ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

生きている男女へのヴィリャネスカ_5

2008-12-31 17:37:41 | 逆襲の藤隆
「所で、知世さんって13歳以前の記憶が止まっているような氣がする。」
私は知世さんにぶしつけな質問をした。
知世さんは少し考えて、
「そうね。私自身思い出したくないのよ。」
と少し笑うだけだった。
「私を守って死んでしまった女の子が居るの。その子は大金持ちのお嬢さんでね、
影武者である私を逃がしてテロリストに撃たれて死んだ。私のような女を
守るのに・・・。」
と淡淡とした表情で語った。
「もしかしたら、13歳以前の記憶が・・・。」
知世さんは黙って頷いた。
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生きている男女へのヴィリャネスカ_4

2008-12-28 20:16:42 | 逆襲の藤隆
「そうですねぇ。私は日本というマーケットを見据えて、
日本人に受け入れられる物を作りたかった。」
そう語るのは台湾ドラマ「あかね色に染まる空」の
プロデューサーである浅井眞一郎、英語名ブルース・リャンである。
台湾人でありながら浅井眞一郎と名乗ったのは、こちらの方がかっこいいと
判断したらしい。日本語も綺麗である。
「浅井さん、従来の台湾ドラマの何処が、悪かったのですか。」
日本人インタビュアーの言葉である。
「メディアミックスの軽視、日本というマーケットの軽視、
無い物を取り寄せるだけという考えでしょうか。
それなのに、アジア全域で成功したと思っている台湾や香港のテレビマン
映画人が多いと思うのです。それを私は訂正したかった。」
と答えた。
昔に比べて、変わってきているのかな。とケーブルテレビの
アジア映画専門チャンネルの場面を見て思った。
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生きている男女へのヴィリャネスカ_3

2008-12-27 20:59:38 | 逆襲の藤隆
私の家の中に入っていくと、弟がテレビを見ていた。
「先日亡くなった、日本語圏で活躍した俳優、勝呂健一郎さんの死を悼んで
台湾や香港といった繁體中文圏のテリトリーのマスコミでも大きく
伝えられています。」
と、でかい音が聞こえてきた。
「勝呂健一郎、最後まで変な人だったね。」
テレビはなおもReportを伝える。
「彼の晩年バラエティで共演していた三浦アメリア氏は"馬鹿野郎と言いたい"
といって居ました。勝呂氏は仙台市出身でもともと関東に上京、六本木のホストクラブで
働いているところをスカウトされて俳優デビューした人間だそうです。」
弟はしらけた目で、その顛末を見ていた。
「でもさぁ、勝呂さんの死を悼んでいる繁體中文圏では日本の芸能・著名人の
存在が大きいんだろ、その繁體中文圏の俳優や歌手にアジアのスーパースターと
いう説明をするのは、少しおかしい気がするよ。」
としらけた目は燥いた笑があった。
知世さんは
「まぁ、そんなのアジテーションよ。ああいう繁體中文圏の歌手や俳優を
紹介するするとき、たいてい日本語圏はハブにされているのよ。
で、日本語圏の馬鹿マスコミは日本がハブにされているのを変にあおるし・・・。」
しれっとした顔をしていた。
モニターの中のゲストコメンテーターは
「福岡市内の自宅マンションで見つかったとき、死後一週間ぐらい経っていたとか・・・。」
といっていた。
テレビの司会者は急に明るい顔をして
「本国韓国ではスキャンダラスな歌詞で物議を醸したガールズグループ
"doll house"が日本語圏の歌手の祭典として知られる
札幌音楽祭でaチームで出場するようです・・。」
その話題と共に"doll house"の音楽が流れた・・・。
物議を醸した音楽ではなくて、弟が見ていたロボット物の主題歌だった。
「このように、日本語圏の人気アニメ・ドラマ・ゲームの主題歌をうたって
日本語圏の人間にも知られた存在です。」
ナレーションの言葉に私は
「韓國の人の方が日本語圏でうまく立ち回っているわね。繁體中文圏の歌手が
大きなマーケットである日本で売れないのは、繁體中文圏の人たちに
何か問題があるのだろうか・・・。」
そう剣呑な顔をした。
知世さんは
「数年前までそうだったかも。」
と、答えた。
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生きている男女へのヴィリャネスカ_2

