ブルーシャムロック

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安曇野の夏

2011-07-12 18:02:38 | 信・どんど晴れ
松本佳奈と追浜彰がSkiに来る半年前の夏、
ある男が東京から佳奈たちが泊まった安曇野のペンションを訪れていた。
男の名前はあずま・あまねという。
詩人として東大独文科在学中に詩人としてデビューした文芸界の怪物で
その後、勝海舟に関する戯曲を執筆、人気劇団が上演して其れも大当たり
で多くの人間に、存在を知られるようになった。
このペンションに足を運ぶ少し前に、勝と同時期に活躍した佐藤彦五郎という
人間の戯曲の執筆を脱稿したばかりだった。
「オーナー、実を言うと今回の担当の相山君だけれども、学生時代の
卒論に幕末の多紀げんえんという本道だか漢方の医者のことを書いて
つい先日まで配属されていた漫画雑誌では新實錦に関する話題を・・。」
彼は自分勝手に自分とその話題をしている。
「ふーん。あずま先生。もしかしたらここに来たのは次回作を
書くためでスカイ。」
オーナーはコーヒーをあずまが正座っているテーブルに置いた。
「まあ。そうだね。そろそろ幕末や明治から足を洗おうかな。」
とコーヒーに口をつける。
オーナーは一瞬考え、
「まぁ先生。私の個人的な知り合いの本ですがね。」
と、本を差し出した。
さて、あずまはこの跡如何したのだろうか。
おわり

どんどはれの意味

2011-07-08 15:45:31 | 信・どんど晴れ
「大学の講義で聴いたのだけれども、所でどんどはれってどういう意味か知っているか?」
私は、学生時代神奈川県に住んでいるとき共に食事をしているRoommateに聞いた。
Roommateの一人である歴史方面に明るい高槻久留美が答えた。
「そうだねぇ。岩手県の方で民話の語りが終わってhappy endになる時締めに言う言葉
だと聞いたことがあるな。」
と、回答した。
「私秋田なのに、同じ東北の岩手のことは知らないんだよな。」
同じくRoommateの横手淡雪も答えた。
「へぇ・・・。奄美にも民話は伝わっているけれども奄美の民話は何だっけ。」
私も悩みながら2人を見た。
「佳奈ちゃんのシマも民話がありそうだ。」
久留美はそう言った。
こんな学生時代のばかげた事を思い出すのは、今働いている徳之島の旅館「加賀美屋」
の事である。
半年ほど前、横浜から来た朝倉夏美という女性を、客を食中毒にさせたという
罪で馘首。
次に来た原田とか言う女性も旅館のお金を横領した罪で馘首した。
一人は押しかけ女将、もう一人はよこしまな思いで旅館に近づいたのだが、
女将の考える世界に合わないからという意味で消されたのだろう。
将来の加賀美屋を引っ張っていくのは私、松本佳奈であると此処の女将は考えているのが
見え見えだった。
今思うが、2つのどろどろした愛憎劇は、私を後継者に据えるためだ。
民話のどんど晴れではない。
このどろどろした思いを持った女将とは離れてまた関東に戻りたいのだが。
でも、なんと言ったが返してくれない。
この呪われた場所で私は生きる
end