東にあったのかもしれま
せん。
關東の天地でなんとか家政婦さんの助けを得て・・。」
と佳奈は険しい顏になっていた。尚、家政婦さんという人間は
朝倉が徳之島を去っていったあと、程なくして去っていった小田原出身の子持ちの女であ
る。
厳密には家政婦さんではないのだが、そのように見えたので佳奈は家政婦さんと呼称して
いた。
「相変わらず、佳奈ちゃんは關東になると饒舌に・・・。まあ好きなだけ關東の桜の思い
出を
話して頂戴。」
女将の言葉である。
つづく



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CHINESE・ストレートフラッシュ_06

2010-04-04 05:16:46 | 信・どんど晴れ
達男が高松に出張してから三年ほどの年が経った。
当時小1であった達男の息子、松井聯四郎は
小学校四年になっていた。
此處は羽田。
また、出張に出かけるようである。
「レンも、小学校高学年か・・・。」
達男は独り言を言った。
「おぅ。松井。」
見覚えのある声が聞こえた。
「木崎。」
松井は思わず振り向いた。
彼は女性と女の子を連れていた。
「これはな。仕事が達行かなくなってから知り合った嫁さんとその間に生まれた娘。」
と、苦笑していた。
「嫁さんか・・・。」
達男は言った。
「嫁さんは浙江省出身でね。モトは嫁さんが経営していた会社とうまくいかなかったんだ
が、
事業が軌道に乗り始めてから、嫁さんと分かり合えるようになって・・・。」
木崎の話は長かった。しかし夢のような話しだと達男は思っていた。
「まあ、面白いこともあるな・・・。いったい何のために日本に来たんだ。」
そう達男は切り出した。
「ああ、初孫を店に富士五湖の実家だよ。」
木崎はそう言って、富士五湖方面に行くバスか電車を物色し始めた。
おわり



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CHINESE・ストレートフラッシュ_05

2010-04-03 05:18:45 | 信・どんど晴れ
その跡、達男は高松を跡にしようとして、
羽田行きの飛行機を待っていた。
會社に電話をしようとしたとき、
一通のメールが、達男の携帯に入ってきた。
「今回の上海に行ったことは大失敗だった。俺はこの上海が
世界一嫌いな街になりそうだ・・・。」
という内容だった。
木崎だ。
「そんなこと無いもっと踏ん張れば・・。」
と達男は言ってみる物の、なんともである・・・。
これが数年の間消息を絶つ最後の木崎の声であった。
「上海とはそんなに怖いところなのか・・・。」
達男は思った。
つづく



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CHINESE・ストレートフラッシュ_04

2010-04-02 18:49:37 | 信・どんど晴れ
「あれはね。私の息子とその嫁さんだよ。なんと香港人でね。」
親父は口を開いた。
達男は口をあんぐりした。
「香港ですか・・・。中國つながりで言いますが、先日私の元同僚が
上海で事業を興すと突如宣言しましてね。なんで讃岐でまた中國の話しを・・・。」
親父はワンセンテンスおいて
「面白いねぇ・・・。私の息子が元彼女を追而香港に行ったとき、ひょんな事で
今の嫁さんとであってね、まあ4年くらい前にひょっこり此處に歸ってきて・・・。」
と長い話をし始めた。
「アイツと喧嘩したあげく、アイツは跡を継ぐというもんだから・・。」
親父の話にはクスクスと笑いながら往時を思い出していた。
「不思議なものですね・・。」
達男は顏が引きつっていた。
「松井さんも、なんだか親と有りそうな・・・。」
親父はよけいなことを言い出した。
「なわけないでしょー。」
必至に達男は取り繕っていた。
「あ、そうだ。息子と嫁さんのメニューも面白いから今度食べてみてよ。
讃岐うどんとhong kongの屋台料理のコラボなんだ。」
親父は、多少の親ばかぶりを見せた。
つづく




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CHINESE・ストレートフラッシュ_03

2010-04-02 06:09:55 | 信・どんど晴れ
高松での仕事を終えた達男は、いつも高松や香川県に行ったとき足を運ぶうどん屋
「塩田製麺所」
に足を運ぶ用意をした。
「松井君はいつも、高松に来るとあそこで食べるよね。」
と支社長には皮肉を言われるぐらいである。
「ああ。おいしいですよ。」
と達男は一言言う。
「まあ、私もうまいうどん屋は知っているがね。」
と口をとんがらせるのが支社長の悪い癖である。
達男がいつも足を運んでいるうどん屋「塩田製麺所」は内陸に存在する。
なおかつ交通の便が悪いので、Bus なども存在しない。
だからTaxi を使って、そのうどん屋のある場所まで移動する。
走ること、30 分ぐらいである。
Vinyl の看板に「塩田製麺所」と書かれている。
達男は、のれんをくぐった。
「親父、いつもの。」
「おう。松井さんか。」
親父とは顔なじみである。
あうんの呼吸のような物が出来ている。
「あいよ。」
何も言わなくともかけうどんだ。
そこからトッピングを銘々取るのが讃岐流である。
他に来ているお客も同じようなことをしている。
達男も、そのようにしながらうどんをすすった。
ここは彼の生国である三河国とは違う。
「あのー、いつも思っていることなんだけれども。」
達男は親父に尋ねた。
「なんだ?」
親父は聞き直す。
「あの寫眞の若い男女なんだけれども一體何者?」
達男はそう口を開いていた。
「うーん。」
親父は一回悩みながら回答をしようとしていた。
寫眞の男女は、軽車両を改造した屋台が付属している車に
瀬戸大橋を背に、笑ながら客の応対をしているという感じであった。
つづく


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CHINESE・ストレートフラッシュ_2

2010-04-01 05:23:55 | 信・どんど晴れ
一ヶ月後、達男は高松に行く飛行機にいた。
機内誌を読みながら、木崎のことを考えていた。
自分と同じ會社にいたとき、彼は仕事も自分よりこなしたし、
部内ではモテモテだったような気がする。
なのに、会社を突如辞めると言うことになったのだろうか。
冒険心だろうか・・・。
達男は不可解な氣持ちにおそわれていた。
しかし、退職した人間よりも自らや家族のカテを稼ぐのが自分。
来年、小学校に上がる息子のことがいっぱいなのだ。
「今回の業務内容は何だったけな。」
自分の會社の高松支社の資料をみている。
この高松支社も、妻と結婚する一年前から良く通っている。
楽しみは、いつも食べているうどんだ。
新潟出身の妻は、蕎麥だと考えている。鹿児島に出張したとき、蕎麥と聞くと
頷いていたし・・・。
俺は愛知県人、參河人なのだ。否定しようにも。
小さなころからきしめんとみそ煮込みうどんで、育ったからうどんが好きなのだ。
「今回の仕事をこなしたら、また例の店で食べていくか・・。」
達男は書類を目にしながら考えていた。
つづく
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