2008-12-25 20:31:13 | 逆襲の藤隆
「飛行機ね・・。」
知世さんは、空を見上げた。
「はい・・。」
私はそう頷くしかない。
「飛行機って・・・。でもあれ種類はなんだと思いますか。」
比較的低いところを飛んでいる飛行機をみて、
「確か軍用輸送機ね・・・。この街を統治している国の飛行機かしら?」
知世さんは少し、考えながら答えた。
「どうでしょう。」
軍用機の事なんて分からない。
「ぱっと見たラウンデルで・・・。此処の国と比較的良好な立場の近隣にある
アジア諸国ね。」
アジア諸国といっても、日本列島と中國大陸には、大きな国が存在しない。
かの有名な日本列島と中國大陸、そして琉球群島を支配していた国は
既に存在しない。小さな国が東北アジアに沢山ある・・・。
「知世さんってご家族に警察官か軍人って居ましたっけ。」
前にもあったとき同じような質問を弟がしていたような。
「父が軍人だった。親戚のおぢさんも軍人だった。13歳の時に父に引き取られて・・・。」
そういいながら、鼻歌を口ずさむ。
確か台湾ドラマ「あかね色に染まる空」とかいう作品の主題歌だっけ。
「今流れている曲って、日本語っぽいけれども日本人歌手が歌って居るんだっけ?」
知世さんは
「確か韓国人か香港人じゃないかな。このレコードを出している会社は金沢に本社がある
って聞いた。」
と説明した。
現在は昔のように関東に日本列島の中心がある訳じゃないから・・・。
相変わらず大消費地なのは変わらないけれども。
「不思議な物で、アジアで不思議なつながりがあるわね・・。」
といいながら私の家の方に知世さんは向かっていた。
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生きている男女へのヴィリャネスカ_1

2008-12-22 18:44:35 | 逆襲の藤隆

「この作曲家、ティールマン・スザートだっけか?」
大学生ぐらいの女性が私に答えた。
「はい。」
私は頷いた。大学生ぐらいの女性は平賀知世さんといい、
現在横浜市に住んでいる。
インターネットの台湾ドラマサイトで知り合った女性で、
最近私が嵌っている台湾ドラマ「あるぺじお~君色のメロディ」が
関東でも放映が開始して、彼女も嵌っているらしい。
「瀬戸内でも、あのドラマの影響でちょっとしたクラシックブームなんだ。」
知世さんは、皮肉っぽい顔をしていた。
知世さん自身、ブームの影響は怖いなと考えているようだった。
謎なのは、知世さんってあのドラマが始まる前から可成りクラシックを
聞き込んでいるようで、放送が始まってから知った作曲家の
事を色々インターネットのメッセやメールに書き込んでいた。
クープラン、ジョスカン・デプレ、スヴェーリンク、ジョン・ダウランド、
前述のティールマン・スザートなど・・・。正規のクラシック教育を
受けたように思える。でも、彼女自体質素な感じがする。
「確か、あのリュート曲はジョン・レンボーンかリッチー・ブラックモアか、
バート・ヤンシュがカバーしていたような・・・。」
ふんふんとした顔で、昨日視聴したドラマのシーンを回想していた。
今挙げた人ってクラシックギターの人じゃないよね。
「知世さんってクラシック意外はhr/hmとかパンクとか
聞きますか」
思い切って彼女に聞く。
「そうねぇ。そういうのも聞くわよ。姉貴分の女性の影響かな?」
私は
「へぇ。」
と言うだけだ。
続く
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面馬家の野望/9

2008-12-18 21:43:55 | 逆襲の藤隆

「時間を捩じ曲げる。という事を知っているかね。」
遷の話を聞いていた仙三郎は
「はぁ。」
という顔をした。
「出木杉を殺した男は、おそらく歴史を変えたかったのだろう。」
遷は、座っている椅子の近くにある書架から、恐ろしく古い本を出した。
時代からすると明末清初というぐらいだろうか。
面馬長老傳と書かれている。
「だからだ、この中に、歴史を見ることが出来る物は、歴史を捩じ曲げる事を
すると・・。おそらく犯人は、出木杉がまんまと生き延びた行く末を見て、
出木杉を追いつめ、殺害を決意したのだろうな・・。」
と漢文で書かれた文章を仙三郎に指した。
「他に闇を司る男が出てくることを感じては居なかったのかもしれない・・・。」
仙三郎は遷を直視していた。
また話は秋田に戻る。
「くだんの、犯人のこと、東北連邦警察の議長に言いますか。」
クィベックの部下が言った。
其れを聞いたクィベックは・・・。
「そうだなぁ。でも信じないと思うよ。」
と軽くあしらった。
おわり
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面馬家の野望/8

2008-12-17 21:02:01 | 逆襲の藤隆
「警視、出木杉の手記が発見されました。」
クィベックの部下が、A4のコピーの束を持ってきた。
それを部下からふんだくるクィベック。
「なになに・・・。自分は完璧だと思っていた。
おそらく、神に選ばれた人間なのかもしれないと・・・。
しかし、現在の妻はあの男と結ばれる運命だと思っていた。
だが、彼は妻を諦め私に差し出した・・・。
私には見抜けなかった。私という人間を打倒するために
妻を自分に差し出した・・・。」
クィベックは、うーんと考えながら・・。
「出木杉を殺した男は、これだけのために、生きてきた男なのだろう・・・。」
そして、また舞台は福州に戻る。
「あの男は、出木杉を殺す前はある会社を経営していたようだな。
おそらく、出木杉を追い込み首級を挙げるためだ。」
と面馬遷は仙三郎に言った。
「そうでしょうな。私も貴殿が犯人だと考えている人間の行動を
見ていましたが、出木杉に対するnegativeキャンペーン本が多かったですな。」
と口をへの字に曲げた。
「我々の存在はほとんど無かったのだろうな。」
遷は日本の方向を見た。

