ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

退くも地獄,行くも地獄_6

2010-11-29 18:23:58 | 信・どんど晴れ
黒崎と分かれて数日後、笹本は會社の自らの部署の部屋で
新聞を読んでいた。
「広島県尾道市に本社のある瀬戸内salvageが岡山市に本社のある
中国地方の大手ゼネコン里中建設と業務提携。」
と書かれている記事を見ていた。
そして、自分の机の端末では自分のPrivateで使っているMAILBOXもチラ見していた。
東京時代一緒に仕事をしていた中池の會社であったことをその自分のAddressに来た
それに書かれていた。
自分の周りでは、大騒ぎになっていること、こういう會社と業務提携して大丈夫か
と・・・。彼は淡淡と自分と同じ會社の同期であることを中池にRESをしていた。
彼も自分も中池もそして黒崎も地獄を生きているのかもしれないと
思ってキーボードを叩いていた。
おわり
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退くも地獄,行くも地獄_5

2010-11-29 18:23:26 | 信・どんど晴れ
笹本は、忙しそうに電話をする黒崎の後ろ姿を見た。
「俺は何故、自分のやりたいこととは違うところに獅噛み付いているのか?」
と、自問自答を繰替えした。
電話をし終えた、黒崎はふとつぶやいた。
「笹本、今の仕事はやりたいことをやっていない顏をしているな。」
笹本は目を白黒させた。そして
「ああ。」
と気の抜けたコーラのような声を発した。
黒崎は後ろを向いている笹本にいう。
「俺はどこぞのなんとかFundやネット企業のようにカネのない不幸と
カネのある幸運とか考えていないよ。俺の考えていることは
同業他社と戰いを繰り広げるカラスとして生きることを選んだだけ。
お前が會社のぞうきんがけだったら、俺は浅ましいカラスなんだ。
生きるとは汚らしいことだよ。あ、言っておくが岡山のゼネコンと
業務提携をしたよ・・・。里中建設とか言ったかな・・・。」
といって、去っていった。
里中建設・・。そこは何處だろうかでも、聞いたことがある。
笹本は考えた。
つづく
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退くも地獄,行くも地獄_4

2010-11-29 18:22:50 | 信・どんど晴れ
数日後、笹本は昼休みになって關東資本の洒落たカフェ風の店に昼食に行くことに
なった。
東京にいた頃、このチェーン店にはよく入ったなと皮肉っぽく思った。
店員に注文をする。
ほどなくしてLaunchが運ばれてきた。それに箸を付けようとしたとき・・・。
ある男が肩を叩いた。
「おぅ。笹本。」
低い声である。
振り向いているとなんとそれは・・。
「黒崎?!」
笹本は目を白黒させた。なんとも凶相に見えないでもないぎょろりとした目は
紛れもなく黒崎錠その人である。
「お前さんが経営している会社は羽振りがいいようだな。」
笹本は顔を背けた。
「ああ。まあ、今の仕事は勤め人の頃とは違う。俺の行動がまぐれ当たりと考えている。
今は俺も社員も糧を得るために働いている。」
と、チェーン店のLogoが入ったマグカップでコーヒーを口にした。
「へぇ。昨今にぎわせているネット企業の方とは違うな・・・。」
笹本は、Plateの料理にフォークを刺した。
「俺は無駄なファイトをしない。しかし、生きるためには手に入れる物は手に入れる。」
と言った後黒崎は口を閉じた。
そして、笹本は笑ってしまったのが、先日球場を購入した北九州地方出身の
佐久間社長の経営するサクマモバイルのスマートホンだった。
もしかしたら、そんな彼らに憧れているのか・・。ふと考えた。
つづく
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退くも地獄、行くも地獄_3

2010-11-29 18:22:05 | 信・どんど晴れ
笹本が東京営業所の仕事を始めた時、黒崎が、突然起業したと
業務提携をしている高垣の會社づてに聞いた。
「瀬戸内海のsalvage事業を請け負う會社だけれども、我々のお世話に
なるかもしれないね。」
高垣の上司である社長は皮肉っぽく笑った。
ネットのようにあぶく商売と思っていた。
「何を考えているか解らない男だと思うのですが・・。」
ちょうど提携先の會社に外回りに来ていた笹本は言った。
彼がなにか恐ろしいことをしでかすのではと思ったからだ。
ところが、彼の企業は不況下であっても、業績を伸ばしている。
瀬戸内海の工事を一部委託しているようである。
Bowling、浚渫など細かいところは建設会社では不得手だからかもしれない。
彼はそんなことを考えた。
つづく
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退くも地獄、行くも地獄_2

2010-11-29 18:21:27 | 信・どんど晴れ
笹本と黒崎は同期入社で、地元出身の笹本に對して、尾道出身の黒崎という
ことである。
そして、同じ製品開発の部署に配属されていた。
笹本は、まじめに製品開発に取り組んでいたのに對して、
黒崎は何をしているか解らないところがあり、穴を掘る技術はセクション1と
陰口をたたかれていた。
確かに医療機器においてそう言う技術は必要かもしれない。
しかし、意味もなくそればかりやるので、セクション内部において必要もない人間として
思われていた。
 そして、そんな彼は突然退社。
「やりたいことが見つかった。」
と皆に言い残して、郷里の尾道に去っていった。
「ラーメン屋でもやるのか」
人は噂した。
笹本も、黒崎がいなくなった年の春、東京営業所に配属となった。
つづく
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退くも地獄、行くも地獄_1