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面馬家の野望/7

2008-12-15 20:18:28 | 逆襲の藤隆
「出木杉殺害事件の事で私が何を知っているのですかな。」
江平正男は捜査に来たクィベック警視に告げた。
「いえ、貴殿が出木杉に資金援助を行っていたので・・。」
江平は
「クィベックさん、確かに出木杉博士のexam systemに資金援助を
行っていました・・・。しかし、殺害には私は関係はないのですが・・。」
そういいながら江平はクィベックの方を見なかった。
「分かりました。」
と、いいながら江平邸を去った。
関東に行ったときのことをクィベックは思い起こしていた。
「あの男、只管口は堅いようだったな。」
さて、舞台はまた福州に戻る。
「遷様、出木杉一族を捜査している日本語圏の刑事が鎌倉に来ていたようです。昨日
江平氏から電話がありました。おそらく彼は、出木杉を殺害した犯人と接触したと
思っている節があったと語っていました。」
仙三郎の答えに遷は黙っていた。
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面馬家の野望/6

2008-12-13 19:57:21 | 逆襲の藤隆
眼鏡を掛けた長身の男,
彼の名前は江平正男という名前である。
この男は、いわゆる関東でも神奈川縣と呼称されたテリトリーの
経済界の盟主で、今日の関東諸邦でも名前の知られた人間である。
「江平さん、今度鎌倉市内にに長崎料理のチェーン店を開こうと思いまして、
それで相談に上がりました。」
声の主はなんと面馬仙三郎であった。
「面白いですね。関東という地方の事を考えた以上は、展開を考えるのは
普通です。で、どこら辺に・・・。」
江平は聞いた。
仙三郎は少し考え、
「そうですねぇ。大体大船駅前と鎌倉駅前でしょうか。」
と答えた。
「なるほど・・・。あそこの物件ですね。」
仙三郎は承諾した。
「ところで、仙三郎さん。貴殿が態々関東に来た理由としては、おそらく横浜あたりの
面馬一族に会いに来たのではないでしょうか?」
と答えた。
仙三郎は
「そうです。現在関東に住む面馬一族としては、面馬師、面馬昭なる男がおりまして、
その男たちに会いに来たようです。彼らは納豆を好む日本人となっています。
私も日本人ですが、北九州の人間ですから・・。些か納豆は・・・。」
と江平をみた。
「納豆も慣れればうまいのですが、北九州人には、慣れないですか。」
と江平は笑った。
当時のことを報告する、仙三郎を見た
遷は・・・。
「列島にいる面馬一族を覚醒させるにはまだ時間がかかりそうだな。」
と答えたのであった。
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面馬家の野望/5

2008-12-10 22:31:58 | 逆襲の藤隆

東北連邦警察、秋田支部。
そこにこもって、クィベックは資料を物色していた
「なるほど・・・。出木杉を殺した犯人は時間を捩じ曲げたのかもしれない。」
と有力リストを見ながら考えていた。
「時間をですか。」
部下はきょとんとした顔をして、
クィベックを見た。
テレビでは、経済情報が映されていた。
社長にインタビューをするコーナーのようである。
そこには仲達こと仙三郎が映っていた。
「この男、面馬家の中でも、日本で根を下ろしているのか。」
といってモニターから目をそらした。
「そういえば警視は、この前関東に行かれていましたね」
部下を見て、クィベックは
「ああ。」
と言った。
この世界では東アジアは小国に分裂しており、今回の話の舞台である
臺灣・福建聯合、東北聯邦の他は、廣東共和國、九州聯邦、といった国が存在する。
関東とは言えども、日本列島の盟主・中心ではない。
その関東にあるある男が、出木杉一族のあり方や、そして出木杉英才を殺した男が
何を考えているかを語っていた。
関東に存在する國家、足柄聯邦、鎌倉市。
そこに、訳を知る男が居た。
「クィベックさん、初めまして。」
眼鏡を掛けた長身の男。
柔和そうだが、抜け目なさそうな感じだとクィベックは
感じた。
「東北から罷り越しましたクィベックです。出木杉一族はどんな一族だったのでしょうか。」
男に突如話題を切り出した。
「そうですねぇ。あの一族は、アジアの均衡を守るために歴史の流れに合わない人間を
処罰することすらあるのです、もう一つの面馬家よりは穏健でしたね。」
眼鏡の下から鋭い眼光が見えた。
「そういえば、クィベックさんは出木杉英才を殺した犯人がわかったようですが
私も分かります。しかし何も考えない男でした・・・。自らの壁だとしか思わなかったようですな。」
男は鎌倉山の自然を眺めた。
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