2010-11-29 18:20:55 | 信・どんど晴れ
拙書において登場した高垣と東京でかつて仕事をともにした男、笹本。
彼は今は、富山市内の本社に戻り、東京にいた頃同様
リストラ室勤務である。
珍しく、今日は定時に退社した。
彼が家路に急ぐ頃、街の掲示板に、ある催し物を見つけた。
「salvageの重要性、瀬戸内salvage社長、黒崎錠」
と書かれた講演を見つけた。
「黒崎錠、まさか、この男はかつて俺の會社で机を並べていた男じゃないか.」
笹本は目を疑った。
「でも、なんで富山まで来たんだ」
笹本は我が目を疑った。
つづく
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そのスピードで_6

2010-11-20 18:38:04 | 信・どんど晴れ
コンサートが終わって数日。
礼美は宇品とともに、今後の番組のことを考えていた。
「先日赤煉瓦のライブでやってきた彼を呼ぶかどうか。」
礼美は冷静な表情をしていた。
「面白いとは思うのですよ。」
意外にもjazzなどが好きな礼美に勧めた宇品。
「そうね・・・。」
難しい顏がゆるんだ礼美。
「韓国の伝統楽器ってk-popとは違った切り口があっていいかも。」
宇品はそう言った。
「それも考えている。今サッキの彼を紹介することによって
新しい韓国音楽の紹介になるかもしれない。」
礼美は番組の構想を考えつつ、新しいcdを漁っているようだ。
「先日の人は、久良岐駅で無料ライブをやりたいとか。」
宇品は、にやっとした。
「えっ。久良岐駅?!私の地元じゃない。」
礼美は目が團栗のようになった。
うれしそうな感じになるとこういう目になる宇品は知っている。
「まあ、面白そうですよね。このときに実況収録にいってもいいかも・・。」
先を歩いている礼美に宇品は声をかけた。
おわり
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そのスピードで_5

2010-11-20 18:37:31 | 信・どんど晴れ
ライブはまだ続いていた。
礼美は、聞き覚えのある曲に聞き惚れていた。
「たしかStingのenglish man in newyorkじゃないですか。」
横から宇品が割ってはいる。
「そうよ・・・。この曲ってレゲエっぽいというけれどもjazzyな感じがするから
昔から好きなのよ。」
といって、麥焼酎のロックを口にする。
宇品は思っていたことを口にした。
「樣になるんですよね。昼間はコーヒーか紅茶、夜は焼酎かウィスキーを
飲んでいるところが・・。」
礼美は後輩を一瞥して
「そう・・・。」
と言って、テグムの演奏者の方を見る。
なんともスモーキーで渋い音だなと思う。
「こういう民族楽器とジャズやファンクという組合って面白い。」
宇品は改めて考える。
「もう一人来るつもりだったけれども、駄目だった・・。」
礼美は少し不満そうだった。
「まあ、2人だけでも・・。」
宇品は礼美の顔を見て、そして笑った。
彼女は、頼んだテキーラサンライズを口にした。
なんとも、甘さと苦さが口に広がる。
今の自分なのかな。とふと考えてみる。
つづく
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そのスピードで_4

2010-11-20 18:37:07 | 信・どんど晴れ
赤煉瓦。
此處にあるジャズのライブスポットのような場所で、
特殊なジャズライブが、行われていた。
礼美は宇品を伴って、ここに来ていた。
「この楽器、尺八でしょうかね。」
宇品はその音色を聞いて、考え込んでいた。
「尺八ね・・・。でも横笛みたいね・・・日本の其れと比べたら太いし・・。」
音楽のImageは、キャンディー・ダルファーあたりを彷彿とさせるファンクというかクラブジャズ
である。
「不思議な音ですね・・。韓国の伝統楽器なんだ・・・」
異国に不思議な物があることにビックリしている宇品。韓国音楽といえばk-popぐらいしか
聞いたことがないからだ・・・。
演奏が終わり、演奏者が
「いかがですか。韓国の伝統楽器テグム、私はこれでジャズやファンクを演奏する事に
面白さを感じています。来日して・・・。」
演奏者が語っている・・・。
「彼、私の番組で紹介しようと思う。」
礼美は宇品の顔を見る。
「へぇ・・。東岡先輩らしいっすね。」
宇品は苦笑した。
つづく
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そのスピードで_3

2010-11-20 18:36:32 | 信・どんど晴れ
「ろーばーに乘ってゆこう・・・。」
宇品が自分の番組で流した音楽を口ずさんでいた。
このバンドは1960/70年代のヒッピー風の音を作るバンドで
メンバーが全員沖縄出身で宮古島出身の人間も含まれている。
「へぇ。影響を受けたバンドがドアーズとccrとLed Zeppelin、Deep Purpleですか・・。」
宇品はメンバーの言葉に耳を傾けていた。
實を言うと宇品は、1960/70年代のヒッピー路線のバンドやグラムロックが好きである。
先輩である礼美とは違う嗜好である。
彼女は古い音楽であればモータウンなどのr&bなどが好きなのだ。
「でも、なんでロバなんですか?」
宇品は番組での自分の言葉を思い出していた。
「それはですね、馬じゃ早すぎる、ロバだったらマイペースのスピードで歩けるから。」
と、作詞を担当したメンバーが語っていた。
自分のスピード、自分は持っているのかな、宇品は思っていた。
先に独立した先輩は私をどう考えているのかな。
つづく
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